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屋外貯蔵所は蓄電池で貯蔵するとなぜ位置と空地の基準まで外れるのか|標識と柵は残る理由を解説

柵で囲まれた屋外貯蔵所でキュービクル式格納箱を点検する作業員のイメージ

屋内貯蔵所や屋外タンク貯蔵所の蓄電池特例を見てきましたが、屋外貯蔵所にも同じ発想の特例があります。
屋外貯蔵所は、硫黄などの危険物を建物に入れず柵で囲んで貯蔵する施設です。
規則第24条の12の3を使うと、位置と空地の基準だけが専用の設備と引き換えに変わります。
その代わり、指定数量の倍数が100以上になると散水設備が新たに必要になります

屋外貯蔵所にも蓄電池の特例があるんですか。
屋外タンク貯蔵所の特例とは違うんでしょうか。

はい、あります。
今回は屋外貯蔵所の規則第24条の12の3を見ていきましょう。

屋外貯蔵所は柵で囲うだけの施設だと思っていました。
それでも蓄電池なら専用の特例があるんですね。

そのとおりです。
令第16条という別の条文が根拠になります。

この記事の結論
  • リチウムイオン蓄電池により貯蔵される第二類又は第四類の危険物のみを貯蔵する屋外貯蔵所には、令第16条第4項の授権により規則第24条の12の3で基準の特例が定められています
  • 適用除外になるのは、令第16条第1項のうち位置(第1号)と空地(第4号)の2つだけです。
  • その代わり、危険物を貯蔵する設備は告示の基準に適合するキュービクル式にし、柵等の周囲に3メートル以上の空地(または耐火構造の壁・柱までの距離)を保有する必要があります。
  • 指定数量の倍数が100以上になると、冷却するための散水設備の設置が追加で必要になります
  • 柵等の設置(第3号)・標識と掲示板(第5号)・架台の基準(第6号)はそのまま適用され、免除されません。

屋外貯蔵所で蓄電池により危険物を貯蔵する場合にどこまで基準が緩むかを整理した図解。貯蔵する危険物の種類を確認、キュービクル式の設備を確認、空地の幅を確認、散水設備の要否を確認の4段階を示す

屋外貯蔵所で蓄電池により貯蔵するとはどんな特例なのか

柵で囲まれた屋外貯蔵所と、その右に置かれた小さな鋼製のキュービクル式格納箱のイメージ
屋外貯蔵所は、硫黄などの危険物を建物に入れず柵等で区画して貯蔵する施設です。
ここにもリチウムイオン蓄電池により貯蔵する危険物専用の特例が用意されています。
危険物の規制に関する政令第十六条第四項 蓄電池により貯蔵される総務省令で定める危険物のみを貯蔵し、又は取り扱う屋外貯蔵所については、総務省令で、第一項及び前項に掲げる基準の特例を定めることができる。
危険物の規制に関する規則第二十四条の十二の三第一項 蓄電池により貯蔵される前条に規定する危険物のみを貯蔵し、又は取り扱う屋外貯蔵所に係る令第十六条第四項の規定による同条第一項に掲げる基準の特例は、この条の定めるところによる。
屋内貯蔵所の蓄電池特例と同じ発想が、屋外貯蔵所にも別条文で用意されています
対象になる危険物はリチウムイオン蓄電池により貯蔵される第二類又は第四類の危険物に限られます(規則第24条の12の2・第16条の2の7)。
指定数量の倍数にかかわらず、この条件を満たすことが唯一の入口要件です。
次の項目で、実際にどの号が適用除外になるのかを確認します。

