地下街のテナントで天井をさわる工事をするときスプリンクラーヘッドをどこまで動かしてよいのか迷うことがあります。
地下街のヘッドは同じ建物の中の売場とは別の条文で位置と間隔が決められています。
しかも天井の下だけでなく天井裏にも設ける決まりが置かれています。
この記事では消防法施行令と消防法施行規則の条文だけを見て地下街と準地下街のヘッドの決まりを整理します。
地下街の店舗を借りているのですが天井の点検口を開けると中にもヘッドが付いていました。
ふつうのビルでは見た覚えがありません。
地下街は天井裏にも設けることになっています。
条文が地下街だけを取り出して別に書いているところです。
厨房のまわりだけヘッドが多いのも関係がありますか。
ほかの区画とくらべて明らかに数が違うのです。
関係があります。
厨房のまわりは水平距離が1.7メートル以下と短く決められています。
- 地下街は延べ面積が1,000平方メートル以上になるとスプリンクラー設備の対象になります
- 準地下街は延べ面積1,000平方メートル以上に加えて特定の用途の部分が500平方メートル以上であることが条件です
- 店舗や事務所は高さ6メートル超地下道は10メートル超の部分が放水型ヘッド等になります
- 地下街のヘッドは天井の室内に面する部分と天井裏の両方に設けることとされています
- 水平距離は厨房まわりが1.7メートル以下その他の部分が2.1メートル以下です
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目次
地下街と準地下街にスプリンクラー設備が要るのはどの規模からか

まず条文がどの規模から設備を求めているかを見ます。
地下街は令別表第一(16の2)項の防火対象物で延べ面積が1,000平方メートル以上になると設備の対象になります。
準地下街は同表(16の3)項で延べ面積の条件に加えて劇場や店舗などの用途に供される部分の床面積の合計が500平方メートル以上であることが求められます。
どちらも階ごとや床面積ごとに区切って判定するのではなく地下街や準地下街の全体をひとつの単位として見ます。
自分の店舗が入っている地下街の延べ面積を管理会社に確かめておくと点検の立会いで話が早くなります。
自分の店の面積ではなく地下街の全体で見るのですね。
入居しているだけでも関わってくるわけですか。
そのとおりです。
まずは地下街の延べ面積を管理会社に聞いておいてください。
どんな種別のヘッドを設けることになるのか

分かれ目になるのは床面から天井までの高さです。
地下街では店舗や事務所その他これらに類する施設の部分は床面から天井までの高さが6メートルを超えると放水型ヘッド等になります。
同じ地下街でも地下道の部分は10メートルを超えたところが分かれ目で線の引き方が違います。
準地下街には地下道の区分が置かれておらず6メートルを超える部分が放水型ヘッド等です。
それ以外の部分はどちらも閉鎖型スプリンクラーヘッドのうち標準型ヘッドを使います。
通路の吹き抜けだけ天井が高いのですがそこは別の扱いになるのですね。
同じ地下街の中でも変わるとは思いませんでした。
部分ごとに見ることになります。
図面に天井の高さを書き込んでおくとどちらの数字なのかが一目で分かります。
天井裏にもヘッドを設けなければならないのか

条文はヘッドを設ける場所を二か所に分けて書いています。
地下街では部屋から見える天井面だけでなくその上の天井裏にもヘッドを設けることが原則になっています。
外れるのは二つの場合だけで天井の室内に面する部分の仕上げを不燃材料にした部分か天井裏の高さが0.5メートル未満の部分です。
つまり天井を張り替えて仕上げ材を変えたり天井裏の高さが変わるような工事をしたりすると必要なヘッドの数が変わることがあります。
天井の内装工事を計画するときは着工前に所轄消防署と設計者へ確認してください。
天井裏の高さで変わるというのは知りませんでした。
点検口からのぞいておくとよさそうですね。
のぞくだけでも十分に意味があります。
天井裏に配線や配管を足す工事のときは先に点検事業者へ声をかけてください。
厨房のまわりと準地下街で水平距離はどう変わるのか

準地下街ではさらに建物の構造も効いてきます。
地下街では厨房その他火気を使用する設備または器具を設置する部分が1.7メートル以下その他の部分が2.1メートル以下です。
準地下街も厨房のまわりは1.7メートル以下で同じですが特定主要構造部を耐火構造としたものであればその他の部分は2.3メートル以下まで広がります。
そして準地下街の条文には天井裏の文言が無く天井の室内に面する部分に設けることだけが求められています。
テナントが入れ替わって厨房を新しく設けるときは既存のヘッドの間隔のままでよいかを図面で確かめてください。
同じ地下でも地下街と準地下街で違うのですね。
うちがどちらに当たるのかを分かっていませんでした。
そこを確かめるところからです。
消防用設備等の点検結果報告書の用途の欄を見ると分かります。
明日からなにを確かめればよいのか

図面と現物の両方を見るのが早道です。
はじめに自分の建物が地下街か準地下街かを確かめ次に延べ面積が条文の規模に届いているかを見ます。
そのうえで部分ごとの天井の高さを測り6メートルまたは10メートルを超える部分があるかを図面に書き込みます。
最後に厨房まわりと通路まわりの間隔を見て点検口から天井裏のヘッドの有無を確かめます。
放水型ヘッド等が設けられている部分は消防法施行規則第13条の4第3項の例によることとされているので放水区域の設定も併せて点検事業者に確認してください。
順番が決まっていると見落としが減りますね。
次の点検のときに立ち会ってみます。
立会いはとても有効です。
気になった部分を写真に撮っておくと次の工事の打ち合わせでそのまま使えます。
よくある質問
まとめ
地下街のヘッドは天井裏まで見るものだと分かりました。
次の点検で必ず確かめます。
その視点があれば十分です。
判断に迷ったときは㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法施行令(昭和36年政令第37号)第12条(スプリンクラー設備に関する基準)第1項第六号・第七号 第2項第二号ハ
- 消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第13条の5(スプリンクラーヘッドの設置方法)第6項から第9項まで
- 消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第13条の2(標準型ヘッド等)第3項
- 消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第13条の4(高天井の部分に設けるスプリンクラーヘッド等)第3項
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





