BLOG

花火大会や夏祭りの防火対策はなぜ警察や道路管理者との連携が必要なのか|福知山花火大会火災を受けた消防庁通知の3つの指導事項を解説

花火大会や夏祭りの防火対策はなぜ警察や道路管理者との連携が必要なのか

花火大会や夏祭りは毎年各地で開かれる人気の行事ですが、火気を使う露店や多くの観客が集まる分、火災が起きたときの被害は一気に拡大します。
平成25年8月15日、京都府福知山市の花火大会会場で発電機のガソリンが原因とみられる火災が発生し、死者3名・負傷者56名という大きな被害が出ました。
この火災を受けて消防庁は「屋外イベント会場等火災対策検討部会」を設置し、報告書をもとに全国の消防機関へ多機関連携を求める通知を発出しています。
花火大会や祭りを主催する立場になったとき、消防・警察・道路管理者とどう連携すればよいのかを、この記事で確認しておきましょう。

うちの町内会でも毎年夏祭りをしているんですが、消防への届出以外に何かすることがあるんでしょうか。

実は福知山市の花火大会火災を受けて消防庁が全国の消防機関に通知を出していて、警察や道路管理者との連携がポイントになっています。

警察や道路管理者ですか。
うちのような小さい祭りでも関係あるんでしょうか。

火気器具を多く使う行事なら関係してきます。
順番に見ていきましょう。

この記事の結論
  • 平成25年8月15日の福知山花火大会火災を受け、消防庁は「屋外イベント会場等火災対策検討部会」の報告書をもとに全国の消防機関へ通知を発出しました
  • 対象は多数の観客が集まり、かつ、多数の火気器具等を使用する等火災危険性の高い花火大会・祭り等の屋外イベントです
  • 消防機関には火気器具の取扱いや店舗の配置など防火管理に係る指導を行うことが求められています
  • 警察・道路管理者・河川管理者や主催者、イベント受託業者、露店出店団体等との計画段階からの連携が通知の柱になっています
  • 観客に対しては火気器具等や危険物のある場所にみだりに近づかないよう注意喚起することも通知の内容に含まれます

屋外イベントの防火管理・関係機関との連携・観客への注意喚起の3つの柱を示した図解

花火大会や夏祭りの防火対策はなぜ見直されたのか

夜祭りの露店が並ぶ通りとその脇に停まる消防車

平成25年8月15日、京都府福知山市の花火大会会場で発電機のガソリンが原因とみられる火災が発生しました。
消防庁はこれを受けて検討部会を設置し、報告書をもとに全国の消防機関へ通知を発出しています。

消防予第393号(平成25年9月19日) 消防庁では、平成25年8月15日京都府福知山市において死者3名、負傷者56名が発生した「福知山花火大会火災」を踏まえ、平成25年9月19日に「予防行政のあり方に関する検討会」の下に「屋外イベント会場等火災対策検討部会」を設置し、屋外イベント会場等における火災予防対策のあり方について検討を行ってきたところであり、この度、第2回検討部会での意見を踏まえ、報告書が取りまとめられたので参考に送付します。
消防組織法第37条(消防庁長官の助言、勧告及び指導) 消防庁長官は、必要に応じ、消防に関する事項について都道府県又は市町村に対して助言を与え、勧告し、又は指導を行うことができる。

検討会の報告書がきっかけになった通知です。
福知山花火大会火災の発生から約1か月後、消防庁は「予防行政のあり方に関する検討会」の下に専門の検討部会を設置し、屋外イベント会場等の火災予防対策のあり方を検討しました。
本通知は、その第2回検討部会での意見を踏まえた報告書を全国の消防機関に送付するとともに、制度が整うまでの当面の対応を求めるものです。
なお本通知は、消防組織法第37条に基づく消防庁長官の助言として発出されています。
花火大会や祭りは毎年各地で開かれる行事だからこそ、この通知の背景を知っておくと対応の意味が理解しやすくなります。

福知山市の花火大会でそんな大きな被害が出ていたとは知りませんでした。

この火災がきっかけで検討部会ができたんです。
次は通知の対象を見ていきましょう。

どんな行事のどんな運営がこの通知の対象になるのか

たくさんの観客が行き交う夜祭りの通りに並ぶ屋台と打上花火の出店

通知が対象にしているのは、多数の観客が集まり、かつ、多数の火気器具等を使用する行事です。
花火大会や祭りであれば何でも対象になるわけではなく、この定義に当てはまるかどうかがポイントです。