屋内貯蔵所だけでなく、屋外貯蔵所にも蓄電池の特例があるんですね。
どんな危険物が対象になるんでしょうか。

はい、あります。
リチウムイオン蓄電池で貯蔵する第二類又は第四類の危険物が対象です。

この特例ではどの基準が適用除外になるのか

巻き尺を伸ばして距離を測る作業員と、その右にあるキュービクル式格納箱、背後の標識掲示板のイメージ
適用除外になる号は、条文の柱書に列挙されています。
屋外貯蔵所の基準は六号ありますが、対象になるのはそのうち2号だけです。
危険物の規制に関する規則第二十四条の十二の三第二項(柱書) 前項の屋外貯蔵所のうち、その位置、構造及び設備が次の各号に掲げる基準に適合するものについては、令第十六条第一項第一号及び第四号の規定は、適用しない。
適用除外になるのは、位置(第1号)と空地(第4号)の2つだけです
柵等の設置(第3号)・標識と掲示板(第5号)・架台の基準(第6号)は、このリストに入っていないためそのまま適用されます。
屋内貯蔵所の蓄電池特例(規則第16条の2の8)が壁・柱・床の耐火構造や充電率の制限まで細かく定め直すのに対し、屋外貯蔵所の特例は対象になる号の数がずっと少ない構成です。
号ごとの中身を、次から順に見ていきます。

屋内貯蔵所の特例は建物の作り直しが多かったですが、こちらは違うんですね。

はい。
屋外貯蔵所は設備そのものの選び方で条件を満たします。

キュービクル式にするとどんな基準に置き換わるのか

点線の輪が付いた二つのキュービクル式格納箱のイメージ。右の格納箱は厚い壁のそばにあり輪が小さい
位置と空地の号が適用除外になったあと、その代わりに何を満たせばよいのかが規則に定められています。
まず設備の形と、周囲の空地から確認します。
危険物の規制に関する規則第二十四条の十二の三第二項第一号 危険物を貯蔵し、又は取り扱う設備は、告示で定める基準に適合するキュービクル式(鋼板で造られた外箱に収納されている方式をいう。)のものとすること。
同項第二号 柵等の周囲に、幅三メートル以上の空地を保有すること。ただし、当該柵等から三メートル未満となる建築物の壁(出入口(随時開けることができる自動閉鎖の特定防火設備が設けられているものに限る。)以外の開口部を有しないものに限る。)及び柱が耐火構造である場合にあつては、当該柵等から当該壁及び柱までの距離の幅の空地を保有することをもつて足りる。
危険物を貯蔵する設備そのものを、鋼板の外箱に収めたキュービクル式にすることが条件です
柵等の周囲には幅3メートル以上の空地が原則ですが、隣接する建築物の壁と柱が耐火構造で開口部が自動閉鎖の特定防火設備に限られていれば、その壁・柱までの距離の空地で足ります。
通常の屋外貯蔵所の空地表は指定数量の倍数10以下で3メートル、200を超えると30メートルまで広がりますが、この特例では倍数の大小にかかわらず数値が固定されています。
次に、この空地の条件だけでは終わらない、指定数量が多いときの追加要件を確認します。

キュービクル式なら空地が3メートルで済むんですね。
建物の壁が近くにあっても大丈夫でしょうか。

条件はあります。
耐火構造の壁と柱で、開口部が限られていれば認められます。

指定数量の倍数が多いとどんな設備が追加で必要になるのか

散水ヘッドの無いキュービクル式格納箱と、その右にある散水ヘッド付きのキュービクル式格納箱のイメージ
位置と空地の条件を満たしても、それだけで安心はできません。
貯蔵する量が多いときは、もう一つ条件が加わります。
危険物の規制に関する規則第二十四条の十二の三第二項第三号 指定数量の百倍以上の危険物を貯蔵し、又は取り扱うものにあつては、冷却するための散水設備をその放射能力範囲が危険物を貯蔵し、又は取り扱う設備を包含するように設けること。
指定数量の倍数が100以上になると、冷却用の散水設備が追加で必要になります
散水設備の放射能力範囲は、危険物を貯蔵し、又は取り扱う設備の全体を包含するように設けなければなりません。
倍数100未満であれば、この号の対象外なのでキュービクル式と空地の条件だけで足ります。
数量が増えるほど条件も増える、という単純な足し算になっている点が実務上の見落としどころです。

