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特例認定の効力はいつ生じいつ失われるか|管理権原者の交代や取消しの手続きも解説

特例認定(防火優良認定証)を受けると、3年間は防火対象物点検の点検・報告が免除されます。
ですがこの効力は一枚岩ではなく、いつ発生し、いつ・なぜ失われるかにはいくつもの分岐点があります。
建築基準法違反が原因の命令、効力発生日と通知日のズレ、3年の起算点、取消しと失効の手続きの違い、そして管理権原者が変わったときの扱い。
この記事では消防庁の執務資料にある5つの質疑応答をもとに、特例認定の効力がどう動くかを整理します。

特例認定を取ったらもう安心やと思ってたんですけど、効力がいつ切れるかとか、あんまり考えたことなかったです。
ちゃんと把握しとかなあかんのですよね。

はい、実は「いつ発生していつ切れるか」を勘違いしている管理権原者さんは多いんです。
特に3年の数え方と、権原者が変わったときの扱いでつまずかれる方をよく見ます。

うちは複数のテナントさんが入ってるビルなんですけど、そういう場合も気をつけることありますか。

あります。管理権原者の交代があったときの扱いは要注意ですね。
今日はその境目を含めて、5つの質疑応答から整理していきますね。

この記事の結論
  • 点検基準に建築基準法の規定がなくても、違反が原因の消防法の命令が出ていれば不認定にできます
  • 施行日前に認定した場合、効力発生日と通知日は別の日として記載します
  • 3年の起算点は認定の効力が生じた日で、そこから数えて3年後に失効します
  • 取消しには聴聞などの行政手続が必要ですが、期間満了による失効は当然に効力を失うので手続き不要です
  • 管理権原者が交代すると原則失効しますが、権原の範囲が広がる交代なら効力を引き継げます

建築基準法違反が原因の命令でも特例認定は不認定になるか

建築基準法違反が原因の命令と不認定を示すイメージ
点検基準そのものには建築基準法の規定は入っていません。
ですが、命令の原因が建築基準法違反なら話は別です。
問20 消防法第8条の2の2第1項の点検基準では、建築基準法に係る事項が定められていないが、同法の違反が原因となり消防法第5条第1項の命令が発動された場合、不認定としてよいか
答20 お見込みのとおり
点検基準に無くても不認定にできます。
点検基準(消防法施行規則第4条の2の6)には、建築基準法そのものの規定は含まれていません。
ですが消防法第5条第1項の措置命令は、建物の状態が消防法令上不適切なときに出るもので、その原因が建築基準法違反であっても消防長・消防署長の判断材料になります。
つまり命令歴そのものが認定要件(過去3年以内に命令を受けていないこと)に直接効いてくる、という理屈です。
建築基準法上は問題なくても消防法の命令を受けていれば、特例認定の申請は通らないと考えておきましょう。

うちは実際、消防用設備自体は問題ないんですけど、避難経路で建築基準法の指摘を受けたことがあって。
これも命令に入るんですかね。

中身が建築基準法違反でも、消防法第5条の命令として出ていれば対象になります。
心当たりがあるなら、申請前に是正状況を確認しておきましょう。

認定の効力が生じる日と通知書の通知日はどう使い分けるか

認定の効力が生じる日と通知日を示すカレンダーと封筒のイメージ
認定通知書には「認定した日」だけでなく、効力が生じる日も関わってきます。
とくに制度が始まったタイミングの認定は、書き方に注意が必要です。
問21 平成14年11月29日付け消防安第117号通知の別記様式1で認定の効力が生じる日と認定通知書の通知日を記載することになっているが、それぞれどのような日を記入するべきか
答21 施行日前に認定する場合は、認定の効力が生じる日は平成15年10月1日とし、認定通知書の通知日は認定することを決定し通知する日とすること。なお、施行後については、認定通知書を通知する日を認定の効力が生じる日とすること。
効力発生日と通知日は別の日です。
制度が始まった平成15年10月1日より前に認定審査を終えていた場合、効力そのものは制度開始日である平成15年10月1日から生じます。
一方で認定通知書に書く「通知日」は、実際に認定を決定し通知した日で、審査が早ければ制度開始日より前になることもあります。
制度開始後に認定した分は、通知した日がそのまま効力発生日になるので両者は基本的に一致します。
書類を作るときは、この認定がどちらのタイミングにあたるかをまず確認してください。

