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3階建ての住宅や小規模施設は竪穴区画をどこまで簡略化できるのか|建築基準法施行令が定める竪穴区画の緩和基準を解説

3階建ての住宅や小規模施設は竪穴区画をどこまで簡略化できるのか|建築基準法施行令が定める竪穴区画の緩和基準を解説

3階建ての住宅や小さな施設のオーナーから、階段や吹き抜けをどこまで厳重な壁で囲まなければならないのかという相談をよく受けます。
建築基準法施行令は、階段やエレベーターの昇降路などの竪穴部分を周囲から区画することを原則として求めています。
ただし、建物の階数や延べ面積、用途によっては、この区画のしかたが簡略化される規定も置かれています。
この記事では、どんな建物が緩和の対象になり、どこまで簡略化できるのかを整理します。

うちは3階建ての小さな建物なんですが、それでも竪穴区画は必要なんですか?
大きなビルと同じ扱いになるのか心配です。

階段や吹き抜けなどの竪穴部分は、原則として区画が必要です。
まずは建物の規模を確認しましょう。

規模が小さければ、区画をしなくてもいいこともあるんですか?

はい、階数や延べ面積、用途によっては区画のしかたが軽くなる規定があります。
順番に見ていきましょう。

この記事の結論
  • 竪穴区画は原則として、階段・エレベーターの昇降路・吹抜き・ダクトスペースなどを準耐火構造の床若しくは壁又は防火設備で区画しなければなりません。
  • 階数3以下・延べ面積200平方メートル以内の一戸建て住宅や長屋・共同住宅の住戸は、竪穴区画そのものが適用除外になります。
  • 病院・診療所・児童福祉施設等で階数3・延べ面積200平方メートル未満の建物は、竪穴部分を間仕切壁又は防火設備で区画すれば足ります。
  • ホテル・旅館・共同住宅など別表第一(い)欄(2)項の用途で同じ規模の建物は、間仕切壁又は戸(ふすま・障子等を除く)で区画すれば足ります。
  • 緩和は区画が不要になるのではなく求められる性能が下がるだけで、条件を1つ外れると原則の基準に戻ります。

階数3以下・延べ面積200平方メートル以内の建物は竪穴区画が間仕切壁や戸で足り、ふすまや障子は対象外になることをまとめた図解

なぜ竪穴区画には小規模建築物の緩和があるのか

小さな3階建ての建物と高層建物の竪穴部分の高さを比べた図
階段や吹き抜けは、上下の階を煙や熱が一気に駆け抜けてしまう弱点になります。
建築基準法施行令は、この弱点を塞ぐため竪穴部分を区画することを原則として求めています。
建築基準法施行令第112条第11項(抜粋) 主要構造部を準耐火構造とした建築物(略)であつて、地階又は三階以上の階に居室を有するものの竪穴部分(長屋又は共同住宅の住戸でその階数が二以上であるもの、吹抜きとなつている部分、階段の部分(略)、昇降機の昇降路の部分、ダクトスペースの部分その他これらに類する部分をいう。(略))については、当該竪穴部分以外の部分(略)と準耐火構造の床若しくは壁又は法第二条第九号の二ロに規定する防火設備で区画しなければならない。
竪穴区画は建物の規模にかかわらず必要になるわけではありません。
建築基準法施行令第112条第11項は、主要構造部を準耐火構造とした建築物などで、地階又は三階以上の階に居室がある場合に、竪穴部分をそれ以外の部分と区画するよう定めています。
竪穴部分には、階段の部分やエレベーターの昇降路の部分、吹き抜けやダクトスペースなどが含まれます。
一方で、同じ第11項のただし書は、建物の規模が小さければこの原則を適用しない場合があると定めています。
自分の建物が原則どおりの区画を必要とするのか、緩和の対象なのかは、階数と延べ面積で見分けられます。

