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オフィス家具の転倒防止はどこまでやればよいのか|固定方法の種類と配置の注意点を解説

オフィス家具の転倒防止は固定と配置の両方で考える

地震が起きたとき、建物が無事でもオフィス家具が原因でけがをすることがあります。
消防計画には避難通路や消火設備だけでなく、家具の転倒防止についても定めなければなりません。
固定していても置き方を誤ると、せっかくの対策が別の危険を生むこともあります。
今日は消防計画に書くべき固定方法と配置の注意点を整理します。

ロッカーの固定はしてるつもりですけど
これで十分なのか自信がありません。

金具で固定するだけでは足りません。
置き方まで含めて消防計画に定める事項です。

固定と置き方の両方を見直す必要が
あるということですね。

そのとおりです。
順番に整理していきましょう。

この記事の結論
  • 地震によるけがの一因として家具類の転倒・落下・移動が挙げられており、消防計画にも防止措置の記載が求められる
  • 根拠は消防法施行規則第51条の8第1項第二号ニで、地震対策のほかの項目とセットで定める
  • 固定の方法には壁面への金具止め・二段式家具の連結・扉や引き出しの止め具など複数の種類がある
  • 固定していても避難経路をふさぐ配置にしてしまうと、別の危険を生む
  • 固定と配置の両方を日常点検の中で定期的に確認する体制まで考える

オフィス家具の転倒防止を壁への固定連結扉止め避難経路の確保の4ステップで示した図解

オフィス家具の転倒防止はなぜ消防計画の記載事項なのか

固定していないオフィス家具が転倒し、そばで人が机の下に身を隠している様子

建物そのものが無事でも、中の家具が原因でけがをすることがあります。
だからこそ防災管理の消防計画には、地震対策の一つとして家具類の項目が置かれています。

消防法施行規則第51条の8第1項第二号 令第45条第1号に掲げる災害(以下この号において「地震」という。)による被害の軽減に関する事項として次に掲げる事項
イ 地震発生時における建築物その他の工作物及び建築物その他の工作物に存する者等の被害の想定並びに当該想定される被害に対する対策に関すること。
ニ 地震発生時における家具、じゅう器その他の建築物その他の工作物に備え付けられた物品の落下、転倒及び移動の防止のための措置に関すること。

家具の転倒防止は被害想定とセットで考える項目です。
条文はまず被害の想定と対策(イ)を求め、そのうえで家具・じゅう器など備え付けの物品について、落下・転倒・移動を防ぐ措置(ニ)を個別に定めるよう求めています。
オフィスで想定されるのは、キャビネットや書棚のような重量のある什器が中心です。
壁一面に什器が並ぶレイアウトほど、想定しておくべき被害の範囲は広くなります。
まずは自分の建物でどの什器が対象になるかを洗い出すところから始めます。

うちだと背の高いキャビネットが
何台も並んでいる部屋がありますね。

そういう部屋から優先して
見ていくとよいです。

消防計画にはどこまで定めればよいのか

消防計画の書類とチェックタグが付いたキャビネットが並んで置かれている様子

ニだけを単独で読むと範囲がわかりにくくなります。
同じ二号の中の他の項目と合わせて読むと、書くべきことがはっきりします。

消防法施行規則第51条の8第1項第二号ハ 地震による被害の軽減のために必要な設備及び資機材の点検並びに整備に関すること。
同号ニ 地震発生時における家具、じゅう器その他の建築物その他の工作物に備え付けられた物品の落下、転倒及び移動の防止のための措置に関すること。

ニは「防止のための措置」であって、固定金具の種類までは指定していません。
条文が定めるのは、家具や什器の落下・転倒・移動を防ぐ措置を用意しておくことそのものです。
その措置に使う固定金具や連結具も、ハでいう資機材として点検・整備の対象になります。
つまり「取り付けて終わり」ではなく、点検までを消防計画に含めて考える必要があります。
対象はオフィス家具に限らず、複合機や掲示板のような備え付け品も含みます。

複合機や掲示板まで
含まれるとは思っていませんでした。

備え付けの物品全般が対象になると
考えておくと安全です。

固定にはどんな方法があるのか

壁に金具で固定されたキャビネットと、上下を連結された二段式キャビネットが並ぶ様子

固定の方法は一つではありません。
家具の形や置き場所に応じて、いくつかの型を組み合わせて使います。

消防法施行規則第51条の8第1項第二号ニ 地震発生時における家具、じゅう器その他の建築物その他の工作物に備え付けられた物品の落下、転倒及び移動の防止のための措置に関すること。

