立入検査で天井の感知器を一つずつ見て回られると、数が足りているかどうかばかりが気になります。
ところが指摘の理由が数ではなく、その部屋に種類が合っていないというものであることがあります。
感知器の種別は建物側が選べるものではなく、消防法施行規則が三つのものさしで絞り込んでいます。
同じ丸い形に見えても中身の違う機器が天井に並んでいます。
天井の感知器はどれも同じものに見えます。
種類まで決まっているのでしょうか。
場所ごとに設ける種別が省令で決まっています。
取付け面の高さと場所の区分と場所の環境の三つで絞られます。
厨房の感知器だけ形が違って見えます。
そこにも決まりがあるのでしょうか。
煙で感知する種類が外れる場所があります。
その場合に代わりとなる種別は省令の別表で決められています。
- 感知器の種別は建物側が選ぶものではなく省令が場所ごとに定めている
- 取付け面の高さが上がるほど使える種別は減り十五メートル以上二十メートル未満では二つだけになる
- エレベーターの昇降路やリネンシュートやパイプダクトは煙感知器と定められている
- 煙感知器が外れる場所では別表第一の二の三で適応するとされた種別を選ぶ
- 厨房その他正常時において煙が滞留する場所に適応するのは定温式の感知器である
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目次
感知器の種別は建物側で選んでよいのか

ここは見積りの都合で選べるところではなく、省令が先に絞り込んでいます。
条文は感知器を付けろとだけ書いているのではなく、取付け面の高さに応じて使える種別を表で示しています。
取付け面とは、感知器を取り付ける天井の室内に面する部分または上階の床もしくは屋根の下面をいうと同項第1号イに定められています。
天井が低い部屋では表に六つの種別が並んでいて、その中から選ぶことになります。
まずは自分の建物の天井の高さがどの区分に入るのかを、竣工図の断面図で確かめてください。
高さが先に効いてくるのですね。
種類の話とは別だと思っていました。
高さが最初のふるいになります。
断面図の天井高さを部屋ごとに拾っておいてください。
天井が高くなると使える感知器はどう変わるのか

表は高さの区分ごとに使える種別を並べていて、上に行くほど選べるものが減ります。
四メートル以上八メートル未満になると、定温式は特種か一種に、イオン化式と光電式は一種か二種に絞られます。
八メートル以上十五メートル未満では、差動式スポット型と補償式スポット型と定温式が表から落ち、残るのは三つの種別だけです。
十五メートル以上二十メートル未満まで来ると、イオン化式スポット型一種と光電式スポット型一種の二つしか残りません。
天井の高い倉庫や広間で感知器の見た目が他の階と違っていても、それは高さの区分が違うからだと読み取れます。
二十メートルを超える天井ではどうなるのでしょうか。
表には続きが見当たりません。
そこから先は場所の区分のほうで決まります。
次の見出しでその条文を見ていきましょう。
場所そのもので種類が決まってしまうのはどこか

ここに挙がっている場所では、種別が最初から名指しされています。
エレベーターの昇降路とリネンシュートとパイプダクトは、第三号に挙がっているので煙感知器になります。
遊興のための設備や物品を客に利用させる役務に使う個室は第三号の二で、煙感知器か熱煙複合式スポット型感知器のどちらかです。
天井等の高さが二十メートル以上の場所は第五号で炎感知器と名指しされていて、これが前の見出しの表の続きにあたります。
自分の建物に昇降路やパイプダクトや個室があるなら、そこだけは高さの表より先にこの項を見てください。
パイプダクトの中まで対象になっているのですね。
点検で開けているのを見たことがあります。
点検口の奥に入っていることが多い場所です。
図面のダクトの位置と点検票を照らし合わせてみてください。
煙感知器が外れる場所には代わりになにを付けるのか

外れたあとに何を付けるのかまで、省令は別表で決めています。
別表第一の二の三は、場所の区分ごとに差動式スポット型と差動式分布型と定温式と補償式スポット型のどれが適応するかを丸印で示しています。
厨房その他正常時において煙が滞留する場所と著しく高温となる場所に丸印が付いているのは定温式だけで、他の三つには付いていません。
腐食性ガスが発生するおそれのある場所と結露が発生する場所には差動式分布型と定温式の二つ、煙が多量に流入するおそれのある場所には四つとも丸印が付いています。
さらに備考で、結露する場所の定温式は防水型、腐食性ガスの場所の定温式は腐食性ガスの性状に応じた耐酸型または耐アルカリ型と限定されています。
厨房の機器がひとつだけ箱の形をしていた理由がわかりました。
ただ温度の指定まであるとは知りませんでした。
備考のほうに書かれているので見落とされがちです。
点検票の種別欄に温度が書かれているか見てみてください。
明日からなにを確かめればよいのか

条文は残りの場所についても受け皿を用意しています。
地階と無窓階と十一階以上の階は第二号に並んだ種別から選ぶことになり、ここでも定温式は公称作動温度七十五度以下のものに限られています。
それ以外の場所は第三号でその使用場所に適応する感知器とされていて、部屋の使い方から選ぶという建て付けです。
確かめる順番は、部屋ごとの天井高さを拾う、昇降路とパイプダクトと個室を洗い出す、厨房など環境で外れる部屋を挙げる、点検票の種別欄と突き合わせる、の四つで足ります。
そのうえで合っていない部屋が残ったら、点検を頼んでいる業者と所轄消防署に理由を確かめておいてください。
四つの順番なら自分でもたどれそうです。
点検票を出してくるところから始めます。
点検票には種別まで書かれています。
用途を変えた部屋があれば、そこから先に見てください。
よくある質問
まとめ
点検票の種別欄を部屋ごとに見比べてみます。
天井の高さも図面から拾っておきます!
種別は三つのものさしをたどれば必ず答えが出ます。
迷うところがあれば㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第23条第4項第2号
- 消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第23条第5項・第6項
- 消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)別表第一の二の三
- 消防法施行令(昭和36年政令第37号)第21条
- e-Gov法令検索
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





