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11階建て以上の連結送水管には何が追加で必要か|双口形放水口と非常電源付き加圧送水装置の基準を解説

高層ビルの壁に取り付けられた連結送水管の双口の送水口の写真

立入検査で高層ビルを訪ねると、消火活動上必要な施設という耳慣れない項目に出会うことがあります。
これは建物にいる人のための設備ではなく、火災が起きたときに消防隊が使うための設備です。
地階の床面積や建物の階数によって、設置の要否や求められる基準が変わります。
この記事では、消防法施行令と施行規則の条文から連結送水管と連結散水設備の設置基準を整理します

うちのビルは11階建てなのですが、送水口の設備は普通のビルと同じでよいのでしょうか。
点検のときに何を見られるのか気になります。

11階建て以上になると、放水口や非常電源に追加の基準が加わります。
まずは消火活動上必要な施設がどんな設備なのかから確認しましょう。

連結送水管と連結散水設備は、どちらも消防隊が使う設備なのですね。
スプリンクラーとは違うものだとは知りませんでした。

はい、どちらも消防法施行令に設置基準が定められています。
順番に見ていきましょう。

この記事の結論
  • 消火活動上必要な施設とは排煙設備・連結散水設備・連結送水管・非常コンセント設備・無線通信補助設備の5つを指します
  • 連結散水設備は地階の床面積の合計が700平方メートル以上の防火対象物に設置義務があります
  • 連結送水管は地階を除く階数が7以上、または階数5以上かつ延べ面積6,000平方メートル以上の建築物に設置義務があります
  • 地階を除く階数が11以上の建物では、放水口を双口形にし非常電源付きの加圧送水装置を設けます
  • 放水用器具を格納した箱は一の直通階段について階数3以内ごとに設けます

消火活動上必要な施設とは何を指すのか

高層ビルの送水口に消防ポンプ車が接続され屋上まで配管が延びているイメージ
消防用設備等は、消火設備・警報設備・避難設備・消防用水・消火活動上必要な施設の5つに分けられます。
このうち消火活動上必要な施設だけは、消防隊が使うことを前提に条文で名前が挙げられています。
消防法施行令第7条第6項 法第17条第1項の政令で定める消火活動上必要な施設は、排煙設備、連結散水設備、連結送水管、非常コンセント設備及び無線通信補助設備とする。
消火活動上必要な施設は5種類に限られています
消防法施行令第7条第6項は、排煙設備・連結散水設備・連結送水管・非常コンセント設備・無線通信補助設備の5つを挙げています。
どれも建物にいる人が使う設備ではなく、火災現場に駆けつけた消防隊が消火活動のために使う設備です。
このうち連結送水管と連結散水設備は、消防ポンプ車から水を送り込んで消火や排煙を助けるという役割が近い設備です。
立入検査でこの2つの設備を見せられたら、まず消防隊のための設備だと理解しておくと話が早くなります。

消防隊のための設備というのは初めて聞きました。
スプリンクラーとは目的が違うのですね。

はい、スプリンクラーは自動的に消火する設備ですが、こちらは消防隊が到着してから使う設備です。
次は連結散水設備の設置基準を見ていきましょう。

連結散水設備はどんな建物の地階に設置義務があるのか

地階が複数の部屋に区画され天井に散水ヘッドが並んでいるイメージ
連結散水設備は、地階で火災が起きたときに消防隊が送水口から水を送り込んで消す設備です。
どんな建物の地階に設置義務があるかは、床面積の合計で決まります。
消防法施行令第28条の2第1項 連結散水設備は、別表第一(1)項から(15)項まで、(16の2)項及び(17)項に掲げる防火対象物で、地階の床面積の合計(同表(16の2)項に掲げる防火対象物にあつては、延べ面積)が700平方メートル以上のものに設置するものとする。
地階の床面積の合計が700平方メートル以上になると設置義務が生じます
消防法施行令第28条の2第1項が基準を定めています。
テナントが複数入っている雑居ビルでは、一つの店舗だけでなく地階全体の床面積の合計で判定される点に注意してください。
地下街にあたる(16の2)項の防火対象物だけは、地階に限らず延べ面積で判定されます。
ご自分の建物の地階が何平方メートルあるか、まずは図面で合計してみてください。

うちのビルは地階に飲食店が3店舗入っています。
1店舗ずつは狭いのですが、合計するとどうなるか気になります。

床面積は地階全体で合計します。
各店舗の契約面積を図面で足し合わせてみてください。

11階建て以上の連結送水管には何が追加で求められるのか

高層ビルの前に双口の送水口と小さな非常電源の箱が置かれているイメージ
連結送水管そのものは、地階を除く階数が7以上などの建物に設置義務があります。
このうち11階建て以上の建物には、さらに追加の基準が課されます。
消防法施行令第29条第2項第4号 地階を除く階数が11以上の建築物に設置する連結送水管については、次のイからハまでに定めるところによること。イ 当該建築物の11階以上の部分に設ける放水口は、双口形とすること。ロ 総務省令で定めるところにより、非常電源を附置した加圧送水装置を設けること。ハ 総務省令で定めるところにより、放水用器具を格納した箱をイに規定する放水口に附置すること。
11階以上の部分では放水口を双口形にしなければなりません
消防法施行令第29条第2項第4号が、11階建て以上の建物にだけ課す追加基準です。
低層階の放水口が1口でよいのに対し、11階以上では2口分の放水量を確保できるようにする趣旨です。
あわせて非常電源を附置した加圧送水装置を設けることも求められ、停電時にも送水できるようにしておく必要があります。
点検のときは、自分の建物の何階から双口形に切り替わっているかを確認しておくとよいでしょう。

