防火対象物点検報告の義務は、特例認定を受けている間は免除されます。
その認定を受けるには、管理権原者が申請書を出し、管理を開始した日を書類で裏づける必要があります。
どの書類なら管理開始日の証明になるのか、書類が足りなかったときにどう扱われるのかは意外と知られていません。
質疑応答が示したのは登記や契約の書類で管理開始日を示し不備は補正で直すという申請の実務です。
特例認定の申請って、何を付けて出すんですか。
管理を開始した日が分かる書類が要ります。
書類が足りなかったら、そのまま不認定になるんですか。
そこも含めて5つの実務Q&Aを見ていきます。
この記事の結論
- 管理を開始した時とは点検報告の対象になった防火対象物の管理を開始した日です
- 管理開始日の証明には登記事項証明書や賃貸借契約書や営業許可証が挙げられています
- それ以外にも市町村長が定める事項を記載した書類を添付させることができます
- 記載や添付に不備があれば相当の期間を定めて補正を求められます
- 補正に応じないままだと取下げの意思がない限り不認定の通知になります
▼
目次
防火対象物の管理を開始した時とはいつを指すのか

その起点となる「管理を開始した時」がいつなのかを、まず押さえる必要があります。
問13 消防法第8条の2の3第1項第1号の「当該防火対象物の管理を開始した時」とは、どのようなことを意味するのか。
答 消防法第8条の2の2第1項に該当する防火対象物の管理を開始した日のことである。
起点になるのは、単に建物を借りた日や会社を設立した日ではなく、消防法第8条の2の2第1項に該当する防火対象物の管理を始めた日です。
つまり、防火対象物点検報告の義務がかかる建物として管理を始めた日から数えることになります。用途変更や増築で途中から対象になった建物なら、その時点が起点です。
起点を勘違いすると、要件を満たしていないのに申請してしまったり、逆に出せるのに待ってしまったりします。いつから対象になったかを届出の控えで確かめておくと確実です。
自分の建物がいつから点検報告の対象になったのかを、過去の届出や消防署とのやりとりから拾い出してください。
借りた日ではなく対象になった日なんですね。
届出の控えで起点を確かめてください。
管理を開始した日はどんな書類で証明できるのか

どんな書類なら証明になるのかは、条文には具体的に書かれていません。
問25 消防法施行規則第4条の2の8第4項に定める防火対象物の管理を開始した日が確認できる書類とは、どのようなものか。
答 不動産登記簿謄(抄)本(登記事項証明書)、賃貸借契約書、営業許可証などが考えられる。
自社所有の建物なら登記事項証明書、テナントとして入っているなら賃貸借契約書が素直な選択になります。
営業許可を取っている業種であれば、その営業許可証も管理開始日の裏づけとして挙げられています。「などが考えられる」という言い方なので、これ以外を一切認めないという趣旨ではありません。
いずれにしても、日付が読み取れる書類であることが前提になります。契約書の写しで日付の部分が欠けていれば証明になりません。
申請の前に、手元の書類で管理開始日が読み取れるかを一度確かめてください。
賃貸だと契約書でよいということですね。
日付が読み取れるかを先に確かめてください。
消防本部から別の書類を求められることはあるのか

消防本部から別の書類を求められた場合、それに応じる必要があるのかが問題になります。
問26 消防法施行規則第4条の2の8第4項に定める防火対象物の管理を開始した日を確認できる書類以外のものを、添付させることは可能か。
答 消防法施行規則第4条の2の8第3項第2号に基づき市町村長が定める事項を記載した書類を添付させることができる。
規則は、申請書に記載する事項として市町村長が定める事項を置いています。その事項を記載した書類であれば、管理開始日の証明以外でも添付を求めることができます。
必要書類が全国で完全に同一とは限らないということです。管轄によって求められるものが増える場合があります。
逆に言えば、根拠のない書類を無制限に要求できるわけでもありません。市町村長が定める事項という枠の中の話だという整理です。
申請の前に、管轄の消防本部の様式や案内で追加の書類が指定されていないかを確認してください。
管轄によって必要書類が違うことがあるんですね。
管轄の様式や案内を先に見てください。
申請書に不備があったときはどう扱われるのか

