BLOG

業務用ガス機器の排気筒はいつ必須になるのか|消防庁の設置基準が求める給排気の基準と工事監督者を解説

業務用ガス機器の排気筒はいつ必須になるのか|設置基準が求める給排気の基準と工事監督者

厨房のガスコンロを新しくするとき、置くだけで終わらせていませんか。
消防庁は平成4年、業務用ガス機器の設置基準を全面的に見直し、給排気やダクトの基準まで一本にまとめました。
基準は機器の消費量によって、排気筒の設置が必須になるかどうかまで変わります。
この記事では、対象になる業務用ガス機器と、工事で見落としやすい工事監督者のルールを解説します。

厨房のガスコンロを新しくしようと思っているんですが。
設置基準まで気にしたことがなくて。

消費量によって、排気筒が必須になることがあります。

排気の設備までは業者に任せておけば大丈夫ですよね。

工事の中には専門の監督者が必要なものもあるので、一緒に確認しましょう。

この記事の結論
  • 消防庁は平成4年、財団法人日本ガス機器検査協会の調査委員会の検討を踏まえ「業務用ガス機器の設置基準について」(平成4年2月18日 消防予第29号)を通知しました。
  • 対象は業務用ガス厨房機器・冷暖房機器・温水機器・乾燥機器の4種類で、いずれも公的機関の合格・認証表示を受けたものに限られます。
  • ガス消費量が10,000kcal/h又は0.85kg/hを超える機器は、原則として排気筒の設置が義務付けられます。
  • 半密閉式・密閉式のガスふろがまなど特定の機器の設置工事は、ガス消費機器設置工事監督者のもとで行わなければならないとされています。
  • この基準は平成17年8月の消防予第215号改正を経て、現在も業務用厨房の設置指導の土台になっています。

業務用ガス機器の設置基準が求める合格・認証表示の確認・消費量による排気筒の要否判定・工事監督者による施工・排気口の離隔確保の4つのポイントを示した図解

業務用ガス機器の設置基準はなぜ平成4年に生まれたのか

様々な業務用厨房ガス機器が並ぶ厨房で、消防庁の職員が基準書類を確認しているイラスト
飲食店の厨房で使うガス機器は、家庭用とは別に基準が作られています。
平成4年、この基準は大きく改正されました。
業務用ガス機器の設置基準について(通知)(平成4年2月18日 消防予第29号 消防庁予防課長、改正:平成17年8月消防予第215号) 業務用ガス機器の設置方法等については、各市町村の火災予防条例における規定のほか、「業務用厨房ガス機器の設置基準について」(昭和62年10月1日付け消防予第174号通知)により運用願っているところである。(略)今般、財団法人日本ガス機器検査協会に設置されている「ガス消費機器設置基準調査委員会」において、火災予防条例準則の改正等を踏まえ「業務用厨房ガス機器の設置基準」の見直しが行われた。この結果、対象ガス機器にガス冷暖房機器、業務用ガス温水機器及び業務用ガス乾燥機器が加えられるとともに、ダクト設備の基準が導入され、「業務用ガス機器の設置基準」としてとりまとめられた
この基準は、厨房機器の種類が増えたことに対応するために生まれました。
もともとは昭和62年の「業務用厨房ガス機器の設置基準について」という通知が土台でした。
平成4年の見直しで、対象にガス冷暖房機器・温水機器・乾燥機器が加わり、ダクト設備の基準も新設されました。
この結果、名称も「業務用ガス機器の設置基準」へと改められています。

