高層ビルやホテルを管理していると、消防法第8条の防火管理者だけでなく「防災管理者」という言葉を耳にすることがあります。
しかしどんな規模の建物からこの制度の対象になるのか、条文をたどらないと分かりにくくなっています。
指定の入口は消防法第36条から施行令へと委任され、階数と延べ面積の組み合わせで機械的に決まります。
単独の用途で大きい建物か、複合ビルの一部か、それとも地下街かで見るべき数字が変わることを、条文どおりに確認していきます。
うちのビルは11階建てで延べ面積も大きいのですが、防災管理者は必要なんでしょうか。
建物の階数と延べ面積の組み合わせで、必要かどうかが機械的に決まります。
まずは消防法が施行令へ委任している仕組みから確認しましょう。
うちみたいな単独用途のビルだけでなく、テナントが混在する複合ビルでも話は変わりますか。
変わります。
複合ビルと地下街にはそれぞれ別の基準があるので、順番に見ていきましょう。
- 防災管理者を要する建物は、消防法第36条が第8条から第8条の2の3までを読み替えて準用する仕組みで決まります
- 単独の用途で著しく大きい建物は、消防法施行令第4条の2の4第1号の階数と延べ面積の組み合わせ(イ・ロ・ハの3パターン)で判定します
- テナントが混在する複合ビル((16)項)は、建物全体ではなく対象用途に供される部分の床面積だけで判定します
- 地下街等((16の2)項)は階数の基準がなく、延べ面積が1,000平方メートル以上であれば対象になります
- 自分の建物がどのパターンに当たるかを整理したら、所轄消防署に確認するのが確実です
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目次
防災管理者を置かなければならない建物とはどんな建物なのか

実は防火管理者の規定を読み替えて当てはめる仕組みになっています。
読み替えの主語は同じ消防法第8条第1項で、「防火管理者」が「防災管理者」に、「防火管理上」が「防災管理上」に置き換わります。
どの建物が対象になるかはこの第36条自体には書かれておらず、政令に委任されています。
委任先をたどると消防法施行令第46条に行き着き、そこから更に別の条文を指し示す構造になっています。
だから「防災管理対象物」を知るには、条文を一段掘り下げて読む必要があります。
防火管理者と防災管理者、何が違うのかいつも混乱します。
条文の作りは同じで、対象にする災害が火災から地震などに広がっただけです。
次はどの建物が対象になるかを見ましょう。
単独の用途で著しく大きい建物はどの基準に当てはまるのか

そこには自衛消防組織を置くべき建物と同じ規模基準が並んでいます。
イ 地階を除く階数が十一以上の防火対象物で、延べ面積が一万平方メートル以上のもの
ロ 地階を除く階数が五以上十以下の防火対象物で、延べ面積が二万平方メートル以上のもの
ハ 地階を除く階数が四以下の防火対象物で、延べ面積が五万平方メートル以上のもの
対象になる用途は劇場や百貨店、ホテル、事務所など別表第一の広い範囲に及びますが、共同住宅や倉庫の単独用途は含まれません。
イ・ロ・ハの3つはどれか1つに当たれば対象になり、3つ全部を満たす必要はありません。
階数は地階を除いて数えるので、地下の階は含めずに数え直してください。
まず自分の建物が地階を除いて何階建てで、延べ面積が何平方メートルかを確認申請の書類で確かめるところから始めます。
うちは10階建てで延べ面積は1万8千平方メートルほどです。対象になりますか。
地階を除く階数が5以上10以下なら延べ面積2万平方メートル以上が基準なので、その数字だけならまだ対象外です。
正確な延べ面積を書類で確認しましょう。
テナントが混在する複合ビルではどこを見て判定するのか

テナントが混在する複合ビルには、別の基準が用意されています。
イ 地階を除く階数が十一以上の防火対象物で、次に掲げるもの
(1) 自衛消防組織設置防火対象物の用途に供される部分の全部又は一部が十一階以上の階に存する防火対象物で、当該部分の床面積の合計が一万平方メートル以上のもの(略)
(16)項に区分される複合ビルのうち、共同住宅や倉庫ではなく劇場や物品販売店舗など第1号で挙げた用途の部分がどこかに含まれていれば、その部分の床面積を合計します。
合計した床面積が、その用途部分が入っている階の高さに応じてイ・ロ・ハの基準を満たせば対象になります。
つまり建物の延べ面積が基準に届かなくても、対象用途のフロアだけを積み上げると届くケースがあります。
自社ビルの一部を賃貸している場合は、テナントの用途ごとに床面積を仕分けてから合計してください。
うちのビルは半分が賃貸オフィスで残りが倉庫です。倉庫部分は関係ないんですか。
倉庫そのものは対象用途に入りませんが、オフィス部分の床面積だけを合計して基準に当てはめます。
まず用途ごとの床面積を仕分けてみましょう。
地下街はなぜ階数の基準なしで対象になるのか

見落としやすいのはここです。
第1号や第2号のように階数との組み合わせを求めず、延べ面積が1,000平方メートル以上という一つの数字だけで対象になります。
1,000平方メートルは第1号の1万平方メートルや2万平方メートルに比べてはるかに小さく、比較的規模の小さい地下街でも対象に入りやすい基準です。
地下は煙や熱がこもりやすく地上に出る出入口も限られるため、規模の小さいうちから体制を整えさせる基準と読めます。
地下街に店舗を出している場合は、自分の店舗の面積ではなく地下街全体の延べ面積で判定される点を管理者に確認してください。
うちの店は地下街の中でも小さい区画なんですが、それでも対象になるんでしょうか。
基準は店舗単体ではなく地下街全体の延べ面積です。
管理組合や地下街の管理者に、防災管理者が選任されているかを確認してみてください。
自分の建物が対象かどうかをどう確認すればよいか

自分の建物で確かめる手順を整理します。
- 確認申請書や竣工図から地階を除く階数と延べ面積を確認する
- 建物が単独用途か、複合ビル((16)項)か、地下街等((16の2)項)かを区分する
- 複合ビルの場合は対象用途に使われている部分だけの床面積を合計する
- 基準に当たりそうな場合は所轄消防署に確認し、防災管理者の選任と消防計画の届出を進める
単独用途なら第1号のイ・ロ・ハ、複合ビルなら第2号、地下街なら第3号を見ればよく、3つを同時に満たす必要はありません。
延べ面積や階数は建築確認の書類にすでに記載されているので、新たに測量し直す必要は基本的にありません。
判定に迷う場合は、用途の内訳を書いた図面を持って所轄消防署に相談すると、その場で当てはまる号を教えてもらえます。
対象に当たると分かったら、防災管理者の選任と消防計画の作成・届出の準備に進んでください。
まずは自分の建物がどの号に当たるか、図面を持って消防署に相談してみます。
それが一番確実です。
用途ごとの床面積が分かる図面を用意しておくと、その場で話が早く進みます。
よくある質問
まとめ
うちの建物がどの号に当たるか、図面を持って一度消防署に相談してみます。
それが一番確実です。
該当するかどうかがはっきりすれば、選任も消防計画もスムーズに進みます。
㈱防災屋でもご相談を承っています。
参考・出典
- 消防法第36条第1項・第2項
- 消防法施行令第46条
- 消防法施行令第4条の2の4
- e-Gov 法令検索
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