うちの認定、制度が始まってすぐの時期やったんですけど、通知書に書く日付ってどっちなんやろ。

施行前に審査が終わっていたパターンですね。
効力発生日は制度開始日、通知日は決定した日で分けて書いてください。

認定を受けてから3年経過とはいつの時点を指すか

3年の起算点を示す砂時計と時間経過のイメージ
特例認定の有効期間は3年。
ただ「3年経過」の起算点は、認定を受けたタイミングによって数え方が変わります。
問22 消防法第8条の2の3第4項第1号において、「認定を受けてから3年が経過したときは、当該認定は、効力を失う。」とあるが、平成15年10月1日前に認定した場合、失効はいずれの時点となるのか
答22 施行日前に認定した場合の効力は、消防法施行令の一部を改正する政令(平成14年政令第274号)の附則第2条第1項に「当該認定の効力は、同日(改正法附則第1条ただし書きに規定する規定の施行日)に生ずるものとする。」と規定されていることから、平成15年10月1日の午前0時から生じるものである。そして、認定の効力が失われるのは、「認定を受けてから3年が経過したとき」と規定されていることから、認定の効力が生じる日から起算して3年が経過したときである平成18年10月1日午前0時となる。なお、施行日以後については、消防法第8条の2の3第3項により、認定することを決定し、通知する場合は、消防法施行規則第4条の2の8第5項の規定により、認定の効力を生じる日を記載するとされていることから、認定の効力は、当該日の午前0時から生じることとなる。
起算点は効力が生じた日です。
制度開始前に認定審査が終わっていた場合でも、効力そのものは平成15年10月1日午前0時から数え始めます。
そこから3年後、つまり平成18年10月1日午前0時に効力を失うという計算です。
制度開始後に認定した場合は、通知書に書かれた効力発生日から単純に3年後が失効日になります。
次の申請時期を考えるときは、認定を受けた日ではなく効力が生じた日を基準に数えましょう。

3年って、認定を受けた日から数えたらええと思ってました。

制度が始まったばかりの時期はそこがズレるので注意です。
効力発生日を基準に、次の更新のスケジュールを組んでおきましょう。

特例認定の取消しと失効で手続きは同じか

取消しの聴聞と失効の自動的な効力喪失を示すイメージ
認定が終わるパターンには「取消し」と「失効」の2種類があります。
どちらも認定がなくなる点は同じですが、手続きは大きく違います。
問23 消防法第8条の2の3第6項の特例認定の取り消しについては、平成14年11月29日付け消防安第117号通知により、行政手続法第13条第1項の規定に基づく聴聞を実施したうえで、認定取消書により管理権原者に通知することと示されましたが、同条第4項の規定により特例認定が失効した場合にも同様の手続を取るものか
答23 認定の効力は、消防法第8条の2の3第4項各号に該当する事実に基づき当然にして失われるもので、行政機関による手続は必要ないものであるが、必要に応じて、事前に管理権原者に対して通知しても差し支えない。
取消しと失効は手続きが違います。
取消し(第6項)は消防長・消防署長の判断による処分なので、行政手続法に基づく聴聞を実施したうえで認定取消書を交付します。
一方失効(第4項)は用途変更や期間満了など、決められた事実が発生すれば当然に効力が失われるもので、聴聞のような行政手続そのものは不要です。
とはいえ管理権原者が気づかないまま点検・報告を怠ると違反になるので、事前に通知してもらえるかは所轄消防署に確認しておくと安心です。
「取り消された」のか「期限が来て自然に切れた」のかは、対応の重さが違うと覚えておいてください。

