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排煙設備の煙は自然に外へ出ていくのか|排煙機が必要になる条件と求められる能力を解説

建物の屋上に据えられた排煙機のユニット

天井の隅にある細長い格子が排煙口だということは、防火管理者の講習で習うと思います。
けれども、そこから吸い込まれた煙がどこを通って建物の外へ出ていくのかまでは、あまり説明されません。
煙の通り道は排煙風道で、それを引っぱるのが屋上や機械室にある排煙機です。
排煙口が開いても機械が止まっていれば煙は外へ出ていきません

天井の排煙口は毎年見ているんですが、吸った煙がどこへ行くのかを聞かれて答えられませんでした。
あの先はどうなっているんでしょうか。

外気に面していない排煙口は排煙風道につながっています。
その風道の先に排煙機が付いている建物が多いです。

うちのビルにも屋上に大きな送風機のような箱があります。
あれが止まっていても誰も気づかない気がします。

だから条文は排煙機に予備電源まで求めています。
今日はその条件と能力の基準を順に見ていきましょう。

この記事の結論
  • 排煙口は直接外気に接する場合を除き、排煙風道に直結することが求められている
  • 排煙口が防煙区画部分の床面積の五十分の一以上の開口面積を持ち直接外気に接する場合だけ排煙機が要らない
  • 排煙機は一の排煙口の開放に伴い自動的に作動するものでなければならない
  • 能力は一分間に120立方メートル以上で、かつ防煙区画部分の床面積1平方メートルにつき1立方メートル以上が要る
  • 電源を必要とする排煙設備には予備電源を設けなければならない

排煙口と排煙風道と排煙機のつながりと予備電源をまとめた図解

排煙口を開けたあと煙はどこへ運ばれるのか

天井の排煙口と風道と屋上の排煙機のつながりを示した図
排煙口は煙の入口であって、出口ではありません。
条文は入口のあとの経路まで指定しています。
建築基準法施行令第126条の3第1項第三号 排煙口は、第一号の規定により区画された部分(以下「防煙区画部分」という。)のそれぞれについて、当該防煙区画部分の各部分から排煙口の一に至る水平距離が三十メートル以下となるように、天井又は壁(略)に設け、直接外気に接する場合を除き、排煙風道に直結すること
煙は風道を通って外へ出ます
この号は排煙口を防煙区画部分ごとに置く位置を決めたうえで、その先の接続まで求めています。
外気に面していない排煙口は、必ず排煙風道に直結していなければなりません。
逆にいえば、外壁の開口部がそのまま排煙口になっている部屋には風道がないこともあります。
直接外気に接するかどうかで、その先に何が要るかが分かれると覚えてください。

天井を張り替えた売場があるんですが、風道との接続はどこで分かりますか。

竣工時の設備図に風道の系統が描かれています。
工事のあとは施工者に接続の写真をもらっておくと確かめられます。

排煙機を設けなくてよいのはどんなときか

外壁の大きな開口部だけの部屋と風道で排煙機につながる部屋を並べた図
すべての建物に排煙機があるわけではありません。
機械が要らない場合は条文にはっきり書かれています。
建築基準法施行令第126条の3第1項第八号 排煙口が防煙区画部分の床面積の五十分の一以上の開口面積を有し、かつ、直接外気に接する場合を除き、排煙機を設けること
自然に出ていくなら機械は要りません
除かれるのは、開口面積が五十分の一以上あることと、直接外気に接していることの二つを満たす場合だけです。
外壁に面していても、開口面積がその割合に足りなければ排煙機が要ります。
割合は防煙区画部分ごとに見るので、間仕切りを足して区画を切り直せば必要な開口面積も変わります。
テナントの入れ替えで壁を動かした売場は、この二つを満たしたままかを設計者に確かめてください。

窓が大きければ排煙機は要らないと思い込んでいました。

大きさではなく区画の床面積との割合で決まります。
まず自分の建物の防煙区画部分の広さを図面で押さえましょう。

排煙機にはどれだけの能力が求められるのか

区画された床と排煙機と排出される空気の量を示した図
排煙機は付いていればよいというものではありません。
動き方と風量の下限まで決められています。
建築基準法施行令第126条の3第1項第九号 前号の排煙機は、一の排煙口の開放に伴い自動的に作動し、かつ、一分間に、百二十立方メートル以上で、かつ、防煙区画部分の床面積一平方メートルにつき一立方メートル(二以上の防煙区画部分に係る排煙機にあつては、当該防煙区画部分のうち床面積の最大のものの床面積一平方メートルにつき二立方メートル)以上の空気を排出する能力を有するものとすること。
能力には下限が決められています
まず排煙機は、排煙口を一つ開けただけで自動的に作動しなければなりません。
風量は一分間に120立方メートル以上で、これは建物の広さに関係なくかかる下限です。
そのうえで防煙区画部分の床面積1平方メートルにつき1立方メートル以上が要り、二以上の防煙区画部分を受け持つ排煙機なら床面積が最大の区画について1平方メートルにつき2立方メートル以上が要ります。
広い区画を一台でまかなっている建物ほど、後ろの計算のほうが効いてきます。

