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スプリンクラー設備の配管はどんな基準で組むのか|乾式と予作動式の二次側に要る防食処理と排水措置を解説

乾式と予作動式の二次側配管に防食処理が要る理由

スプリンクラー設備の配管は、ただ水が通ればよい管ではありません
太さも材質も継手も、消防法施行規則が細かく決めています
しかも乾式予作動式の設備には、ほかの方式には無い上乗せの基準が置かれています
それが二次側配管の防食処理と排水措置で、配管の中に水が入っていない設備だけに求められる決まりです

配管は業者さんが決めるものだと思って、図面を見たことがありません。

配管の基準は規則に書かれているので、読めば確かめられます。
とくに方式によって効く号が変わるところは知っておいて損がありません。

方式で変わるというのは、どういうことでしょうか。

乾式と予作動式は、ふだん配管に水が入っていない設備です。
そこだけに防食処理と水を抜く措置が求められています。

この記事の結論
  • スプリンクラー設備の配管の基準は消防法施行規則第14条第1項第十号にあります
  • まず屋内消火栓設備の第12条第1項第六号に準じて設け、そのうえでイからハまでが上乗せされます。
  • イは乾式と予作動式の二次側配管のうち金属製のものに亜鉛メッキ等の防食処理を求めています。
  • ロは流水検知装置の二次側配管について配管内の水を有効に排出できる措置を求めています
  • 特定施設水道連結型は準用する範囲がそもそも狭く、配管も管継手もバルブ類も別の基準によります。

乾式と予作動式の二次側配管には防食処理と排水措置が上乗せされることを示した図解

スプリンクラー設備の配管はどんな決まりで組まれているのか

ポンプから立ち上がる配管に弁が付き天井の枝配管にヘッドが並んでいる図
配管は水を運ぶ通り道ですが、太さも材質も自由ではありません。
スプリンクラー設備の配管は、屋内消火栓設備の規定を借りる形で決められています。
消防法施行規則第十二条第一項第六号(抜粋) 配管は、次のイからリまでに定めるところによること。 イ 専用とすること。(略) ロ 加圧送水装置の吐出側直近部分の配管には、逆止弁及び止水弁を設けること。 (略) ヘ 主配管のうち、立上り管は、管の呼びで五十ミリメートル以上のものとすること。 (略) チ 配管の管径は、水力計算により算出された配管の呼び径とすること。 リ 配管の耐圧力は、当該配管に給水する加圧送水装置の締切圧力の一・五倍以上の水圧を加えた場合において当該水圧に耐えるものであること。
借りてくる形で決まっています
規則第14条第1項第十号は、まず第12条第1項第六号の規定に準じて設けるよう求めており、これは屋内消火栓設備の配管の基準です。
そこには他の設備と兼用しない専用という原則、ポンプの吐出側直近部分に置く逆止弁と止水弁、立上り管は管の呼びで50ミリメートル以上といった内容が並びます。
管径は目分量ではなく水力計算で出した呼び径とされ、耐圧力は締切圧力の1.5倍以上の水圧に耐えることまで求められています。
設備図や施工図が手元にあるなら、立上り管の呼び径がどう書かれているかを一度見ておくと、業者との会話がかみ合いやすくなります。

スプリンクラーなのに屋内消火栓の条文を見るんですね。

規則は同じ内容を書き直さず準用でつなぐ書き方をしています。
配管の土台の部分は屋内消火栓の号を読むことになります。

乾式と予作動式の二次側配管に防食処理が要るのはなぜか

保護層に覆われた配管と表面が荒れた配管を上下に並べて可否を示した図
準用だけで終わらないのがスプリンクラー設備の配管です。
第十号にはイからハまでの上乗せが置かれています。
消防法施行規則第十四条第一項第十号 配管は、第十二条第一項第六号(特定施設水道連結型スプリンクラー設備にあつては、ニからトまでを除く。)の規定に準じて設けるほか、次に定めるところによること。 イ 乾式又は予作動式の流水検知装置及び一斉開放弁の二次側配管のうち金属製のものには、亜鉛メッキ等による防食処理を施すこと
条文は三つの条件で対象を絞り込んでいます
一つ目は方式で、乾式予作動式であること。
二つ目は位置で、流水検知装置と一斉開放弁の二次側配管であること。
三つ目は材質で、そのうち金属製のものであることです。
この三つがそろった配管に亜鉛メッキ等による防食処理を施すのがイの求めるところで、湿式の設備を対象として挙げた記述は同じ号の中に見当たりません。
自分の建物のスプリンクラー設備がどの方式かは点検結果報告書で確かめられるので、まずそこを押さえてください。

方式と位置と材質の三つがそろったときだけ効くということですね。

そのとおりで、条文の絞り込みはとても細かいです。
まずは点検結果報告書で方式を確かめるところからで大丈夫です。

二次側配管にたまった水はどうすることになっているのか

流水検知装置から下り勾配で伸びた配管の末端に排水弁があり床の溝へ水が落ちる図
防食処理の次に置かれているのが排水の措置です。
同じ第十号のロが、水の抜き方について定めています。
消防法施行規則第十四条第一項第十号ロ 乾式又は予作動式の流水検知装置の二次側配管には、当該配管内の水を有効に排出できる措置を講ずること
イとロでは対象がずれています
イは流水検知装置と一斉開放弁の両方を並べているのに、ロが挙げているのは流水検知装置だけです。
求められているのは配管内の水を有効に排出できる措置で、条文はその方法や寸法までは書いていません。
勾配の付け方や排水弁の位置がどうあるべきかは号の中に示されていないので、個別の設計は所轄消防署と設備業者に確認するのが確実です。
図面を見るときは、二次側の配管がどこへ向かって下がり、どこで水を抜く形になっているかを指でたどってみてください。