その場で受付を断られるのか、直す機会が与えられるのかで対応が変わります。
問27 申請の受付に際して、申請書の記載事項に不備があったり、申請書に必要な書類が添付されていない場合は、どのように対応したらよいか。
答 速やかに、申請者に対して相当の期間を定めて記載事項の訂正、必要な書類の添付等の補正を求めること。
不備があってもその場で不認定になるわけではなく、相当の期間を定めた補正の機会が与えられる扱いです。
消防機関の側は「速やかに」補正を求めることとされているので、受付から長く放置されることも想定されていません。連絡が来たら、示された期間内に直せば申請は生きたままです。
見落としやすいのは、期間が定められているという点です。いつまでに何を出すのかを、連絡を受けた時点で書き留めておくと安全です。
申請後に消防本部から連絡が来たら、補正の内容と期限をその場でメモしてください。
不備があってもやり直せるんですね。
補正の内容と期限をその場でメモしてください。
補正に応じないまま放置すると認定はどうなるのか

自然に消えるのか、それとも結論が出されるのかが分かれ目です。
問28 相当の期間を定め申請者に対し補正を求めても、申請者が当該期間内に補正に応じない場合は、どのように対応すればよいか。
答 申請者から申請の取下げの意思が明確に示されない限りは、不認定の通知を行うこと。
補正に応じないまま期間が過ぎると、申請が自然に消えるのではなく不認定という結論が通知されます。
取下げたい場合は、その意思を明確に示す必要があります。何も言わないままにしておくと、取下げではなく不認定として処理されるということです。
不認定の記録が残ることを避けたいなら、補正に応じるのか取下げるのかを期間内にはっきりさせておくほうが無難です。
補正が間に合わないと分かった時点で、取下げるのか期間の相談をするのかを消防本部に伝えてください。
黙っていたら不認定になってしまうんですね。
期間内に補正か取下げをはっきりさせてください。
よくある質問
Q管理を開始した時とは建物を借りた日ですか?
A回答は、点検報告の対象となる防火対象物の管理を開始した日としています。対象になった日が起点です。
Q管理開始日はどんな書類で示せますか?
A回答は、登記事項証明書や賃貸借契約書や営業許可証などが考えられるとしています。日付が読み取れることが前提です。
Q管理開始日の書類以外も添付させられますか?
A回答は、市町村長が定める事項を記載した書類は添付させることができるとしています。管轄の指定を確認します。
Q補正に応じないと申請は消えますか?
A回答は、取下げの意思が明確に示されない限り不認定の通知を行うとしています。放置では消えません。
まとめ
✔管理を開始した時とは点検報告の対象になった日を指します
✔証明には登記事項証明書や賃貸借契約書や営業許可証が挙げられています
✔日付が読み取れない書類では管理開始日の証明になりません
✔市町村長が定める事項の書類は追加で添付を求められます
✔記載や添付の不備は相当の期間を定めた補正で直せます
✔補正に応じないままだと不認定の通知が出ます
✔共通するのは書類と期限を先に押さえて申請を止めないという視点です
うちの分は賃貸借契約書で出せそうです。
補正の期限まであるとは知りませんでした。
書類と期限を先に押さえて
申請を止めずに進めてください。
㈱防災屋でもご相談を承っています。
参考・出典
- 防火対象物定期点検報告制度に関する執務資料について(平成14年12月12日 消防安第122号 防火安全室長から各都道府県消防主管部長あて)
- 消防法第8条の2の2・第8条の2の3
- 消防法施行規則第4条の2の8
- 消防実務六法 質疑応答編
※本記事は公表されている法令および通達に基づく一般的な解説です。掲載した回答はそれぞれの発出当時のもので、通知番号や機関の名称等は当時のものです。その後の改正により運用が変わっている場合があります。個別の事案についての適用は、所轄消防署にご確認ください。





