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特定屋内貯蔵所は高引火点危険物のみだとなぜ避雷設備まで免除されるのか|軒高20メートル未満になると基準が戻る理由を解説

特定屋内貯蔵所が高引火点危険物のみの場合に避雷設備まで免除される仕組みを解説する記事のアイキャッチ画像

指定数量の倍数が50以下の特定屋内貯蔵所には、床面積や空地の幅を緩める特例があります。
この特例の対象となる屋内貯蔵所が高引火点危険物のみを貯蔵する場合、総務省令でさらに別の特例を上乗せできると政令が規定しています。
上乗せされる特例は、貯蔵倉庫の軒の高さによって免除される基準の範囲が変わります。
この記事では規則第16条の2の6が定める、高引火点危険物の特定屋内貯蔵所の特例を条文から整理します

うちは指定数量50以下の特定屋内貯蔵所の特例をもう使っているんですが、扱っているのが高引火点危険物なら、もっと基準が緩くなるんでしょうか。

はい、高引火点危険物のみなら別の特例を上乗せできます。
まずは特例の入口から確認していきましょう。

軒の高さによって内容が変わるということですか。

はい、軒高6メートル未満かどうかが最初の分かれ目です。
対象要件から見ていきましょう。

この記事の結論
  • 特定屋内貯蔵所が高引火点危険物のみを貯蔵する場合、令第10条第5項に基づき規則第16条の2の6でさらなる特例が認められます。
  • 軒高6メートル未満の平家建てタイプなら、位置・空地の幅の表・避雷設備までまとめて適用除外になります。
  • 軒高6メートル以上20メートル未満まで積み上げる場合は、空地の幅の表と避雷設備がそのまま必要に戻ります。
  • どちらのタイプでも、床面積150平方メートル以下・耐火構造・自動閉鎖の防火設備・窓なしという要件は共通で満たす必要があります。
  • 標識掲示板など、除外されない号はこの特例でも引き続き適用されます。

特定屋内貯蔵所に高引火点危険物の特例が上乗せされる仕組みを示す図解。種別を確認、性質を確認、軒高を確認、避雷設備を確認の4段階を整理

特定屋内貯蔵所に高引火点危険物を組み合わせるとなぜ話が変わるのか

小さな平家建ての貯蔵倉庫と、その右に並ぶ密閉されたドラム缶のイメージ
危険物の規制に関する政令は、指定数量の倍数が50以下の屋内貯蔵所に規則第16条の2の3の特例を認めています。
ただし貯蔵する危険物が高引火点危険物のみであれば、さらに別の特例を上乗せできると政令が規定しています。
危険物の規制に関する政令第10条第5項 高引火点危険物のみを貯蔵し、又は取り扱う屋内貯蔵所については、総務省令で、第一項、第二項及び前項に掲げる基準の特例を定めることができる。
高引火点危険物のみを貯蔵する屋内貯蔵所は、特定屋内貯蔵所の特例にさらなる緩和を上乗せできます
この委任を受けて具体的な中身を定めているのが、危険物の規制に関する規則第16条の2の6です。
条文は「令第10条第4項に掲げる基準の特例」、つまり規則第16条の2の3が定める特例にさらに手を加える構成になっています。
次の項目で、どんな屋内貯蔵所がこの特例を使えるのかを確認します。

特例の上にさらに特例が乗るということですか。

はい、2段階の特例になっています。
次で対象範囲を見ていきましょう。

この特例を使える屋内貯蔵所はどう見分けるのか

低い平家建ての貯蔵倉庫と、その右に立つ一回り背の高い貯蔵倉庫のイメージ
規則第16条の2の6は、貯蔵倉庫の軒の高さによって適用する項を分けています。
まずはどちらのタイプに当てはまるのかを見分けます。
危険物の規制に関する規則第16条の2の6第1項 高引火点危険物のみを貯蔵し、又は取り扱う屋内貯蔵所に係る令第十条第五項の規定による同条第四項に掲げる基準の特例は、この条の定めるところによる。
軒高が6メートル以上20メートル未満かどうかで、適用される項が第2項と第3項に分かれます
軒高6メートル未満の平家建ては第2項の対象、軒高6メートル以上20メートル未満の多層構造は第3項の対象です。
どちらも共通して、規則第16条の2の3第2項が定める床面積・耐火構造・防火設備・窓の基準への適合が前提になります。
次の項目で、まず平家建てタイプの中身を見ていきます。

うちは平家建てなので第2項のほうですね。

はい、平家建てなら第2項が対象です。
免除される中身を見ましょう。

軒高6メートル未満の特定屋内貯蔵所では何が免除されるのか

空地のない小さな平家建ての貯蔵倉庫と、屋根に何も無いシンプルな屋根のイメージ
規則第16条の2の6第2項は、軒高6メートル未満の高引火点危険物の特定屋内貯蔵所について、除外される号を具体的に列挙しています。
どこまで基準が外れるのかを条文で確認します。
危険物の規制に関する規則第16条の2の6第2項 前項の屋内貯蔵所(次項に定めるものを除く。)のうち、第十六条の二の三第二項第二号から第五号までに掲げる基準に適合するものについては、令第十条第一項第一号、第二号、第五号から第八号まで及び第十四号の規定は、適用しない。
除外されるのは政令第10条第1項第一号・第二号・第五号から第八号まで、そして第十四号です
第十四号は避雷設備を定めた号なので、平家建てタイプの高引火点危険物の特定屋内貯蔵所は避雷設備の設置義務まで免除されます。
規則第16条の2の3第2項第一号(空地の幅の表)そのものが引用対象から外れているため、空地の幅の表も適用されません
満たすべきなのは第二号から第五号まで、つまり床面積150平方メートル以下・耐火構造・自動閉鎖の防火設備・窓なしの4つだけです。

