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エレベーターの機械室はどんな基準で作られているのか|建築基準法施行令第129条の9が定める構造基準を解説

エレベーターの機械室はどんな基準で作られているのかを建築基準法施行令第129条の9から解説する記事のアイキャッチ画像

エレベーターの機械室は、かごや昇降路と違って、ふだん防火管理者の目に触れることの少ない閉ざされた空間です。
建築基準法施行令第129条の9は、機械室の広さ・天井の高さ・換気・出入口・通じる階段まで、防火と保守の両面から基準を定めています。
保守点検の担当者が実際に中へ入って作業する場所であるため、他の部分とは違う独自のルールが用意されています。
この記事では第129条の9が定めるエレベーターの機械室の構造基準を、条文に沿って解説します。

「エレベーターの機械室」って、鍵がかかっていて中を見たことがないんです。

はい、機械室はエレベーターを動かす機械が置かれた、専用の空間として基準が定められています。

なるほど、そこにも細かいルールがあるんですね。

はい、建築基準法施行令第129条の9が広さ・高さ・換気・出入口・階段までまとめて定めています。
順に要点を見ていきましょう。

この記事の結論
  • 機械室の床面積は、昇降路の水平投影面積の2倍以上が原則ですが、機械の配置及び管理に支障がない場合はこの限りではありません。
  • 天井の高さ(床面から天井又ははりの下端まで)は、かごの定格速度に応じて、2.0メートルから2.8メートル以上の数値が定められています。
  • 機械室には換気上有効な開口部又は換気設備を設けなければなりません。
  • 出入口は幅70センチメートル以上・高さ1.8メートル以上とし、施錠装置を有する鋼製の戸を設ける必要があります。
  • 機械室に通じる階段はけあげ23センチメートル以下・踏面15センチメートル以上とし、両側に側壁等が無い場合は手すりの設置が義務付けられています。

機械室を守る床面積天井の高さ換気設備出入口の施錠階段の手すりという五つの構造基準を並べた図解

エレベーターの機械室はどんな広さで作られているのか

昇降路のシャフトの上に2倍の広さの機械室が乗る様子を示す図
エレベーターの機械室は、かごを昇降させる巻上機や制御盤が収められた専用の部屋です。
建築基準法施行令第129条の9第一号は、この部屋の広さについて具体的な数値を定めています。
建築基準法施行令第129条の9第一号 床面積は、昇降路の水平投影面積の二倍以上とすること。ただし、機械の配置及び管理に支障がない場合においては、この限りでない
機械室の床面積は、昇降路そのものの床面積の2倍以上を確保することが原則です。
昇降路の真上に機械室があるビルでは、昇降路の断面積を測れば必要な広さの目安がわかります。
ただし書きがあるため、機械の配置及び管理に支障がなければ、2倍に届かなくても認められる場合があります。
点検のときは、まず巻上機と制御盤の周りに十分な作業スペースが確保されているかを見るとよいでしょう。

2倍という数字、狭い機械室だと難しそうですね。

ただし書きがあるので、機械の配置に支障が無ければ多少狭くても問題ありません。

機械室の天井の高さはかごの速度でどう変わるのか

機械室の天井の高さとエレベーターの駆動装置の速度計を示す図
機械室の天井の高さも、施行令が数値で定めています。
基準になるのは部屋の広さではなく、エレベーターの速さです。
建築基準法施行令第129条の9第二号 床面から天井又ははりの下端までの垂直距離は、かごの定格速度に応じて、次の表に定める数値以上とすること。(定格速度六十メートル以下の場合二・〇メートル、六十メートルをこえ百五十メートル以下の場合二・二メートル、百五十メートルをこえ二百十メートル以下の場合二・五メートル、二百十メートルをこえる場合二・八メートル
機械室の天井の高さは、エレベーターの速度が上がるほど高い数値が求められます。
「定格速度」とは、積載荷重を載せて上昇するときの毎分の最高速度のことです。
低速の一般的な住宅・小規模ビル用エレベーターでは2.0メートル以上、速度が上がるほど2.2〜2.8メートル以上と数値が引き上げられます。
点検の際は、まず設置されているエレベーターの定格速度を確認し、表のどの区分に当てはまるかを押さえておくと理解が早まります。

