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窓と窓のあいだの外壁はなぜ耐火構造にしなければならないのか|建築基準法施行令が定める防火区画に接する外壁の基準を解説

防火区画に接する外壁の基準を解説する記事のアイキャッチ画像

建物の外壁を見ると、上下の階の窓のあいだに、窓のない帯状の壁があることに気づくことがあります。
これは意匠上の飾りではなく、下の階の窓から出た炎が外壁を伝って上の階の窓に入り込むのを防ぐための構造です。
建築基準法施行令は、防火区画に接する外壁の一部を準耐火構造にすることを求めています。
この記事では対象になる外壁の範囲から、開口部がある場合の注意点までを整理します。

自分の建物を外から見たら、窓と窓のあいだに、窓のない壁の帯がありました。
これって何のためにあるんですか?

それは防火区画に接する外壁を守るための構造かもしれません。
まず基準を確認しましょう。

うちの建物にも防火区画があります。
この帯はどうやって見分ければいいですか?

区画に接する外壁の幅と、窓に防火設備が付いているかで見分けられます。
順番に見ていきましょう。

この記事の結論
  • 防火区画に接する外壁は、区画に接する部分を含み幅90センチメートル以上を準耐火構造にする義務があります。
  • 対象になるのは面積区画・竪穴区画・十一階以上の区画など、複数の防火区画に接する外壁です。
  • ひさしや床、袖壁が50センチメートル以上突き出し防火上有効に遮っていれば、適用が除外されます。
  • その準耐火構造の部分に窓などの開口部があれば、防火設備を設けなければなりません。
  • 確認は確認申請の図面と外壁の現地の両方で行うことが大切です。

防火区画に接する外壁の幅90センチメートルの準耐火構造化とひさし等による除外、開口部の防火設備をまとめた図解

外壁はなぜ窓の上下で耐火性能を求められるのか

上下に並ぶ窓のあいだにある帯状の外壁
下の階の窓から出た炎は、屋外を伝って上の階の窓に入り込むことがあります。
防火区画は建物の内部を区切る仕組みですが、外壁の面まで来ると区画が途切れてしまいます。
建築基準法施行令第112条第16項(抜粋) (略)に接する外壁については、当該外壁のうちこれらに接する部分を含み幅九十センチメートル以上の部分を準耐火構造としなければならない。
防火区画は、外壁の面で途切れると炎が屋外を回り込む経路を防げません。
建物内部の壁や床で区画を作っても、その区画が接する外壁がふつうの壁のままでは、下の階の窓から出た炎が外壁を伝って上の階の窓に入り込みます。
これは開口部を伝う延焼と呼ばれる経路で、内部の区画だけでは止められません。
建築基準法施行令第112条第16項は、この経路を塞ぐため、区画に接する外壁の一部を準耐火構造にすることを求めています。
窓と窓のあいだにある帯状の壁が、この役割を担っています。
自分の建物にこの帯があるかどうかは、外壁を見上げるだけでもある程度確認できます。

下の階の窓から火が出ると、外壁を伝って上の階の窓に入り込むことがあるんですね。
知りませんでした。

はい、区画の中で火を止めても、外壁を回り込む経路が残っていては意味がありません。
だから外壁にも基準があります。

どの防火区画に接する外壁が対象になるのか

床の防火区画と竪穴区画がそれぞれ外壁に接している断面
対象になる区画は1種類ではありません。
面積で区切る区画や、竪穴を区切る区画など、複数の種類があります。
建築基準法施行令第112条第1項(抜粋) (略)延べ面積(略)が千五百平方メートルを超えるものは、床面積の合計(略)千五百平方メートル以内ごとに一時間準耐火基準に適合する準耐火構造の床若しくは壁又は特定防火設備で区画しなければならない。
対象になるのは、面積区画・竪穴区画・十一階以上の区画など、複数の防火区画に接する外壁です。
第1項は延べ面積1,500平方メートルを超える建築物などを対象にした面積区画で、この区画に接する外壁も第16項の対象に含まれます。
このほか、エレベーターや階段の昇降路を区切る竪穴区画(第11項)、十一階以上の区画(第7項)に接する外壁も対象です。
自分の建物にどの区画があるかは、確認申請の図面に記載されている区画の種類から読み取れます。
区画の種類が違っても、外壁に接する部分の考え方は共通しています。

うちの建物にも面積区画や竪穴区画があります。
そこに接する外壁はぜんぶ対象になるんですか?

面積区画・竪穴区画・十一階以上の区画など、防火区画に接する外壁であれば対象になります。
まずはどの区画があるか図面で確認しましょう。

外壁のどの範囲をどんな構造にすればよいのか

外壁の準耐火構造の帯とひさしが突き出た代替構造の比較
求められる対策は1つに決まっているわけではありません。
帯状の壁を準耐火構造にする方法と、ひさしなどで遮る方法のどちらかを選べます。
建築基準法施行令第112条第16項ただし書 外壁面から五十センチメートル以上突出した準耐火構造のひさし、床、袖壁その他これらに類するもので防火上有効に遮られている場合においては、この限りでない。
区画に接する部分を含み幅90センチメートル以上を準耐火構造にするか、ひさし等で遮るかのどちらかです。
基本の対策は、区画に接する部分を含む幅90センチメートル以上の外壁を準耐火構造にすることです。
これに代えて、外壁面から50センチメートル以上突出したひさし・床・袖壁等で防火上有効に遮ることもできます。
突出量が足りない、または遮り方が不十分なひさしでは、除外の対象になりません。
図面上はひさしがあっても、増改築で撤去・変更されている例もあるため、現地での確認が欠かせません。

