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階段の幅や段の高さは建物ごとに決まっているのか|建築基準法施行令が定める階段と踊場の寸法を解説

階段の幅と段の高さはどこまで決まっているのかを表したアイキャッチ画像

階段が狭いと言われても、どこを測って狭いと言われているのかは分かりにくいものです。
実は階段の幅も、一段の高さも、足を乗せる面の奥行きも、建築基準法施行令が数字で決めています。
しかもその数字は建物の用途と規模で四つの区分に分かれていて、同じ建物の中でも階段によって当てはまる区分が変わります。
階段の寸法は設計のときだけの話ではなく、改装や物置きで日々こわれていく管理の話です

うちのビルの階段が狭いと立入検査で言われました。
そもそも階段の幅に決まりなんてあるんですか。

あります。
幅も段の高さも奥行きも建築基準法施行令がセンチ単位で決めています。

建てたときに確認を受けているなら、もう気にしなくてよいのでは。

そこが落とし穴で、後付けの手すりや置き荷物で有効な幅は簡単に減ります。
今の姿で測るのが立入検査です。

この記事の結論
  • 階段の幅と蹴上げと踏面は建築基準法施行令第23条第1項の表で決まっている
  • 表は建物の用途と規模で四つの区分に分かれ、どれにも当たらない一般の階段は幅75センチメートル以上で蹴上げ22センチメートル以下で踏面21センチメートル以上
  • 階段の高さが一定を超えると踊場を設けなければならず、直階段の踊場の踏幅は1.2メートル以上
  • 階段には手すりを設けなければならず、幅が三メートルを超えると中間にも要る
  • 後付けの手すりは幅10センチメートルまでしか差し引かないで済まないため、有効な幅が足りているかを実測で確かめる

階段の幅と蹴上げと踏面の下限と踊場と手すりの決まりを並べた図

階段の寸法はどこで決められているのか

階段のある建物と図面と点検にあたる担当者を並べた図
階段の寸法は現場の慣習ではなく法令が持っています。
まず、どの法律のどこから降りてきている決まりなのかを押さえます。
建築基準法第36条(この章の規定を実施し、又は補足するため必要な技術的基準) 居室の採光面積、天井及び床の高さ、床の防湿方法、階段の構造、便所、防火壁、防火床、防火区画、消火設備、避雷設備及び給水、排水その他の配管設備の設置及び構造並びに浄化槽、煙突及び昇降機の構造に関して、この章の規定を実施し、又は補足するために安全上、防火上及び衛生上必要な技術的基準は、政令で定める
建築基準法施行令第23条第1項(階段及びその踊場の幅並びに階段の蹴上げ及び踏面の寸法) 階段及びその踊場の幅並びに階段の蹴上げ及び踏面の寸法は、次の表によらなければならない。ただし、屋外階段の幅は、第百二十条又は第百二十一条の規定による直通階段にあつては九十センチメートル以上、その他のものにあつては六十センチメートル以上、住宅の階段(共同住宅の共用の階段を除く。)の蹴上げは二十三センチメートル以下、踏面は十五センチメートル以上とすることができる。
階段の寸法は政令が表で決めています
建築基準法第36条は階段の構造を名指しして、必要な技術的基準は政令で定めると書いています。
その政令が建築基準法施行令で、第23条第1項が幅と蹴上げと踏面をまとめて表に落としています。
蹴上げは一段の高さ、踏面は足を乗せる面の奥行きのことです。
つまり、階段のきつさは数字で判定できるということなので、感覚で言い合う必要はありません。

