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ストーブやこんろは消防の基準がどこまでかかるのか|対象火気器具等が構造ではなく取扱いで決まる理由を解説

ストーブやこんろは消防の基準がどこまでかかるのか|対象火気器具等が構造ではなく取扱いで決まる理由を解説

事務所の電気ストーブや休憩室のこんろは、据え付けたものではなく置いて使うものです。
消防法令はこうした持ち運べる器具にも決まりを置いていますが、その中身は据付の設備とはっきり違います。
違いは構造を求めるか、それとも使い方を求めるかにあります。
この記事では対象火気器具等にかかる決まりを条文から解説します。

立入検査で休憩室の電気ストーブの置き方を指摘されました。
買ってきた器具にまで決まりがあるのでしょうか。

あります。
令第5条の2という条が器具の側だけを受け持っています。

器具の構造がどこまで求められるのかを調べたいのですが。
どの条を読めばよいのでしょうか。

その条はありません。
器具の側には構造の号が一つも置かれていないのが答えです。

この記事の結論
  • 持ち運べる器具の決まりは消防法施行令第5条の2にまとまっています。
  • 省令が器具のために置いている条は四か条だけです。
  • 六つの号のうち四つが使用することという言葉で終わっています。
  • 屋内で使うときは不燃性の床又は台の上で使います。
  • 置きごたつの火入れ容器だけは金属以外の不燃材料で造った台とされています。

対象火気器具等かどうかを見てから令第5条の2の六つの号をたどり屋内なら足元を確かめて周囲を片づけるまでの四つの手順をまとめた図解

対象火気器具等とはどの器具を指すのか

卓上こんろと携帯ストーブと固体燃料のストーブと電気ヒーターを並べて燃料と電気で四つに分かれることを表した図
まず自分の器具がこの決まりの中に入るのかを確かめてください。
入口は令の柱書きと、それを受けた省令の一条です。
消防法施行令(昭和36年政令第37号)第5条の2第1項 火を使用する器具又はその使用に際し、火災の発生のおそれのある器具であつて総務省令で定めるもの(以下この条及び第五条の四において「対象火気器具等」という。)の取扱いに関し火災の予防のために必要な事項に係る条例制定基準は、次のとおりとする。 省令第18条 令第五条の二第一項の総務省令で定めるものは、次の各号に掲げる器具とする。 一 気体燃料を使用する器具 二 液体燃料を使用する器具 三 固体燃料を使用する器具 四 電気を熱源とする器具
器具の側は燃料と熱源で四つに分けられています。
気体燃料はカセットこんろやガスストーブ、液体燃料は石油ストーブ、固体燃料は炭や練炭を使うもの、そして電気を熱源とする器具が四つ目です。
ここで大事なのは、設備の側を定めた省令第3条が21種類の名前を並べているのに対し、器具の側は個別の名前を一つも出していないという点です。
名前で探す条文ではないので、事務所の電気ストーブも休憩室の電気ポットも、熱源が電気であればこの四つ目に入ります。
まずは持ち運べる火の器具をすべて対象として棚卸ししてください。

器具の名前が書いていないので範囲が広いのですね。

広く取ってあります。
設備のように名前を探す読み方は器具には通じません。

器具の基準はなぜ構造ではなく取扱いなのか

基礎にボルトで固定した据付の機械と両手で運ぶ小さなストーブを仕切りで分けて設備と器具の違いを表した図
設備の条と器具の条を並べて読むと、求めているものがまるで違うことがわかります。
条文の末尾の言葉を見比べてください。
消防法施行令第5条の2第1項 (略) 二 対象火気器具等は、振動又は衝撃により、容易に可燃物が落下し、又は接触するおそれがなく、かつ、可燃性の蒸気又は可燃性のガスが滞留するおそれのない場所で使用すること。 三 対象火気器具等は、振動又は衝撃により、容易に転倒し、又は落下するおそれのない状態で使用すること。
器具の号は使用することで終わります。
設備を定めた令第5条第1項には十一の号が並び、そのうち五つが設けることで、五つが構造とすることで終わっています。
一方の令第5条の2第1項は六つの号で、そのうち四つが使用することで終わっており、設けることも構造とすることも一度も出てきません。
省令の側でも同じことが起きていて、設備のためには第3条から第17条までの15か条が置かれているのに、器具のために置かれているのは第18条から第21条までの四か条だけです。
つまり器具は買ったときの造りではなく、置き方と使い方だけで見られるということになります。

器具を選ぶときに構造を調べなくてよいということでしょうか。

この条例制定基準の中では求められていません。
そのぶん日々の置き方がそのまま基準になります。

屋内で使うときはなにの上に置けばよいのか

板の床に直に置いたストーブと不燃性の台の上に置いたストーブを並べて屋内で使うときの足元の違いを表した図
六つの号のうち、屋内で使うときの足元を決めているのが第4号です。
その中身は省令の最後の条に書かれています。
消防法施行令第5条の2第1項 (略) 四 対象火気器具等を屋内で使用する場合にあつては、総務省令で定める不燃性の床、台等の上で使用すること。 省令第21条 令第五条の二第一項第四号の総務省令で定める不燃性の床、台等は、不燃性の床又は台とする。ただし、対象火気器具等が置きごたつの火入れ容器である場合にあつては、金属以外の不燃材料で造つた台とする。
器具の側と設備の側では金属の扱いが逆になっています。
設備を受け持つ省令第7条は、不燃性の床等を不燃材料のうち金属以外のもので造られた床若しくは台又は土間と定めており、原則から金属を外しています。
ところが器具を受け持つ省令第21条の本文は不燃性の床又は台とだけ定めていて、金属を外す言葉がありません。
金属を外しているのはただし書きの置きごたつの火入れ容器だけで、置きごたつも火入れ容器も省令の全体でこの条にしか出てきません。
土間が入っているのも設備の側だけなので、器具を土の上で使うときの扱いは条文からは読み取れず、所轄消防署に確認することになります。

