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エレベーターの積載荷重はどうやって決まるのか|建築基準法施行令第129条の5が定める基準を解説

エレベーターの積載荷重はどうやって決まるのかを建築基準法施行令第129条の5から解説する記事のアイキャッチ画像

エレベーターの奥に「積載荷重」と書かれたプレートを見たことがある方は多いはずです。
この数値は建築基準法施行令第129条の5が定める最低基準で、かごの床面積と用途によって最低限守るべき値が決まっています。
数値を超えて荷物や人を乗せると、警報が鳴ってドアが閉まらなくなる仕組みが別の条文で定められています。
防火管理者としてこのプレートの意味と点検のポイントを押さえておくと、思わぬ事故や設備トラブルを防ぐ一歩になります。

うちのエレベーターにも「積載荷重」ってプレートが貼ってあるんですけど、あれって普段どこを見ればいいんですか。

あのプレートには、かごの床面積や用途に応じて法律で決められた最低限の重さが書かれています。
実際の運用ではメーカーが定めた数値がそのまま使われていることがほとんどです。

なるほど、じゃああの数字は勝手に決められるものじゃなくて、施行令にちゃんと根拠があるんですね。

はい。
積載荷重を超えて過積載になると、警報が鳴ってドアが閉まらなくなる仕組みも同じ施行令の中に定められています。

この記事の結論
  • 積載荷重は建築基準法施行令第129条の5が定める最低基準で、かごの床面積と用途によって数値が変わります。
  • 実際に使う数値は各エレベーターごとの実況に応じて定められ、最低基準を下回ってはなりません
  • 積載荷重の1.1倍を超える荷重がかかると、警報が鳴りドアの閉鎖を自動的に止める安全装置が働きます。
  • かご内のプレートの数値は、建築基準法第12条第3項に基づく定期検査報告でも確認される項目です。
  • 用途や積み荷の内容が変わるときは、あらかじめ荷重を再確認し、無理な詰め込みを避けることが実務のポイントになります

積載荷重の基準を面積とかごの種類過積載警報標示確認点検の四つのステップで示した図解

エレベーターの積載荷重とはなにを指すのか

エレベーターのかごの枠と積み込まれる重さのブロックを示す図
エレベーターには、動かない部分の重さと、人や荷物を乗せたときの重さという、性質の違う二種類の荷重があります。
建築基準法施行令はこの二つを別々の項で規定しています。
建築基準法施行令第129条の5第1項 エレベーターの各部の固定荷重は、当該エレベーターの実況に応じて計算しなければならない。 第2項 エレベーターのかごの積載荷重は、当該エレベーターの実況に応じて定めなければならない
積載荷重とは人や荷物を乗せたときの重さの基準です。
第1項の固定荷重は、かごや駆動装置など動かない部分そのものの重さで、エレベーターごとの実際の構造に応じて計算されます。
第2項の積載荷重は、そこに人や荷物を乗せたときに加わる重さの基準で、これも実際の状況に応じて定めることになっています。
ただし積載荷重には、このあと説明する最低限の基準があり、これを下回ることは認められていません。
かご内のプレートに書かれている数値は、この積載荷重に当たります。

エレベーターの壁にあるプレートの数字は、固定荷重と積載荷重のどちらなんですか。

あれは積載荷重です。
建物ごとに実際の構造に合わせて計算される固定荷重とは別の基準です。

積載荷重はどうやって計算されるのか

床面積を示す方眼の床板とはかりを並べた図
積載荷重は「実況に応じて自由に決めてよい」わけではありません。
条文には下回ってはならない最低基準が定められています。
建築基準法施行令第129条の5第2項 (略)ただし、かごの種類に応じて、次の表に定める数値(用途が特殊なエレベーターで国土交通大臣が定めるものにあつては、当該用途に応じて国土交通大臣が定める数値)を下回つてはならない
最低基準はかごの床面積と用途で変わります。
乗用エレベーターは床面積が1.5平方メートル以下なら、床面積1平方メートルにつき3,600ニュートンとして計算した数値が最低基準です。
床面積が広くなるほど1平方メートルあたりの単価は上がり、3平方メートルを超える部分では1平方メートルにつき5,900ニュートンとして計算されます。
乗用以外のエレベーターは1平方メートルにつき2,500ニュートン(自動車運搬用は1,500ニュートン)が基準で、乗用エレベーターより低く設定されています。
この数値を下回る値をメーカーや設置者が勝手に定めることはできません。

面積が同じでも、乗用かどうかで基準の数字が変わるんですね。

はい。
人を乗せる乗用エレベーターの方が、1平方メートルあたりの基準値は高く設定されています。

積載荷重を超えるとなにが起こるのか

荷物が積み上がったかごとドア上の警報灯に禁止マークを示す図
積載荷重は「決められた数字」で終わりではありません。
これを超えたときに働く安全装置も、別の条文で義務付けられています。
建築基準法施行令第129条の10第3項 四 イ 積載荷重に一・一を乗じて得た数値を超えた荷重が作用した場合において警報を発し、かつ、出入口の戸の閉鎖を自動的に制止する装置
積載荷重の1.1倍を超えると警報が鳴ります。
乗用エレベーターまたは寝台用エレベーターには、積載荷重の1.1倍を超える荷重がかかると警報を発し、戸の閉鎖を自動的に止める装置の設置が義務付けられています。
この装置は過積載のままかごが動き出すことを防ぐための仕組みです。
貨物用など乗用・寝台用以外のエレベーターにはこの装置は義務付けられていないため、対象になる用途かどうかをまず確認しておく必要があります。
警報が鳴ったときは、無理に荷物を詰め直すのではなく、荷物を減らして再度乗せ直すのが基本です。