消防法ではなく建築基準法の側の決まりなんですね。

そのとおりです。
寸法そのものは建築基準法で、置き荷物などの日々の管理は消防法という分かれ方です。

どの階段がどの寸法の区分に当てはまるのか

幅の広い階段と中くらいの階段と狭い階段を並べた図
区分は建物の用途と、その階が抱えている床面積で切り替わります。
表の四つの行を上から順に見ていきます。
建築基準法施行令第23条第1項の表 (一)小学校(義務教育学校の前期課程を含む。)における児童用のもの/(二)中学校(義務教育学校の後期課程を含む。)、高等学校若しくは中等教育学校における生徒用のもの又は物品販売業(物品加工修理業を含む。)を営む店舗で床面積の合計が千五百平方メートルを超えるもの、劇場、映画館、演芸場、観覧場、公会堂若しくは集会場における客用のもの/(三)直上階の居室の床面積の合計が二百平方メートルを超える地上階又は居室の床面積の合計が百平方メートルを超える地階若しくは地下工作物内におけるもの/(四)(一)から(三)までに掲げる階段以外のもの
階段の種別階段及びその踊場の幅蹴上げの寸法踏面の寸法
(一)小学校の児童用140センチメートル以上16センチメートル以下26センチメートル以上
(二)中学校や高等学校の生徒用 床面積の合計が1,500平方メートルを超える物品販売業を営む店舗や劇場などの客用140センチメートル以上18センチメートル以下26センチメートル以上
(三)直上階の居室の床面積の合計が200平方メートルを超える地上階など120センチメートル以上20センチメートル以下24センチメートル以上
(四)(一)から(三)まで以外のもの75センチメートル以上22センチメートル以下21センチメートル以上
多くの事務所や店舗の階段は(四)に入ります
(四)は幅75センチメートル以上で蹴上げ22センチメートル以下、踏面21センチメートル以上という下限です。
一方で、同じ建物の中でも直上階の居室の床面積の合計が200平方メートルを超える地上階の階段は(三)に上がり、幅は120センチメートル以上に跳ねます。
劇場や集会場の客用、床面積の合計が1,500平方メートルを超える物販店の客用は(二)で、幅140センチメートル以上が要ります。
自分の建物がどの行かは階段ごとに見るものなので、まず用途と直上階の床面積を確かめてください。

建物ごとではなく階段ごとに区分が決まるんですね。

はい。
誰が使う階段でどの階を支えているかで行が変わるので、図面の階段記号ごとに拾ってください。

踊場と手すりにはなにが求められるのか

踊場で区切られた階段と手すりの付いた階段を並べた図
寸法の次は、途中で足を止められる場所と、つかまる場所です。
どちらも義務として書かれています。
建築基準法施行令第24条(踊場の位置及び踏幅) 前条第一項の表の(一)又は(二)に該当する階段でその高さが三メートルをこえるものにあつては高さ三メートル以内ごとに、その他の階段でその高さが四メートルをこえるものにあつては高さ四メートル以内ごとに踊場を設けなければならない
2 前項の規定によつて設ける直階段の踊場の踏幅は、一・二メートル以上としなければならない。
建築基準法施行令第25条(階段等の手すり等) 階段には、手すりを設けなければならない
2 階段及びその踊場の両側(手すりが設けられた側を除く。)には、側壁又はこれに代わるものを設けなければならない
3 階段の幅が三メートルをこえる場合においては、中間に手すりを設けなければならない。ただし、けあげが十五センチメートル以下で、かつ、踏面が三十センチメートル以上のものにあつては、この限りでない。
4 前三項の規定は、高さ一メートル以下の階段の部分には、適用しない。
踊場は転落を止める装置です
(一)と(二)の階段は高さ3メートル以内ごと、それ以外の階段は高さ4メートル以内ごとに踊場が要ります。
その踊場が直階段のものであれば、踏幅は1.2メートル以上でなければなりません。
手すりは幅の広い狭いにかかわらず必要で、幅が三メートルを超える階段には中間にも手すりが要ります。
なお、高さが1メートル以下の階段の部分にはこれらの規定が及ばないので、数段だけの段差に手すりが無いことをもって違反とは言えません。

つまり手すりは付けるか付けないかを選べるものではないんですね。

そうです。
外れたまま直していない手すりがあれば、まずそこから復旧してください。

実務で見落としやすいのはどこか

回り階段と物差しと両側に手すりの付いた階段を並べた図
同じ階段でも、どこを測るかで数字は変わります。
測り方そのものを決めている項があります。
建築基準法施行令第23条第2項 回り階段の部分における踏面の寸法は、踏面の狭い方の端から三十センチメートルの位置において測るものとする。
3 階段及びその踊場に手すり及び階段の昇降を安全に行うための設備でその高さが五十センチメートル以下のもの(以下この項において「手すり等」という。)が設けられた場合における第一項の階段及びその踊場の幅は、手すり等の幅が十センチメートルを限度として、ないものとみなして算定する
手すりは10センチメートルまでしか見逃してもらえません
第23条第3項は、手すり等の幅を10センチメートルを限度として無いものとみなすと書いています。
つまり、壁から15センチメートル出っ張る手すりを後から付けたら、超えた分は階段の幅から実際に引かれます。
回り階段も同じで、狭い側の端から30センチメートルの位置で踏面を測るため、中心寄りの一番狭い所だけを見て足りないと判断するものではありません。
逆に、昇降機機械室用階段や物見塔用階段のような特殊の用途に専用する階段は第23条から第25条までが適用されない(同令第27条)ので、対象かどうかを先に切り分けてください。