避雷設備までいらなくなるとは思いませんでした。

平家建てタイプ限定の緩和です。
次は軒高を伸ばした場合を見ましょう。

軒高を伸ばすとなぜ避雷設備が必要に戻るのか

空地に囲まれた背の高い貯蔵倉庫と、その屋根に立つ避雷針のイメージ
規則第16条の2の6第3項は、軒高6メートル以上20メートル未満まで積み上げた特定屋内貯蔵所を対象にしています。
除外される号を第2項と比べてみます。
危険物の規制に関する規則第16条の2の6第3項 第一項の屋内貯蔵所(軒高が六メートル以上二十メートル未満のものに限る。)のうち、その貯蔵倉庫が第十六条の二の三第二項各号に掲げる基準に適合するものについては、令第十条第一項第一号、第二号及び第五号から第八号までの規定は、適用しない。
第3項が除外するのは政令第10条第1項第一号・第二号・第五号から第八号までで、第十四号は含まれていません
つまり軒高6メートル以上20メートル未満まで積み上げると、避雷設備の設置義務が戻ります
満たすべき基準も規則第16条の2の3第2項の各号、つまり空地の幅の表を含む5つ全部に広がります。
高くすれば緩和が増えるのではなく、高くする代わりに空地と避雷設備の基準が本来の水準に戻るという関係です。

積み上げるほど緩くなるわけではないんですね。

はい、軒高が上がると重くなる号があります。
最後に確認の手順をまとめます。

明日からなにをすればよいのか

点検員がクリップボードを手に背の高い貯蔵倉庫を確認しているイメージ
最後に、実務としてどう確認していけばよいかを整理します。
新設のときも、既存の屋内貯蔵所を見直すときも同じ視点で使えます。
  • 自社の屋内貯蔵所が指定数量の倍数50以下の特定屋内貯蔵所にあたるかをまず確認する
  • 貯蔵する危険物が高引火点危険物のみかどうかを整理する
  • 貯蔵倉庫の軒高が6メートル未満か、6メートル以上20メートル未満かを実測する
  • 軒高に応じて避雷設備と空地の幅の要否が変わることを図面に反映する
  • 規則第16条の2の3第2項の各号(床面積・耐火構造・防火設備・窓なし)を満たしているかを確認する
軒高をどちらに設定するかで必要な設備が変わるため、設計段階での判断が欠かせません
既存の屋内貯蔵所を増改築して軒高が変わる場合も、同じ視点で確認が必要です。
避雷設備を後付けする工事は手戻りが大きいため、着工前の確認を徹底します。
図面と条文を並べて確認しておくと、許可申請の際の手戻りも減らせます。

うちの倉庫の軒高を、まず図面で測り直してみます。

軒高の実測から始めてみてください。
次のよくある質問もあわせてご覧ください。

よくある質問

Q平家建てタイプと多層タイプはどちらの基準が厳しいですか?
A空地の幅と避雷設備に関しては、軒高6メートル以上20メートル未満の多層タイプのほうが平家建てタイプより要件が重くなります。
Q軒高6メートル未満ならこの特例を自動的に使えますか?
Aいいえ。高引火点危険物のみを貯蔵していること、かつ規則第16条の2の3第2項第二号から第五号までの基準に適合することが前提です。
Q避雷設備が免除されるのは平家建てタイプだけですか?
Aはい。規則第16条の2の6第2項は政令第10条第1項第十四号を適用除外にしますが、第3項にはこの号が含まれていません。
Q指定数量の倍数50以下という制限もこの特例で変わりますか?
Aいいえ。規則第16条の2の6第1項は令第10条第4項に掲げる基準の特例、つまり規則第16条の2の3が対象とする屋内貯蔵所を前提にしているため、指定数量の倍数50以下という制限は変わりません。

まとめ

特定屋内貯蔵所が高引火点危険物のみを貯蔵する場合、令第10条第5項に基づき規則第16条の2の6でさらなる特例が認められます。
特例の中身を定めるのは規則第16条の2の6第2項・第3項です。
軒高6メートル未満の平家建てタイプは、規則第16条の2の3第2項第二号から第五号までに適合すれば足ります。
その場合、政令第10条第1項第一号・第二号・第五号から第八号まで・第十四号(避雷設備)までまとめて適用除外になります。
軒高6メートル以上20メートル未満の多層タイプは、規則第16条の2の3第2項各号すべてに適合する必要があります。
その場合は避雷設備(第十四号)が適用除外されず、空地の幅の表もそのまま必要です。
迷ったら軒高を実測してから、どちらの型に当てはまるかを確認します。

軒高の実測を、この機会にしてみます!

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 危険物の規制に関する政令第10条第1項・第4項・第5項(屋内貯蔵所の基準・特定屋内貯蔵所の特例の授権規定・高引火点危険物の特例の授権規定)
  • 危険物の規制に関する規則第16条の2の3第2項(特定屋内貯蔵所の特例)
  • 危険物の規制に関する規則第16条の2の6(高引火点危険物の特定屋内貯蔵所の特例)

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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