平成29年に住宅宿泊事業法(民泊新法)が公布され、住宅を使った宿泊サービスに届出制度ができました。
届出住宅は消防法令上どの用途に区分されるのか、消防庁が全国の消防機関へ向けて基準を示しています。
原則は旅館やホテルと同じ扱いですが、条件を満たせば住宅として扱われる特例があります。
届出住宅の用途区分は、家主の在宅と部屋の広さで決まります。
民泊の届出をすれば、うちも普通の住宅のままでいられるんですか。
条件を満たせば住宅として扱われますが、原則は旅館やホテルと同じ扱いになります。
まずは平成29年の消防庁通知の中身を見てみましょう。
条件ってどんなものなんですか。
家主等が不在にならないことと、宿泊室の広さです。
この記事で詳しく説明します。
- 住宅宿泊事業法の届出住宅は原則として旅館・ホテルと同じ令別表第一(5)項イとして扱われます。
- 家主等が宿泊中に不在とならない旨の届出があることが、住宅として扱われるための条件の一つです。
- 宿泊室の床面積の合計が50平方メートル以下であることも、あわせて必要です。
- 両方満たせば住宅(令別表第一(5)項ロ)として扱われます。
- 共同住宅の一部が届出住宅の場合は、部屋ごとの判定と棟ごとの判定を分けて行います。
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目次
民泊の届出住宅はなぜ消防法令上の扱いを国が示したのか

これを受けて消防庁は、届出住宅が消防法令上どの用途に区分されるのかをあらかじめ全国の消防機関へ示しました。
住宅宿泊事業法は平成30年6月15日に施行されることが決まっており、この通知はその約8か月前に発出されました。
届出住宅が防火対象物としてどう扱われるかが決まっていなければ、必要な消防用設備等も分からないままになります。
そこで消防庁は施行に先立ち、届出住宅の用途区分という土台の部分を先に固めました。
この考え方は今も変わらず生きています。
民泊って旅館みたいな設備が要るんですか。
原則はそうですが、条件を満たせば住宅として扱われる特例があります。
それは次で詳しく説明します。
どんな届出住宅が令別表第一(5)項イの対象になるのか

まずは原則の扱いを押さえておきましょう。
一戸建てでも、分譲マンションの一室でも同じです。
住宅宿泊事業法第3条第1項の届出をして初めて「届出住宅」になり、この通知の対象になります。
無届けのまま有償で繰り返し人を泊める行為は、原則として旅館業法の許可が必要な別の話であり、この通知の射程には入りません。
届出さえすれば自動的に住宅扱いになるわけではなく、原則は旅館・ホテルと同じ扱いだという出発点をまず押さえてください。
うちのマンションの一室を民泊に貸すだけでも対象になるんですか。
住宅宿泊事業法の届出をしていれば対象になります。
まずは原則どおり旅館と同じ扱いと考えてください。
届出住宅はどんな条件で住宅として扱われるのか

条件は大きく分けて二つです。
一つ目の条件は、宿泊者を泊めている間、住宅宿泊事業者等が不在にならない旨の届出をしていることです。
二つ目の条件は、宿泊室の床面積の合計が50平方メートル以下であることです。居間や台所などは含みません。
この二つをどちらも満たして初めて、届出住宅は消防法(昭和23年法律第186号)第9条の2に規定する住宅と同じ扱い(令別表第一(5)項ロ)になります。
どちらか一方でも外れれば、原則どおり旅館・ホテルと同じ扱いのままです。
家主が住み込みで、部屋も小さければ住宅扱いになるんですね。
そのとおりです。
ただし条件を一つでも外れれば旅館と同じ扱いに戻ります。
共同住宅の一室だけを届け出るとどこに注意が必要か

棟全体の用途判定にも影響することがあるので注意が必要です。
まず届出住宅ごとに用途を判定し、そのうえで棟全体の用途は昭和50年消防予第41号・消防安第41号の基準にあてはめます。
届出をしていなくても旅館業法の許可を得て同じような使い方をしている部屋があれば、同じ考え方を準用して判定します。
住宅扱いの特例を受けるときは、火災が起きたときの初期消火や避難誘導を事業者側が行えることが前提にされている点も見落とされがちです。
管理組合や管理会社が「一室だけ民泊になっただけ」と軽く考えると、建物全体の用途判定を誤ることがあります。
マンションの管理組合なんですが、一室だけ民泊になったら建物全体が旅館扱いになるんですか。
そうとは限りません。
部屋ごとの判定と棟ごとの判定は別なので、両方を確認する必要があります。
明日から何を確認すればよいのか

次の点を順番に整理してください。
住宅宿泊事業者等が不在にならない旨の届出をしているか、していないかを確認します。
宿泊室の床面積の合計が50平方メートル以下に収まっているかも、あわせて計算しておきます。
共同住宅の一室だけを届け出る場合は、棟全体の用途判定にも影響することがあるので、管理組合とも早めに情報を共有します。
判断に迷う点は自己流で済ませず、所轄の消防署または㈱防災屋にご相談ください。
民泊を始める前に、うちの部屋がどっちの扱いになるか先に計算しておいたほうがよさそうですね。
そのとおりです。
不在の有無と面積の二点を先に確認しておくと、設備の準備も進めやすくなります。
よくある質問
まとめ
分かりました!
不在の届出と50平方メートルの二点を確認してから届出を検討します!
それがいちばん確実です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 住宅宿泊事業法に基づく届出住宅等に係る消防法令上の取扱いについて(通知)(平成29年10月27日 消防予第330号 消防庁予防課長)
- 消防法施行令別表第一(5)項イ・ロ
- 消防法(昭和23年法律第186号)第9条の2
- 住宅宿泊事業法(平成29年法律第65号)第2条第4項・第3条第1項
- 住宅宿泊事業法施行規則第4条第3項第10号・第4項第1号チ(4)
- 令別表第1に掲げる防火対象物の取扱いについて(昭和50年4月15日 消防予第41号・消防安第41号)
※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





