リチウムイオン蓄電池を用いた製品を「組み立てる」一般取扱所(ロ型)には、蓄電池そのものとは別に、危険物を取り扱う部分の構造基準が定められています。
組立て作業には、はんだ付けの洗浄剤など蓄電池以外の危険物を扱う工程が伴うことがあるためです。
対象になるのは床の構造・蒸気や微粉の排出設備・電気設備の三点で、いずれも条文で具体的に定められています。
この記事では、組立て(ロ型)の一般取扱所に固有の基準を条文にそって整理します。
うちは蓄電池を組み立てるだけの施設ですが、危険物の基準まで関係あるんですか。
はい、蓄電池以外の危険物を扱う部分には別の基準があります。
床・蒸気・電気設備の三点です。
条文にそって順番に教えてください。
はい、まずは施設の区分から確認しましょう。
- 蓄電池を「組み立てる」一般取扱所(ロ型)には、蓄電池そのものとは別に、危険物を取り扱う部分の構造基準が定められています
- この基準の対象は蓄電池により貯蔵されるものを除く危険物を取り扱う部分に限られます
- 床には危険物が浸透しない構造・傾斜・排水溝の三点が求められます
- 可燃性の蒸気や微粉が滞留するおそれのある部分には、屋外の高所へ排出する設備を設けなければなりません
- 電気設備は消防法令ではなく電気工作物に係る法令の規定に従います
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目次
蓄電池を組み立てる一般取扱所とは何を指すのか

このうち今回は、組立てを専ら行う「ロ型」の施設に固有の基準を確認します。
製造を専ら行うイ型とは異なり、組立てという工程が中心になる点が特徴です。
組立てに付随して蓄電池を充電・放電する作業も、この区分に含まれます。
組立て作業では、部品の洗浄や接合のために蓄電池以外の危険物を扱う場面が出てきます。
次の見出しから、その部分にかかる基準を確認していきます。
組立てと製造って、そんなに扱いが違うんですか。
はい、組立て特有の工程があるぶん基準も変わります。
次に対象範囲を見ましょう。
どの危険物を取り扱う部分が対象になるのか

ここを取り違えると、必要な部分に基準を適用し忘れます。
蓄電池そのものは第一号・第二号で、表示や不燃材料の建築物、告示基準への適合などイ型と共通の基準が準用されます。
これとは別に、洗浄剤のように蓄電池以外の危険物を取り扱う部分には、第三号イからハの三つの基準が個別にかかります。
蓄電池の周りだけを見て満足せず、それ以外の危険物を扱う設備も洗い出す必要があります。
次の見出しから、イ・ロ・ハの中身を順に見ていきます。
洗浄剤みたいな少量のものでも対象になるんですか。
危険物に当たるかどうかで判断します。
量の多少は関係ありません。
床の構造はどう定められているのか

液状の危険物を扱う部分に共通して求められる基準です。
浸透しない構造とは、コンクリートなどで危険物が地中にしみ込まないようにすることです。
そこに適当な傾斜を付け、漏れた危険物が自然に一箇所へ集まるようにします。
集まった先には貯留設備を置き、床の周囲には排水溝をめぐらせます。
液状の危険物を扱う部分がある施設は、この三点を図面と現地の両方で確認します。
傾斜と排水溝、どちらか一方では駄目なんですか。
条文は三点セットで求めています。
どれか一つでは足りません。
蒸気や微粉の排出設備を見落としていないか

ここは対策を後回しにしやすい落とし穴です。
洗浄剤の揮発など、目に見えない蒸気が滞留する部分は見落とされがちです。
排出先は屋外の高所と定められており、低い位置から外へ流すだけでは条文の求める基準を満たしません。
イ型の設備単位の基準(第二項第四号)にあった「屋外排出設備があれば設備自体を密閉しなくてよい」という代替の考え方と似ていますが、こちらは滞留するおそれのある部分そのものに排出設備を求めている点が異なります。
換気扇を付けているから大丈夫、と思い込まず、排出先が屋外の高所になっているかを確認します。
普通の換気扇を付けていれば大丈夫だと思っていました。
排出先が屋外の高所かどうかがポイントです。
一度図面で確認してください。
電気設備と消火設備は何を確認すればよいか

どちらも根拠になる規定の場所が違います。
これは電気事業法など別の法体系に基準を委ねる書き方で、危険物の規則が独自の電気工事基準を定めているわけではありません。
一方で消火設備は、同じ第二十八条の五十九の二第四項第四号により、第三十五条の三第四項に定める基準を別途確認する必要があります。
床・蒸気・電気設備の三点を確認したうえで、消火設備は条文を変えて改めて見る、という流れになります。
どの根拠がどの設備に対応するかを整理しておくと、点検や設計の抜け漏れを防げます。
電気設備は消防署ではなく別の窓口に相談するということですか。
はい、電気工作物の法令側の確認になります。
消火設備はまた別の条文です。
よくある質問
まとめ
床・蒸気・電気設備の三点、よく分かりました!
まずは対象範囲の洗い出しから始めてください。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法第十一条第一項・第五項
- 危険物の規制に関する政令第十九条第一項
- 危険物の規制に関する規則第二十八条の五十四第五号の二ロ・第二十八条の五十九の二第四項
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