つまり誰かが屋上へ走って起動しに行く設備ではないんですね。

そのとおりで、手動開放装置を引けば機械のほうが自分で回ります。
だから装置の前をふさがないことがそのまま排煙機の話につながります。

停電したときも排煙機は回るのか

排煙機と予備電源の盤をつなぐ配線を示した図
火災のときは電気が止まることがあります。
条文はそこまで見越した造りを求めています。
建築基準法施行令第126条の3第1項第十号 電源を必要とする排煙設備には、予備電源を設けること
同項第二号 排煙機を設ける排煙設備の排煙口、風道その他煙に接する部分は、不燃材料で造ること。
電源が要る設備には予備電源が要ります
排煙機は電気で回るので、停電したままでは煙を押し出せません。
そのために第十号は予備電源を設けることを求めています。
第二号は、排煙機を設ける排煙設備の排煙口や風道など煙に接する部分を不燃材料で造ることを求めています。
さらに第七号は、排煙風道を建築基準法施行令第115条第1項第3号の構造とし、防煙壁を貫通する部分のすき間をモルタルその他の不燃材料で埋めることまで求めています。

予備電源の盤がどれなのか、正直わかっていません。
機械室の中を見てもよいものでしょうか。

盤の操作は資格が要るので、扉を開けずに位置だけ押さえてください。
場所が分かれば前に物を積まない管理ができます。

明日からなにを確認すればよいのか

監視盤の前で記録を確かめる担当者
排煙機そのものを動かす必要はありません。
建物側でできるのは場所と状態を押さえておくことです。
建築基準法施行令第126条の3第1項第十一号 法第三十四条第二項に規定する建築物又は各構えの床面積の合計が千平方メートルを超える地下街における排煙設備の制御及び作動状態の監視は、中央管理室において行うことができるものとすること
建築基準法第8条第1項 建築物の所有者、管理者又は占有者は、その建築物の敷地、構造及び建築設備を常時適法な状態に維持するように努めなければならない
見るところは決まっています
高さが31メートルを超える建築物や大規模な地下街では、排煙設備の制御と作動状態の監視を中央管理室で行えるようにすることが求められています。
そして建築基準法第8条第1項は、所有者や管理者や占有者に建築設備を常時適法な状態に維持する努力を求めています。
排煙機の電源を切ったままにしたり、盤や監視卓の前に物を積んだりすると、この維持ができていない状態になります。
まずは屋上や機械室にある排煙機の位置と、予備電源の盤の位置を図面に印を付けて共有してください。

図面に印を付けるだけなら今日からできそうです。

その図面が交代した担当者への引き継ぎにもなります。
あわせて定期の検査報告の書類も同じ場所にまとめておきましょう。

よくある質問

Q排煙口が外壁にあれば排煙機は要らないのですか?
A外壁にあることだけでは足りません。建築基準法施行令第126条の3第1項第八号が除いているのは、排煙口が防煙区画部分の床面積の五十分の一以上の開口面積を持ち、かつ直接外気に接する場合です。開口面積が足りなければ排煙機が必要になります。
Q火災のときは誰かが排煙機を起動しに行くのですか?
Aその必要はありません。同項第九号は排煙機を一の排煙口の開放に伴い自動的に作動するものとすることを求めています。手動開放装置を操作して排煙口が開けば、排煙機はそれに続いて回りはじめます。
Q予備電源はどのくらいの容量が必要なのですか?
A同項第十号は予備電源を設けることとだけ定めており、容量や継続時間はこの号には書かれていません。実際の仕様は設計時に決まっているものなので、設計図書か所轄の特定行政庁にご確認ください。
Q排煙風道は普通の空調ダクトと同じ造りでよいのですか?
A同じではありません。同項第二号は煙に接する部分を不燃材料で造ることを、第七号は排煙風道を建築基準法施行令第115条第1項第3号の構造とし、防煙壁を貫通する部分のすき間を不燃材料で埋めることを求めています。

まとめ

排煙口は煙の入口で、外気に面していなければ排煙風道に直結することが求められている
五十分の一以上の開口面積と直接外気に接することの両方を満たすときだけ排煙機が省かれる
開口面積の割合は防煙区画部分ごとに見るので、間仕切りを足すと結論が変わることがある
排煙機は一の排煙口の開放に伴い自動的に作動するものでなければならない
能力は一分間に120立方メートル以上で、かつ床面積1平方メートルにつき1立方メートル以上が要る
煙に接する部分は不燃材料で造り、防煙壁を貫通するすき間も不燃材料で埋める
電源を必要とする排煙設備には予備電源を設けなければならない

明日いちばんに、屋上の排煙機と予備電源の盤の位置を図面で確かめます。

位置が分かれば維持管理はぐっと楽になります。
判断に迷うところがあれば㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

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お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
主な活動

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

参考・出典

  • 建築基準法(昭和25年法律第201号)第8条第1項・第34条第2項
  • 建築基準法施行令(昭和25年政令第338号)第115条第1項第3号・第126条の2第1項・第126条の3第1項
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※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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