映画館の映写室は、フィルムを収めるだけの小さな部屋にすぎないと思われがちです。
しかし消防法第15条は、常時映画を上映する建物の映写室のうち、緩燃性でない映画を映写するものについて、政令が定める技術上の基準を満たすよう義務付けています。
壁の構造から標識の色、消火設備の個数まで、条文は細部にわたって基準を定めています。
この記事では危険物の規制に関する政令第39条と関連する規則が定める映写室の技術基準を確認します。
映写室というと、映画館の中にある機材を置くだけの部屋だと思っていました。
いいえ、消防法第15条が対象にする映写室には、政令で細かい技術基準がありますよ。
順番に確認しましょう。
うちの映画館にも映写室がありますが、何か特別な基準があるんですか。
はい、構造から消火設備までまとめて基準が決まっています。
まずは条文から見ていきましょう。
- 消防法第15条は、常時映画を上映する建築物の映写室のうち緩燃性でない映画を映写するものに、政令で定める技術上の基準を義務付けている
- 危険物の規制に関する政令第39条は、映写室の構造(耐火構造・寸法・出入口)から設備(防火板・排気筒・格納庫)まで9号にわたって基準を定める
- 出入口には幅・高さの基準に加えて外開きの自動閉鎖の特定防火設備を設けなければならない
- 標識・掲示板の寸法や色は危険物の規制に関する規則第66条が具体的に決めている
- 映写室には第五種の消火設備を2個以上設置しなければならない(規則第67条)
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目次
映写室にはなぜ特別な基準があるのか

まずは条文の対象を確認します。
緩燃性でないフィルムは燃えやすく、映写室内で事故が起きると被害が広がりやすいと考えられます。
そのため消防法は、映写室そのものに構造と設備の技術基準を具備するよう義務付けました。
基準の中身は、消防法ではなく政令に委任されています。
次の項目で、対象になる映写室の範囲を確認します。
緩燃性でないフィルムというのは、今どき使われているんでしょうか。
使われているかどうかまでは条文に書かれていませんが、該当する映写室であれば基準の対象になります。
次で範囲を確認しましょう。
どんな映写室が技術基準の対象になるのか

まずは条文の柱書を確認します。
対象になるのは、消防法第15条が定める映写室、つまり緩燃性でない映画を映写する映写室に限られます。
政令には第1号から第9号まで、標識の掲示から消火設備の設置まで幅広い項目が並びます。
次の項目で、そのうち構造と設備の中心となる基準を確認します。
基準は1つだけかと思っていましたが、9つもあるんですね。
はい、構造の基準と設備の基準がまとめて定められています。
順番に見ていきましょう。
映写室の構造と設備には何が求められるのか

代表的な号を確認します。
広さにも基準があり、映写機の台数に応じて間口を広げる仕組みになっています。
出入口は外開きとし、事故の際に内側から押し開けやすい向きにする決まりです。
このほか映写窓には防火板、フィルムには不燃材料の格納庫、整流器の室内設置禁止も定められています(政令第39条第1項第5号・第7号・第8号)。
次の項目で、標識と消火設備の基準を確認します。
壁を耐火構造にするだけでなく、出入口の向きまで決まっているんですね。
はい、外開きで自動的に閉まる扉にする必要があります。
次で標識と消火設備を確認しましょう。
標識や消火設備はどこまで細かく決まっているのか

危険物の規制に関する規則の中身を確認します。
標識は白地に黒文字、掲示板は赤地に白文字で「火気厳禁」と、色まで決められた組み合わせです。
消火設備は種別だけでなく、第5種の消火設備を2個以上という具体的な数量が条件になります。
政令の号だけを読んでいると、規則側の数値基準を見落としがちです。
次の項目で、実務での確認事項を整理します。
うちの映写室の標識、色までは意識したことがなかったです。
色や寸法も規則で決まっているので、一度確認しておくと安心です。
最後に確認事項をまとめましょう。
明日からなにを確認すればよいのか

自己判断せず、条文と設計図書をもとに確かめることが大切です。
- 自施設の映写室が消防法第15条の対象(常時映画を上映する建築物で緩燃性でない映画を映写するもの)に当てはまるか確認する
- 壁・柱・床・天井が耐火構造になっているか、出入口が外開きの自動閉鎖の特定防火設備になっているかを確認する
- 映写窓の防火板・映写機用排気筒・室内換気筒・フィルムの格納庫が政令第39条のとおり設けられているか確認する
- 標識と掲示板の寸法・色・表示内容が規則第66条のとおりか、第五種の消火設備が2個以上あるか確認する
- 判断に迷う場合は自己判断せず所轄の消防署(市町村長等)に相談する
まずは映写室の標識と消火設備の数から確認してみます。
はい、構造と設備を順番に確認してください。
不明な点は所轄消防署にご相談ください。
よくある質問
まとめ
映写室の基準を、まず自施設で確認してみます!
構造と設備の両方を確認するいちばんの近道です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法第15条
- 危険物の規制に関する政令第39条第1項
- 危険物の規制に関する規則第66条
- 危険物の規制に関する規則第67条
- e-Gov 法令検索
※本記事は公表されている法令に基づく一般的な解説です。個別の設備の選定や設計は施設の構造によって異なる場合があります。具体的な判断は所轄消防署にご確認ください。