量が少なければ散水設備は要らないんですね。
増えたときに見落としそうです。

はい、そこが落とし穴です。
指定数量の倍数100を境に確認してください。

明日からなにを確認すればよいのか

点検員がクリップボードを手に柵で囲まれた屋外貯蔵所とキュービクル式格納箱を確認しているイメージ
ここまでの内容を、設計の前に確認する順番に並べ直します。
号ごとに条件が分かれているので、順番に確認するのが安全です。
  • 貯蔵する危険物がリチウムイオン蓄電池により貯蔵される第二類又は第四類の危険物であるかを確認する。
  • 危険物を貯蔵し、又は取り扱う設備が、告示の基準に適合するキュービクル式であるかを確認する。
  • 柵等の周囲に3メートル以上の空地があるか、無い場合は隣接する壁・柱が耐火構造で開口部が限られているかを確認する。
  • 指定数量の倍数が100以上になる計画であれば、冷却用の散水設備の設置を設計に組み込む。
屋外貯蔵所の設置・変更にも許可が必要です。
基準をすべて満たしても、消防法第11条に基づく市町村長等の許可を受けなければ使用できません
号ごとの条件は数が少ない分、見落とすと影響も大きくなります。
迷ったときは、所轄の消防署に相談するのが近道です。

条件は少なくても、見落とすと大きな差が出そうです。

そのとおりです。
設計の前に所轄の消防署へ相談してください。

よくある質問

Qこの特例は令第16条第1項のうちどの号を適用除外にしますか?
A位置(第1号)と空地(第4号)です。柵等の設置(第3号)や標識と掲示板(第5号)など、このリストに含まれない号はそのまま適用されます。
Qキュービクル式とはどんな設備ですか?
A鋼板で造られた外箱に危険物を貯蔵し、又は取り扱う設備を収納した方式で、告示で定める基準に適合するものをいいます。
Q空地は必ず3メートル必要ですか?
A柵等の周囲に幅3メートル以上の空地を保有するのが原則ですが、隣接する建築物の壁と柱が耐火構造で開口部が限られていれば、その壁・柱までの距離の空地で足ります。
Q散水設備はどんなときに必要ですか?
A指定数量の倍数が100以上になる場合です。放射能力範囲が危険物を貯蔵し、又は取り扱う設備の全体を包含するように設ける必要があります。

まとめ

リチウムイオン蓄電池により貯蔵される第二類又は第四類の危険物のみを貯蔵する屋外貯蔵所には、令第16条第4項の授権により規則第24条の12の3で基準の特例が定められています
適用除外になるのは、位置(第1号)と空地(第4号)の2つだけです。
危険物を貯蔵する設備は、告示の基準に適合するキュービクル式にする必要があります
柵等の周囲には幅3メートル以上の空地が原則ですが、隣接する壁・柱が耐火構造であればその距離で足ります。
指定数量の倍数が100以上になると、冷却するための散水設備の設置が追加で必要になります。
標識と掲示板(第5号)・架台の基準(第6号)はそのまま適用され、免除されません
屋外貯蔵所を設置・変更するときは、消防法第11条に基づく市町村長等の許可が必要です。

屋外貯蔵所にも同じ考え方の特例があると分かって、整理しやすくなりました。
号ごとに確認してから設計を進めます。

はい、ぜひそうしてください。
㈱防災屋でもご相談を承っております

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 危険物の規制に関する政令第16条第1項・第4項(屋外貯蔵所の基準・蓄電池特例の授権規定)
  • 危険物の規制に関する規則第16条の2の7(蓄電池により貯蔵される危険物の定義)
  • 危険物の規制に関する規則第24条の12の2(屋外貯蔵所の特例を定めることができる危険物)
  • 危険物の規制に関する規則第24条の12の3第1項・第2項(蓄電池により貯蔵される危険物の屋外貯蔵所の特例)
  • 消防法第11条第1項(製造所、貯蔵所又は取扱所の設置・変更の許可)

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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