竪穴部分って、階段とエレベーター以外にも当てはまるものがあるんですね。
吹き抜けも入るとは知りませんでした。

はい、ダクトスペースも含まれます。
次は、どんな建物が緩和の対象になるかを見ていきましょう。

どんな建物が緩和の対象になるのか

小規模な建物と大規模な建物の延べ床面積を比べた図
緩和の対象になるかどうかは、建物の用途と規模の両方で決まります。
住宅系の建物と、病院やホテルなどの建物とでは、緩和のされ方も違います。
建築基準法施行令第112条第11項ただし書第2号 階数が三以下で延べ面積が二百平方メートル以内の一戸建ての住宅又は長屋若しくは共同住宅の住戸のうちその階数が三以下で、かつ、床面積の合計が二百平方メートル以内であるものにおける吹抜きとなつている部分、階段の部分、昇降機の昇降路の部分その他これらに類する部分
住宅系の建物は、階数と面積の条件を満たせば区画そのものが不要になります。
第11項ただし書第2号は、階数以下・延べ面積200平方メートル以内の一戸建て住宅や、階数3以下・床面積の合計200平方メートル以内の長屋・共同住宅の住戸を、竪穴区画の対象から外しています。
一方、病院・診療所・児童福祉施設等やホテル・旅館・共同住宅(建物全体)のように不特定多数や避難が難しい人が使う建物は、同じ規模でも区画そのものは必要で、区画のしかたが軽くなるだけです。
自分の建物がどちらに当たるかは、用途と延べ面積を確認申請の図面で確かめます。
共同住宅は、住戸単体と建物全体の両方の規定にまたがるため、特に注意が必要です。

うちは共同住宅なんですが、住戸だけを見ればいいのか、建物全体を見ればいいのかよく分かりません。

住戸ごとの吹き抜けと、建物全体の階段は別の規定で見ます。
両方を確認してみましょう。

緩和されるとどんな区画で足りるのか

厚い防火区画の壁と軽い間仕切壁の戸を比べた図
病院やホテルなどで規模が小さい場合、区画のしかたそのものが軽くなります。
求められる壁や戸の種類が、原則とは違う基準に置き換わります。
建築基準法施行令第112条第12項 三階を病院、診療所(患者の収容施設があるものに限る。(略))又は児童福祉施設等(入所する者の寝室があるものに限る。(略))の用途に供する建築物のうち階数が三で延べ面積が二百平方メートル未満のもの(前項に規定する建築物を除く。)の竪穴部分については、当該竪穴部分以外の部分と間仕切壁又は法第二条第九号の二ロに規定する防火設備で区画しなければならない。ただし、居室、倉庫その他これらに類する部分にスプリンクラー設備その他これに類するものを設けた建築物の竪穴部分については、当該防火設備に代えて、十分間防火設備(略)で区画することができる。
病院や児童福祉施設等では、間仕切壁又は防火設備で区画すれば足ります。
第12項は、階部分を病院・診療所(患者の収容施設があるもの)・児童福祉施設等(入所者の寝室があるもの)に使い、階数が3・延べ面積200平方メートル未満の建物について、竪穴部分を間仕切壁又は防火設備で区画すればよいと定めています。
さらに、居室や倉庫にスプリンクラー設備等を設けていれば、防火設備に代えて十分間防火設備という軽い基準に置き換えることができます。
ホテル・旅館・共同住宅など別表第一(い)欄(2)項の他の用途では第13項が適用され、間仕切壁又は戸(ふすま・障子等を除く)で区画すれば足ります。
どちらの規定も、区画を無くすのではなく、区画の材料や性能の基準を下げているだけである点に注意します。

スプリンクラーがあれば、もっと軽い戸でもいいってことですか?

はい、居室や倉庫にスプリンクラーがあれば、十分間防火設備という軽い基準に置き換えられます。
設置状況を確認してみましょう。

実務で見落としやすいのはどこか

竪穴部分の開口にふすまを立てた誤った例
緩和の条件は細かく、1つでも外れると原則の基準に戻ります。
現場で見落としやすい点を整理します。
建築基準法施行令第112条第13項 三階を法別表第一(い)欄(二)項に掲げる用途(病院、診療所又は児童福祉施設等を除く。)に供する建築物のうち階数が三で延べ面積が二百平方メートル未満のもの(第十一項に規定する建築物を除く。)の竪穴部分については、当該竪穴部分以外の部分と間仕切壁又は戸(ふすま、障子その他これらに類するものを除く。)で区画しなければならない。
戸であれば何でもよいわけではありません。
第13項は区画に使う戸を「ふすま、障子その他これらに類するものを除く」と明示しており、ふすまや障子を開口部に立てただけでは区画になりません。
また、延べ面積が200平方メートルちょうどではなく200平方メートル未満が条件のため、200平方メートルを1平方メートルでも超えると緩和は使えず、原則どおりの竪穴区画に戻ります。
第12項の十分間防火設備への置き換えも、居室や倉庫にスプリンクラー設備等が実際に機能している状態が前提で、設置されているだけでは条件を満たしません。
増築や用途変更で延べ面積や用途が変わっていないかも、あわせて確認します。

うちは階段の開口にふすまを立てているんですが、それだと駄目なんですか?