荷物を運んでいて警報が鳴ったら、どうすればいいんですか。

一部を降ろして荷重を減らしてから、もう一度乗せ直してください。
無理に押し込んで動かそうとするのは危険です。

積載荷重は誰がどうやって確認しているのか

かごの壁に付いたプレートと点検員がクリップボードを持つ図
積載荷重の基準は、設置するときだけ確認すれば終わりというものではありません。
使い続けている間も、確認する仕組みが法律で決まっています。
建築基準法第12条第3項 特定建築設備等(略)の所有者は、これらの特定建築設備等について、国土交通省令で定めるところにより、定期に、一級建築士若しくは二級建築士又は建築設備等検査員(略)に検査(略)をさせて、その結果を特定行政庁に報告しなければならない
確認の軸は所有者による定期検査です。
エレベーターは建築基準法第12条第3項の特定建築設備等に当たり、所有者が専門の検査員に定期検査をさせ、結果を特定行政庁へ報告する義務を負っています。
この検査では、積載荷重や定員を示すかご内のプレートの標示が実際の値と合っているかどうかも確認の対象になります。
防火管理者自身が数値を計算し直す必要はありませんが、検査記録に不備が指摘されていないかを見ておくことは実務の範囲です。
用途変更などでかごの使い方が変わったときは、所有者側から検査機関に相談する流れになります。

積載荷重の数字自体は、防火管理者が計算し直すものなんですか。

いいえ。
計算や再確認は所有者と専門の検査員が行うもので、防火管理者は検査記録を確認する立場になります。

防火管理者は明日からなにを確認すればよいのか

点検業者と防火管理者がチェックリストを確認する図
ここまでの内容を、日常の確認作業に落とし込みます。
特別な知識がなくても、次の三点は確認できます。
  • かご内の積載荷重・定員のプレートが汚損や剥落なく表示されているかを確認する。
  • 直近の定期検査報告書に不備の指摘が残っていないかを確認する。
  • 荷物の運搬などかごの使い方が変わりそうなときは、先に管理会社や検査機関に相談する。
確認するのは数字ではなく表示と記録です。
積載荷重そのものを計算する場面は防火管理者にはほとんどありませんが、プレートの表示検査記録を確認する場面は日常的にあります。
過積載の警報が頻繁に鳴るようであれば、利用実態が設計時の想定と変わってきているサインとして扱ってください。
気になる点があれば、まず保守点検の契約先に確認するところから始めるとよいでしょう。
小さな違和感を放置しないことが、思わぬトラブルを防ぐ一番の近道です。

プレートの表示と検査記録を見るだけなら、今日からでもできそうです。

はい。
まずはその二つを確認してみてください。

よくある質問

Q積載荷重はエレベーターごとに違う数字になるんですか?
Aはい。かごの床面積と用途によって最低基準が変わり、実際の数値はエレベーターごとに定められています。
Q積載荷重の1.1倍を超えるとどうなりますか?
A警報が鳴り、出入口の戸の閉鎖を自動的に止める装置が乗用・寝台用エレベーターに備わっています。
Qプレートの数値はどこで確認できますか?
Aかご内の壁面に貼られたプレートに積載荷重と定員が表示されています。
Q積載荷重の確認は誰の義務になりますか?
A所有者が建築基準法第12条第3項に基づき専門の検査員に定期検査をさせる義務を負い、防火管理者は検査記録を確認する立場になります。

まとめ

エレベーターの積載荷重は、建築基準法施行令第129条の5が定める最低基準で、実際の運用でこれを下回ることはできません。
最低基準はかごの床面積と用途によって数値が変わります
乗用エレベーターは床面積が広いほど、1平方メートルあたりの基準値が高く設定されています。
積載荷重の1.1倍を超えると警報が鳴り、戸の閉鎖を自動的に止める装置が乗用・寝台用エレベーターに義務付けられています。
かご内のプレートに書かれた数値は、この積載荷重を示しています
エレベーターは建築基準法第12条第3項の特定建築設備等として、定期検査と特定行政庁への報告が義務付けられています。
防火管理者はプレートの表示と検査記録を日常的に確認する立場になります。

プレートと検査記録、さっそく確認してみます!

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
主な活動

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

参考・出典

  • 建築基準法施行令(昭和25年政令第338号)第129条の5
  • 建築基準法施行令(昭和25年政令第338号)第129条の10
  • 建築基準法(昭和25年法律第201号)第12条

※本記事は公表されている法令に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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