消防予第393号 記1 多数の観客が集まり、かつ、多数の火気器具等を使用する等火災危険性の高い花火大会、祭りその他の屋外イベント(以下「火災危険性の高い屋外イベント」という。)

通知が使う言葉は「火災危険性の高い屋外イベント」です。
定義は多数の観客が集まることと多数の火気器具等を使用することの2つで、具体的な人数や店舗数の基準は示されていません。
花火大会や夏祭り、秋祭りのほか、露店や屋台が並ぶ規模の行事であれば、町内会や自治会主催のものでも対象になり得ます。
消防機関はこうした行事を把握した場合に、火気器具等の取扱い・消火準備・店舗の配置など防火上必要な事項の指導を行うことになっています。
自分たちの行事が対象になりそうか迷ったときは、早めに所轄消防署へ相談しておくと安心です。

うちの祭りは規模が小さいので対象にならないと思っていました。

人数や店舗数の基準は示されていないので、火気器具を多く使うなら対象になり得ます。
次で通知の中身を見ていきましょう。

消防機関は屋外イベントでどんな防火管理指導を行うのか

チェックリストを持つ担当者と露店の配置図が置かれた作業台

記1の防火管理に係る指導は、火気器具等の取扱い・消火準備・店舗の配置の3つが柱になっています。
現場の火気そのものだけでなく、会場全体のレイアウトまで指導の対象に含まれる点がポイントです。

消防予第393号 記1 屋外イベント会場等の防火管理に係る指導について 火災危険性の高い屋外イベントを把握した場合においては、火気器具等の取扱い、消火準備、店舗の配置等その他の防火上必要な事項について指導を行うこと。

指導のポイントは「取扱い」「準備」「配置」の3つです。
火気器具等の取扱いは、こんろやガスコンロなど熱源そのものの安全な使い方を指します。
消火準備は、いざというときにすぐ消火できる体制を会場側が整えておくことです。
店舗の配置も指導の対象で、通路をふさがない・出入口付近に火気器具を置かないといった会場レイアウト全体の視点が必要になります。
これらは個々の露店だけでなく、会場全体を運営する主催者側が把握しておくべき事項です。

配置まで指導の対象になるとは思っていませんでした。

会場全体のレイアウトも防火管理の一部なんです。
次は見落としやすい連携を見ていきましょう。

主催者が見落としやすい連携はどこにあるのか

地図を囲んで打ち合わせる警察官風・道路工事関係者風・消防職員風の3人

通知には、防火管理の指導だけでなく関係行政機関等との連携を求める項目もあります。
主催者側が見落としやすいのは、消防以外の複数の機関ともつながりを持つ必要がある点です。

消防予第393号 記2 関係行政機関等との連携について 火災危険性の高い屋外イベントについては、その計画段階から、事前打合せに積極的に参加する等、当該イベントの開催に関係する警察、道路管理者、河川管理者等の関係行政機関及び主催者等、イベント受託業者、イベント警備受託業者、露店出店団体等の関係者と情報を共有して対応すること。

連携の相手は消防機関だけではありません。
通知が挙げているのは警察・道路管理者・河川管理者等の関係行政機関に加え、主催者等・イベント受託業者・イベント警備受託業者・露店出店団体等の関係者です。
花火大会であれば河川敷や道路の使用が絡み、祭りであれば交通整理で警察の協力が欠かせないなど、行事の内容によって連携先は変わります。
ポイントは計画段階から事前打合せに積極的に参加することが求められている点で、開催直前や当日になって慌てて連絡するのでは遅いということです。
主催者側から見ても、早い段階で消防以外の関係機関の窓口を把握しておくことが実務上の見落としを防ぎます。

