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災害のときマスコミの取材には誰が答えるのか|消防計画に定める広報対応の体制を解説

災害のときのマスコミ対応は誰が答えるのか 消防計画に定める広報対応の体制を解説する記事のアイキャッチ

火災や地震が起きた建物には、消防や警察だけでなく報道関係者が来ることがあります。
カメラを向けられたその場で、たまたま近くにいた従業員が答えてしまうと、あとから話が食い違います。
消防庁のガイドラインは、マスコミ等に対して広報対応を行う場合の体制を消防計画に盛り込むよう求めています。
この記事では報道関係者が現場に入れる根拠と広報対応の体制を消防計画のどこに書くのかを条文から順に整理します

近所のビルで火事があった日に、カメラを持った人が何人も道路に立っていました。
もしうちの建物だったら、あの人たちには誰が答えることになるんでしょうか。

決めていなければ、たまたまその場にいた人が答えることになります。
消防庁のガイドラインは広報対応の体制を消防計画に盛り込むよう求めています。

そもそも報道の人は、消防が来ている現場の近くまで入れるものなんですか。

消防法施行規則には、消防警戒区域に立ち入れる者として報道に関する業務に従事する者が挙がっています。
つまり建物側は応対する側に立つ前提で考えておく必要があります。

この記事の結論
  • 火災の現場には消防警戒区域が設定され、消防法施行規則第48条第1項第六号に報道に関する業務に従事する者が並んでいます
  • 現場の状況により必要があるときは報道関係者の出入りも禁止や制限ができます(同条第2項)
  • 地震などの災害でも消防法第36条第8項により第28条が準用されるので同じ扱いになります
  • マスコミ対応という言葉は消防法や施行令や施行規則の条文には出てきません
  • 受け皿になるのは消防法施行規則第51条の10第1項第三号と第51条の8第1項第一号チで、そこへ体制として書きます

災害のときの広報対応は誰がどこまで答えるのか 通報が先で答える人と範囲を決め消防計画に書いておく流れの図解

災害のときの広報対応とはなにを指すのか

建物の前で応対する担当者とカメラとマイクを持った報道関係者
広報対応は、建物の外に向けて起きたことを説明する仕事です。
消防や関係機関への通報連絡とは、相手も目的も違います。
消防庁「大規模地震等に対応した消防計画作成ガイドライン」(平成31年) 第2 具体的な消防計画の構成 3 応急対策的事項 ⑵ 火災に特有の内容 イ 通報連絡
消防機関や関係機関との通報連絡の活動要領を具体的に記載する。
マスコミ等に対して広報対応を行う場合の体制等を盛り込む。
相手が違います。
通報連絡の相手は消防機関や関係機関で、目的は消防隊に早く正しく動いてもらうことです。
広報の相手は報道機関で、目的は建物の外にいる人に起きたことを伝えることです。
ガイドラインはこの二つを通報連絡という同じ項目の中に並べて置き、広報対応を行う場合の体制等を盛り込むと書いています。
つまり通報連絡の活動要領を決めるときに、広報の分も一緒に決めておくという整理になっています。
まずは自分の建物の消防計画を開いて、通報連絡の欄に広報の記述があるかを見てください。

うちの計画の通報連絡の欄には、消防への通報のことしか書いていない気がします。

多くの建物がその状態です。
まずは通報連絡の欄に一行足すところから始めてください。

報道関係者は火災や地震の現場に入れるのか

建物の前に張られた区域の境と内側に立つ隊員と外側に置かれた取材用のカメラ
現場に区域が引かれると、入れる人は法令で決まります。
その一覧に報道関係者が名前で挙がっています。
消防法第二十八条第一項
火災の現場においては、消防吏員又は消防団員は、消防警戒区域を設定して、総務省令で定める者以外の者に対してその区域からの退去を命じ、又はその区域への出入を禁止し若しくは制限することができる。