消防庁が厨房機器の基準まで作っているんですか。

はい、火災予防条例の運用の土台になっているんです。

どんな業務用ガス機器がこの基準の対象になるのか

業務用厨房機器・冷暖房機器・温水機器・乾燥機器の4種類に合格・認証表示のラベルが貼られている様子のイラスト
対象になる業務用ガス機器には、種類ごとに条件があります。
まずは対象範囲と、必要な表示を確認します。
1 適用対象となるガス機器 「業務用ガス機器の設置基準」の適用対象となるガス機器は、「燃焼機器の防火性能評定の実施について」(昭和61年11月1日付け消防予第149号通知)により評定された火災予防条例準則別表に定めのない種類のガス機器で次に掲げるものである。(1)業務用ガス厨房機器(2)業務用ガス冷暖房機器(3)業務用ガス温水機器(4)業務用ガス乾燥機器 2-2 対象ガス機器等 本書を適用するガス機器等は、次のいずれかの合格・認証表示を施したものである。
対象は、業務用ガス厨房機器・冷暖房機器・温水機器・乾燥機器の4種類です。
厨房機器はレンジ・こんろ・オーブン・フライヤー・炊飯器など、飲食店の厨房でおなじみの機器が並びます。
冷暖房機器・温水機器・乾燥機器は、機種ごとに定められたガス消費量を超えるものだけが対象になります。
家庭用ガス機器とは別の基準なので、業務用の機器を選ぶときはこちらの合格・認証表示を確認してください。

冷暖房機器や乾燥機まで対象になるとは知りませんでした。

はい、4種類とも合格・認証表示が必要です。

排気筒はどんな消費量から必須になるのか

消費量の大きい業務用コンロに排気筒が接続され、消費量の小さいコンロには換気扇が設置されている様子を並べたイラスト
基準は、給気と排気の両方を確保するよう求めています。
分かれ目になるのは機器の消費量です。
Ⅱ章 給排気設備 1 給排気 1-3 給排気設備の適用 ガス機器を屋内に設置する場合の給排気設備の適用は、次による。ただし、密閉式ガス機器を除く。(1)ガス消費量が10,000kcal/h又は0.85kg/hを超えるガス機器についてはガス機器に排気筒を設け、ガス機器設置室に給気口を設けること。ただし、用途上又は構造上やむを得ない場合は、ガス機器の直上に排気フード付排気筒を設け、ガス機器設置室に給気口を設けること。(2)ガス消費量が10,000kcal/h又は0.85kg/h以下のガス機器については次のいずれかの措置を講じ、これらいずれの場合にあっても、ガス機器設置室に給気口を設けること。①ガス機器に排気筒を設けること。②ガス機器の直上に排気フード付排気筒を設けること。③ガス機器設置室に換気扇等又は排気口付排気筒を設けること。
消費量が10,000kcal/hを超えると、排気筒の設置が原則になります。
これ以下の消費量でも、排気筒・排気フード付排気筒・換気扇のいずれかは必ず必要です。
どちらの場合も、給気口をガス機器設置室に設けることが共通の条件です。
給気が足りないと不完全燃焼が起きやすくなるため、換気扇任せにせず給気口の有無まで確認してください。

うちの厨房のコンロは消費量が大きいので心配です。

10,000kcal/hを超えるなら、排気筒の有無を確認しましょう。

業務用ガス機器の工事で見落としやすいのはどこか

資格を持つ工事監督者が密閉式ガスふろがまの設置工事を確認する様子と、無資格の作業員が同じ機器を無断で工事しようとしている様子を並べたイラスト
機器を選び、給排気の要否を確認しても、工事のやり方を誤ると基準を満たしません。
特定の機器には、工事そのものに条件があります。
3-13 特定ガス消費機器 ガス消費機器設置工事監督者のもとで設置工事をしなければならない機器は、次の通りである。(1)半密閉式及び密閉式ガスふろがま (2)半密閉式及び密閉式ガス湯沸器であって イ ガス瞬間湯沸器はガス消費量が10,000kcal/h又は0.85kg/hを超えるもの ロ その他のものはガス消費量が6,000kcal/h又は0.5kg/hを超えるもの (3)上記(1)(2)のガス機器の排気筒及びその排気筒に接続されている排気扇
半密閉式・密閉式のガスふろがまや湯沸器は、工事そのものに監督者が必要です。
対象となるのはガス消費機器設置工事監督者のもとで行う設置工事で、機器本体だけでなく排気筒や排気扇まで含まれます。
いつもの設備業者に発注するだけでは、この条件を満たしているか分かりません。
発注段階で、監督者が付く工事かどうかを確認しておくことが見落としを防ぐポイントです。

