防火対象物点検の特例認定を受けていても、防火管理維持台帳を保存する義務が消えるわけではありません。
台帳の記録が抜けていたり、届出書類の写しが一部見当たらなかったりしたとき、認定がそのまま取り消されるのかどうかは、多くの管理権原者が誤解しているところです。
消防庁の執務資料には、台帳の保存期間から届出書類の扱い、点検済証の除去条件まで、具体的な線引きを示す質疑応答が並んでいます。
この記事では消防庁の執務資料にある5つの質疑応答をもとに、維持台帳と点検済証がどこまで厳格に運用されるかを整理します。
点検の記録、正直ちょっと抜けてる月があるんです。
これだけで認定が取り消されたりします?
抜けがあるだけでいきなり取り消しにはなりません。
ただ保存義務そのものは消えないので、まず整理していきましょう。
届出書類も一部コピーが見当たらなくて、確認できないところがあるんですけど。
そのパターンも含めて、5つの質疑応答から順番に見ていきますね。
- 特例認定を受けていても、防火管理維持台帳を保存する義務はなくなりません
- 台帳の記録の保存期間に年数の定めはなく、最新の記録があれば足ります
- 届出書類の写しが一部なくても、原則は不認定になりません
- 台帳を記録・保存していなかっただけでは、認定を取り消すことはできません
- 点検基準に適合しない事実が見つかると点検済証は除去され、是正後は再び付せます
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目次
特例認定を受けても防火管理維持台帳を保存する義務はなくなるのか

免除される内容と、なくならない義務を分けて確認しましょう。
特例認定でなくなるのは点検・報告の手間であって、台帳そのものを保存しなくてよくなるわけではありません。
台帳は認定の有無にかかわらず、管理権原者が常に備えておくべき書類という位置づけです。
「認定を取ったから台帳はもう不要」と考えるのは誤解なので、認定後も保管場所と保存ルールを維持しておきましょう。
特例認定を取ったら、点検の書類自体もいらなくなると思ってました。
免除されるのは点検と報告の手間だけです。
台帳は認定中もそのまま保管しておいてください。
防火管理維持台帳の保存期間は何年とすべきか

条文には具体的な年数が書かれていません。
台帳の保存義務は、点検資格者が点検のときに参照できる状態を保つための仕組みです。
そのため何年分を積み上げて残すかではなく、直近の記録が確実に残っているかが問われます。
古い記録を延々と保管する必要はありませんが、最新の記録だけは常に更新しておきましょう。
何年分残すべきか決まりがないなら、古い記録は捨てて大丈夫なんですか。
義務としては最新の記録があれば足ります。
それでも所轄消防署の運用次第なので、廃棄の前に一度確認しておくと安心です。
届出書類の写しが一部ないと不認定になるのか

欠けている書類の量によって扱いが変わります。
求められているのは過去に届出がなされたことの確認であって、書類そのものを完全に揃えることではありません。
一方、届出書類が完全に失われて何も確認できない場合は、逆に「届出がなかった」と明確に証明されない限り不認定にはできないという、消防機関側にも制約がある構造になっています。
手元の写しが一部欠けている程度なら、まず残っている書類と消防機関側の記録で補えるか確認してみましょう。
うちは古い建物なので、開設当時の届出書類が結構失われてるんですよね。
一部の欠落なら不認定にはなりません。
まず消防機関側に届出の記録が残っていないか確認してみましょう。
台帳を記録・保存していなかった場合、認定は取り消されるのか

実際の扱いは条文の要件に沿って判断されます。
特例認定の取消し(第6項)は、偽りその他不正な手段による取得や法令違反による命令など、条文が定めた要件に当たったときにだけ行える処分です。
台帳の記録・保存を怠っていたこと自体は、この取消し要件のいずれにも直接は当たりません。
とはいえ台帳が整っていないと点検資格者が点検できず、結果的に別の要件(点検基準への不適合など)に触れてしまうこともあるので、「取り消されないから後回しでよい」とは考えないでください。
記録が抜けてるだけで即取消しって言われたら、正直かなり焦ります。
記録漏れだけを理由に取消しにはなりません。
ただ点検自体に影響するので、気づいた時点で追記しておきましょう。
点検基準に適合しない事実が見つかったら点検済証はどうなるのか

こちらは台帳の話ほど寛容ではありません。
台帳の記録漏れのように取消し要件に当たらなければ済む話とは違い、点検済証は点検基準そのものへの適合を示す表示なので、不適合が確認された時点で除去の対象になります。
ただし一度除去されても、それで終わりではありません。是正して基準に適合したことを消防機関が確認すれば、点検済証を再び付することができます。
維持台帳の不備は簡単には認定を揺るがしませんが、点検済証は現況を映す表示なので、指摘を受けたら早めに是正して再確認を受けましょう。
点検済証を外されたら、もう二度と付けてもらえないと思ってました。
是正して基準に適合すれば再度付けてもらえます。
外されたら終わりではないので、早めに直して確認を受けましょう。
よくある質問
まとめ
台帳と点検済証、扱いの厳しさが全然違うんですね。
よくわかりました。
台帳は地道な保存、点検済証は現況の表示。
この違いを覚えておけば対応を誤りません。
㈱防災屋でもご相談を承っています。
参考・出典
- 防火管理及び防火対象物定期点検報告制度に係る質疑応答について 別添1(平成16年11月1日 消防安第207号 消防庁防火安全室長から各都道府県消防防災主管部長・東京消防庁・各指定都市消防長あて)
- 消防法第8条の2の2、第8条の2の3
- 消防法第17条の3の2
- 消防法施行規則第4条の2の4、第4条の2の6、第4条の2の7
- 消防実務六法 質疑応答編
※本記事は公表されている法令および執務資料に基づく一般的な解説です。掲載した回答は平成16年当時のもので、条文番号や日付等は当時のものです。その後の改正により運用が変わっている場合があります。個別の事案についての適用は、所轄消防署にご確認ください。





