前回までは、屋内貯蔵所における高引火点危険物と蓄電池の特例を組み合わせる話を解説しました。
実は同じ高引火点危険物の特例は、屋外タンク貯蔵所にも別の条文で用意されています。
規則第22条の2の3を使うと、位置や空地の幅だけでなく、支柱や避雷設備の基準まで変わります。
その代わり、防油堤そのものを設ける義務だけは、形を変えて残ります。
屋外にあるタンクにも、高引火点危険物なら特例があるんですか。
はい、あります。
今回は屋外タンク貯蔵所の規則第22条の2の3を見ていきましょう。
屋内貯蔵所の特例とは、また違う基準になるんですね。
そのとおりです。
令第11条という別の条文が根拠になります。
- 高引火点危険物のみを100度未満で貯蔵し、又は取り扱う屋外タンク貯蔵所は、令第11条第3項の授権により規則第22条の2の3で基準の特例が定められています。
- 適用除外になるのは、令第11条第1項のうち位置(第1号)・空地(第2号)・支柱のうち耐火性能の部分(第5号)・ポンプ設備(第10号の2)・避雷設備(第14号)・防油堤(第15号)です。
- 空地の幅は、指定数量の倍数が4000を超える大型タンクでもタンクの直径又は高さの3分の1に等しい距離(5メートル未満であってはならない)まで縮まります。
- 避雷設備を義務付ける第14号そのものが適用除外になるため、指定数量の倍数にかかわらず避雷設備の設置義務は生じません。
- それでも防油堤の設置は号を読み替えて残り、支柱を不燃材料にできるのは同一の防油堤内にあるタンクがすべてこの特例の対象である場合に限られます。
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目次
屋外タンク貯蔵所は高引火点危険物のみだとどんな特例が使えるのか

これを100度未満の温度でだけ貯蔵し、又は取り扱う屋外タンク貯蔵所には、専用の特例が用意されています。
危険物の規制に関する規則第22条の2の3第1項 令第十一条第三項の規定により同条第一項及び第二項に掲げる基準の特例を定めることができる屋外タンク貯蔵所は、高引火点危険物のみを百度未満の温度で貯蔵し、又は取り扱うものとする。
屋内貯蔵所の高引火点危険物特例(規則第16条の2の4)と入口の考え方は同じですが、根拠となる条文も緩む基準の中身も屋外タンク貯蔵所専用に独立して定められています。
指定数量の倍数にかかわらず、貯蔵し、又は取り扱う温度が100度未満であることが唯一の入口要件です。
次の項目で、実際にどの号が適用除外になるのかを確認します。
屋内貯蔵所とは別に、屋外タンクにも同じような特例があるんですね。
条文もまた覚えないといけないんでしょうか。
考え方は同じですが条文は別物です。
令第11条第3項が入口になります。
この特例ではどの基準が適用除外になるのか

対象になる号と、対象外のまま残る号がはっきり分かれています。
対象になるのは位置(第1号)・空地(第2号)・支柱のうち耐火性能の部分(第5号)・ポンプ設備(第10号の2)・避雷設備(第14号)・防油堤(第15号)で、それぞれ規則第22条の2の3第3項各号に定める内容へ置き換わります。
標識掲示板(第3号)や液体危険物の量を自動表示する装置(第9号)など、このリストに入っていない号はそのまま適用されます。
号ごとに残るものと変わるものを、次から順に見ていきましょう。
変わる号と変わらない号が混ざっているので、一つずつ確認しないと危なそうです。
はい、そのとおりです。
まずは空地の幅から見ていきましょう。
空地の幅はどこまで縮まるのか

高引火点危険物のみの特例では、この数値そのものが小さくなります。
通常の基準(令第11条第1項第2号)では、指定数量の倍数が4000を超える大型タンクの場合、タンクの直径又は高さと同じ距離(15メートル未満であってはならない)が必要です。
特例ではこの数値が3分の1に等しい距離(5メートル未満であってはならない)まで縮み、倍数2000以下なら3メートル、2000を超え4000以下なら5メートルで足ります。
数字が小さくなるほど、実際に確保できる敷地の余裕は大きく変わります。
ずいぶん狭くていいんですね。
指定数量の倍数が同じなら、普通の屋外タンクより敷地に余裕を作りやすそうです。
そのとおりです。
ただし高引火点危険物だけを扱う場合に限られます。
支柱と避雷設備の基準はどう変わるのか

号の適用除外の範囲を見ると、思ったより踏み込んだ内容になっています。
支柱はもとの鉄筋コンクリート造等の耐火性能が原則のままですが、同一の防油堤内にあるタンクがすべてこの特例の対象であるときに限り、不燃材料で造ることが認められます。
一方、避雷設備を義務付ける令第11条第1項第14号は適用除外の号にそのまま含まれており、規則側にも代わりの基準が置かれていません。
つまり指定数量の倍数が10以上であっても、この特例の対象になるタンクには避雷設備の設置義務そのものが生じません。
避雷設備がまるごと要らなくなるなんて、意外です。
防油堤の中に対象外のタンクが混ざっていたらどうなりますか。
1基でも対象外のタンクが混ざると、支柱は不燃材料にできません。
防油堤全体の構成を確認してください。
明日からなにを確認すればよいのか

号ごとに残る基準と変わる基準が入り混じるので、順番に確認するのが安全です。
- 貯蔵し、又は取り扱う危険物が引火点100度以上の第4類危険物で、実際に100度未満の温度で扱っているかを確認する。
- 位置・空地について、規則第22条の2の3第3項第1号・第2号の特例基準で計算し直す。
- 同一の防油堤内にあるすべての屋外貯蔵タンクが、この特例の対象であるかを確認する。
- 避雷設備の設置義務が生じないことを、指定数量の倍数にかかわらず設計段階で市町村長等に確認する。
基準をすべて満たしても、消防法第11条に基づく市町村長等の許可を受けなければ使用できません。
号ごとの適用除外の範囲は細かく分かれているため、設計段階での号単位の確認が欠かせません。
迷ったときは、所轄の消防署に相談するのが近道です。
号ごとに確認することが多くて、整理しながら進めないと抜け漏れが出そうです。
はい。
設計の前に、必ず所轄の消防署に相談してください。
よくある質問
まとめ
屋外タンクにも同じ考え方の特例があると分かって、整理しやすくなりました。
号ごとに確認してから設計を進めます。
はい、ぜひそうしてください。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 危険物の規制に関する政令第11条第1項・第3項(屋外タンク貯蔵所の基準・高引火点危険物の特例の授権規定)
- 危険物の規制に関する規則第13条の6第1項(高引火点危険物の定義)
- 危険物の規制に関する規則第22条の2の3第1項・第3項(高引火点危険物の屋外タンク貯蔵所の特例)
- 消防法第11条第1項(製造所、貯蔵所又は取扱所の設置・変更の許可)
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





