防火対象物点検報告の義務は、特例認定を受けている間は免除されます。
その認定を受けるには、管理権原者が申請書を出し、管理を開始した日を書類で裏づける必要があります。
どの書類なら管理開始日の証明になるのか、書類が足りなかったときにどう扱われるのかは意外と知られていません。
質疑応答が示したのは登記や契約の書類で管理開始日を示し不備は補正で直すという申請の実務です。
特例認定の申請って、何を付けて出すんですか。
管理を開始した日が分かる書類が要ります。
書類が足りなかったら、そのまま不認定になるんですか。
そこも含めて5つの実務Q&Aを見ていきます。
- 管理を開始した時とは点検報告の対象になった防火対象物の管理を開始した日です
- 管理開始日の証明には登記事項証明書や賃貸借契約書や営業許可証が挙げられています
- それ以外にも市町村長が定める事項を記載した書類を添付させることができます
- 記載や添付に不備があれば相当の期間を定めて補正を求められます
- 補正に応じないままだと取下げの意思がない限り不認定の通知になります
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目次
防火対象物の管理を開始した時とはいつを指すのか

その起点となる「管理を開始した時」がいつなのかを、まず押さえる必要があります。
起点になるのは、単に建物を借りた日や会社を設立した日ではなく、消防法第8条の2の2第1項に該当する防火対象物の管理を始めた日です。
つまり、防火対象物点検報告の義務がかかる建物として管理を始めた日から数えることになります。用途変更や増築で途中から対象になった建物なら、その時点が起点です。
起点を勘違いすると、要件を満たしていないのに申請してしまったり、逆に出せるのに待ってしまったりします。いつから対象になったかを届出の控えで確かめておくと確実です。
自分の建物がいつから点検報告の対象になったのかを、過去の届出や消防署とのやりとりから拾い出してください。
借りた日ではなく対象になった日なんですね。
届出の控えで起点を確かめてください。
管理を開始した日はどんな書類で証明できるのか

どんな書類なら証明になるのかは、条文には具体的に書かれていません。
自社所有の建物なら登記事項証明書、テナントとして入っているなら賃貸借契約書が素直な選択になります。
営業許可を取っている業種であれば、その営業許可証も管理開始日の裏づけとして挙げられています。「などが考えられる」という言い方なので、これ以外を一切認めないという趣旨ではありません。
いずれにしても、日付が読み取れる書類であることが前提になります。契約書の写しで日付の部分が欠けていれば証明になりません。
申請の前に、手元の書類で管理開始日が読み取れるかを一度確かめてください。
賃貸だと契約書でよいということですね。
日付が読み取れるかを先に確かめてください。
消防本部から別の書類を求められることはあるのか

消防本部から別の書類を求められた場合、それに応じる必要があるのかが問題になります。
規則は、申請書に記載する事項として市町村長が定める事項を置いています。その事項を記載した書類であれば、管理開始日の証明以外でも添付を求めることができます。
必要書類が全国で完全に同一とは限らないということです。管轄によって求められるものが増える場合があります。
逆に言えば、根拠のない書類を無制限に要求できるわけでもありません。市町村長が定める事項という枠の中の話だという整理です。
申請の前に、管轄の消防本部の様式や案内で追加の書類が指定されていないかを確認してください。
管轄によって必要書類が違うことがあるんですね。
管轄の様式や案内を先に見てください。
申請書に不備があったときはどう扱われるのか

その場で受付を断られるのか、直す機会が与えられるのかで対応が変わります。
不備があってもその場で不認定になるわけではなく、相当の期間を定めた補正の機会が与えられる扱いです。
消防機関の側は「速やかに」補正を求めることとされているので、受付から長く放置されることも想定されていません。連絡が来たら、示された期間内に直せば申請は生きたままです。
見落としやすいのは、期間が定められているという点です。いつまでに何を出すのかを、連絡を受けた時点で書き留めておくと安全です。
申請後に消防本部から連絡が来たら、補正の内容と期限をその場でメモしてください。
不備があってもやり直せるんですね。
補正の内容と期限をその場でメモしてください。
補正に応じないまま放置すると認定はどうなるのか

自然に消えるのか、それとも結論が出されるのかが分かれ目です。
補正に応じないまま期間が過ぎると、申請が自然に消えるのではなく不認定という結論が通知されます。
取下げたい場合は、その意思を明確に示す必要があります。何も言わないままにしておくと、取下げではなく不認定として処理されるということです。
不認定の記録が残ることを避けたいなら、補正に応じるのか取下げるのかを期間内にはっきりさせておくほうが無難です。
補正が間に合わないと分かった時点で、取下げるのか期間の相談をするのかを消防本部に伝えてください。
黙っていたら不認定になってしまうんですね。
期間内に補正か取下げをはっきりさせてください。
よくある質問
まとめ
うちの分は賃貸借契約書で出せそうです。
補正の期限まであるとは知りませんでした。
書類と期限を先に押さえて
申請を止めずに進めてください。
㈱防災屋でもご相談を承っています。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 防火対象物定期点検報告制度に関する執務資料について(平成14年12月12日 消防安第122号 防火安全室長から各都道府県消防主管部長あて)
- 消防法第8条の2の2・第8条の2の3
- 消防法施行規則第4条の2の8
- 消防実務六法 質疑応答編
※本記事は公表されている法令および通達に基づく一般的な解説です。掲載した回答はそれぞれの発出当時のもので、通知番号や機関の名称等は当時のものです。その後の改正により運用が変わっている場合があります。個別の事案についての適用は、所轄消防署にご確認ください。