手すりを増やしたら幅が足りなくなることがあるということですか。

起こり得ます。
後付けの前に、出っ張りを含めた実寸を測っておくと安全です。

明日からなにを確認すればよいのか

段ボールが積まれた階段と何も置かれていない階段を並べた図
寸法が足りていても、置かれた物で使える幅は減ります。
そこを見ているのが消防法の側の決まりです。
消防法第8条の2の4 学校、病院、工場、事業場、興行場、百貨店、旅館、飲食店、地下街、複合用途防火対象物その他の防火対象物で政令で定めるものの管理について権原を有する者は、当該防火対象物の廊下、階段、避難口その他の避難上必要な施設について避難の支障になる物件が放置され、又はみだりに存置されないように管理し、かつ、防火戸についてその閉鎖の支障になる物件が放置され、又はみだりに存置されないように管理しなければならない。
確認は測ることと片づけることの二本立てです
まず巻尺を持って、階段ごとに幅と蹴上げと踏面を実測し、当てはまる区分の下限を満たしているかを記録してください。
次に、踊場や段の上に置かれた段ボール、掃除道具、季節用品をその場で撤去します。
消防法第8条の2の4は物件が放置され、又はみだりに存置されないように管理せよと書いているので、置いていること自体が管理の欠けになります。
測った結果と片づけた記録を残しておけば、次の立入検査で説明できる材料になります。

今日のうちに巻尺で測って写真を残しておきます。

それが一番早いです。
階段の番号と測った日付を写真に写し込んでおくと後から探しやすくなります。

よくある質問

Q屋外に付いている鉄骨の階段も同じ幅が要りますか?
A建築基準法施行令第23条第1項ただし書に屋外階段の扱いがあり、同令第120条又は第121条の規定による直通階段であれば九十センチメートル以上、その他のものであれば六十センチメートル以上とすることができるとされています。表の数字がそのまま当たるわけではありません。
Q住宅の階段は事務所と同じ寸法ですか?
A同じただし書に住宅の階段の定めがあり、共同住宅の共用の階段を除く住宅の階段は、蹴上げを二十三センチメートル以下、踏面を十五センチメートル以上とすることができます。共用の階段はこの緩和から外れます。
Q階段の代わりのスロープにも決まりはありますか?
A建築基準法施行令第26条が階段に代わる傾斜路を定めていて、勾配は八分の一を超えないこと、表面は粗面とし又はすべりにくい材料で仕上げることとされています。幅や踊場や手すりの規定も準用されます。
Q階段に一時的に荷物を置くだけでも駄目ですか?
A消防法第8条の2の4は避難の支障になる物件が放置され、又はみだりに存置されないように管理することを求めています。作業中に人が付いている状態と、置いたまま離れる状態は別物なので、置きっぱなしにしないことが管理の中身になります。

まとめ

建築基準法第36条が階段の構造の技術的基準を政令に委ねている
幅と蹴上げと踏面は建築基準法施行令第23条第1項の表で決まる
どの行にも当たらない一般の階段は幅75センチメートル以上で蹴上げ22センチメートル以下で踏面21センチメートル以上
踊場は高さ3メートル又は4メートル以内ごとに要り、直階段の踊場の踏幅は1.2メートル以上
階段には手すりが要り幅が三メートルを超えれば中間にも要る
手すり等の幅は10センチメートルを限度として無いものとみなして幅を算定する
寸法が足りていても置き荷物があれば消防法第8条の2の4の管理が問われる

階段ごとに区分を拾って実測するところから始めます。

その順番が正解です。
判断に迷う階段があれば㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

まずはWebで無料お見積りを!

お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
主な活動

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

参考・出典

  • 建築基準法(昭和25年法律第201号)第36条(e-Gov法令検索)
  • 建築基準法施行令(昭和25年政令第338号)第23条・第24条・第25条・第26条・第27条(e-Gov法令検索)
  • 消防法(昭和23年法律第186号)第8条の2の4(e-Gov法令検索)

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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