つまり置きごたつのときだけ台の材料が厳しくなるのですね。

そこだけただし書きで分けられています。
器具の四か条でただし書きが置かれているのはこの一つだけです。

振動や衝撃の号で見落としやすいのはどこか

棚の下に置かれたストーブと幅の狭い台に載せたこんろを並べて場所と状態のどちらも問われることを表した図
第2号と第3号はどちらも振動又は衝撃という同じ言葉で始まります。
似ているようで、見ている先が違います。
消防法施行令第5条の2第1項 (略) 五 対象火気器具等については、その周囲の整理及び清掃に努める等適切な管理を行うこと。 (参考)同令第5条第1項 (略) 十一 対象火気設備等については、必要な点検及び整備を行い、その周囲の整理及び清掃に努める等適切な管理を行うこと。
第2号は場所を見て第3号は状態を見ています。
第2号は可燃物が落下したり接触したりするおそれがなく、可燃性の蒸気やガスが滞留するおそれのない場所で使うことを求めており、器具の周りの空間の話です。
第3号は容易に転倒したり落下したりするおそれのない状態で使うことを求めており、器具そのものの据わりの話です。
もう一つの見落としが管理の号で、設備の第十一号にある必要な点検及び整備という言葉が、器具の第5号には入っていません。
点検の言葉が無いからといって放っておいてよいわけではなく、周囲の整理及び清掃に努める等適切な管理は器具にも同じように求められています。

棚の下に置いたストーブは第2号のほうに引っかかるのでしょうか。

落ちてくるものがあるかどうかは場所の話です。
棚の上になにが載っているかまで見てください。

明日からなにを確認すればよいのか

周りを片づけた床に置かれたストーブと掲示板を確かめる人を並べて日々の管理と条例の確認を表した図
六つの号は、どれも見に行けば確かめられるものばかりです。
確認の順番だけ決めておいてください。
消防法施行令第5条の2 (略) 2 前項に規定するもののほか、対象火気器具等の取扱いに関し火災の予防のために必要な事項に係る条例制定基準については、対象火気器具等の種類、使用燃料等ごとに総務省令で定める。 3 火を使用する器具以外の対象火気器具等であつて、その機能、構造等により第一項に定める条例制定基準によることが適当でないと認められるものについては、当該条例制定基準に関して、当該対象火気器具等の種類、使用燃料等ごとに総務省令で特例を定めることができる。
器具の棚卸しから始めてください。
建物の中で使っている火の器具と電気を熱源とする器具をすべて書き出し、そのうえで置いてある場所と据わり方を第2号と第3号の順に見ていきます。
屋内のものは足元が不燃性の床又は台かどうかを確かめ、置きごたつがあれば台の材料まで見てください。
最後に第5号の周囲の整理及び清掃を日々の点検表に一行足しておくと、次の立入検査で説明ができます。
なお実際に義務を課すのは市町村の火災予防条例なので、条番号や表現は自治体ごとに違うことがあります。

まず器具を数えるところからですね。

そこが一番抜けやすいところです。
持ち込みの私物の器具まで数えてください。

よくある質問

Q電気ポットや電子レンジも対象火気器具等になりますか?
A省令第18条第四号は電気を熱源とする器具とだけ書いており、個別の品名をあげていません。熱源が電気であれば形の上ではこの号に入りますが、どこまでを取り扱うかは市町村の火災予防条例の書きぶりによります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。
Q屋内で使うとき不燃性の床や台を省ける場合はありますか?
A設備の側の令第5条第1項第3号には防火上支障がないものとして総務省令で定める場合を除くほかという言葉がありますが、器具の側の第4号にはその言葉がありません。除くほかという言葉が置かれているのは器具の六つの号のうち距離を定めた第1号だけです。
Q器具にはどれだけの離隔距離が求められるのですか?
A令第5条の2第1項第1号がその話で、中身は省令第20条が別表と消防庁長官の定めるところに振り分けています。距離の決まり方は記事の下に置いたリンク先で詳しく解説しています。
Q器具の側にただし書きはいくつありますか?
A一つだけです。省令第18条から第21条までの四か条のうち、ただし書きが置かれているのは第21条の置きごたつのところだけで、第18条から第20条までにはありません。

まとめ

持ち運べる火の器具の決まりは令第5条の2にまとまっています。
省令第18条は器具を燃料と電気で四つに分けています。
六つの号のうち四つが使用することで終わっています。
設備のための省令は15か条ですが器具のためのものは四か条です。
屋内で使うときは不燃性の床又は台の上で使います。
金属を外しているのは置きごたつの火入れ容器のただし書きだけです。
器具の棚卸しと置き場所の確認から点検を始めてください。

さっそく休憩室の足元から見てきます!

場所と状態を分けて見る順番だけ守ってください
㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

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お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
主な活動

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

参考・出典

  • 消防法(昭和23年法律第186号)第9条
  • 消防法施行令(昭和36年政令第37号)第5条・第5条の2
  • 対象火気設備等の位置、構造及び管理並びに対象火気器具等の取扱いに関する条例の制定に関する基準を定める省令(平成14年総務省令第24号)第3条・第6条・第7条・第18条・第20条・第21条

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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