密閉式のガスふろがまなら、いつもの業者にお願いすれば大丈夫ですよね。

対象の機器はガス消費機器設置工事監督者のもとで工事する必要があります。

明日から業務用ガス機器の何を確認すればよいのか

施設管理者が点検チェックリストを手に、業務用ガス機器の排気口周辺と窓の距離を確認している様子のイラスト
最後に、実際に確認すべきポイントを整理します。
新しく機器を選ぶときと、今ある設備を見直すときの両方で使えます。
2-4 排気吹出し口と建物開口部との離隔距離 次の表に定める範囲を壁面に投影した範囲内に、燃焼排ガスが室内に流入するおそれのある開口部がないこと。ただし、排気吹出し口から600mm以上離れた部分を除く。
まずは機器の合格・認証表示と、消費量から見た給排気の要否を確認しましょう。
これは機器と壁との離隔距離とは別に、排気口と窓など建物の開口部との距離も定められているという点です。
排気口のすぐそばに窓や吸気口があると、燃焼排ガスが室内へ逆流するおそれがあります。
発注時には、対象機器の工事に監督者が付くかどうかもあわせて確認しておきましょう。

これで契約前に何を聞けばいいか分かりました。

ぜひ工事監督者の有無も確認してみてください。

よくある質問

Q家庭用のガス機器の基準とは何が違うのか?
A対象が異なり、業務用は厨房機器のほか冷暖房機器・温水機器・乾燥機器も含まれ、給排気やダクトの基準まで細かく定められている点で家庭用と異なります。
Q合格・認証表示のない中古の業務用厨房機器は使えるのか?
A基準は公的検査機関の合格・認証表示等いずれかの表示を施したものを対象としており、表示のない機器は基準を満たしません。
Q消費量が基準以下ならガス機器の給排気設備は不要なのか?
Aいいえ、消費量が少なくても排気筒・排気フード付排気筒・換気扇のいずれかとあわせて給気口を設けることが求められます。
Qガス消費機器設置工事監督者は誰でもなれるのか?
A通知は資格要件までは示していないため、対象機器の工事を発注する際は監督者が付く工事かどうかを施工業者に確認する必要があります。

まとめ

消防庁は平成4年2月18日消防予第29号で「業務用ガス機器の設置基準について」を通知し、業務用ガス厨房機器の基準を全面的に見直しました
対象に新たにガス冷暖房機器・業務用ガス温水機器・業務用ガス乾燥機器が加えられ、ダクト設備の基準も導入されました。
対象ガス機器は都市ガス・液化石油ガスを使用し、公的検査機関の合格・認証表示等いずれかの表示を受けたものに限られます
ガス消費量が10,000kcal/h又は0.85kg/hを超える機器は、原則として排気筒の設置が必須になります。
消費量が基準以下でも、給気口の設置は必ず必要になります
半密閉式・密閉式のガスふろがまなど特定ガス消費機器は、ガス消費機器設置工事監督者のもとで設置工事をしなければなりません。
この基準は平成17年8月消防予第215号改正を経て、現在も業務用厨房の設置指導の土台になっています

業務用ガス機器の設置基準がここまで細かいとは知りませんでした。

設置工事の見直しまで、㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

まずはWebで無料お見積りを!

お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 業務用ガス機器の設置基準について(通知)(平成4年2月18日 消防予第29号 消防庁予防課長、改正:平成17年8月消防予第215号)
  • 消防法第9条

※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

BLOGカテゴリ
最新の記事
防火管理者代行サービス
無料1分概算見積
業務用ガス機器の排気筒はいつ必須になるのか|設置基準が求める給排気の基準と工事監督者
厨房のガスコンロを新しくするとき、置くだけで終わらせていませんか。 消防庁は平成4年、業務用ガス機器の設置基準を全面的に見直し、給排気やダクトの基準まで一本にまとめました。 基準は機器の消費量によって、排気筒の設置が必須...