BLOG

サウナや個室付浴場はどちらの公衆浴場に区分されるか|防火管理者と防炎規制の基準を解説

サウナと銭湯は消防法上どう区分が分かれるのかを示すアイキャッチ画像

サウナ、個室付浴場、銭湯、スーパー銭湯。どれも「公衆浴場」とひとくくりに思われがちですが、消防法上の扱いは一つではありません。
消防法施行令別表第一(9)項は、蒸気浴・熱気浴を使うかどうかでイとロに分かれます。
この区分ひとつで、防火管理者の選任基準や防炎規制の対象・対象外までが変わってきます。
条文をたどると、蒸気や熱気という設備の有無が義務の重さを決めていることが見えてきます

うちはスーパー銭湯なんですが、サウナも置いています。
これって消防法上はどう扱われるんでしょうか。

蒸気浴・熱気浴を使う設備があるかどうかで、(9)項イ(9)項ロかが決まります。
この区分次第で、必要になる義務の重さが変わってきます

個室付浴場を1軒経営しているのですが、こちらは防火管理者が必要でしょうか。

収容人員が30人以上なら必要です。
条文を順番に見ていきましょう。

この記事の結論
  • 公衆浴場は蒸気浴・熱気浴の有無だけで(9)項イとロに分かれます
  • サウナや個室付浴場は(9)項イ、銭湯やスーパー銭湯は(9)項ロです
  • 防火管理者が必要になる収容人員は、イが30人以上、ロが50人以上です
  • 防炎規制の対象になるのは(9)項イだけで、ロは原則対象外です
  • (9)項イは消火・避難訓練を年2回以上実施する義務があります

サウナと銭湯は蒸気浴・熱気浴の有無で(9)項イとロに分かれ、防火管理者や防炎規制の基準が変わることを示した図解

なぜ同じ公衆浴場でも(9)項イと(9)項ロに分かれるのか

蒸気が立つサウナ室の隣に蒸気のない銭湯の浴室が並ぶイメージ
サウナも銭湯も「公衆浴場」とひとくくりにされがちですが、消防法上の扱いは一つではありません。
消防法施行令別表第一(9)項は、蒸気や熱気を使うかどうかだけでイとロに分かれます。
消防法施行令別表第一(九) イ 公衆浴場のうち、蒸気浴場、熱気浴場その他これらに類するもの ロ イに掲げる公衆浴場以外の公衆浴場
分かれ目は営業許可の種類ではなく、蒸気浴・熱気浴という設備の有無です
同じ「公衆浴場」という業種でも、サウナや個室付浴場のように蒸気・熱気を使う施設は(9)項イ、銭湯や温泉のように使わない施設は(9)項ロに分かれます。
この区分は建物の名称や営業許可の看板ではなく、実際に設けている設備で判断されます。
イは特定用途、ロは非特定用途という扱いの違いがあり、あとで見る義務の重さもここから連動して変わります。
まずはこの分岐そのものを押さえたうえで、次の章でどちらの施設が具体的にどちらに当たるのかを見ていきます。

よくあるスーパー銭湯にサウナも併設している場合は、どちらになるんでしょうか。

施設の主な用途がどちらかで判断が変わります。
次の章で具体的な当てはめ方を見ていきましょう。

サウナや個室付浴場はどちらの区分に当たるのか

個室の浴場の隣に暖簾のかかった公衆浴場の建物が並ぶイメージ
蒸気浴・熱気浴という言葉だけでは、自分の施設がどちらに当たるか分かりにくいかもしれません。
代表的な施設で整理してみます。
  • (9)項イ=蒸気浴・熱気浴を用いる施設(サウナ、個室付浴場など)
  • (9)項ロ=蒸気浴・熱気浴を用いない施設(銭湯、温泉、スーパー銭湯など)
目印になるのは蒸気や熱気を発生させる設備があるかどうかです
サウナや個室付浴場は蒸気浴・熱気浴の設備を備えているため(9)項イに区分されます。
銭湯やスーパー銭湯、温泉施設のように、湯や潮湯につかるだけで蒸気・熱気を発生させないものは(9)項ロに区分されます。
一つの建物にサウナと大浴場が併設されている場合は、主たる用途がどちらかで扱いが決まるため、面積や利用実態を確認する必要があります。
自分の施設がどちらに当たるか迷ったら、まず蒸気・熱気を発生させる設備の有無から確認してみてください。

