特例認定は取ればそれで終わりではなく、建物の管理権原者が代わるたびに扱いを考え直す必要があります。
法人の代表者が交代しただけで届出が要るのか、名称が変わっただけならどうかは、意外と整理されていません。
共同防火管理の義務がない建物の表示に誰の名前を書くかも、同じ質疑応答の中で扱われています。
質疑応答が示したのは管理権原者そのものが交代したのか、法人の代表者や名称が変わっただけなのかで扱いが分かれるという整理です。
うちのテナント、社長が変わったって聞いたんですけど、届出っているんでしょうか。
法人が管理権原者なら、代表者の交代だけでは届出は不要です。
じゃあ、そもそも特例認定の対象外だった場合や、表示に書く名前まで含めて整理したいです。
5つの実務Q&Aで順番に見ていきましょう。
- 特例認定の対象にならない防火対象物から申請があった場合は原則として不認定の通知を行いますが、申請者自身の取下げも認められます
- 管理権原者が法人の代表者の交代だけでは、管理権原者変更届出書の提出は不要です
- 法人の名称のみの変更も、管理権原者の変更にはあたりません
- 管理権原者変更届出書には法人の所在地と法人名・代表者氏名を記載します
- 共同防火管理の義務がない建物の表示は、主要な管理権原者の氏名を記載すればよいとされています
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目次
特例認定の対象にならない防火対象物から申請があったらどうするか

その場合、消防機関はどう対応するのでしょうか。
消防法第8条の2の2第1項に規定する防火対象物に該当しなければ、そもそも特例認定の対象そのものになりません。申請があっても、消防機関は消防法第8条の2の3第1項柱書きの要件を満たさないとして、不認定の通知を行うのが原則です。
ただし、対象とならない旨を示されたうえで、申請者自身の意思で申請を取り下げる道も用意されています。
不認定の通知を受けるより先に、対象外だと気づいた時点で取り下げてしまってもかまわないということです。
自分の建物がそもそも対象になるかどうかは、申請書を作り込む前に所轄消防署へ確認しておくと手戻りを防げます。
対象外だとわかったら、取り下げてしまっていいんですね。
迷ったら申請前に確認してください。
管理権原者である法人の代表者が交代したら届出は必要か

届出が必要になるのでしょうか。
特例認定における管理権原者は、あくまで法人という存在です。社長や代表取締役が交代しても、管理権原を持つ法人自体が変わったわけではないため、管理権原者変更届出書を出させる必要はないとされています。
「社長が変わった=管理権原者が変わった」と早合点して、慌てて届出書を用意しなくてよいということです。
この考え方は、次に見る法人名称だけの変更にもそのままつながります。
実際に届出が必要になるのは、法人そのものが交代する場合、たとえばテナントの入れ替えなどに限られます。
社長が変わっただけなら届出はいらないんですね、ほっとしました。
主語はあくまで法人そのものです。
法人の名称だけが変わった場合は管理権原者の変更になるか

実質は変わっていない場合はどう扱われるのでしょうか。
社名変更や商号変更があっても、同じ法人格が管理権原を持ち続けている限り、管理権原者が変わったことにはなりません。代表者の交代のときと同じく、実質の主体が変わっていないかどうかがポイントです。
封筒に印刷された新しい社名を見て、反射的に変更届の準備を始める必要はありません。
逆に、名称変更に合わせて法人格そのものが別の法人に引き継がれる場合(合併・会社分割など)は話が別になるため、その点は所轄消防署に確認しておくと安心です。
社名変更のお知らせが来て、身構えてしまってました。
合併など法人格自体が変わる場合だけ確認してください。
管理権原者変更届出書には何を記載すればよいか

法人が管理権原者だと、住所と氏名の欄に何を書けばよいのか迷いがちです。
個人の管理権原者と違い、法人の場合の住所・氏名欄は法人の所在地と法人の名称及び代表者氏名の組み合わせで記載します。この書き方は届出者の欄と同じ扱いです。
変更前・変更後のどちらの欄も同じ考え方で埋めればよいので、代表者個人の住所を書く必要はありません。
社内で担当が交代して届出書を書く機会が久しぶりという場合も、変更前・変更後の書式だけ思い出しておけば迷いません。
代表者個人の自宅住所を書かなくていいんですね。
法人の所在地で足ります。
共同防火管理の義務がない建物の表示には誰の氏名を書くか

そうした建物の表示には、誰の名前を書けばよいのでしょうか。
共同防火管理の義務が生じない建物では、表示に複数の管理権原者の氏名を並べて書いても、代表して一人だけ書いてもどちらでも差し支えありません。
ただし一人だけ選ぶ場合は、所有者などその建物の主要な管理権原者を記載するよう指導することとされています。
テナントの担当者名をとりあえず書いておく、という選び方は想定されていません。
表示の記載方法に迷ったら、建物の所有者や主要なテナントのどちらを書くべきか、所轄消防署に相談しておくと安心です。
うちは所有者とテナント、どちらの名前を書けばいいんでしょう。
迷ったら主要な管理権原者を選んでください。
よくある質問
まとめ
社長交代のたびに届出だと思っていたので、かなり気が楽になりました。
迷ったときは
実質が変わったかどうかで考えてください。
㈱防災屋でもご相談を承っています。
参考・出典
- 防火対象物定期点検報告制度に関する執務資料について(平成14年12月 消防庁防火安全室)
- 消防法第8条の2の2、第8条の2の3
- 消防実務六法 質疑応答編
※本記事は公表されている法令および通達に基づく一般的な解説です。掲載した回答はそれぞれの発出当時のもので、通知番号や機関の名称等は当時のものです。その後の改正により運用が変わっている場合があります。個別の事案についての適用は、所轄消防署にご確認ください。