つまり水を抜く措置のほうは、弁の種類まで限定されていないんですね。

条文が書いているのは有効に排出できることまでです。
実際の形は図面と現場で確かめる部分になります。

特定施設水道連結型スプリンクラー設備の配管はどこが違うのか

水道メーターから細い配管が小さな平屋の建物に入りヘッドにつながっている図
同じスプリンクラー設備でも、配管の話が丸ごと入れ替わる型があります。
水道の水管を水源にする特定施設水道連結型です。
消防法施行令第十二条第二項第三号の二(抜粋) 特定施設水道連結型スプリンクラー設備(スプリンクラー設備のうち、その水源として、水道の用に供する水管を当該スプリンクラー設備に連結したものであつて、次号に規定する水量を貯留するための施設を有しないものをいう。以下この項において同じ。)は、(略)
消防法施行規則第十四条第一項第十号ハ 特定施設水道連結型スプリンクラー設備に係る配管、管継手及びバルブ類にあつては、消防庁長官が定める基準に適合するものを使用すること
準用する範囲がそもそも違います
第十号の柱書には括弧書きがあり、この型については第12条第1項第六号のニからトまでを除くと書かれています。
除かれるのは配管の材質のニ、管継手のホ、立上り管のヘ、バルブ類のトという四つの部分です。
その代わりに置かれているのがハで、配管も管継手もバルブ類も消防庁長官が定める基準に適合するものを使うことになります。
小規模な社会福祉施設などでこの型を採用している建物では、一般のスプリンクラー設備の配管の考え方をそのまま当てはめないよう気をつけてください。

うちの施設はこの型かもしれません。
どこで見分ければよいでしょうか。

水をためる水槽があるかどうかが分かれ目の一つです。
設置届の図面と点検結果報告書を見れば判断できます。

明日からなにを確かめればよいのか

点検表を持つ人と手回しの弁が付いた配管および床の溝の上の排水弁を並べた図
配管そのものは天井裏や配管シャフトの中にあり、素人が触れる部分ではありません。
それでも目で見て確かめられる決まりが一つあります。
消防法施行規則第十二条第一項第六号ト(抜粋) バルブ類は、次の(イ)から(ハ)までに定めるところによること。 (略) (ハ) 開閉弁又は止水弁にあつてはその開閉方向を、逆止弁にあつてはその流れ方向を表示したものであること。
表示は誰でも目で見て確かめられます
準用されるトの(ハ)は、開閉弁と止水弁には開閉方向を、逆止弁にはその流れ方向を表示することを求めています。
弁の本体や近くの札が塗装や汚れで読めなくなっていないかは、防火管理者の立場でも見に行けます。
そのうえで防食処理と排水の措置は方式で決まるので、点検結果報告書に書かれた乾式か予作動式か湿式かをまず確かめてください。
方式が分かれば、自分の建物にイとロが効いているのかどうかを条文の側から確かめられるようになります。

弁の表示なら、次の巡回のときに見て回れそうです。

読めなくなった表示は、それだけで是正の対象になります。
気づいた箇所は写真に残して業者へ伝えてください。

よくある質問

Q湿式のスプリンクラー設備でも配管に防食処理は要りますか?
A規則第14条第1項第十号イは乾式又は予作動式を対象と書いており、湿式を対象として挙げた記述は見当たりません。ただし配管の材質そのものの基準は準用される第12条第1項第六号ニにあり、こちらは方式にかかわらず効きます。
Q合成樹脂製の管は使えないのですか?
A準用される第12条第1項第六号ニは、金属製の管のほかに消防庁長官が定める基準に適合する合成樹脂製の管を並べて挙げています。防食処理を求める第十号イの対象は金属製のものに限られる書き方になっています。
Q水を排出できる措置とは具体的にどんな形ですか?
A条文は有効に排出できる措置とだけ定めており、勾配や弁の寸法までは書かれていません。どこまでの措置が求められるかは建物と配管の形で変わるため、所轄消防署と設備業者にご確認ください。
Q立上り管の太さはスプリンクラー設備でも同じ基準ですか?
A第十号は第12条第1項第六号に準じて設けると定めており、そのヘには主配管のうち立上り管は管の呼びで五十ミリメートル以上とあります。ただし特定施設水道連結型についてはヘを含むニからトまでが除かれています。

まとめ

スプリンクラー設備の配管の基準は消防法施行規則第14条第1項第十号にあります
土台は屋内消火栓設備の第12条第1項第六号で、専用の原則や逆止弁と止水弁の位置がここにあります。
立上り管は管の呼びで50ミリメートル以上、耐圧力は締切圧力の1.5倍以上の水圧に耐えることとされています。
イの防食処理は方式と位置と材質の三つがそろった配管にだけ求められます
ロが挙げているのは流水検知装置の二次側配管だけで、一斉開放弁は書かれていません。
特定施設水道連結型はニからトまでが除かれ配管も管継手もバルブ類も別の基準によります
防火管理者がすぐ見に行けるのは弁の開閉方向と流れ方向の表示です。

まずは設備の方式を確かめて、弁の表示を見て回ります。

その二つが分かれば配管の話は業者と対等に進められます。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

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お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
主な活動

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

参考・出典

  • 消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第14条第1項第十号
  • 消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第12条第1項第六号
  • 消防法施行令(昭和36年政令第37号)第12条第2項第三号の二
  • e-Gov法令検索(デジタル庁)

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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