危険物を貯蔵したり取り扱ったりする施設には、政令で定める技術上の基準が適用されます。
基準に違反すると、罰則とは別に、消防から是正を求める命令を受けることがあります。
命令を出すのは通常その施設を管轄する市町村長等ですが、移動タンク貯蔵所では話が変わります。
この記事では消防法第11条の5が定める是正命令の仕組みと、移動タンク貯蔵所で命令権者が変わる理由を解説します。
うちは移動タンク貯蔵所は無いので、あまり関係ない話かもしれません。
いいえ、固定の貯蔵所や取扱所にも是正命令の規定は同じように適用されます。
まず仕組みから確認しましょう。
命令に従わなかったら、どうなるんでしょうか。
使用停止まであり得ます。
順番に見ていきましょう。
- 貯蔵・取扱いの技術基準に違反すると消防法第11条の5により是正命令を受けることがあります
- 命令の対象は製造所・貯蔵所・取扱所で、移動タンク貯蔵所は別の規定が適用されます
- 移動タンク貯蔵所は許可元ではなく現在地を管轄する市町村長が命令を出せます
- 命令を出した市町村長は許可した市町村長等へ速やかな通知が義務付けられています
- 命令に違反すると使用停止命令の対象になり得るため、日頃から基準の遵守を確認することが重要です
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目次
貯蔵・取扱いの基準に違反すると消防はどんな対応を取るのか

違反した場合の対応は、一つだけではありません。
違反した時点で直罰の対象になる一方、消防はこれとは別に是正を求める命令を出すこともできます。
罰則と命令は、それぞれ独立した仕組みとして用意されています。
命令の中身と対象になる施設を、次の項目から具体的に見ていきましょう。
罰則の対象になるなら、命令はもう関係ないということでしょうか。
いいえ、両方が別々に働く仕組みです。
命令の中身を確認しましょう。
是正命令の対象になるのはどの施設のどんな違反か

条文が定める対象と中身を確認します。
対象になるのは製造所・貯蔵所・取扱所で、命令の相手方は所有者・管理者・占有者のいずれかです。
条文はかっこ書きで移動タンク貯蔵所を除くと明記しており、タンクローリーはこの規定の対象外です。
命令の中身は、基準どおりに貯蔵・取扱いを行うよう求めるという、シンプルなものです。
では除かれた移動タンク貯蔵所には、どんな規定が用意されているのでしょうか。
移動タンク貯蔵所だけ、なぜ除かれているんですか。
タンクローリーは場所を移動するため、別の仕組みが必要になるからです。
移動タンク貯蔵所ではなぜ命令を出す市町村長が変わるのか

そのため命令を出す権限も、許可元とは別に定められています。
許可を受けたのがどの市町村であっても、現在地の市町村長に命令の権限があるということです。
消防本部や消防署を置いていない市町村の区域では、都道府県知事がこの権限を持ちます。
走行中のタンクローリーを許可元まで戻さなくても、その場で是正を求められる仕組みです。
この場合、許可を出した市町村長等にはどんな対応が必要になるのでしょうか。
許可した市町村と、命令を出した市町村が別になることもあるんですね。
はい、そのため許可元への連絡が別途義務付けられています。
命令を出した市町村は許可元にどんな義務を負うのか

条文は許可元への連絡義務も定めています。
現在地の市町村だけで手続きが終わらず、許可元との情報共有まで条文が求めている点は見落としやすい部分です。
この命令に違反した場合は、消防法第12条の2第2項により使用停止を命じられることもあります。
また命令が出されたことは、標識の設置などの方法で現地に公示されます。
命令を受けた側は、通知の有無にかかわらず速やかな是正が必要です。
命令に従わずに放置したら、どうなるんでしょうか。
使用停止まであり得ます。
最後に、日頃の確認方法を整理しましょう。
明日からなにを確認すればよいのか

固定施設と移動タンク貯蔵所とで、見るべき点が少し異なります。 まずは日々の貯蔵・取扱いが技術基準どおりかを定期的に確認しましょう。
固定の製造所・貯蔵所・取扱所では、技術基準への適合状況を自主点検の中で確認します。
移動タンク貯蔵所を保有している場合は、走行先の地域でも基準の遵守が求められることを運転者や管理者に周知します。
現地で消防職員から指摘や命令を受けたときは、内容をその場で記録し、許可を受けた市町村へも状況を共有しておくと安心です。
不明な点があれば、命令の対象になる前に所轄消防署へ相談しておきましょう。
日頃の点検と、走行先での基準の周知が大事なんですね。
そのとおりです。
命令を受けてからでは遅いので、早めの確認をお願いします。
よくある質問
まとめ
日頃の点検で早めに気づけるようにします!
ぜひそうしてください。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法(昭和23年法律第186号)第10条、第11条の5、第12条の2、第43条 e-Gov法令検索
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





