大規模な建物には自衛消防組織を置く義務があり、その中心に立つのが本部隊です。
ところが消防計画を開いてみると、本部隊という名前だけがあって中身が空欄になっている例は少なくありません。
本部隊がなにをする隊なのかは、消防法施行規則と消防庁のガイドラインを合わせて読むとはっきりします。
この記事では本部隊が行う主な8つの任務と消防計画への書き分け方を条文から順に整理します。
うちのビルの消防計画には本部隊と書いてあるだけで、なにをする隊なのかが書いてありません。
本部隊は自衛消防組織の全体を統べる隊で、統括管理者が直接指揮します。
任務まで書いておかないと、いざというときに誰も動けません。
その任務というのは、どこかに一覧があるのでしょうか。
消防庁のガイドラインが主な任務を並べています。
そこを土台にして自分の建物の言葉に直すのが早道です。
- 本部隊は建物に1隊だけ置き、自衛消防組織の統括管理者が直接指揮する
- 本部隊の任務を書かせる受け皿は消防法施行規則第4条の2の10第3項と消防計画の活動要領の欄である
- 消防庁のガイドラインは本部隊の主な任務を8つ挙げている
- 内部組織を置くなら業務の内容と活動の範囲を区分し要員を配置し統括する者を置く
- 地区隊長から本部隊への報告と連絡の道筋まで書いて初めて計画になる
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目次
自衛消防組織の本部隊とはどの隊を指すのか

その中で全体の指揮を執る隊が本部隊にあたります。
消防庁のガイドラインは本部隊を1隊とし、自衛消防組織の統括管理者が直接指揮すると示しています。
統括管理者は自衛消防組織全体の指揮と命令と監督の一切の権限を持つ立場なので、本部隊はその権限をそのまま形にした隊だと考えると分かりやすくなります。
建物の中に地区隊がいくつあっても、本部隊を二つに増やすことはしません。
まずは自分の消防計画を開いて、本部隊がひとつだけ置かれているかを確かめてください。
フロアごとに本部を置いたほうが動きやすい気がしていました。
フロアごとに置くのは地区隊のほうです。
本部隊が二つあると指揮が割れてしまいます。
本部隊の任務はどの条文が受け皿になっているのか

それでも任務を書かせる規定は、きちんと置かれています。
規則は内部組織を編成するなら業務の内容と活動の範囲を区分し、要員を配置し、統括する者を置けと求めています。
つまり本部隊を置くと決めた時点で、その任務を消防計画に書く作業が付いてきます。
火災に対応する活動要領は防火管理に係る消防計画に、地震などに対応する活動要領は防災管理に係る消防計画に定めます(消防法施行令第49条の読替え)。
どちらの計画にも、本部隊の名前だけを置いて終わらせないでください。
内部組織という言い方が本部隊や地区隊のことなのですね。
そのとおりで、条文は隊の名前ではなく内部組織という言葉で受けています。
だから任務の中身はガイドラインを見にいくことになります。
本部隊は災害のときなにをするのか

消防庁のガイドラインが、本部隊の主な任務を並べています。
指揮統制と状況の把握から始まり、消防機関への情報の提供、在館者への指示、関係機関への連絡、消防用設備等の操作運用、避難状況の把握、地区隊への指揮や指示と続きます。
末尾にその他必要な事項が置かれているので、建物の事情に合わせて足すことができます。
ガイドラインは、本部隊があらゆる災害の初動対応と全体の統制を行い、地区隊が活動しているときもこれに協力して指揮と統制を行うとしています。
自分の消防計画にこの8つが並んでいるかを、そのまま照らし合わせてください。
うちの計画には指揮統制と避難状況の把握しか書いていませんでした。
足りないところを書き足すだけで計画はぐっと使えるものになります。
とくに消防機関への情報の提供は落としやすい欄です。
本部隊の任務を消防計画に書くときなにが抜けやすいのか

規則とガイドラインは、その周りにいくつも条件を付けています。
規則第4条の2の10第3項は、内部組織を置くなら業務の範囲を区分し、要員を配置し、統括する者を置くところまで求めています。
ガイドラインも本部隊と地区隊の別に体制と任務と統括する者を明確にして記載するよう示しており、班を置くなら班ごとの任務と班長まで同じ扱いになります。
地区隊長から本部隊へどう報告し連絡するかを書いていなければ、災害のときに情報がそこで止まります。
統括管理者が不在のときの代行者まで決めておくと、指揮が途切れません。
つまり任務の一覧と担当者の名前は一組で書くということですね。
そこまで書いて初めて消防計画として動きます。
役職で書いておくと人事異動のたびに直さずに済みます。
明日からなにをすればよいのか

新しい調査は要りません。
はじめに消防計画の自衛消防組織の章を開き、本部隊の欄に8つの任務が並んでいるかを見ます。
足りない任務があれば書き足し、その欄の末尾に統括する者の役職を置きます。
次に地区隊長からの報告と連絡の道筋を一行で書き、統括管理者の代行者の順位を添えます。
書き換えた消防計画は変更の届出が必要になりますので、所轄の消防署へ出すところまでを一続きの作業にしてください。
今ある計画に書き足すだけなら今週中にできそうです。
作り直す必要はありません。
届出まで済ませれば次の訓練からその形で動けます。
よくある質問
まとめ
本部隊の欄に任務と統括する者を書き足せばよいのですね。
さっそく消防計画を開いてみます!
書き分けさえできていれば災害のときに指揮が途切れません。
迷ったときは㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法(昭和23年法律第186号)第8条の2の5第1項・第36条第7項
- 消防法施行令(昭和36年政令第37号)第4条の2の5・第4条の2の6・第49条
- 消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第4条の2の10第3項・第51条の10第1項
- 総務省消防庁「大規模地震等に対応した消防計画作成ガイドライン」(平成31年)別冊3 自衛消防組織の編成について
- e-Gov法令検索
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





