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共同住宅用自動火災報知設備の配線と電源はどうつなぐか|耐熱配線の範囲と外部試験器の接続端子も解説

共同住宅用自動火災報知設備の配線と電源の考え方を解説する記事のアイキャッチ画像

マンションの共同住宅用自動火災報知設備は、感知器や受信機の位置にばかり目が向きます。
ところが図面で手が止まるのは、配線と電源の取り方のほうです。
どこまで耐熱にするのか、非常電源は要るのか、試験の端子はどこに置くのか。
質疑応答が示したのは配線と電源と試験の端子をどこまで認めてよいかです。

うちのマンションの図面には耐熱配線と書かれた線とそうでない線があります。
どこで分かれているのかが読み取れません。

分かれ目は火災により直接影響を受けるおそれのない部分かどうかです。
隠蔽されているかどうかで見ます

受信機の非常電源や空き住戸の電気のことも気になっています。
どこまで手当てが要るのでしょうか。

省ける場合と条件が付く場合があります。
5つの回答で、配線と電源と試験の端子が一度に整理できます。

この記事の結論
  • 倉庫や機械室の感知器は共同住宅用受信機を介して住棟受信機に接続しても差し支えないとされました
  • 耐熱配線とすることができるのは火災により直接影響を受けるおそれのない部分で、隠蔽された部分やメーターボックス等をいいます
  • 電気を供給できない住戸には出火源の放置がないことと周知と定期的な巡回監視の3つの措置が必要です
  • 共同住宅用受信機の非常電源は住棟受信機の予備電源や別置型の蓄電池等で容量が確保されていれば設けないことができます
  • 外部試験器の接続端子はメーターボックス内でも戸外表示器併設でもよく外箱は難燃性で差し支えありません

倉庫や機械室の感知器は共同住宅用受信機を通してよいか

倉庫や機械室の感知器を共同住宅用受信機を介して住棟受信機に接続してよいことを示したイメージ
18号告示第3第2号(3)は、住戸と共用室と管理人室以外の部分に設ける感知器を住棟受信機に接続することとしています。
倉庫や機械室の感知器を途中の受信機を経由してつないでよいかが問われました。
問51 18号告示第3第2号(3)において、「住戸、共用室及び管理人室」以外の部分に設ける感知器は、住棟受信機に接続することとされているが、倉庫、機械室等について、共同住宅用受信機を介して住棟受信機に接続してよいか
答 共同住宅用受信機を介して火災信号が住棟受信機に移報するよう措置が講じられている場合は、差し支えない
信号が届く形なら経由できます
回答は、共同住宅用受信機を介して火災信号が住棟受信機に移報するよう措置が講じられている場合は差し支えないとしました。
条件になっているのは経路の形ではなく、火災信号が住棟受信機まで移報されることのほうです。
途中に受信機をはさむこと自体が禁じられているわけではないという整理になります。
倉庫や機械室の感知器がどの盤を通って住棟受信機に届いているかを系統図で一度たどっておくと、点検の報告でも説明しやすくなります。

倉庫の感知器だけ別の盤につながっていて不安でした。

見るのは経路ではなく信号が届くかどうかです。
系統図で住棟受信機までの道すじをたどってみてください。

非常電源から受信機までの配線はどこまで耐熱配線でよいか

耐熱配線とすることができるのは準不燃材料の床や壁や天井により隠蔽された部分やメーターボックスやパイプシャフト等の部分であることを示したイメージ
18号告示第3第4号(2)は、非常電源から共同住宅用受信機までの配線のうち一部を耐熱配線とすることができるとしています。
その一部に当たる火災により直接影響を受けるおそれのない部分がどこを指すのかが問われました。
問53 18号告示第3第4号(2)において、共同住宅用自動火災報知設備の非常電源から共同住宅用受信機までの配線のうち、「火災により直接影響を受けるおそれのない部分」の配線は耐熱配線とすることができるとされているが、「火災により直接影響を受けるおそれのない部分」とは具体的にどのような部分を指すのか
答 準不燃材料の床、壁又は天井により隠蔽された部分又はメーターボックス、パイプシャフト等の部分をいう
隠れている部分を指します
回答は、準不燃材料の床や壁や天井により隠蔽された部分、又はメーターボックスやパイプシャフト等の部分をいうとしました。
線引きの物差しになっているのは配線の長さでも階数でもなく、その配線が隠蔽されているかどうかです。
露出したまま走っている区間は、ここでいう部分には当たらないことになります。
図面で耐熱配線と書かれた区間を追いながら、その区間が実際に隠蔽されているかを現場で見ておくと、更新工事の見積りの根拠がはっきりします。

