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危険物施設で扱う量を変えたときと廃止するときの届出はどう違うのか|第11条の4と第12条の6が分ける事前と事後の期限を解説

危険物施設を変えるときやめるとき届出はいつ必要か

危険物を扱う施設は、貯蔵する量や種類を変えるときと、施設そのものをやめるときとで、消防への届出の中身も期限もまったく違います。
「量が増えるだけだから許可が要る」「やめるならすぐ言えばいい」と思い込むと、期限を逃したり、本来許可が必要な変更を届出だけで済ませてしまったりします。
消防法第11条の4と第12条の6は、事前に出す届出と事後でよい届出をはっきり分けています。
この記事では、変更と廃止で異なる届出の期限、そして届出では済まず許可が必要になる境目を、条文に沿って整理します。

内容量を変えたときと、施設をやめるときで、届出は違うんですか。
うちも去年、扱う灯油の量を増やしたばかりなんです。

はい、変更は事前に、廃止は事後でよいと消防法が分けています。
まずはどちらに当てはまるか一緒に確認しましょう。

位置や構造まで変えるときは、また別の話になるんですね。
届出だけで済むと思い込んでいました。

そうなんです、そこを見誤ると後で慌てることになります。
今日はその境目までまとめて解説しますね。

この記事の結論
  • 危険物施設で扱う危険物の品名・数量・指定数量の倍数だけを変える場合は、消防法第11条の4の届出で足ります
  • 変更の届出は変更しようとする日の10日前までに市町村長等へ提出します。
  • 施設の用途を廃止するときは、第12条の6により遅滞なく届け出ればよく、変更のような事前提出は求められません
  • 位置・構造・設備そのものを変えるときは届出では済まず、第11条の許可が必要になります。
  • これらの届出を怠ると30万円以下の罰金又は拘留の対象になります。

危険物施設の届出は何がいつ必要かを示す図解。中身だけ変更・施設を廃止・構造まで変更・届出を怠るの4つを整理

危険物施設の届出はなぜ変更と廃止で分かれているのか

変更届と廃止届の二種類の書類を窓口で扱うイメージ
危険物を扱う製造所・貯蔵所・取扱所には、消防法の中に届出の場面がいくつも用意されています。
その中でも実務でつまずきやすいのが、扱う中身を変えるときの届出と、施設をやめるときの届出の違いです。
  • 品名・数量・指定数量の倍数を変えるとき=消防法第11条の4(事前の届出)
  • 施設の用途を廃止するとき=消防法第12条の6(事後の届出)
期限も届出の考え方もまったく別物です
変更の届出は、これから何かを変えようとする事前の手続きです。
廃止の届出は、既に施設をやめた後に行う事後の手続きです。
どちらも忘れると届出義務違反になりますが、性質がまったく違うため同じ感覚で扱うと期限を取り違えます。
次の項目から、それぞれの届出が何を対象にしているのかを順番に見ていきます。

変更と廃止、名前は似てるけど中身が違うんですね。
整理してもらえると助かります。

はい、まずはこの2つを混同しないことが第一歩です。
次は変更の届出から見ていきましょう。

扱う危険物の量を変えるときはいつまでに何を届け出るのか

貯蔵する危険物の種類や量を入れ替える作業員と残り日数を示すカレンダーのイメージ
品名や数量、指定数量の倍数を変えるだけで、施設の位置や構造そのものはそのままという場面は少なくありません。
このときに必要になるのが、消防法第11条の4が定める届出です。
第11条の4 製造所、貯蔵所又は取扱所の位置、構造又は設備を変更しないで、当該製造所、貯蔵所又は取扱所において貯蔵し、又は取り扱う危険物の品名、数量又は指定数量の倍数(略)を変更しようとする者は、変更しようとする日の10日前までに、その旨を市町村長等に届け出なければならない
この届出は変更する前に済ませておく必要があります
届出の対象になるのは、品名数量指定数量の倍数の3つです。
指定数量の倍数は、扱う危険物の数量をその危険物の指定数量で割って求め、品名や指定数量が異なる二以上の危険物を扱う場合はそれぞれの倍数を合算します。
書式は危険物の規制に関する規則第7条の3が定める様式第16の届出書です。
提出先は施設の設置許可を出した市町村長等で、変更のたびに毎回必要になります。

