リチウムイオン蓄電池を製造する一般取扱所には、危険物の規制に関する規則が独自の緩和と上乗せの基準を用意しています。
なかでもタンクを設ける場合は、屋外の一般的な設備とは別建てのルールで容量と囲いが決まります。
屋内にあるか屋外にあるかで扱いが分かれる点は、現場でも見落としやすいポイントです。
この記事では容量の上限と囲いの計算方法を、条文にそって整理します。
うちの工場は蓄電池を製造する一般取扱所で、タンクも置いています。
普通のタンクと同じ扱いでいいのか急に不安になってきました。
実は専用の基準があるんです。
屋外と屋内で扱いがはっきり分かれます。
屋外と屋内で違うんですか、それは知りませんでした。
はい、容量から確認していきましょう。
- リチウムイオン蓄電池を製造する一般取扱所(イ型)でタンクを設ける場合は、容量の総計を指定数量未満に抑えなければなりません
- この基準は屋外設備の一般則(〇・一五メートル以上の囲い)ではなく、第二十八条の五十九の二第二項第十一号という専用の規定に置き換わります
- 屋内にあるタンクの周囲には、防油堤と同じ考え方の囲いを設ける義務があります
- 一つのタンクなら容量の五十パーセント以上、複数のタンクなら最大のものの五十パーセントに他のタンクの合計の十パーセントを加えた量以上が囲いの目安です
- 屋外にあるタンクにはこの囲いの規定は適用されないため、設置場所の確認が最初の分かれ道になります
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目次
蓄電池を製造する一般取扱所でタンクを設けるとどんな基準が加わるのか

このうち製造を専ら行うイ型の施設に、タンクを設けるときの基準が今回のテーマです。
リチウムイオン蓄電池を製造する一般取扱所(イ型)は、令第九条第一項が定める製造所の一般基準の一部を適用除外にして、代わりに規則第二十八条の五十九の二が独自の基準を並べています。
そのなかでタンクを設ける場合は、屋外の一般設備が従う〇・一五メートル以上の囲い(同項第十二号)が適用されず、専用の第十一号が容量と囲いの基準を定めます。
第十一号は容量の総計と屋内タンクの囲いという二段構えです。
まずは容量の上限から確認します。
うちのタンクは屋外の一般的な設備と同じ基準だと思っていました。
いえ、この施設には専用の第十一号があります。
順番に確認していきましょう。
タンクの容量の総計はどこまで抑えなければならないのか

一基ごとではなく、タンク全体の合計で判断します。
危険物を取り扱うタンクを設ける場合、屋内にあるか屋外にあるかを問わず、この上限がかかります。
指定数量は危険物の種類ごとに政令が定める基準の数量で、蓄電池に用いられる危険物もこの数量を基準にします。
複数のタンクを設ける場合は、総計で判断する点に注意が必要です。
一基ずつは少量でも、合計で指定数量に近づいていないか確認しましょう。
容量はどこまでなら置けるんですか。
指定数量未満に抑える必要があります。
屋内でも屋外でもこの上限は変わりません。
屋内タンクの囲いはどうやって計算するのか

計算の考え方は、防油堤と同じです。
第十三条の三第二項第一号は、液体の危険物タンクの周囲に設ける防油堤の容量基準を定めた規定で、この号の例によって屋内タンクの囲いを設けます。
一つのタンクだけを囲う場合は、容量の五十パーセント以上の囲いにします。
二以上のタンクを一つの囲いでまとめる場合は、最大のタンクの五十パーセントに、他のタンクの容量の合計の十パーセントを加えた量以上にします。
タンクの基数が増えるほど、必要な囲いの容量も大きくなる仕組みです。
タンクが二基あるときの計算はどうなりますか。
最大のタンクの五十パーセントに、他のタンクの合計の十パーセントを足します。
意外と大きな容量になります。
屋外に置けば囲いの基準は変わるのか

屋内と屋外で、扱いがはっきり分かれます。
第十一号は「当該タンク(屋内にあるものに限る。)」と明記しており、屋外にあるタンクには囲いの義務がかかりません。
一方、屋外の液状危険物設備に本来かかる令第九条第一項第十二号の〇・一五メートル以上の囲いも、この施設では適用除外になっています。
つまり屋外タンクは、容量の上限さえ守れば囲いの規定そのものから外れる形になります。
屋内か屋外かの判断を誤ると、必要な囲いを見落とすおそれがあります。
じゃあ屋外に置けば囲いは要らないってことですか。
はい、この第十一号の囲いは屋内限定です。
ただし容量の上限だけは屋外でも変わりません。
明日からタンクのある一般取扱所は何を確認すればよいのか

容量・設置場所・消火設備の順に見ていくと迷いません。
屋内タンクは囲いの容量を計算し、屋外タンクは容量の上限を満たしているかを確認します。
そのうえで、第三十五条の三第三項各号が定める消火設備の基準もあわせて満たす必要があります。
図面と現地の両方でタンクの設置場所を特定しておくと、あとの手戻りを防げます。
容量・設置場所・消火設備の三点を順番に押さえるのが、実務での確認の流れです。
まず何から確認すればいいですか。
容量の総計と、屋内か屋外かの二点からです。
そのあと消火設備の基準に進みましょう。
よくある質問
まとめ
屋内と屋外で扱いが違うと分かって助かりました!
はい、容量と設置場所の確認から始めてください。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法第十一条第一項・第五項
- 危険物の規制に関する政令第九条第一項第十二号・第十九条第一項
- 危険物の規制に関する規則第二十八条の五十四第五号の二イ・第二十八条の五十九の二第二項第十一号・第十二号・第十三条の三第二項第一号
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