90センチメートルの壁を作らなくても、ひさしがあれば大丈夫なんですね。
うちにもひさしがあります。

はい、突出量と遮り方の条件を満たせば適用が除外されます。
寸法を図面で確かめてください。

その部分に窓や開口部があるとどうなるのか

防火設備を備えた窓と防火設備のない窓の比較
窓と窓のあいだの帯には、実際には窓や換気口などの開口部が入り込むこともあります。
その場合は、外壁の準耐火構造化とは別に、開口部そのものへの対策が必要です。
建築基準法施行令第112条第17項 前項の規定によつて準耐火構造としなければならない部分に開口部がある場合においては、その開口部に法第二条第九号の二ロに規定する防火設備を設けなければならない。
準耐火構造にすべき部分に開口部があるなら、その開口部にも防火設備が必要です。
外壁を準耐火構造にしただけでは足りず、そこに窓やガラリなどの開口部があれば、法令が定める防火設備を設けなければなりません。
リフォームや設備更新の際に、窓を防火性能のない一般品に交換してしまうと、この基準を満たさなくなります。
看板や換気設備を後から取り付けるために外壁に新しい開口部を設ける場合も、同じ扱いになります。
外壁の帯の中に何があるかを、窓だけでなく設備の開口部まで含めて確認することが大切です。

その帯の部分に窓があるとどうなるんですか?
普通の窓のままでは駄目ですか?

開口部があるなら、そこに防火設備を設ける必要があります。
普通の窓のままでは基準を満たしません。

明日からなにを確認すればよいのか

図面を手に外壁を確認する点検の様子
条文を満たしているかどうかは、外壁を見るだけでは分かりません。
図面と現地の両方を突き合わせて確認します。
建築基準法第12条第1項(抜粋) (略)特定行政庁が指定するもの(略)の所有者(略)は、これらの建築物の敷地、構造及び建築設備について、国土交通省令で定めるところにより、定期に、一級建築士若しくは二級建築士又は建築物調査員資格者証の交付を受けている者にその状況の調査をさせて、その結果を特定行政庁に報告しなければならない。
確認申請の図面で対象になる区画と外壁の位置を確かめることが第一歩です。
面積区画・竪穴区画・十一階以上の区画のいずれかが自分の建物にあるかを図面で把握し、それに接する外壁の帯を洗い出します。
現地では、その帯の幅や、ひさし等の突出量を確認し、開口部があれば防火設備が付いているかを見ます。
図面と現況がずれている場合は、増改築の履歴を確認したうえで建築士に相談してください。
定期報告の対象になっている建物なら、その調査の機会に合わせて見てもらうのが現実的です。

図面を見て、区画に接する外壁と窓の防火設備を確認すればいいんですね。
今度の点検で見てもらいます。

はい、確認申請の図面と現地の両方を突き合わせるのが確実です。
気になる点があれば教えてください。

よくある質問

Q90センチメートルの範囲は外壁のどこを起点に測りますか?
A施行令第16項は、区画に接する部分を含み幅90センチメートル以上と定めています。区画の位置を起点に、外壁沿いにその幅を確保する必要があります。
Qひさしや袖壁があれば準耐火構造にしなくてよいのですか?
A外壁面から50センチメートル以上突出し、防火上有効に遮っているひさし・床・袖壁等であれば、ただし書きにより適用が除外されます。突出量が足りない場合は対象のままです。
Q窓が防火設備になっていれば、外壁の90センチメートルの範囲は不要ですか?
A別の規定です。第16項の外壁の準耐火構造化と、第17項の開口部の防火設備はどちらも必要な要件で、片方を満たせばもう片方が免除されるわけではありません。
Qこの基準は新築だけでなく既存の建物にもあてはまりますか?
A建築時点の基準で適法に建てられていれば、その後の法改正で直ちに違反になるわけではありません。ただし増築や大規模な修繕・模様替えを行う際は、現行基準への適合が必要になる場合があるため、事前に確認してください。

まとめ

防火区画に接する外壁は、区画に接する部分を含み幅90センチメートル以上を準耐火構造にしなければなりません。
対象になるのは面積区画・竪穴区画・十一階以上の区画など、複数の防火区画に接する外壁です。
面積区画は延べ面積1,500平方メートル超などの建築物が対象になります。
ひさしや床、袖壁が50センチメートル以上突き出し防火上有効に遮っていれば、適用が除外されます。
その準耐火構造の部分に窓などの開口部があれば、防火設備を設けなければなりません。
窓の防火設備と外壁の準耐火構造は、どちらも欠かせない別々の要件です。
確認は確認申請の図面と外壁の現地の両方で行うことが大切です。

外壁の帯の意味がよくわかりました。
次の点検で図面と一緒に確認します。

それが確実です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 建築基準法(昭和25年法律第201号)第2条第9号の2ロ・第12条第1項
  • 建築基準法施行令(昭和25年政令第338号)第112条第1項・第7項・第11項・第16項・第17項

※本記事は公表されている法令および国土交通省・消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄の特定行政庁または建築士にご確認ください。

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