危険物保安監督者を選任すれば、それで会社の義務は果たしたと思っていませんか。
実は、選んだ本人が法令に違反したときにも、会社に及ぶ制度があります。
消防法第13条の24は、市町村長等が事業者に対して危険物保安監督者や統括管理者の解任を命じることができると定めています。
この記事では、解任命令が出る条件から、従わなかった場合にどこまで話が大きくなるかまでを整理します。
危険物保安監督者を選んだあとは、本人の責任であって会社には関係ないですよね。
いいえ、違います。
市町村長等は事業者に対して解任を命じることができます。
選任・解任を届け出る義務とは別の話なんですか。
はい。
届出とは別に、行政側から交代を迫られる制度です。
- 危険物保安監督者や統括管理者が法令に違反したとき、またはその業務を行わせることが公共の安全の維持もしくは災害の発生の防止に支障を及ぼすおそれがあると認められるとき、市町村長等は事業者に解任を命じることができる(消防法第13条の24)
- 解任命令は危険物保安統括管理者(第12条の7)と危険物保安監督者(第13条)の両方が対象になる
- 命令が出たときは標識の設置その他の方法で公示され、事業者はその設置を拒んだり妨げたりできない(第11条の5第4項・第5項の準用)
- 解任命令に従わない場合、施設全体の使用停止命令にまで発展しうる(第12条の2第2項第4号)
- その使用停止命令にもさらに従わなければ、6ヶ月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金が科される(第42条第1項第4号)
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目次
危険物保安監督者が法令違反をしたらどうなるのか

選んだ側の事業者にも、思わぬ形で影響が及ぶ制度があります。
違反した本人が罰せられるだけでなく、市町村長等は事業者に対して危険物保安監督者や統括管理者の解任そのものを命じることができます。
選任・解任を届け出る義務(第13条第2項)とは別に、この命令は行政側が主導して交代を迫る制度です。
「一度選任すれば会社の義務は果たした」という理解のままでは、この制度を見落とします。
選んだ本人の問題なのに、会社にまで話が及ぶんですか。
はい。
選任した事業者が命令の名宛人になります。
解任を命じられるのはどんな役職が対象なのか

条文が挙げる二つの役職を確認します。
統括管理者は同一事業所で大量の危険物を扱う場合に事業所全体の保安業務をまとめる役職、監督者は個々の製造所・貯蔵所・取扱所ごとに置かれる役職で、対象になる施設の規模はそれぞれ政令で別に定められています。
どちらの役職であっても、この解任命令の対象から外れるわけではありません。
自社にどちらの役職がいるかにかかわらず、この制度は共通して及びます。
うちは統括管理者はいませんが、監督者ならいます。
うちも対象になりますか。
はい。
どちらの役職でも対象になります。
解任命令が出るとどんな手続きが取られるのか

外から見える形での手続きも定められています。
標識は命令の対象になった製造所・貯蔵所・取扱所そのものに設置することができ、事業者側はこの設置を拒んだり妨げたりしてはなりません。
つまり解任命令は、社内だけでひっそり処理して終われる話ではなく、外部から見える形で残る可能性があります。
取引先や近隣から見える場所に標識が立つ事態を避けたいなら、命令が出る前の段階で対応することが重要です。
標識まで立てられるとは知りませんでした。
はい。
設置を拒むことも認められていません。
命令に従わないとどこまで話が大きくなるのか

別の条文が、さらに重い措置を用意しています。
第12条の2第2項第4号は、解任命令違反そのものを使用停止の理由として明記しており、影響は違反した本人ではなく施設の運営全体に及びます。
さらにこの使用停止命令にも従わなければ、6ヶ月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金が科されます(第42条第1項第4号)。
「解任命令くらいなら」と軽く見て放置すると、事業そのものを止めるところまで一直線につながっています。
解任命令だけなら、うちは事業を続けられると思っていました。
従わなければ使用停止に発展します。
軽く見ないでください。
明日からなにを確認すればよいのか

命令が出てから動くのでは遅すぎます。 解任命令は「その日いきなり」出るものではなく、その前に法令違反や安全上のリスクが積み重なっています。
危険物保安監督者・統括管理者が業務を適正に行えているかを、選任して終わりにせず定期的に確認してください。
違反や事故につながりかねない兆候に気づいたら、解任命令が出る前に自主的に交代を検討することも選択肢です。
命令が実際に出てしまった場合は、標識の設置を拒まず、速やかに新しい担当者を選任・届出することが、施設の使用停止という最悪の事態を避ける道です。
「選任すれば終わり」ではなく、「選任した後も見続ける」という意識が実務では欠かせません。
選任したら終わりだと思っていましたが、そうではないんですね。
はい。
選んだ後も継続して確認してください。
よくある質問
まとめ
解任命令が出る前に、うちの監督者の状況を確認します!
危険物保安監督者まわりの実務まで、㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法第13条の24・第12条の7・第13条・第12条の2
- 消防法第11条の5(第13条の24第2項で準用)
- 消防法第42条
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