警備会社や露店の団体とも情報共有しないといけないんですね。

計画段階からの情報共有が求められています。
次で明日からの確認事項をまとめます。

花火大会や祭りを主催するとき明日から何を確認すればよいか

案内看板とロープで区切られた立入禁止エリアの脇を歩く家族連れ

最後は観客への注意喚起と、ここまでの内容をまとめた確認事項です。
主催者として明日から動ける形に落とし込んでおきましょう。

消防予第393号 記3 注意喚起について 火災危険性の高い屋外イベントの会場等で使用される火気器具等・煙火・ガソリン等の危険物は、取扱いを誤ると甚大な被害が生じるおそれがあることから、観客に対し、これらがある場所にみだりに近づかないようにすること等の注意喚起を行うこと。

まずは観客への注意喚起を忘れないでください。
会場内で火気器具等・煙火・ガソリン等の危険物を扱う場所には、観客がみだりに近づかないよう案内板やアナウンスで周知しましょう。
主催者としては、開催が決まった段階で所轄消防署に連絡し、警察・道路管理者・河川管理者など関係する機関の窓口も早めに確認しておくことが大切です。
会場の配置図ができた時点で、通路の確保や火気器具等の設置場所を消防機関と共有しておくと、当日の指導もスムーズになります。
これらは花火大会や祭りに限らず、多数の観客と火気器具等が集まる屋外イベント全般に共通する確認事項です。

観客への注意喚起の看板も準備しておきます。

計画段階からの連携を意識してもらえれば安心です。
まとめで全体を振り返りましょう。

よくある質問

Q小規模な町内会の夏祭りでもこの通知の対象になりますか?
A通知は「多数の観客が集まり、かつ、多数の火気器具等を使用する」行事を対象としており、具体的な人数や店舗数の基準は示されていません。火気器具を多く使う行事であれば、規模が小さくても所轄消防署に確認しておくと安心です。
Qこの通知と「指定催し」の防火担当者制度は同じものですか?
A異なります。指定催しは消防法令に基づき防火担当者の選任や計画の提出が義務づけられる制度ですが、本通知は消防機関自身が行う行政指導と多機関連携の枠組みで、対象は指定催しに満たない一般の屋外イベントも含みます。
Q露店の消火器の設置義務はこの通知に書かれていますか?
A本通知の記1には消火準備の指導が含まれますが、消火器の設置基準そのものは火災予防条例など別の規定で定められています。器具の種類や設置場所は所轄消防署に確認してください。
Q河川敷で花火大会をする場合、消防以外にどこへ相談すればよいですか?
A通知は関係行政機関の例として警察・道路管理者・河川管理者を挙げています。会場が河川敷であれば河川管理者への相談が必要になるため、開催が決まった段階で管轄の河川事務所等にも確認しておきましょう。

まとめ

平成25年8月15日の福知山花火大会火災を受け、消防庁は「屋外イベント会場等火災対策検討部会」の報告書をもとに全国の消防機関へ通知を発出しました
本通知は消防組織法第37条に基づく消防庁長官の助言として発出されています
対象は多数の観客が集まり、かつ、多数の火気器具等を使用する等火災危険性の高い花火大会・祭り等の屋外イベントです
記1では火気器具等の取扱い・消火準備・店舗の配置について指導を行うことが示されています
記2では計画段階からの警察・道路管理者・河川管理者等との連携が求められています
連携先には主催者等・イベント受託業者・イベント警備受託業者・露店出店団体等も含まれます
記3では観客に対し危険物のある場所にみだりに近づかないよう注意喚起することが求められています

屋外イベントの多機関連携がよく分かりました!

まずは所轄消防署への相談から始めてみてください。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

まずはWebで無料お見積りを!

お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
主な活動

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

参考・出典

  • 屋外イベント会場等の火災対策に関する当面の対応について(平成25年9月19日 消防予第393号)
  • 多数の観客等が参加する行事に対する火災予防指導等の徹底について(平成25年8月19日 消防予第321号・消防危第155号)
  • 消防組織法(昭和22年法律第226号)第37条

※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

BLOGカテゴリ
最新の記事
防火管理者代行サービス
無料1分概算見積
花火大会や夏祭りの防火対策はなぜ警察や道路管理者との連携が必要なのか
花火大会や夏祭りは毎年各地で開かれる人気の行事ですが、火気を使う露店や多くの観客が集まる分、火災が起きたときの被害は一気に拡大します。 平成25年8月15日、京都府福知山市の花火大会会場で発電機のガソリンが原因とみられる...