基本は壁や床への金具止めで、家具の形に応じて組み合わせを変えます。
背の高いキャビネットは、上部をL型金具などで壁の下地に留める方法が中心になります。
上下二段になっている家具は、上段と下段を連結金具でつなぐことも忘れてはいけません。
扉や引き出しは、地震の揺れで開いて中身が飛び出さないよう、ラッチや止め金具を付けます。
ガラス面がある什器には、飛散防止フィルムを貼っておくと破損時の被害を抑えられます。

上下がつながった棚は
連結を忘れがちな気がします。

壁固定だけで満足せず
上下の連結もあわせて確認してください。

配置で見落としやすいのはどこか

出入口をふさぐ位置に置かれたキャビネットと、出入口から離して置かれたキャビネットを比べる様子

固定してあっても、置き場所を誤ると別の危険を生みます。
特に避難経路との関係は見落としやすいところです。

消防法施行規則第51条の8第1項第一号ロ 避難通路、避難口その他の避難施設の維持管理及びその案内に関すること。

固定していても、置き場所が避難通路をふさいでいれば意味がありません。
背の高いキャビネットは、倒れなくても出入口や通路をふさぐ位置に置かないことが前提になります。
重い収納物は下段に入れ、什器全体の重心を低くしておくと転倒の危険自体が下がります。
什器の上に物を置かないことや、時計や額縁のような小物も落下防止を忘れないようにします。
配置を決めるときは、固定の可否だけでなく避難経路との位置関係もあわせて確認します。

固定さえしていれば
どこに置いてもよいと思っていました。

固定と配置は別の話として
両方を見直してください。

明日からなにをすればよいのか

チェックリストを持って固定済みのキャビネットを確認する担当者と、壁の点検表

固定と配置は、一度やって終わりにはできません。
日常点検の中に組み込んで、継続して確認する体制にします。

消防法施行規則第51条の8第1項第二号ロ 建築物その他の工作物についての地震による被害の軽減のための自主検査に関すること。

家具の固定状況は自主検査の対象として定期的に見ます。
まずはフロアごとに、固定が必要な家具を洗い出したチェックリストを作ります。
金具のゆるみや連結の外れは、日常点検の担当者が始業時などに確認する項目に加えます。
レイアウトを変えたときは、避難経路との位置関係を都度見直すルールにしておきます。
点検の結果は防災管理者へ報告し、消防計画の記載と実際の状態がそろっているかを確かめます。

日常点検の項目に
家具の固定を足しておけばよいですね。

レイアウト変更のたびに
見直す習慣もあわせて作ってください。

よくある質問

Q賃貸オフィスで壁に穴を開けられない場合はどうすればよいですか?
A床への固定や突っ張り式の器具など、壁を傷つけない工法もあります。措置の要否そのものは条文に定められているので、方法を建物の条件に合わせて選ぶことになります。
Q対象になる家具の大きさに決まりはありますか?
A条文は具体的な寸法や重量までは定めていません。転倒や落下で人に危害が及ぶおそれのある物品かどうかで判断します。
Q固定を業者に依頼した場合、消防計画には何を書けばよいですか?
A依頼した範囲や方法自体は消防計画の記載事項ではありません。点検と維持管理は防災管理者側の役割として残る点を押さえておきます。
Q固定金具が緩んでいるのを見つけたらすぐに直す必要がありますか?
A日常点検で不備を見つけたら、速やかに直すのが基本です。直すまでの間だけ什器の使い方を制限するなどの応急対応も考えておきます。

まとめ

地震によるけがの一因として家具類の転倒・落下・移動が挙げられている
根拠は規則第51条の8第1項第二号ニで、被害想定や点検整備の項目とセットで定める
対象は什器に限らず、複合機や掲示板のような備え付け品も含む
固定の方法には壁面への金具止め・上下の連結・扉のラッチなど複数の種類がある
固定していても避難経路をふさぐ配置では意味がない
重心を下げる・上に物を置かないなど、置き方そのものの工夫も欠かせない
固定と配置の状態は日常点検に組み込んで継続的に確認する

固定と配置の両方を
あわせて見直します!

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㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

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お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
主な活動

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

参考・出典

  • 消防法施行令第48条第1項・第45条第1号
  • 消防法施行規則第51条の8第1項第一号ロ・第二号ロハニ
  • 東京消防庁「家具類の転倒・落下・移動防止対策ハンドブック」(令和6年1月版)

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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