灯油からガソリンに変えるだけでも届出が要るんですか。
数量を増やすだけの場合も同じですか。

はい、品名や数量、指定数量の倍数のどれか一つでも変われば対象です。
変更の10日前までに届け出てくださいね。

施設をやめるときの届出はいつまでにすればよいのか

使われなくなった貯蔵タンクにシャッターを下ろす作業のイメージ
品名や数量の変更とは逆に、施設そのものの使用をやめるときにも届出が必要です。
根拠になるのは消防法第12条の6で、変更の届出とは期限の考え方が異なります。
第12条の6 製造所、貯蔵所又は取扱所の所有者、管理者又は占有者は、当該製造所、貯蔵所又は取扱所の用途を廃止したときは、遅滞なくその旨を市町村長等に届け出なければならない
廃止の届出は事前ではなく事後でかまいません
条文の言葉は遅滞なくであり、変更の届出のような10日前までという事前の期限は付いていません。
届け出るのは施設を実際に廃止した所有者・管理者・占有者です。
書式は危険物の規制に関する規則第8条が定める様式第17の届出書です。
一時的に休止するだけで用途を廃止したとまでは言えない場合の扱いは、所轄の消防署に確認しておくと安心です。

廃止のときは前もって言わなくていいんですか。
タイミングが変更と逆で少し戸惑います。

そうなんです、廃止は結果を報告する届出だからです。
やめたらできるだけ早く届け出てくださいね。

位置や構造まで変えるときは届出だけで済むのか

小さな容器だけを入れ替える施設と足場を組んで建物ごと工事する施設を並べたイメージ
ここまでの2つの届出は、いずれも位置・構造・設備そのものは変えない場合の話でした。
これらまで変えるとなると、話は届出では終わりません。
第11条 製造所、貯蔵所又は取扱所を設置しようとする者は、(略)市町村長等の許可を受けなければならない。製造所、貯蔵所又は取扱所の位置、構造又は設備を変更しようとする者も、同様とする
位置・構造・設備を変えるなら届出でなく許可が必要です
第11条の4の届出で足りるのは、位置・構造・設備を変更しないで中身だけを変える場合に限られます。
タンクの増設や建物の造作変更のように位置・構造・設備に手を入れるなら、許可申請からやり直しになります。
許可を受けた工事は、市町村長等が行う完成検査に合格するまで使用できません。
「届出だけ出しておけば大丈夫」という思い込みが、この境目でいちばん危険です。

タンクを増やす工事は届出じゃ済まないんですね。
危うく届出だけで進めるところでした。

そうなんです、その工事は許可からのやり直しになります。
迷ったら着工前に消防署へ相談してくださいね。

届出を怠るとどうなるのか

窓口で書類の不備を指摘され困る担当者のイメージ
ここまでの届出は、いずれも消防法が定める義務です。
出し忘れた場合にどうなるかも、条文で確認しておきます。
第44条 次のいずれかに該当する者は、30万円以下の罰金又は拘留に処する。(略)第11条の4第1項、第12条の6、第12条の7第2項、第13条第2項(略)の規定による届出を怠つた者
変更・廃止どちらの届出漏れも同じ罰則の対象です
条文の号には、変更の届出(第11条の4)と廃止の届出(第12条の6)が並んで挙げられています。
危険物保安統括管理者や危険物保安監督者の選任・解任の届出を怠った場合も、同じ第44条第8号が適用されます。
この号は第45条の両罰規定には含まれておらず、法人が別枠で罰金を科される規定ではありません
とはいえ違反である以上、変更や廃止に気づいた時点ですぐ届け出ておくのが一番です。

届出を忘れただけでも罰則があるんですね。
知らなかったでは済まされないんですね。

はい、金額は大きくなくても違反は違反です。
気づいたときにすぐ出す習慣をつけましょう。

よくある質問

Q扱う危険物の量だけを変える場合も許可が必要ですか?
Aいいえ、位置・構造・設備を変えない場合は第11条の4の届出で足ります。許可が必要になるのは位置・構造・設備そのものを変えるときです。
Q変更の届出はいつまでに提出すればよいですか?
A変更しようとする日の10日前までに、施設の許可を出した市町村長等へ提出します。
Q施設をやめるときも事前に届け出る必要がありますか?
Aいいえ、廃止の届出は遅滞なく行えばよく、変更のような事前提出は求められていません。
Q届出を忘れるとどんな罰則がありますか?
A30万円以下の罰金又は拘留の対象になります。法人に対する両罰規定は適用されません。

まとめ

品名・数量・指定数量の倍数だけを変えるなら第11条の4の届出で足ります
変更の届出は変更しようとする日の10日前までに提出します。
施設の用途を廃止するときは第12条の6により遅滞なく届け出ればよく、事前提出は不要です。
位置・構造・設備を変えるときは届出でなく第11条の許可が必要です。
変更の届出書は様式第16、廃止の届出書は様式第17です。
これらの届出を怠ると30万円以下の罰金又は拘留の対象になります。
届出懈怠には法人への両罰規定は適用されません

変更と廃止、それに許可との境目までよく分かりました

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 消防法第11条・第11条の4・第12条の6・第44条・第45条
  • 危険物の規制に関する規則第7条の3・第8条

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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