防火対象物点検を担う点検資格者になるには、決められた実務経験が要ります。
特例認定を受ければ点検と報告が3年間免除されますが、その運用にはいくつも細かい線引きがあります。
質疑応答が示したのは、実務経験の数え方から認定の取消しに至る事由まで、現場でつまずきやすい境界線です。
制度の細部を知っているかどうかで、認定の可否が分かれます。
消防設備士の資格はあるのですが、
点検資格者の講習は誰でも受けられるわけではないんですよね。
はい。受講には実務経験の要件があります。
消防設備士なら3年以上です。
うちは特例認定も検討しているのですが、
認定の取消しがどんな場合に起きるのかも気になります。
そこも含めて、実務経験の数え方から認定の取消要件まで、
5つの回答で順に見ていきましょう。
- 火災予防に関する業務とは、消防同意・防火管理・火気使用設備や消防用設備等の予防行政における審査、検査等の業務を指します
- 実務経験は従事した期間を通算でき、一時的に休止しても前後を合算できます
- 認定の前倒し期間中は、点検報告や取消しに関する要件は適用されませんでした
- 「取消しをされるべき事由が現にある」とは、取消要件に該当することを覚知し、取消しの具体的手続に入っている状態を指します
- 「虚偽の報告」とは、点検していないのに点検したと報告した場合や結果を改ざんした場合などです
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目次
火災予防に関する業務とはどのような業務か

受講資格の一つに、市町村の消防職員としての実務経験があります。
消防職員としての勤務であれば何でもよいわけではなく、予防行政に関わる業務であることが条件です。
具体的には、建築確認における消防同意の審査、防火管理の指導、火気を使用する設備の検査、そして消防用設備等の検査などが挙げられました。
警防や救急の業務は、この実務経験には含まれません。
点検資格者の受講を検討する職員がいれば、これまでの担当業務が予防行政に当たるかどうかを、まず所属で確認しておくとよいでしょう。
うちの職員も昔、予防担当をしていたと聞きました。
その経験もカウントできますか。
予防行政に当たる業務であれば対象になります。
担当していた年数と業務内容を、当時の辞令や分掌で確認してください。
実務経験は一時中断しても通算できるか

異動や休職を挟んだ場合の扱いが問われました。
起算点は実務に従事した日で、休止した期間があっても、その前後の従事期間を合算してよいとされました。
たとえば消防設備士として2年働いたあと、別の業務に3年就いて、その後また消防設備関係の業務に1年戻った場合、合計3年として数えられます。
ただし通算できるのは同じ区分の実務経験であることが前提です。消防設備士としての実務と建築士としての実務を足し合わせることはできません。
経歴を証明する際は、休止期間も含めて在籍・従事の記録を残しておくと、後から実務経験を計算しやすくなります。
異動で担当が変わった時期があっても、
前後を合わせてよいのですね。
そのとおりです。ただし同じ区分の実務であることが前提なので、
辞令のコピーは捨てずに残しておいてください。
認定の前倒し運用で取消要件はどう扱われるか

この期間のずれが、認定要件の扱いにどう影響するのかが問われました。
特例認定の申請受付と認定業務は平成15年1月1日から前倒しで始まりましたが、防火対象物点検報告の制度そのものと認定の取消しは平成15年10月1日からの適用です。
そのため前倒しの期間中は、点検報告の違反や取消しの事由を前提とする認定要件(消防法第8条の2の3第1項第2号ロ・ハ・ニ)は、そもそも判断のしようがないという整理になります。
建物の側から見ると、制度が始まったばかりの時期に申請するほど、この種の要件は形式的なものにとどまるということです。
現在は制度開始から長く経っているため前倒し期間そのものはすでに終わった話ですが、制度の要件がいつから実質的に機能し始めたかを知っておくと、古い認定記録を見返すときに役立ちます。
制度が始まったばかりの頃に認定を受けた建物は、
審査が甘かったということですか。
甘かったというより、判断のしようがない期間だったという整理です。
今から新しく申請する場合は関係ありません。
取消しをされるべき事由が現にあるとはどのようなことか

この「事由が現にある」状態とは、具体的にどの段階を指すのかが問われました。
単に取消要件に当てはまる事実があるというだけでは足りず、消防機関がその事実を把握し、取消しの処分に向けた具体的な手続に入っている状態を指します。
逆にいえば、要件に該当する事実があっても、まだ消防機関がそれを覚知していなければ、この「事由が現にある」には当たりません。
とはいえ、点検や報告を怠っていれば、いずれ立入検査等で把握されることになります。
特例認定を維持したいのであれば、取消要件に該当しそうな状態を消防機関に把握される前に、自ら是正しておくのが確実です。
手続に入っていなければ、まだ大丈夫ということですか。
制度上はそうですが、把握される前に自分で直す方が安全です。
是正を後回しにする理由にはなりません。
虚偽の報告があったとはどのような場合を指すか

この「虚偽の報告」が具体的にどんな行為を指すのかが問われました。
挙げられた例は2つ。点検を実施していないのに実施したと報告するケースと、点検の結果そのものを書き換えるケースです。
どちらも点検資格者や管理権原者が意図的に事実と異なる内容を報告することが前提で、単なる記載ミスとは区別されます。
一度この虚偽の報告が明らかになると、点検報告制度そのものへの信頼が損なわれるため、特例認定の要件からも外れます。
点検を外部委託している場合でも、報告書の中身を管理権原者自身が確認しておくことが、結果として自分の身を守ることにつながります。
点検資格者に任せきりにせず、
報告書は自分でも見ておいた方がいいのですね。
はい。中身を確認する習慣が、
虚偽報告のリスクからいちばん建物を守ります。
よくある質問
まとめ
実務経験の数え方も、取消しの考え方も、
思ったより具体的に決まっているのですね。
実務経験の記録と、報告書の中身の確認。
この2つを押さえておけば大きく外しません。
㈱防災屋でもご相談を承っています。
参考・出典
- 防火対象物定期点検報告制度に関する執務資料について(平成14年12月12日 消防安第122号 消防庁予防課防火安全室長から各都道府県消防主管部長あて)
- 消防法第8条の2の2、第8条の2の3
- 消防法施行規則第4条の2の4
- 消防実務六法 質疑応答編
※本記事は公表されている法令および通達に基づく一般的な解説です。掲載した回答は平成14年当時のもので、規定番号等は当時のものです。その後の改正により運用が変わっている場合があります。個別の事案についての適用は、所轄消防署にご確認ください。