パイプシャフトの中の線がここに当たるのですね。

隠蔽された部分かどうかが分かれ目です。
図面の区間を現場で追って見比べてみてください。

未入居の住戸に電気が届かないときは何をすればよいか

電気を供給できない住戸では出火源の放置がないことと周知と定期的な巡回監視が必要になることを示したイメージ
内線規程は、電流制限器と引込口装置の間に消防用設備等の専用の分岐開閉器を施設する場合があるとしています。
原文はこの配線方式を図で示して可否を問うており、回答はあわせて電気を供給できない住戸の扱いにも触れています。
問57 交流低圧屋内幹線から他の配線を分岐させずにとる方式としては、内線規程(JEAC-8001-2005、日本電気協会)の引込口装置付近の配線として、「電流制限器と引込口装置の間に、消防用設備等の専用の分岐開閉器を施設する場合がある」とされていることから、下図による方式としてよいか
答 差し支えない。なお、この方式は、交流低圧屋内幹線の開閉器が遮断されても電源機能に支障を生じないことが目的で、未入居、長期の留守等により住戸等が未警戒となることを防止する上でも有効な配線方式であるが、電気の供給契約、電気料金の負担等の観点から当該住戸に電気を供給できない場合にあっては、次の措置が講じられていることが必要となる。① 住戸内に出火源となるような器具、物品等が放置されていないこと。② 未入居等であることが、特定共同住宅等の管理をしている者等が周知していること。③ 特定共同住宅等の管理をしている者等が定期的に巡回監視を行うこと。
方式は認められ条件が付きます
回答は差し支えないとしたうえで、この方式は交流低圧屋内幹線の開閉器が遮断されても電源機能に支障を生じないことが目的であるとしました。
未入居や長期の留守等により住戸等が未警戒となることを防止する上でも有効な配線方式であるとされています。
そのうえで電気の供給契約や電気料金の負担等の観点から当該住戸に電気を供給できない場合には、出火源となるような器具や物品等が放置されていないこと、未入居等であることを管理をしている者等が周知していること、管理をしている者等が定期的に巡回監視を行うことが必要になるとしました。
空き住戸のある建物では、巡回した日と確認した内容を記録に残しておくと、措置が講じられていることをそのまま示せます。

空き住戸は電気を止めているので気がかりでした。

止めているなら措置のほうで補う考え方です。
まずは空き住戸の中に器具が残っていないかを見てください。

共同住宅用受信機の非常電源はどんなときに省けるか

共同住宅用受信機の非常電源は住棟受信機の予備電源や別置型の蓄電池等で容量が確保されていれば設けないことができることを示したイメージ
18号告示第3第8号(2)は、一定の措置を講じている場合に共同住宅用受信機の非常電源を設けないことができるとしています。
その措置が具体的に何を指すのかが問われました。
問58 18号告示第3第8号(2)において「共同住宅用受信機の主電源が停止した場合において、当該共同住宅用受信機が設置された住戸、共用室又は管理人室の感知器、音声警報装置、補助音響装置及び戸外表示器の機能に支障を生じないように措置を講じている場合は、当該共同住宅用受信機に非常電源を設けないことができること。」とあるが、具体的にどのような措置をいうのか
答 住棟受信機の予備電源又は別置型の蓄電池等により、18号告示第3第8号(1)に定める容量の非常電源が確保されている場合等をいう
ほかで容量を確保することです
回答は、住棟受信機の予備電源又は別置型の蓄電池等により、18号告示第3第8号(1)に定める容量の非常電源が確保されている場合等をいうとしました。
非常電源そのものを無くしてよいという話ではなく、確保する場所を受信機の外に移してよいという整理です。
確かめる点は、代わりになる電源が定められた容量を満たしているかどうかに絞られます。
点検の記録に蓄電池の容量と置かれている場所を書き残しておくと、次の更新のときに同じ確認を繰り返さずに済みます。