うちはサウナと大浴場が両方ある施設なんですが、この場合どちらになるんでしょうか。

主にどちらの用途で使われているかで判断します。
迷ったら所轄消防署に設備の内容を伝えて確認するのが確実です。

防火管理者は収容人員何人から必要になるのか

小さな建物の入口に人物が数名並ぶ様子と大きな建物の入口に人物が多く並ぶ様子を対比したイメージ
(9)項イとロでは、防火管理者を選任しなければならない収容人員の基準が違います。
ここを取り違えると、選任義務そのものを見落とすことになります。
消防法施行令第1条の2第3項第1号 ロ (略)(九)項イ(略)に掲げる防火対象物で、収容人員が三十人以上のもの ハ (略)(九)項ロ(略)に掲げる防火対象物で、収容人員が五十人以上のもの
選任の基準になる人数が、イは30人、ロは50人と20人違います
(9)項イ(サウナ・個室付浴場等)は収容人員30人以上で防火管理者の選任が必要になります。
(9)項ロ(銭湯・温泉等)は50人以上まで義務が生じない、特定用途と非特定用途の差がそのまま表れた基準です。
収容人員は(9)項イ・ロとも共通で、従業者の数と、浴場・脱衣場・マッサージ室及び休憩室の床面積の合計を3平方メートルで除した数を合算して算定します。
利用客の人数そのものを数えるわけではないので、混雑時の来客数ではなく施設の床面積で判断される点に注意してください。

収容人員は、お客さんの人数を数えればいいんですか。

いいえ、従業者の数と浴場等の床面積から算定します。
次の章では、防炎規制など見落としやすい違いも確認します。

防炎規制や訓練の回数も一緒に変わることを見落としていないか

防炎表示のタグが付いたカーテンの隣に無地のカーテンが並ぶイメージ
防火管理者の人数基準だけでなく、防炎規制と訓練の回数にも(9)項イとロで違いがあります。
ここを見落とすと、必要な対応が漏れてしまいます。
消防法施行令第4条の3第1項(抜粋) 法第八条の三第一項の政令で定める防火対象物は、別表第一(一)項から(四)項まで、(五)項イ、(六)項、(九)項イ、(十二)項ロ及び(十六の三)項に掲げる防火対象物(略)とする。
防炎規制の対象になるのは(9)項イだけです
カーテンやじゅうたん等の防炎物品は、(9)項イ(サウナ・個室付浴場等)でのみ設置義務があります。
(9)項ロ(銭湯・温泉等)は原則として防炎規制の対象外ですが、高さ31メートルを超える高層建築物に当たる場合は用途を問わず別に規制がかかります。
さらに(9)項イは消火訓練及び避難訓練を年2回以上実施する義務がありますが、(9)項ロにはこの回数を定めた規定がありません。
同じ「公衆浴場」という言葉でくくらず、自分の施設がどちらに当たるかで確認する項目が変わることを覚えておいてください。