消防法施行規則第四十八条第一項
法第二十八条第一項の命令で定める者は、次の各号に掲げる者とする。
(略)
六 報道に関する業務に従事する者

消防法施行規則第四十八条第二項
消防吏員又は消防団員は、現場の状況により必要がある場合は、前項第一号、第二号、第六号及び第七号に掲げる者の全部又は一部に対して、出入を禁止し、又は制限することができる。
名前で挙がっています。
消防法第28条第1項の消防警戒区域は、消防吏員又は消防団員が設定します。
そこへ立ち入れる者は施行規則第48条第1項が七つ並べていて、その第六号が報道に関する業務に従事する者です。
ただし同条第2項は、現場の状況により必要がある場合に第一号と第二号と第六号と第七号の者へ出入りの禁止や制限ができるとしていて、報道関係者もその対象に含まれています。
さらに消防法第36条第8項により第24条から第29条までが水災を除く他の災害へ準用されるので、地震のときも同じ仕組みで区域が引かれます。
建物の側から見ると、区域の外に人が集まる場面は制度上あらかじめ想定されているということになります。

報道の人を追い返すかどうかは、建物側が決めることではないんですね。

区域の出入りを決めるのは消防吏員又は消防団員です。
建物側が決めるのは、来た人に誰がどこまで答えるかのほうです。

消防計画には広報の体制をどう定めるのか

机の上に開かれた消防計画のバインダーと体制を示す図が貼られたボード
条文にマスコミという言葉はありません。
それでも書く場所は用意されています。
消防法施行規則第五十一条の十第一項
防災管理者は、令第四十九条の規定により読み替えて準用する令第四条の二の六の規定により、自衛消防組織の業務に関し、おおむね次の各号に掲げる事項について、防災管理に係る消防計画に定めなければならない。
一 関係機関への通報、在館者が避難する際の誘導その他の火災以外の災害の被害の軽減のために必要な業務として自衛消防組織が行う業務に係る活動要領に関すること。
二 自衛消防組織の要員に対する教育及び訓練に関すること。
三 その他自衛消防組織の業務に関し必要な事項
活動要領の中か、その他の事項で受けます。
第一号が求めているのは自衛消防組織が行う業務に係る活動要領で、通報と避難誘導がその代表として名前を出されています。
広報対応もガイドラインでは通報連絡の項目に置かれているので、活動要領の一部として書くのが素直な読み方です。
活動要領と切り離して独立の項目にしたい場合は、第三号のその他自衛消防組織の業務に関し必要な事項で受けることになります。
どちらで書くにしても、答える人と代わりの人と答えてよい範囲の三つが決まっていれば計画としては形になります。
自衛消防組織を置かない建物であれば、次の見出しで扱う基本的な事項のほうへ書きます。

つまり新しい欄を作らなくても、いまある活動要領の中に書けばよいということですね。

そのとおりです。
欄を増やすより、いまの通報連絡の欄に続けて書くほうが訓練でも使いやすくなります。

広報の体制を決めるときに見落としやすいのはどこか

受話器で通報している担当者と受話器を置いたままカメラの前に立ってしまった担当者の対比
順番を取り違えると、本来の業務が止まります。
条文が挙げている応急措置の中身を見ると、そのことがはっきりします。
消防法施行規則第五十一条の八第一項第二号
令第四十五条第一号に掲げる災害(以下この号において「地震」という。)による被害の軽減に関する事項として次に掲げる事項
(略)
ホ 地震発生時における通報連絡、避難誘導、救出、救護その他の地震による被害の軽減のための応急措置に関すること。
応急措置に広報は入っていません。
条文が名前を挙げているのは通報連絡と避難誘導と救出と救護で、広報はその後ろの「その他」に含まれるかどうかという位置づけです。
だから広報を担当する人を決めるときに、通報連絡の担当者をそのまま兼ねさせると、消防機関への通報や関係機関への連絡が後回しになりかねません。
ガイドラインも通報連絡班について一班あたり三人程度を適当とし、被害状況の確認に二人と連絡に一人という例を挙げていて、広報の分の人手までは見込んでいません。
答える人を決めるときは、通報と連絡の手が空く人か、そもそも別の人を当てるかを先に決めてください。
そのうえで、答えてよいのは公表されている事実の範囲までという線も一緒に決めておくと現場が迷いません。

