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AEDはどこに配置しどう使えばよいのか|消防庁が求める情報共有とパッドの使い分けを解説

廊下の壁に設置された赤いAED収納ボックスがあるオフィスビルのエントランス

平成16年に非医療従事者でもAEDを使えるようになって以降、学校や駅、商業施設を中心に設置が急速に広がりました。
しかし普及が進むにつれ、単に台数を増やすだけでは救命率が上がらないことが分かってきました。
消防庁は厚生労働省と連携し、「効果的かつ効率的な設置」「使える体制づくり」の両方を求める通知を重ねて出しています。
AEDは置くだけでなく、周知と使い分けまで整えて初めて救命に役立ちます。

うちのビルにもAEDを置いているので、防火管理としてはもう十分ですよね。

設置だけでなく、情報の周知とパッドの使い分けまで消防庁が求めていますよ。

置いてあるだけでは足りないってことですか。

はい。
消防庁の通知が求める中身を、一つずつ確認していきましょう。

この記事の結論
  • 平成25年の消防庁通知は、AEDの普及が進んだことを受け、単に台数を増やすのではなく効果的な設置を求める厚生労働省ガイドラインを周知したものである
  • AEDを設置した施設は、設置場所の情報を収集しホームページ等で住民に提供するよう求められている
  • 設置施設の従業員や周辺住民には、応急手当講習の受講がより一層促進されている
  • 未就学児には小児用パッド、それ以外には成人用パッドを使うが、小学生に接した際に迷いが生じやすい
  • AEDの設置場所情報を119番の通信指令システムへ登録しておくと、通報時の口頭指導で最寄りのAEDを案内できる

AED配置で確認したい設置場所の周知・応急手当講習・パッドの使い分け・通信指令システム登録の4つのポイントを示す図解

AEDの配置ガイドラインはなぜ作られたのか

壁に設置されたAED収納ボックスと、書類を確認する消防担当者
平成16年に非医療従事者によるAEDの使用が認められて以降、学校や駅、公共施設、商業施設を中心にAEDは急速に普及しました。
台数が増える一方で、設置の質そのものを問う声が上がってきました。
自動体外式除細動器(AED)の適正配置に関するガイドラインについて(平成25年10月31日 消防救第175号 消防庁救急企画室長通知) 自動体外式除細動器(以下「AED」という。)については、「非医療従事者による自動体外式除細動器(AED)の使用について」(平成16年7月1日付医政発第0701001号厚生労働省医政局長通知)により非医療従事者である一般市民による使用が認められて以降、学校、駅、公共施設、商業施設等を中心に急速に普及してきました。AEDのさらなる普及拡大に当たり、単に設置数を増やすのではなく、効果的かつ効率的な設置に向けた指針を求める声があったことから、今般、一般財団法人日本救急医療財団「非医療従事者によるAED使用のあり方特別委員会」において検討がなされ、別添のとおり「AEDの適正配置に関するガイドライン」がとりまとめられました。(別添は略)
普及が一巡したからこそ、次は「どこに置けば実際に使われるか」が課題になりました。
発出元は消防庁救急企画室長で、厚生労働省医政局長からの通知を都道府県の消防防災主管部局へ連絡する形をとっています。
ガイドラインの本体は日本救急医療財団の特別委員会がまとめたもので、通知はその内容を都道府県経由で管内の学校・医療機関・商業施設等へ周知するよう求めています。
つまりこの通知は、AEDを「配置する数」から「使われる配置」へ視点を転換させる出発点になっています。

