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共同住宅用スプリンクラー設備で屋内消火栓は省けるか|ヘッドの間隔と非常電源の容量も解説

マンションに入れる共同住宅用スプリンクラー設備は、置き方の細かいところで手が止まります。
11階以上の階にだけ設けたときに屋内消火栓設備まで省けるのかは、告示の文言だけでは決めきれません。
ヘッドの間隔や住棟受信機に出す表示の範囲も、現場では判断が分かれます。
質疑応答が示したのはどこまで省けてどこから表示が要るかの線引きです。

上の階だけスプリンクラーを入れる計画が出ています。
それでも屋内消火栓設備は残さないといけないのでしょうか。

10階以下の階を補助散水栓で包含していれば、設置しないことができるとされています。
ただし表示の条件が付きます

同じ部屋にヘッドを2つ付けるときの間隔も気になっています。

3メートル以下にならないようにするのが原則です。
5つの回答で、設置と表示と非常電源の考え方が整理できます。

この記事の結論
  • 11階以上の階に共同住宅用スプリンクラー設備を設け10階以下の階を補助散水栓で包含した場合は屋内消火栓設備を設置しないことができます
  • 同一の居室内のスプリンクラーヘッドは相互の設置間隔が3メートル以下とならないように設置します
  • 住棟受信機の一の区域表示は各階ごとに行い一辺100メートル以下で1500平方メートル以下の区域として差し支えありません
  • 所要の措置が講じられている場合等は管理人室内に表示装置を設けて差し支えありません
  • 設置する住戸等の数が5未満の場合は当該住戸等分の容量の非常電源で足ります

11階以上に共同住宅用スプリンクラー設備を入れたら屋内消火栓設備は省けるか

11階以上の階に共同住宅用スプリンクラー設備を設け10階以下の階を補助散水栓で包含した場合は屋内消火栓設備を設置しないことができることを示したイメージ
特定共同住宅等でも、規模によっては屋内消火栓設備の設置義務がかかります。
11階以上の階に共同住宅用スプリンクラー設備を設けた建物で、その義務まで外れるのかが問われました。
問39 屋内消火栓設備を設置しなければならない特定共同住宅等であって、11階以上の階に共同住宅用スプリンクラー設備を設置し、10階以下の階を補助散水栓により包含した場合、屋内消火栓設備を設置しないことができるか
答 お見込みのとおり。ただし、この場合、表示装置又は住棟受信機に加圧送水装置の始動表示及び使用部分の表示が必要である。
包含できれば省けます
問いが想定しているのは、11階以上の階を共同住宅用スプリンクラー設備で、10階以下の階を補助散水栓で受け持つ組み立てです。
回答は、この形で包含した場合に屋内消火栓設備を設置しないことができるとしました。
ただし条件が付いていて、表示装置又は住棟受信機に加圧送水装置の始動表示及び使用部分の表示が必要であるとされています。
屋内消火栓設備が無い建物を引き継いだなら、その表示が今も生きているかを点検のときに一度押さえておくと、指摘を受けてから慌てずに済みます。

うちの建物に消火栓箱が無い理由がわかりました。

省いた代わりに表示が要る、という組み合わせです。
受信機の前まで行って始動表示の位置を確かめてみてください。

同じ居室にスプリンクラーヘッドを2つ以上置くときどう離すか

同一の居室内に2以上のスプリンクラーヘッドを設ける場合は相互の設置間隔が3メートル以下とならないように設置することを示したイメージ
17号告示第2第1号は、スプリンクラーヘッドの設置方法を定めています。
同一の居室内に2以上のヘッドを設ける場合の離し方が問われました。
問40 17号告示第2第1号にスプリンクラーヘッドの設置方法が規定されているが、同一の居室内に2以上のスプリンクラーヘッドを設ける場合には、どのように設置すべきか
答 スプリンクラーヘッド相互の設置間隔が3メートル以下とならないように設置すること。ただし、設置上3メートル以上離すことができない場合であって、当該ヘッドの製造者等の仕様書、取扱説明書等により、当該ヘッドの散水パターンを確認の上、隣接ヘッドが濡れない距離とするなどの措置が講じられている場合は、この限りでない。
近づけすぎないのが原則です
回答は、スプリンクラーヘッド相互の設置間隔が3メートル以下とならないように設置することとしました。
そのうえでただし書きが置かれ、設置上3メートル以上離すことができない場合は、製造者等の仕様書や取扱説明書等で散水パターンを確認したうえで、隣接ヘッドが濡れない距離とするなどの措置が講じられていればこの限りでないとされています。
よりどころは距離そのものではなく、隣のヘッドが濡れない距離になっているかどうかに置かれています。
天井の納まりで3メートルを取れない部屋があるなら、メーカーの資料を先に取り寄せて図面に添えておくと、協議が一度で済みます。

