厨房や機械室に大きな設備を入れるとき、壁からどれだけ離すかという話が先に出てきます。
ところが条文には、設備の大きさが一定に届いてはじめて働き出す号が一つだけあります。
それが消費熱量で線を引き、屋内なら区画された室に入れることを求める号です。
この記事では350キロワットという線引きから室に入れなくてよい場合までを条文から解説します。
厨房のレンジを一台増やす計画が出ています。
設備の大きさで決まりが変わることはあるのでしょうか。
屋内では消費熱量が一定に届くと室の条件が加わります。
しかも厨房設備は同じ室にあるものを合計して見ます。
合計して見るというのは初めて聞きました。
一台ずつでは届かなくても合計では超えることがあります。
まず銘板から入力の数字を集めてください。
- 屋内に設ける場合だけに働く号は消防法施行令第5条第1項の第3号と第4号の二つです。
- 第4号は消費熱量が省令の定める量に届いてはじめて働きます。
- その量は350キロワットで厨房設備は同一室内の全ての厨房設備の入力の合計で見ます。
- 求められるのは外部への延焼を防止するための措置が講じられた室に設けることです。
- 周囲に有効な空間を保有する等の措置を講じた場合はこの号がかかりません。
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目次
屋内に置くというだけで加わる基準はどれか

そのうち二つだけが、屋内に設ける場合という条件から書き出されています。
一つは第3号で、屋内に設けるときは総務省令で定める不燃性の床等の上に設けることを求めます。
もう一つが第4号で、こちらは床ではなく設備を置く室そのものを問います。
11の号のうち、設備の大きさによって働いたり働かなかったりするのはこの第4号だけです。
だから屋内に設備があるなら、消費熱量がどれくらいかを確かめるところから始めることになります。
屋外に置いてあるものは読まなくてよいのですね。
この二つの号については屋外なら働きません。
ただし離隔距離の号は屋外でも働くので別に見てください。
消費熱量350キロワットはどう数えるのか

その省令は一行で数字を示し、厨房設備だけ数え方を変えています。
炉やボイラーは、その設備の消費熱量が350キロワットに届くかどうかで見ます。
ところが厨房設備は、同一室内に設ける全ての厨房設備の入力を合計して見ます。
レンジもフライヤーもかまども一つの厨房室に集まるので、一台ずつでは届かなくても合計では超えることがあります。
機器を入れ替えたり一台足したりする前に、その室にある厨房設備の入力を書き出して合計してください。
一台入れ替えるだけでも合計が変わるということですね。
そのとおりです。
入れ替えの前後で合計を並べて書いておくと説明が早くなります。
延焼を防止するための措置が講じられた室とはどんな室か

書いているのは、消防庁が市町村に示した火災予防条例(例)のほうです。
まず不燃材料で造った壁と柱と床と天井で区画することが求められます。
天井が無い場合は、はり又は屋根がその役目を負うと書かれています。
そのうえで窓と出入口等には防火戸を設けます。
この項は炉の条に置かれていますが、ふろがまや温風暖房機や厨房設備やボイラーの条がこの条を準用しているので、同じ求めがそれらにも及びます。
炉の条だけ読んで自分には関係ないと思っていました。
自分の設備の条の末尾にある準用の一文まで読んでください。
そこから炉の条に戻される作りになっています。
室に入れなくてよい場合はあるのか

その中身も省令が一行で示しています。
省令は周囲に有効な空間を保有する等と書くだけで、何メートルという数字を置いていません。
火災予防条例(例)のただし書も、防火上支障のない措置と書くにとどまっています。
空間を空けたという事実だけで足りるとは書かれておらず、外部に熱が伝わらないと言えるかどうかが問われる書き方です。
なお火災予防条例(例)でこの項の準用から外れているのは、簡易湯沸設備と燃料電池発電設備とヒートポンプ冷暖房機の三つです。
空間を空けてあるから大丈夫だと現場では言われています。
その空間が何メートルあるかを図面で示せる形にしておいてください。
口頭の説明だけでは措置を講じたと示しきれません。
明日からなにを確認すればよいのか

置き場所と数字と囲いを、この順に見ていきます。
最初に、その設備が屋内にあるかどうかを見ます。
次に銘板や仕様書から入力を読み、厨房なら同じ室にあるものを全部合計します。
350キロワットに届いていたら、その室が壁と柱と床と天井で区画されていて窓と出入口等に防火戸があるかを見ます。
数字や区画の当てはめに迷いが残ったら、図面と入力の一覧を持って所轄消防署に相談してください。
厨房室の一覧表から作ってみます。
室ごとに入力の合計を書いた一覧があると点検も届出も早くなります。
機器を入れ替えたその日に数字を書き直してください。
よくある質問
まとめ
厨房の入力の合計から手を付けます。
数字が先で囲いの話はそのあとです。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法(昭和23年法律第186号)第9条
- 消防法施行令(昭和36年政令第37号)第5条
- 対象火気設備等の位置、構造及び管理並びに対象火気器具等の取扱いに関する条例の制定に関する基準を定める省令(平成14年総務省令第24号)第3条・第8条・第9条・第17条
- 火災予防条例(例)(昭和36年11月22日 自消甲予発第73号)第3条・第3条の4・第8条・第8条の3・第9条の2 総務省消防庁
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





