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天井の高い場所のスプリンクラーはどうなっているのか|放水型ヘッド等が必要になる高さと放水区域の基準を解説

吹き抜けの高い天井の下側に放水型のノズルが並んで取り付けられている商業施設の様子

吹き抜けのある売場や大きな展示室にもスプリンクラー設備は付いています。
ところが天井の近くに並ぶふつうのヘッドは熱で開く仕組みなので天井が高いと働きません。
そこで消防法施行令は天井までの高さで線を引き放水型ヘッド等という別の種別を求めています。
火災を感知してから狙いを定めて放水するという点でふつうのスプリンクラーとは考え方が違います

吹き抜けの天井を見上げても丸いヘッドが見当たりません。
付け忘れているのではと気になっていました。

天井が高い場所は別の種別のヘッドを使うことになっています。
ノズルのような形をしているので見た目もまるで違いますよ。

形が違うと日頃の見方も変わってきそうです。
どこから調べればよいのでしょうか。

まず天井までの高さと建物の用途を押さえるところからです。
そこが決まれば残りは順に読めます。

この記事の結論
  • 床面から天井までの高さが10メートルを超える部分には放水型ヘッド等を設けることとされています
  • 指定可燃物を貯蔵し又は取り扱う部分と(4)項の用途に供される部分は6メートルを超えると対象になります
  • 放水型ヘッド等は感知部放水部で構成され火災を感知してから放水します
  • 水量は放水区域の床面積1平方メートルにつき5リットル毎分で計算することとされています
  • 放水部の周囲には散水の障害となるような物品等が設けられ又は置かれていないことが求められます

天井の高い場所に放水型ヘッド等が必要になる高さと感知部と放水部の働きと放水区域の重ね方を並べた図解

天井の高い場所のスプリンクラーはなぜ別の決まりになるのか

高いはりに下がったスプリンクラーヘッドと遠く離れた床の荷物を並べた様子
同じスプリンクラー設備でも天井の高さで求められるヘッドの種別が変わります。
その分かれ目を書いているのが消防法施行令第12条第2項第二号のロです。
消防法施行令第12条第2項第二号ロ 前項第三号、第四号、第八号及び第十号から第十二号までに掲げる防火対象物又はその部分(別表第一(一)項に掲げる防火対象物の舞台部を除く。)のうち、可燃物が大量に存し消火が困難と認められる部分として総務省令で定めるものであつて床面から天井までの高さが六メートルを超える部分及びその他の部分であつて床面から天井までの高さが十メートルを超える部分においては、総務省令で定める種別のスプリンクラーヘッドを、総務省令で定めるところにより、設けること。
高さで線が引かれています
ふつうのスプリンクラーヘッドは感熱体が熱で外れて水が出る仕組みなので天井が高いと熱が薄まって開きません。
ロはその手前で総務省令で定める種別のヘッドを使えと命じており高さの数字だけをここに置いています。
対象になる防火対象物は同条第1項の第三号や第四号など号で限定されているので自分の建物がどの号に当たるかを先に確かめてください。
なお舞台部は別の決まりが用意されているのでこのロからは外れています。

熱が届かないから開かないという理屈だったのですね。
言われてみれば当たり前の話でした。

そのとおりです。
まずは吹き抜けの高さを図面で拾っておくと話が早くなります。

どの部分が高天井の部分に当たるのか

天井の高い売場の区画と天井の低い倉庫の区画を並べて高さを比べた様子
6メートルという低いほうの数字が当たる部分は総務省令で名指しされています。
その名指しをしているのが消防法施行規則第13条の4の第1項です。
消防法施行規則第13条の4第1項 令第十二条第二項第二号ロの総務省令で定める部分は、次に掲げる部分とする。 一 指定可燃物を貯蔵し、又は取り扱う部分 二 令別表第一(四)項に掲げる防火対象物又は同表(十六)項イに掲げる防火対象物の同表(四)項に掲げる防火対象物の用途に供されるもの(通路、階段その他これらに類する部分を除く。)
消防法施行規則第13条の5第6項 令第十二条第二項第二号ハの総務省令で定める種別のスプリンクラーヘッドのうち同条第一項第六号に掲げる防火対象物に設けるものは、店舗、事務所その他これらに類する施設であつて床面から天井までの高さが六メートルを超える部分及び地下道であつて床面から天井までの高さが十メートルを超える部分にあつては放水型ヘッド等とし、その他の部分にあつては閉鎖型スプリンクラーヘッドのうち標準型ヘッドとする。
燃えやすいものと人の多い売場だけが低い数字です
指定可燃物を置く部分は火の勢いが強くなるため、百貨店や展示場などの(4)項の用途に供される部分は人が多いため、いずれも6メートルという線が使われています。
ただし(4)項の部分でも通路や階段その他これらに類する部分は括弧書きで外されています。
地下街については規則第13条の5の第6項が別に線を引いていて店舗や事務所などは6メートル超で地下道は10メートル超です。
自分の建物のどの部屋がどちらの数字なのかを図面に書き込んでおくと点検の立会いで迷いません。