通報の担当者に広報も任せるつもりでいましたが、それだと通報が遅れそうですね。

そこが分かれ目です。
通報が終わるまでは誰も答えないと決めておくだけでも順番は守れます。

明日からなにをすればよいのか

建物の前に置かれた一つの受付台と順番に並ぶ報道関係者
書く場所は基本的な事項の側にも用意されています。
自衛消防組織を置かない建物はこちらを使います。
消防法施行規則第五十一条の八第一項第一号
防災管理に関する基本的な事項として次に掲げる事項
イ 自衛消防の組織に関すること。
(略)
ヘ 防災管理についての関係機関との連絡に関すること。
(略)
チ イからトまでに掲げるもののほか、建築物その他の工作物における防災管理に関し必要な事項
チで受けられます。
基本的な事項のイからトまでを見ても広報の文字は無く、受け皿になるのはチのその他必要な事項です。
明日からの手順は三つで、まず消防計画の通報連絡の欄を開いて広報の記述があるかを確かめます。
次に答える人と不在時に代わる人を役職で決めて、氏名ではなく役職で書いておきます。
最後に答えてよい範囲を、確認できた事実に限ると一行で書き添えてください。
この三つが決まったら、訓練の想定に取材への応対を一場面だけ足して、決めたことがそのまま使えるかを確かめてください。

氏名ではなく役職で書いておけば、人が代わっても直さなくてよいということですね。

そのほうが計画は長持ちします。
次の訓練の想定に取材への応対を一場面だけ足してみてください。

よくある質問

Q消防計画に広報対応を書かないと違反になりますか?
A消防法や施行令や施行規則の条文に、マスコミ対応という項目そのものは置かれていません。書いていないこと自体をとらえた規定は見当たらないため、条文の文言だけを根拠に違反と決めつけることはできません。ただし消防庁のガイドラインは体制等を盛り込むよう求めているので、指導の場面で確認されることはあります。判断は所轄消防署にご確認ください。
Q報道関係者を敷地から出ていってもらうことはできますか?
A消防警戒区域への出入りの禁止や制限を行うのは消防吏員又は消防団員で、消防法第28条第1項と施行規則第48条第2項がその根拠です。建物側が独自に区域を設定できる規定は消防法にはありません。敷地の管理そのものは別の問題になるため、個別の対応は所轄消防署と相談してください。
Q地震のときも同じ考え方でよいのですか?
A消防法第36条第8項は、第18条第2項と第22条と第24条から第29条までなどを水災を除く他の災害へ準用しています。第28条もこの中に入っているので、地震のときも消防警戒区域が設定され、立ち入れる者の一覧は同じ施行規則第48条によります。
Q答える人は防災管理者でなければいけませんか?
A誰が答えるかを指定した条文はありません。施行規則第51条の10第1項は活動要領を定めるよう求めているだけなので、建物ごとに決めて計画に書くという形になります。災害のときに防災管理者や統括管理者は現場の指揮で手がふさがることが多いため、別の役職を当てておく組み方も考えられます。

まとめ

広報対応は建物の外へ説明する仕事で、通報連絡とは相手も目的も違います
消防庁のガイドラインは広報対応の体制等を消防計画に盛り込むよう求めています
消防警戒区域に立ち入れる者の一覧は施行規則第48条第1項で、第六号に報道に関する業務に従事する者があります
出入りの禁止や制限を決めるのは消防吏員又は消防団員で建物側ではありません
地震のときも消防法第36条第8項の準用により同じ仕組みで区域が引かれます
書く場所は施行規則第51条の10第1項の活動要領か第三号のその他の事項、または第51条の8第1項第一号チです
答える人と代わりの人と答えてよい範囲の三つを役職で書いておきます

今週中に通報連絡の欄へ答える役職を書き足します。
次の訓練でも試してみます。

それだけで現場の迷いはぐっと減ります。
消防計画の書き方でお困りでしたら㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

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お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
主な活動

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

参考・出典

  • 消防法第28条第1項
  • 消防法第36条第1項及び第8項
  • 消防法施行令第45条及び第49条
  • 消防法施行規則第48条(消防警戒区域出入者)
  • 消防法施行規則第51条の8(防災管理に係る消防計画)
  • 消防法施行規則第51条の10(消防計画において自衛消防組織の業務に関し定める事項)
  • 総務省消防庁「大規模地震等に対応した消防計画作成ガイドライン」(平成31年)
  • e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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