「取消し」って言われたら急に怖くなるんですけど、うちの場合はただの期限切れですよね。

期限満了は「失効」なので、聴聞のような手続きはありません。
ただ次の更新を忘れないよう、期限は早めにカレンダーへ入れておきましょう。

管理権原者が変わったら認定はどうなるか

管理権原者の交代と認定の引き継ぎを示すイメージ
テナントの入れ替わりなどで管理権原者が変わると、それまでの特例認定がどうなるかは気になるところです。
結論は「誰に代わるか」で変わります。
問24 次のように管理権原者が変更となった場合、認定の効力は、どう考えるべきか。また、②の場合、再度、管理権原者Bは、認定申請を行う必要はあるか
①管理について権原の分かれている防火対象物の4階部分の管理権原者A(特例認定有)が管理権原者E(当該防火対象物を初めて使用する者)へ変更になった場合
②管理について権原の分かれている防火対象物の4階部分の管理権原者A(特例認定有)が管理権原者B(当該防火対象物3階部分を使用、特例認定有)へ変更になった場合
答24 ①の場合、特例認定の効力は失われる。②の場合、管理権原者Bの管理について権原を有する範囲が拡がったものであり、Bの受けた特例認定の効力があるものとして取り扱って差し支えない。なお、この場合、管理権原者Bが新たに認定申請を行う必要はない。管理権原者の変更によって特例認定が失効する理由としては、特例認定は、管理権原者が適切な防火管理を行う体制を構築し、それを一定期間(3年)維持していることが確認されてはじめて認められるものである。②については、4階部分の管理権原者の変更はあったが、同一の管理について権原の分かれている防火対象物内において、既に認定を受けていた管理権原者Bが新たな管理権原者となったことから、当該防火対象物(4階部分)については、引き続き、適切な防火管理体制を維持できると認められるため、特例認定の効力が失われないとして差し支えないものである。
誰が引き継ぐかで結論が変わります。
まったく新しい人(初めて建物を使う人)に管理権原者が交代すると、特例認定の効力は失われます。防火管理の体制を一から築き直すことになるからです。
一方、同じ建物内で既に特例認定を受けている別の権原者が管理範囲を広げる形で交代した場合は、実績のある防火管理体制がそのまま引き継がれるとみなされ、認定の効力は失われません。この場合、再申請も不要です。
判断のポイントは「体制がリセットされるか、引き継がれるか」の一点です。
テナントの契約変更があったときは、相手が建物のどの部分にすでに特例認定を持っているかを必ず確認しましょう。

うちのビル、3階のテナントさんが4階も借りることになったんですけど、これって認定どうなります?

まさに範囲が広がるケースですね。
その方がすでに特例認定を持っているなら、そのまま引き継げて再申請も不要です。

よくある質問

Q建築基準法の違反だけで消防法の命令が出ることはありますか
Aこの質疑応答は、建築基準法違反が原因で消防法第5条第1項の命令が発動された場合の扱いを示したものです。命令が実際に発動されるかどうかは所轄消防署の判断によります。
Q効力発生日と通知日がズレるのは制度開始直後だけですか
A回答は、施行日前に認定した場合の書き方を示したもので、平成15年10月1日より前に審査が終わっていたケースが対象です。制度開始後の認定は、通知日がそのまま効力発生日になります。
Q失効の前に消防署から連絡はもらえますか
A回答は、失効は行政機関による手続を必要としないとしたうえで、必要に応じて事前に通知しても差し支えないとしています。案内の有無は所轄消防署の運用によるので、確認しておくと安心です。
Q管理権原者が変わるたびに再申請が必要ですか
A回答は、初めて建物を使用する人への交代なら失効するが、同じ建物内で既に特例認定を受けている権原者への交代なら効力を引き継げ、再申請も不要としています。

まとめ

建築基準法違反が原因の命令でも不認定にできます
施行日前に認定した場合は効力発生日と通知日を分けて記載します
3年の起算点は認定を受けた日ではなく効力が生じた日です
取消しには聴聞などの行政手続が必要です
失効は当然に効力を失うので手続きは不要です
初めて建物を使う人への交代は認定が失効します
既に特例認定を持つ権原者への交代は効力を引き継げます

いつ生まれて、いつ切れて、誰に引き継げるか。
これで整理できました。

効力発生日と失効日、そして権原者の交代パターン。
この3つをカレンダーと台帳に残しておけば大きく外しません
㈱防災屋でもご相談を承っています。

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参考・出典

  • 防火対象物定期点検報告制度に関する執務資料について(平成15年9月 消防庁防火安全室)
  • 執務資料の送付について(平成15年9月17日 消防安第177号 消防庁予防課長から各都道府県消防主管部長あて)
  • 消防法第8条の2の2、第8条の2の3
  • 消防法施行令の一部を改正する政令(平成14年政令第274号)附則第2条第1項
  • 消防法施行規則第4条の2の6、第4条の2の8
  • 特例認定に係る運用について(平成14年11月29日付け消防安第117号通知)
  • 行政手続法第13条第1項
  • 消防実務六法 質疑応答編

※本記事は公表されている法令および執務資料に基づく一般的な解説です。掲載した回答は平成15年当時のもので、条文番号や制度開始日等は当時のものです。その後の改正により運用が変わっている場合があります。個別の事案についての適用は、所轄消防署にご確認ください。

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