売場と通路で扱いが分かれるのは知りませんでした。
同じ階でも部分ごとに見るということですね。

部分ごとに見ます。
倉庫を売場に模様替えしたときなどは高さの見直しが要ります。

放水型ヘッド等はどんな仕組みで消火するのか

はりに付いた感知部と放水部から扇形に水が広がり床に放水区域ができている様子
放水型ヘッド等という名前は規則が付けた呼び方です。
中身は火を見つける部分と水を出す部分の組み合わせです。
消防法施行規則第13条の4第2項 令第十二条第二項第二号ロの総務省令で定める種別のスプリンクラーヘッドは、消防庁長官が定める性能を有する放水型スプリンクラーヘッドその他のスプリンクラーヘッド(第十三条の五から第十四条までにおいて「放水型ヘッド等」という。)とする。
放水型ヘッド等を用いるスプリンクラー設備の設置及び維持に関する技術上の基準の細目 第二 二 放水型ヘッド等 規則第十三条の四第二項に規定するものであって、感知部(火災を感知するための部分であって、放水部と一体となっているもの又は放水部と分離しているものをいう。以下同じ。)及び放水部(加圧された水を放水するための部分をいう。以下同じ。)により構成されるものをいう。 三 固定式ヘッド 放水型ヘッド等の放水部のうち、当該ヘッド等の放水範囲が固定されているものをいう。 四 可動式ヘッド 放水型ヘッド等の放水部のうち、当該ヘッド等の放水部を制御し、放水範囲を変えることができるものをいう。
消防法施行規則第13条の4第3項第二号 スプリンクラーヘッドは、放水区域の床面積一平方メートルにつき五リットル毎分(第一項第一号に掲げる部分に設けるものにあつては十リットル毎分)で計算した水量が放水されるように設けること
見つけてから狙って出す設備です
感知部が床の火災をとらえ、その信号で放水部が水を出すという順番なので、熱を待つ必要がありません。
放水部には放水範囲が固定された固定式ヘッドと放水範囲を変えられる可動式ヘッドの2種類があります。
水量は放水区域の床面積1平方メートルあたり5リットル毎分で、指定可燃物を置く部分では10リットル毎分に上がります。
点検で放水の様子まで見る機会は多くありませんが、この2つの部分が別々にあることを知っておくと報告書が読めるようになります。

つまり監視カメラのような目が付いているのですね。
それで水を出す先を決めていると。

その理解で差し支えありません。
報告書に感知部と放水部が別の欄で出てくるので見比べてみてください。

放水区域と感知部で見落としやすいのはどこか

床が空いている放水部と高い棚や下がり幕にさえぎられた放水部を並べて比べた様子
高さと種別が合っていても置き方ひとつで働かなくなります。
告示は放水区域の作り方と障害物について具体的に書いています。
放水型ヘッド等を用いるスプリンクラー設備の設置及び維持に関する技術上の基準の細目 第四 一 (二) 一の放水区域は、その面積が百平方メートル以上となるように設けること。ただし、高天井となる部分の面積が二百平方メートル未満である場合にあっては、一の放水区域の面積を百平方メートル未満とすることができること。 (三) 二以上の放水区域を設けるときは、火災を有効に消火できるように隣接する放水区域が相互に重複するようにすること。 (五) 放水区域は、警戒区域を包含するように設けること。 (六) 固定式ヘッドの周囲には、当該固定式ヘッドによる散水の障害となるような物品等が設けられ又は置かれていないこと
同 第四 三 (四) 感知部は、感知障害が生じないように設けること。 (五) 感知部が走査型のものにあっては、次により設けること。 イ 警戒区域は、監視視野に包含されるように設けること。 ロ 初期の監視状態から作動し、一連の監視後において初期の監視状態に復するまでの時間が、六十秒以内となるように設けること。
ここは防火管理者の持ち場です
放水区域も警戒区域も工事のときに決まりますが、あとから置いた棚や下がり幕はいつでも増やせてしまいます。
告示が禁じているのは散水の障害となるような物品等を設けまたは置くことなので、天井から下げた広告物も高く積んだ在庫も同じ扱いです。
感知部の側にも感知障害を生じさせないという条文があり、こちらは見通しをふさぐものが問題になります。
模様替えや催事のたびに吹き抜けの上を見上げて何かがさえぎっていないかを確かめてください。