うちは15階建てなので、この基準がそのまま関係してきますね。
放水口の見た目で2口あるかを確認すればよいでしょうか。

はい、11階以上の放水口は口が2つ並んでいるかで見分けられます。
あわせて非常電源の設置も点検の対象です。

放水用器具の格納箱はどこに設ければよいのか

階段室に一定の間隔で放水用器具の格納箱が取り付けられているイメージ
11階建て以上の建物では、放水口のそばに放水用器具を格納した箱を置く必要があります。
この箱をどこに設けるかは、規則で細かく決められています。
消防法施行規則第31条第6号 地階を除く階数が11以上の建築物に設置する連結送水管については、次のイからニまでに定めるところによること。(略)ロ 令第29条第2項第4号ハの放水用器具は、長さ20メートルのホース4本以上及び筒先2本以上とするほか、消防庁長官の定める基準に適合するものであること。ハ ロに規定する放水用器具を格納した箱は、一の直通階段について階数3以内ごとに、一の放水口から歩行距離5メートル以内で消防隊が有効に消火活動を行なうことができる位置に設けること。ニ ロに規定する放水用器具を格納した箱には、見やすい箇所に標識を設けること。
格納箱は1つの直通階段につき階数3以内ごとに設けます
消防法施行規則第31条第6号ハが定める配置基準です。
たとえば12階建ての建物なら、階段のどこかに最低でも4箇所は箱が必要になる計算です。
箱の中身も決まっており、長さ20メートルのホースを4本以上、筒先を2本以上格納しておく必要があります。
点検のときは、箱の標識と中のホース・筒先の本数がそろっているかをあわせて確認してください。

階段のどこにでもよいわけではないのですね。
3階ごとに必ず1箇所あるかを数えてみます。

はい、歩行距離5メートル以内という条件もあわせて確認してください。
放水口のすぐそばに箱があるはずです。

立入検査では何を確認すればよいのか

開いた格納箱にホースと筒先が納められ点検者が確認しているイメージ
ここまでの基準は、いずれも立入検査で実際に確認される項目です。
明日からできる確認を整理しておきます。
消防法施行規則第31条第4号 送水口及び放水口には、見やすい箇所に標識を設けること。
送水口・放水口・格納箱の3か所すべてに標識が要ります
消防法施行規則第31条第4号は送水口と放水口の標識を、同条第6号ニは格納箱の標識を求めています。
標識が外れていたり文字が読めなくなっていたりすると、火災のときに消防隊が設備の位置をすぐに見つけられません。
連結散水設備を設置している建物では、地階の床面積の合計が700平方メートルを超えていないかもあわせて図面で確認してください。
11階建て以上の建物では、双口形の放水口・非常電源・格納箱の3点をセットで見ておくと点検がスムーズです。

標識・床面積・11階以上の3点をチェックリストにしておきます。
次の点検までに図面を整理しておきます。

それが確実です。
不明な点があれば所轄消防署にも相談してみてください。

よくある質問

Q連結散水設備の地階の床面積はどう数えますか?
A一つの防火対象物の地階全体の床面積の合計で判定します。テナントが複数入っている場合も、地階にある部分をすべて合計した数値で700平方メートル以上かどうかを見ます。
Q連結送水管そのものはどんな建物に設置義務がありますか?
A地階を除く階数が7以上の建物、または階数5以上かつ延べ面積6,000平方メートル以上の建物などに設置義務があります。11階建て以上はここに追加の基準が重なります。
Q双口形の放水口は何階から必要ですか?
A地階を除く階数が11以上の部分に設ける放水口から双口形が必要です。10階以下の放水口は1口でも基準を満たします。
Q放水用器具の格納箱には何を入れておけばよいですか?
A長さ20メートルのホース4本以上と筒先2本以上を格納しておく必要があります。点検のときは本数がそろっているかを確認してください。

まとめ

消火活動上必要な施設とは排煙設備・連結散水設備・連結送水管・非常コンセント設備・無線通信補助設備の5つを指します
連結散水設備は地階の床面積の合計が700平方メートル以上の防火対象物に設置義務があります
連結送水管は地階を除く階数が7以上、または階数5以上かつ延べ面積6,000平方メートル以上の建築物に設置義務があります
地階を除く階数が11以上の建物では、放水口を双口形にし非常電源付きの加圧送水装置を設けます
放水用器具は長さ20メートルのホース4本以上と筒先2本以上を格納します
格納箱は一の直通階段について階数3以内ごとに設けます
送水口・放水口・格納箱には見やすい箇所に標識を設けます

11階建て以上の基準を踏まえて、放水口と格納箱をあらためて点検します!

送水口・放水口・格納箱はすべて条文で位置が決まっています
㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

まずはWebで無料お見積りを!

お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
主な活動

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

参考・出典

  • 消防法施行令第7条第6項
  • 消防法施行令第28条の2第1項
  • 消防法施行令第29条第1項・第2項第4号
  • 消防法施行規則第31条第4号・第6号

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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