ただ台数を増やせばいいわけじゃないんですね。

はい。
効果的かつ効率的な設置という視点が新しく求められています。

AEDを設置した施設は何を求められるのか

受付でパソコンの情報を更新する担当者と、訓練用マネキンで応急手当講習を受ける従業員たち
AEDを設置した施設には、置いた後の2つの取組みが呼びかけられています。
情報の提供と、従業員への講習の2本立てです。
自動体外式除細動器(AED)の更なる有効活用に向けた取組の推進について(通知)(平成26年7月7日 消防救第116号 消防庁救急企画室長通知) AEDを設置している施設の従業員や周辺住民等に対する応急手当の普及促進 消防庁では平成23年に「応急手当の普及啓発活動の推進に関する実施要綱」の改正を行い、従来の時間を短縮した90分の「救命入門コース」を新設し、e-ラーニングを活用した講習を取り入れるなど、一般市民が応急手当講習を受講しやすい環境を整備しており、特にAEDを設置している施設の従業員や周辺住民等に対し、更なる応急手当の普及を図っていただくようお願いします。また、AEDを設置するとともに応急手当講習を従業員等が受講している施設の情報を住民に対して提供することで、救命の現場に居合わせた一般市民がAEDの使用を依頼できる施設等に対し、このような情報提供の手法の導入について積極的な検討をお願いします。
AEDを置いた施設ほど、従業員自身が使える体制まで整えることが期待されています。
救命講習は90分の「救命入門コース」が新設されており、以前より受講しやすくなっています。
e-ラーニングを併用した講習も用意されており、従業員のシフトに合わせて受講しやすい形が選べます。
講習を受けた従業員がいる施設だと住民に伝われば、救命の現場でAEDの使用を頼める先としても機能します。

90分で受けられるなら、従業員にも案内しやすいですね。

e-ラーニングも併用できるので、業務の合間でも受講しやすいですよ。

AEDの設置場所はどう知らせればよいのか

位置情報を表示するスマートフォンと、AED収納ボックスを示す案内板
救命の現場に居合わせた人がAEDをすぐ見つけられるかどうかで、使用開始までの時間が変わります。
消防庁は、情報の集め方と伝え方の両方を工夫するよう呼びかけています。
自動体外式除細動器(AED)の更なる有効活用に向けた取組の推進について(通知)(平成26年7月7日 消防救第116号) 各市町村及び消防本部において、関係機関と連携し、適切な管理がなされているAEDかどうかについて留意しながら、管内のAEDの設置場所に関する情報を収集し、ホームページ等を通じて住民に対して情報を提供していただくようお願いします。住民に対する情報提供の手法としては、施設名や住所だけでなく、何階にあるかといった詳細な位置情報を提供していること、GPS(全地球測位網)機能付きの携帯電話等でアクセスすることにより、近くにあるAEDの設置場所を検索することができるシステムを導入していることなど、救命の現場に居合わせた一般市民がAEDの設置場所をすみやかに知ることができるようにしている事例を参考に、情報提供の手法を工夫していただくようお願いします。
施設名や住所だけでは足りず、「何階のどこか」まで伝わって初めて実用的な情報になります。
GPS機能付きの携帯電話などで近くのAEDを検索できるシステムを導入している消防本部の事例も参考として示されています。
設置した施設としても、館内の案内板やフロア図にAEDの位置を分かりやすく明記しておくことが役立ちます。
情報は一度提供して終わりではなく、最新の設置場所と管理状況を保つことが前提になっています。

フロアの案内図にAEDの位置を書き足すだけでも違いますね。

そのとおりです。
何階のどこにあるかまで伝わることが大切です。

小児用パッドと成人用パッドはどちらを使えばよいのか

小さな子どもと小児用パッドの組み合わせに付いた許可マークと、同じ子どもに大きな成人用パッドをあてる組み合わせに付いた禁止マーク
AEDの電極パッドには「小児用」と「成人用」があり、対象の目安が周知されています。
ところが実際の現場では、この使い分けで迷いが生じることが分かってきました。
自動体外式除細動器の使用法の市民への普及啓発について(依頼)(令和3年9月2日 事務連絡 消防庁救急企画室) 現在、AED電極パッド・モードには「小児用」及び「成人用」という名称が用いられており、この対象については、「救急蘇生法の指針2015(市民用)」の取りまとめにおいて、「未就学児(およそ6歳まで)に対しては、小児用パッドを用いる。」旨、周知しているところです。しかしながら、市民が小学生の心肺停止事案に接する際、「小児用」と「成人用」のどちらを使用すべきかについて迷いが生じる場合もあることから、消防機関において改めて各種講習の内容を確認し、AEDの適切な使用法の普及啓発を図っていただくようお願いします。
小児用パッドの対象はおおむね6歳までの未就学児に限られ、小学生には成人用パッドを使います。
名称だけを見ると「子ども=小児用」と早合点しがちですが、就学しているかどうかが分かれ目になります。
この整理は「救急蘇生法の指針2015(市民用)」で周知されているものですが、とっさの場面では迷いが生じやすいため、消防庁が改めて講習内容の確認を求めています。
学校や学童施設にAEDを設置している場合は、この使い分けを職員間であらかじめ共有しておくことが欠かせません。