防炎規制がかかるかどうかまで変わるとは思っていませんでした。

はい、(9)項イだけが対象です。
最後に明日からの確認手順をまとめます。

明日からなにを確認すればよいのか

チェックリストを持つ人物の隣に電話と建物の図面が置かれた机があるイメージ
(9)項イとロのどちらに当たるかが分かれば、あとは確認すべき項目を順番に見ていくだけです。
手順を整理しました。
消防法施行令第3条第1項第2号(抜粋) (略)延べ面積が、別表第一(一)項から(四)項まで、(五)項イ、(六)項イ、ハ及びニ、(九)項イ、(十六)項イ並びに(十六の二)項に掲げる防火対象物にあつては三百平方メートル未満、その他の防火対象物にあつては五百平方メートル未満のもの(略)
まず確認するのは、蒸気・熱気設備の有無と収容人員の2点です
防火管理者が必要な収容人員に達している場合、(9)項イは延べ面積300平方メートル未満(9)項ロ500平方メートル未満であれば、資格の軽い乙種防火管理者で足ります。
面積がこれを超えると、より上位の甲種防火管理講習を修了した防火管理者が必要になります。
防炎物品や訓練回数の確認も含め、まずは自分の施設が(9)項イかロかを整理し、収容人員と延べ面積を数えるところから始めてください。
判断に迷う場合は、所轄消防署に施設の設備内容を伝えて確認するのが確実です。

うちの施設がイかロかも、面積も、まず整理してみます。

それが一番の近道です。
よくある質問もあわせてご確認ください。

よくある質問

Q個室付浴場は必ず(9)項イになりますか?
A蒸気浴・熱気浴の設備を備えている個室付浴場は(9)項イに該当しますが、そうした設備を備えていない個室付浴場まで一律にイに区分されるとは条文上明記されていません。設備の内容を所轄消防署にご確認ください
Q(9)項ロの施設に防炎物品を置くこと自体は問題ありませんか?
A(9)項ロは防炎規制の対象外ですが、防炎物品を使うこと自体は問題ありません。義務がないだけで禁止されているわけではないため、安全のために防炎品を選ぶことは可能です。
Qサウナと大浴場を両方備えた施設は、防火管理者の基準も両方満たす必要がありますか?
A一つの防火対象物としては、主たる用途で判定した方の基準が適用されるのが基本です。判定に迷う複合的な施設は所轄消防署にご確認ください。
Q(9)項イの訓練を年2回実施していれば、防炎規制への対応は不要ですか?
A訓練の実施回数と防炎規制は別々の義務です。年2回の訓練を行っていても、カーテンやじゅうたん等の防炎物品の設置義務は別途満たす必要があります。

まとめ

公衆浴場は蒸気浴・熱気浴の有無だけで(9)項イとロに分かれます
サウナや個室付浴場は(9)項イ、銭湯やスーパー銭湯は(9)項ロです
防火管理者が必要になる収容人員は、イが30人以上、ロが50人以上です
収容人員は(9)項イ・ロとも従業者数と浴場等の床面積を3平方メートルで除した数を合算して算定します
防炎規制の対象になるのは(9)項イだけで、ロは原則対象外です
(9)項イは消火・避難訓練を年2回以上実施する義務があります
防火管理者が必要な場合、延べ面積はイが300平方メートル未満、ロが500平方メートル未満なら乙種で足ります

サウナと銭湯で義務の重さが変わることがよく分かりました。

まずは(9)項イかロかを整理してみてください。
㈱防災屋でもご相談を承っています。

防火管理はプロにお任せ下さい

まずはWebで無料お見積りを!

お問い合わせ

参考・出典

  • 消防法施行令別表第一(九)
  • 消防法施行令第1条の2
  • 消防法施行令第3条
  • 消防法施行令第4条の3
  • 消防法第8条の3
  • 消防法施行規則第1条の3
  • 消防法施行規則第3条
  • e-Gov 法令検索

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

BLOGカテゴリ
最新の記事
防火管理者代行サービス
無料1分概算見積
サウナと銭湯は消防法上どう区分が分かれるのかを示すアイキャッチ画像
サウナ、個室付浴場、銭湯、スーパー銭湯。どれも「公衆浴場」とひとくくりに思われがちですが、消防法上の扱いは一つではありません。 消防法施行令別表第一(9)項は、蒸気浴・熱気浴を使うかどうかでイとロに分かれます。 この区分...