催事の吊り看板がまさにそれに当たりそうです。
毎回同じ場所に下げていました。

吊り物は見落とされがちです。
下げてよい位置を図面に落として催事の担当者に渡しておきましょう。

明日からなにを確かめればよいのか

防災センターの盤の前で表示を確かめる担当者と記録を持つ担当者の様子
図面と現場を見たら最後は盤の前に立ちます。
告示は放水を始める流れと盤の置き場所まで決めています。
放水型ヘッド等を用いるスプリンクラー設備の設置及び維持に関する技術上の基準の細目 第四 四 (一) 放水型ヘッド等の感知部が火災を感知した旨の信号を発した場合には、火災が発生した警戒区域を受信部に表示するとともに、当該警戒区域に対応する放水区域に放水を自動的に開始することができるものであること。 (三) 放水区域の選択及び放水操作は、手動でも行えること
同 第七 三 受信部は、防災センター等(防災センター、中央管理室(建築基準法施行令(昭和二十五年政令第三百三十八号)第二十条の二第二号に規定するものをいう。)、守衛室その他これらに類する場所(常時人がいる場所に限る。)をいう。)に設けること。
自動と手動の両方があります
感知部が火災の信号を出すと受信部に警戒区域が表示され、対応する放水区域へ自動で放水が始まります。
それとは別に放水区域の選択と放水操作は手動でも行えることとされているので、盤の前で何ができるのかを自衛消防の担当者と共有しておいてください。
受信部は常時人がいる場所に置くこととされているので、部屋の使い方を変えるときは盤の扱いも一緒に考えることになります。
明日は吹き抜けを見上げてさえぎるものが増えていないかを確かめ、盤の表示灯に異常が出ていないかを見るところから始めてください。

盤で手動の操作までできるとは思っていませんでした。
担当者と一度確認しておきます。

よい進め方です。
点検の業者に立ち会って盤の前で説明してもらうのが近道になります。

よくある質問

Q吹き抜けの高さが8メートルなら対象になりますか?
Aその部分がなにに使われているかで変わります。指定可燃物を貯蔵し又は取り扱う部分と令別表第一(4)項の用途に供される部分は6メートルを超えれば当たり、それ以外の部分は10メートルを超えたときに当たります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。
Q感知部は必ず設けなければいけませんか?
A告示は例外を置いています。自動火災報知設備の感知器により火災を有効に感知し、警戒区域内の感知器の火災信号と連動して当該警戒区域に対応する放水区域の放水部から放水ができる機能を有する場合は、感知部を設けないことができるとされています。
Q放水区域はいくつに分けても構いませんか?
A一の放水区域は面積が100平方メートル以上となるように設けることとされています。ただし高天井となる部分の面積が200平方メートル未満である場合は100平方メートル未満とすることができ、二以上設けるときは隣接する放水区域が相互に重複するようにします。
Q受信部は事務室に置いてもよいのですか?
A告示は防災センター等に設けることとしており、防災センター・中央管理室・守衛室その他これらに類する場所で常時人がいる場所に限るとしています。操作盤が設けられている場合はこの限りでないという例外もあるので、実際の置き場所は所轄消防署にご確認ください。

まとめ

天井の高い部分のスプリンクラーヘッドの種別は消防法施行令第12条第2項第二号ロで分けられています
床面から天井までの高さが10メートルを超える部分には放水型ヘッド等を設けます
指定可燃物の部分と(4)項の用途に供される部分は6メートルを超えると同じ扱いになります
放水型ヘッド等は感知部と放水部で構成され放水部には固定式と可動式があります
放水区域は隣どうしが重なるように設け警戒区域を包み込むようにします
放水部の周囲に散水の障害となる物品等を置かないことが日頃の維持管理の要です
受信部は防災センター等に設けることとされ常時人がいる場所に限られます

まずは吹き抜けの高さと吊り物の位置を図面に落とします。
そのうえで盤の前で担当者と読み合わせます。

その順番なら確実です。
迷うところが出てきたら㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

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お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
主な活動

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

参考・出典

  • 消防法施行令(昭和36年政令第37号)第12条(スプリンクラー設備に関する基準)第2項第二号
  • 消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第13条の4(高天井の部分に設けるスプリンクラーヘッド等)・第13条の5第6項
  • 放水型ヘッド等を用いるスプリンクラー設備の設置及び維持に関する技術上の基準の細目(平成8年8月19日消防庁告示第6号・最終改正 平成12年5月31日消防庁告示第8号)第二・第四・第七

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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