盤ごとに電池を持たせるものだと思い込んでいました。

外で容量が確保されていれば足ります。
点検の記録で蓄電池の容量を確かめてみてください。

外部試験器の接続端子はメーターボックスの中でよいか

外部試験器の接続端子を住戸等のメーターボックス内又は戸外表示器併設としてよいことを示したイメージ
18号告示第3第3号は、外部試験器を接続することにより遠隔試験機能を有する中継器を、住戸の外部であって容易に接続することができる場所に設けることとしています。
その場所として玄関脇の扉の中を選んでよいかが問われました。
問52 18号告示第3第3号において、外部試験器を接続することにより遠隔試験機能を有する中継器は、住戸の外部であって容易に接続することができる場所に設けることとされているが、外部試験器の接続端子(中継器)の設置位置は、住戸等のメーターボックス内又は戸外表示器併設としてよいか。また接続端子を収納する外箱を難燃性としてよいか
答 前段、後段とも差し支えない
置き場所も外箱も認められます
回答は前段と後段のどちらについても差し支えないとしました。
接続端子の設置位置を住戸等のメーターボックス内とすることも、戸外表示器に併設することもできることになります。
端子を収納する外箱の材質についても、難燃性とすることが認められました。
点検の前に各住戸のメーターボックスの扉が開けられる状態かを見ておくと、当日の立会いの手配で慌てずに済みます。

試験のたびに住戸へ入るものだと思っていました。

住戸の外の扉の中でつなげる形が認められています。
点検の前に扉が開く状態かを見ておいてください。

よくある質問

Q倉庫や機械室の感知器は共同住宅用受信機を通してもよいですか?
A回答は、共同住宅用受信機を介して火災信号が住棟受信機に移報するよう措置が講じられている場合は差し支えないとしています。
Q耐熱配線とすることができるのはどこの配線ですか?
A回答は、準不燃材料の床や壁や天井により隠蔽された部分又はメーターボックスやパイプシャフト等の部分を指すとしています。
Q電気を供給できない住戸があるときは何が必要ですか?
A回答は、出火源となる器具等が放置されていないことと未入居等であることの周知と定期的な巡回監視の措置が必要としています。
Q共同住宅用受信機の非常電源は省けますか?
A回答は、住棟受信機の予備電源又は別置型の蓄電池等により定める容量の非常電源が確保されている場合等は設けないことができるとしています。

まとめ

倉庫や機械室の感知器は共同住宅用受信機を介して住棟受信機に接続しても差し支えありません
条件になるのは火災信号が住棟受信機に移報するよう措置が講じられていることです
耐熱配線とすることができるのは準不燃材料の床や壁や天井により隠蔽された部分又はメーターボックスやパイプシャフト等の部分です
電流制限器と引込口装置の間に消防用設備等の専用の分岐開閉器を施設する方式は差し支えないとされました
電気を供給できない住戸には出火源の放置がないことと周知と定期的な巡回監視が必要です
共同住宅用受信機の非常電源は住棟受信機の予備電源や別置型の蓄電池等で容量が確保されていれば設けないことができます
外部試験器の接続端子はメーターボックス内でも戸外表示器併設でもよく外箱は難燃性で差し支えありません

配線と電源の見方が一本につながりました。
まずは系統図で耐熱の区間をたどってみます。

隠蔽されているか、容量が確保されているか、空き住戸の措置があるか。
この3つを押さえれば相談が早く進みます
㈱防災屋でもご相談を承っています。

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参考・出典

  • 消防用設備等に係る執務資料の送付について(平成18年11月30日 消防予第500号 消防庁予防課長から各都道府県消防防災主管部長・東京消防庁・各指定都市消防長あて)
  • 共同住宅用自動火災報知設備の設置及び維持に関する技術上の基準を定める件(平成18年消防庁告示第18号)
  • 内線規程(JEAC-8001-2005 日本電気協会)
  • 消防実務六法 質疑応答編

※本記事は公表されている法令および通達に基づく一般的な解説です。掲載した回答は平成18年当時のもので、告示番号や機関の名称等は当時のものです。その後の改正により運用が変わっている場合があります。個別の事案についての適用は、所轄消防署にご確認ください。

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