狭い居室だと3メートルを取るほうが難しそうです。

その場合のために、ただし書きが用意されています。
仕様書で散水のひろがりを確かめるところから始めます。

住棟受信機に出す一の区域表示はどこまで広げてよいか

スプリンクラーヘッドが開放した旨の信号を住棟受信機に表示する場合の一の区域表示は各階ごとに行い一辺100メートル以下で1500平方メートル以下の区域としてよいことを示したイメージ
スプリンクラーヘッドが開放したことは、共同住宅用自動火災報知設備の住棟受信機に表示させることができます。
その一の区域をどこまで大きく取れるかが問われました。
問42 共同住宅用スプリンクラー設備のスプリンクラーヘッドが開放した旨の信号を共同住宅用自動火災報知設備の住棟受信機に表示する場合、一の区域表示は各階ごとに行うものとした上で、一辺100メートル以下で1500平方メートル以下の区域としてよいか
答 差し支えない。ただし、この場合、作動した流水検知装置が設置されている住戸、共用室及び管理人室が識別できるよう表示することが望ましい
各階ごとに区切るのが前提です
回答は、一の区域表示を各階ごとに行うものとした上で、一辺100メートル以下で1500平方メートル以下の区域とすることを差し支えないとしました。
あわせて、作動した流水検知装置が設置されている住戸、共用室及び管理人室が識別できるよう表示することが望ましいと付け加えられています。
望ましいという書き方なので必須ではありませんが、火災のときにどの住戸かをすぐ伝えられるかどうかは現場での動きやすさに関わります。
受信機の表示を一度見て、階までしか出ないのか住戸まで出るのかを確かめ、消防計画の連絡手順に書き分けておくと迷いません。

うちの受信機は階までしか出ていない気がします。

それでも区域表示としては差し支えありません。
住戸まで出ないなら、誰がどう確かめに行くかを決めておきましょう。

表示装置は管理人室の中に設けてよいか

管理人室に常時人がいなくても火災時に出入口が自動的に開錠される等の措置が講じられている場合は管理人室内に表示装置を設けてよいことを示したイメージ
17号告示と18号告示は、表示装置や住棟受信機を設ける場所を定めています。
管理人室に人が常時いない建物で、その中に置いてよいのかが問われました。
問43 17号告示第2第3号(4)ロにおいて共同住宅用スプリンクラー設備の表示装置の設置場所、また18号告示第3第6号(2)において共同住宅用自動火災報知設備の住棟受信機の設置場所の規定があるが、管理人室に常時人はいないが火災時に管理人室の出入口が自動的に開錠される等の所要の措置が講じられている場合又はスプリンクラーヘッドが開放した旨の表示や感知器から火災信号を受信した旨の表示を外部から確認するのに支障がない場所に設ける場合は、管理人室内に表示装置を設けてよいか
答 差し支えない
入れるか見えるかが条件です
問いは2つの場合を並べています。火災時に管理人室の出入口が自動的に開錠される等の所要の措置が講じられている場合と、表示を外部から確認するのに支障がない場所に設ける場合です。
回答は、そのように問われた設け方について差し支えないとしました。
常時人がいるかどうかではなく、火災のときに表示にたどり着けるかどうかが見られていることになります。
無人の管理人室に表示装置がある建物なら、鍵の扱いと自動開錠の仕組みを消防計画に書いておくと、駆けつけた人が迷いません。