小学生なら当然「子ども用」だと思っていました。

そこがまさに迷いやすいポイントだと消防庁も指摘しています。

明日から何を確認すればよいのか

チェックリストを持ち建物の前に立つ担当者と、電話アイコンを表示するスマートフォンを持つ手
ここまでの内容を踏まえ、AEDを設置している施設が明日から確認しておきたい点を整理します。
どれも大がかりな工事や届出を要するものではありません。
自動体外式除細動器(AED)の更なる有効活用に向けた取組の推進について(通知)(平成26年7月7日 消防救第116号) AEDの設置場所に関する情報の通信指令システムへの登録及び口頭指導における当該情報の活用の推進 一部の消防本部では、収集した管内のAEDの設置場所に関する情報を通信指令システムへ登録し、通報者に対して最も近くのAEDの設置場所を伝えて使用を要請するなど、口頭指導において当該情報を活用している事例があります。このような仕組みの導入により、AEDの使用開始までの時間の短縮等の効果が見込まれるため、管内のAEDの設置場所に関する情報の収集と併せて、このような取組みの導入について積極的な検討をお願いします。
まず、館内のAEDの設置場所を案内板やフロア図に明記できているかを見直します。
次に、従業員が90分の救命入門コースなどを受講済みかを確認し、未受講者がいれば受講の案内を出します。
あわせて、未就学児と小学生以上でパッドが変わることを職員間で共有しておきます。
最後に、地域の消防本部がAED設置場所の情報提供や通信指令システムへの登録を呼びかけていないか、一度問い合わせてみるとよいでしょう。

案内板の見直しと従業員の受講状況、まず確認してみます。

身近なところから、一つずつ整えていきましょう。

よくある質問

QAEDの設置は法律で義務付けられていますか?
Aいいえ。AEDの設置自体を一律に義務付ける法令はなく、消防庁の通知も消防組織法第37条に基づく助言として発出されたものです。ただし、多くの施設で任意の設置が進んでいます。
QAEDの設置場所は消防に届け出る必要がありますか?
A届出を義務付ける規定はありませんが、消防本部が設置場所情報の提供を呼びかけており、登録しておくと119番通報時に最寄りのAEDを案内してもらえる場合があります。
Q小学生にAEDを使うときは小児用と成人用のどちらのパッドを使えばよいですか?
A小学生には成人用パッドを使います。小児用パッドの対象はおおむね6歳までの未就学児に限られます。
Q従業員がAEDの使い方を知らない場合はどうすればよいですか?
A消防機関が開催する90分の救命入門コースなどを受講することで、正しい使用法を確認できます。e-ラーニングを併用した講習も用意されています。

まとめ

平成16年の非医療従事者によるAED使用解禁以降、学校・駅・公共施設・商業施設を中心に急速に普及した。
平成25年、厚生労働省と消防庁は単に台数を増やすのではなく効果的な設置を求める適正配置ガイドラインをとりまとめた。
各消防本部は管内のAED設置場所情報を収集し、ホームページ等で住民に提供するよう求められている。
GPS対応の検索システムなど、住民がすみやかに最寄りのAEDを知る手法の工夫も呼びかけられている。
AEDを設置した施設の従業員・周辺住民には応急手当講習の受講がさらに促進されている。
未就学児にはAED小児用パッド、それ以外には成人用パッドを使うが、小学生の心肺停止では迷いが生じやすい。
AED設置場所情報を119番の通信指令システムへ登録しておくと、通報時の口頭指導で使用開始までの時間を短縮できる。

案内板・講習・パッドの使い分けまで、まとめて確認してみます。

それがいちばんの近道です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

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お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 自動体外式除細動器(AED)の適正配置に関するガイドラインについて(平成25年10月31日 消防救第175号 消防庁救急企画室長通知)
  • 自動体外式除細動器(AED)の更なる有効活用に向けた取組の推進について(通知)(平成26年7月7日 消防救第116号 消防庁救急企画室長通知)
  • 自動体外式除細動器の使用法の市民への普及啓発について(依頼)(令和3年9月2日 事務連絡 消防庁救急企画室)
  • 根拠 消防組織法(昭和22年法律第226号)第37条

※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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