出張診療、自動車の在庫、学童の預かり、駐輪場、鶏の孵卵場。
一見バラバラな施設ですが、すべて令別表第1の何項に当たるかという同じ問いが立てられています。
昭和55年の同じ通達が答えを示しました。
質疑応答が示したのは建物の名前や業種ではなく実際の使われ方で項が決まるという考え方です。
鶏の孵卵場って防火対象物になるんですか。
なります。
しかも意外な項です。
他にも迷いやすい施設があるんですか。
それも含めて5つの事例を順に見ていきます。
- 出張診療方式の医療施設は(6)項イに掲げる防火対象物です
- 自動車メーカーの一時在庫施設は(13)項イに掲げる防火対象物です
- 放課後に小学生を有料で預る施設は(6)項ハに掲げる防火対象物です
- オートバイの駐輪場は(13)項イに掲げる防火対象物です
- 鶏の孵卵場も(13)項として扱われます
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目次
出張診療方式の医療施設は何項に該当するか

このような出張診療方式の施設は、何項として扱われるのでしょうか。
医師が毎日いるかどうかではなく、診療を行う専用施設であるかどうかが基準になります。日を決めて来る出張診療方式でも、病院や診療所と同じ(6)項イとして扱われます。
医療目的で専用に使う施設を持っているなら、常駐の有無にかかわらず(6)項イを前提に検討してください。
月に数回しか使わなくても病院と同じ扱いなんですね。
専用施設かどうかで判断してください。
自動車メーカーの一時在庫施設は何項に該当するか

販売店の展示場でも修理工場でもないこの施設は、何項として扱われるのでしょうか。
販売や修理という用途ではなく、自走することができる自動車を収納するという機能面に着目し、駐車場と同じ(13)項イとして扱われます。保管の目的が何であっても、車が自力で動けて収納されているという実態で判断されます。
完成車の一時保管スペースを持っているなら、駐車場と同じ基準で消防用設備等を検討してください。
販売目的でも駐車場と同じ項になるんですね。
自走できて
収納されているかどうかで判断してください。
放課後に小学生を有料で預る施設は何項に該当するか

学校の一部でありながら、学校とは別の目的で使われるこの施設は、何項として扱われるのでしょうか。
小学校の敷地内にあっても、教育活動とは別に有料で子どもを預るという機能に着目し、老人福祉施設等と同じ(6)項ハとして扱われます。学校の建物という外形ではなく、預かりという実態で項が決まっています。
学校施設内に学童保育のような預かり施設を設けているなら、学校本体とは別の防火対象物として設備を検討してください。
学校の中にあるのに学校とは別扱いなんですね。
学校本体とは
別の防火対象物として検討してください。
オートバイの駐輪場は何項に該当するか

では、同じ駐輪場でもオートバイを保管する場合は、何項として扱われるのでしょうか。
二輪車という点では共通していても、駆動方式が人力か原動機かという違いは、項の判定には影響しません。(13)項イは自動車の駐車場と同じ項番号で、車両を保管する施設として一括りに扱われています。
駐輪場を管理しているなら、自転車専用かオートバイ混在かにかかわらず(13)項イを前提に確認してください。
人力か原動機かは関係ないんですね。
車両を保管する施設として扱われます。
鶏の孵卵場は何項に該当するか

卵から雛をかえす鶏の孵卵場は、何項として扱われるのでしょうか。
畜産関連施設だからといって令別表第1の対象外になるわけではなく、駐車場や格納庫と同じ(13)項として取り扱われました。孵卵という特殊な用途であっても、建物の機能面から見て駐車場や格納庫に類する施設として整理されています。
農業・畜産関連の施設を運営しているなら、業種名だけで対象外と判断せず、建物の機能から令別表第1のどの項に近いかを確認してください。
まさか駐車場と同じ項だとは思いませんでした。
業種名ではなく
建物の機能で確認してください。
よくある質問
まとめ
思っていたより身近な施設ばかりで驚きました。
うちの施設も確認してみます。
名称ではなく
実際の機能で確認してみてください。
㈱防災屋でもご相談を承っています。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 項の判定について〔出張診療方式の医療施設〕(昭和55年3月12日 消防予第37号〔8〕 予防救急課長から各都道府県消防主管部長あて回答)
- 同前〔メーカーが一時的に「自動車」を在庫しておく防火対象物〕(同日 同号〔9〕)
- 同前〔学校の敷地内で放課後、小学生を有料で預る施設〕(同日 同号〔10〕)
- 同前〔オートバイを保管する駐輪場〕(同日 同号〔11〕)
- 同前〔鶏の孵卵場〕(同日 同号〔12〕)
- 消防法施行令別表第1
- 消防実務六法 質疑応答編
※本記事は公表されている法令および通達に基づく一般的な解説です。掲載した回答はそれぞれの発出当時のもので、通知番号や機関の名称等は当時のものです。その後の改正により運用が変わっている場合があります。個別の事案についての適用は、所轄消防署にご確認ください。