管理人が日中しかいない建物でも置けるのですね。

入れるようにしてあるか、外から見えるかが分かれ目です。
どちらで説明できる建物なのかを一度整理しておきましょう。

住戸が5未満なら非常電源の容量は減らせるか

共同住宅用スプリンクラー設備を設置する住戸等の数が5未満の場合は当該住戸等分の容量の非常電源で足りることを示したイメージ
17号告示第2第8号は、共同住宅用スプリンクラー設備の非常電源の容量を定めています。
設置する住戸が少ない建物でも、5住戸分をそろえるのかが問われました。
問46 17号告示第2第8号に非常電源の容量について規定されているが、共同住宅用スプリンクラー設備を設置する住戸が5未満の場合でも、5住戸分の容量の非常電源が必要か
答 共同住宅用スプリンクラー設備を設置する住戸等の数が5未満の場合は、当該住戸等分の容量の非常電源で足りるものである
実際の住戸数で足ります
回答は、共同住宅用スプリンクラー設備を設置する住戸等の数が5未満の場合について、当該住戸等分の容量の非常電源で足りるものであるとしました。
数えるのは建物全体の住戸ではなく、共同住宅用スプリンクラー設備を設置する住戸等の数です。
一部の住戸だけに設ける計画なら、非常電源の容量を実際の数で見積もれることになります。
設計の段階で対象になる住戸等を数え上げて図面に落としておくと、蓄電池の容量をめぐるやり直しが起きません。

数える対象がはっきりすると見積もりが読めます。

設置する住戸等の数がそのまま効いてきます。
図面の住戸に印を付けて数え上げるところから始めてください。

よくある質問

Q11階以上にだけ共同住宅用スプリンクラー設備を設ければ屋内消火栓設備は要らなくなりますか?
A回答は、10階以下の階を補助散水栓により包含した場合に屋内消火栓設備を設置しないことができるとし、表示装置又は住棟受信機に加圧送水装置の始動表示及び使用部分の表示が必要であるとしています。
Q同じ部屋のスプリンクラーヘッドはどれくらい離しますか?
A回答は、相互の設置間隔が3メートル以下とならないように設置することとし、離せない場合は散水パターンを確認して隣接ヘッドが濡れない距離とするなどの措置を求めています。
Q住棟受信機の区域表示はどのくらいの広さまで取れますか?
A回答は、各階ごとに行うものとした上で一辺100メートル以下で1500平方メートル以下の区域とすることを差し支えないとしています。
Qスプリンクラーを設ける住戸が3戸だけでも5住戸分の非常電源が要りますか?
A回答は、設置する住戸等の数が5未満の場合は当該住戸等分の容量の非常電源で足りるものであるとしています。

まとめ

11階以上の階に共同住宅用スプリンクラー設備を設け10階以下の階を補助散水栓で包含した場合は屋内消火栓設備を設置しないことができます
その場合は表示装置又は住棟受信機に加圧送水装置の始動表示及び使用部分の表示が必要です
同一の居室内のスプリンクラーヘッドは相互の設置間隔が3メートル以下とならないように設置します
離せない場合は散水パターンを確認し隣接ヘッドが濡れない距離とするなどの措置が求められます
住棟受信機の一の区域表示は各階ごとに行い一辺100メートル以下で1500平方メートル以下の区域として差し支えありません
所要の措置が講じられている場合等は管理人室内に表示装置を設けて差し支えありません
設置する住戸等の数が5未満の場合は当該住戸等分の容量の非常電源で足ります

省ける設備と要る表示が線でつながりました。
まずは受信機の表示を見に行ってみます。

包含のしかた、表示の出し方、電源の数え方。
この3つを図面で押さえれば話が早く進みます
㈱防災屋でもご相談を承っています。

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参考・出典

  • 消防用設備等に係る執務資料の送付について(平成18年11月30日 消防予第500号 消防庁予防課長から各都道府県消防防災主管部長・東京消防庁・各指定都市消防長あて)
  • 共同住宅用スプリンクラー設備の設置及び維持に関する技術上の基準を定める件(平成18年消防庁告示第17号)
  • 共同住宅用自動火災報知設備の設置及び維持に関する技術上の基準を定める件(平成18年消防庁告示第18号)
  • 特定共同住宅等における必要とされる防火安全性能を有する消防の用に供する設備等に関する省令(平成17年総務省令第40号)
  • 消防実務六法 質疑応答編

※本記事は公表されている法令および通達に基づく一般的な解説です。掲載した回答は平成18年当時のもので、告示番号や機関の名称等は当時のものです。その後の改正により運用が変わっている場合があります。個別の事案についての適用は、所轄消防署にご確認ください。

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