速いエレベーターほど機械室も高く作られているんですね。

はい、はりの下端までの垂直距離で測るので、天井の梁の位置にも注意が必要です。

機械室の換気はどんな基準で作られているのか

機械室の壁の換気口と換気扇を示す図
巻上機やモーターは稼働中に熱を発するため、機械室には換気の基準もあります。
条文自体はシンプルですが、実務では見落とされやすい項目です。
建築基準法施行令第129条の9第三号 換気上有効な開口部又は換気設備を設けること
機械室には、換気に有効な開口部か換気設備のどちらかを備える必要があります。
具体的な開口面積や換気回数までは条文に定められておらず、「換気上有効」であることが求められます。
点検で機械室に入ったときは、換気口がふさがれていないか、換気扇が正常に動いているかを確認することが実務上のポイントです。
夏場に室温が上がりすぎると機器の故障につながるため、防火管理者としても定期的な目視確認をおすすめします。

換気って、具体的にどのくらい必要か決まっていないんですか。

はい、数値の基準はなく「換気上有効」であることが条件です。

機械室の出入口はどんな基準で作られているのか

機械室の出入口の鋼製の戸と施錠装置を示す図
機械室には人が出入りするための戸が設けられますが、その大きさと構造にも基準があります。
防犯と保守点検の両立を意識した規定です。
建築基準法施行令第129条の9第四号 出入口の幅及び高さは、それぞれ、七十センチメートル以上及び一・八メートル以上とし、施錠装置を有する鋼製の戸を設けること
機械室の出入口は、幅70センチメートル以上・高さ1.8メートル以上を確保したうえで、鍵のかかる鋼製の戸にすることが定められています。
人が無理なく出入りできる寸法を確保しつつ、部外者が容易に立ち入れないよう施錠装置を備える戸にする点が特徴です。
木製やアルミ製の軽い戸では基準を満たさないため、既存の機械室を改修する際は材質にも注意が必要です。
点検のたびに施錠を確認し、鍵の管理者を防火管理者側で把握しておくとよいでしょう。

鍵がかかっているのは防犯だけの理由じゃなかったんですね。

はい、施行令の基準そのものです。
鍵の管理者を決めておくと点検もスムーズです。

機械室に通じる階段はどんな基準で作られているのか

機械室に通じる階段と手すりを示す図
機械室が屋上や別のフロアにある建物では、そこへ通じる階段の構造も基準の対象です。
けあげ・踏面・手すりの3点が定められています。
建築基準法施行令第129条の9第五号 機械室に通ずる階段のけあげ及び踏面は、それぞれ、二十三センチメートル以下及び十五センチメートル以上とし、かつ、当該階段の両側に側壁又はこれに代わるものがない場合においては、手すりを設けること
機械室へ通じる階段は、けあげ23センチメートル以下・踏面15センチメートル以上に収める必要があります。
「けあげ」は1段分の高さ、「踏面」は足を乗せる奥行きのことで、急すぎる階段を防ぐための数値です。
さらに、階段の両側に側壁又はこれに代わるものがない場合は、手すりの設置が義務付けられています。
屋外の点検用階段など、片側が吹き抜けになっている箇所では、手すりの有無を必ず確認してください。

側壁があれば手すりは要らないんですね。

はい、側壁が無い場合に限って手すりが必要という条件付きの規定です。

よくある質問

Q機械室の床面積は、必ず昇降路の2倍以上にしなければならないのか?
A原則は2倍以上ですが、機械の配置及び管理に支障が無いと認められる場合はこの限りではありません。既存の建物を改修する際は、このただし書きの適用可否を確認する必要があります。
Q天井の高さはどこで確認すればよいのか?
A施行令はエレベーターの定格速度に応じて必要な垂直距離を表で定めています。設置されているエレベーターの速度を確認し、床面からはりの下端までの高さと照らし合わせます。
Q機械室の出入口はどんな構造にすればよいのか?
A幅70センチメートル以上・高さ1.8メートル以上を確保したうえで、施錠装置を有する鋼製の戸を設ける必要があります。
Q機械室に通じる階段には必ず手すりが必要なのか?
A階段の両側に側壁又はこれに代わるものがない場合に限り、手すりの設置が義務付けられています。側壁があれば手すりが無くても基準は満たされます。

まとめ

機械室の床面積は昇降路の水平投影面積の2倍以上が原則です。
機械の配置及び管理に支障がなければ、床面積の基準は緩和されます。
天井の高さはかごの定格速度が上がるほど高い基準になります。
換気上有効な開口部又は換気設備は省略できません。
出入口は幅70センチメートル以上・高さ1.8メートル以上の施錠装置付き鋼製の戸とします。
通じる階段はけあげ23センチメートル以下・踏面15センチメートル以上に収めます。
側壁の無い階段には手すりの設置が義務付けられます。

機械室の点検も、今日の話を思い出して確認します!

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
主な活動

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

参考・出典

  • 建築基準法施行令(昭和25年政令第338号)第129条の9

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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