ふすまや障子は、条文で明確に区画として認められていません。
間仕切壁か戸への交換を検討してください。

明日からなにを確認すればよいのか

図面と巻尺を手に建物の規模を確認する点検の様子
緩和の対象かどうかは、外から見ただけでは分かりません。
図面と現地の両方で、順番に確認していきます。
建築基準法第12条第1項(抜粋) (略)特定行政庁が指定するもの(略)の所有者(略)は、これらの建築物の敷地、構造及び建築設備について、国土交通省令で定めるところにより、定期に、一級建築士若しくは二級建築士又は建築物調査員資格者証の交付を受けている者にその状況の調査をさせて、その結果を特定行政庁に報告しなければならない。
まず確認申請の図面で、建物の用途と延べ面積、階数を確かめます。
一戸建て住宅や共同住宅の住戸なら200平方メートル以内、病院・児童福祉施設等やホテル・旅館・共同住宅(建物全体)なら200平方メートル未満に、それぞれ収まっているかを見ます。
次に現地で、竪穴部分を区切っている材料が間仕切壁や戸なのか、それともふすまや障子のような対象外のものなのかを確かめます。
十分間防火設備への置き換えを使っている建物では、スプリンクラー設備が実際に作動する状態にあるかも点検の対象に加えます。
図面と現況にずれがあれば、増改築の履歴を確認したうえで建築士に相談してください。

うちの建物がどの規定に当てはまるか、図面を見ながら確認してみます!

延べ面積と用途の2点を押さえれば判断できます。
気になる点があれば教えてください。

よくある質問

Q共同住宅の住戸で階数が2つなら第11項ただし書第2号は使えますか?
A使えます。第11項第2号は階数以下と定めているため、階数2の住戸も条件を満たします。ただし床面積の合計200平方メートル以内という条件は変わりません。
Q延べ面積200平方メートルちょうどの建物は第12項や第13項の対象になりますか?
Aなりません。第12項・第13項はいずれも延べ面積200平方メートル未満が条件で、200平方メートルちょうどはこの条件に含まれません。原則どおりの竪穴区画が必要です。
Qふすまや障子を防火性能のある戸に交換すれば第13項の対象になりますか?
A交換した戸が間仕切壁又は戸としての性能を満たしていれば対象になります。ただし用途・階数・延べ面積という他の条件も同時に満たしている必要があります。
Q十分間防火設備はどんな建物にも使える緩和ですか?
Aいいえ。第12項が対象にしているのは病院・診療所(患者の収容施設があるもの)・児童福祉施設等(入所者の寝室があるもの)に限られ、居室や倉庫にスプリンクラー設備等が設けられていることも条件です。ホテルや共同住宅など第13項の対象には十分間防火設備の規定はありません。

まとめ

竪穴区画は原則として、階段・エレベーターの昇降路・吹抜き・ダクトスペースなどを準耐火構造の床若しくは壁又は防火設備で区画しなければなりません。
階数3以下・延べ面積200平方メートル以内の一戸建て住宅や長屋・共同住宅の住戸は、竪穴区画そのものが適用除外になります。
病院・診療所・児童福祉施設等で階数3・延べ面積200平方メートル未満の建物は、間仕切壁又は防火設備で区画すれば足ります。
スプリンクラー設備等があれば、防火設備に代えて十分間防火設備という軽い基準に置き換えられます。
ホテル・旅館・共同住宅など別表第一(い)欄(2)項の用途は、間仕切壁又は戸(ふすま・障子等を除く)で区画すれば足ります。
延べ面積が200平方メートルを1平方メートルでも超えれば、緩和は使えず原則どおりの竪穴区画に戻ります。
確認は確認申請の図面と現地の両方で、用途・階数・延べ面積・区画材料をすべて見ることが大切です。

うちの建物がどこに当てはまるかよくわかりました。
次の点検で図面と一緒に確認します。

それが確実です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

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お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 建築基準法(昭和25年法律第201号)別表第一(い)欄(2)項・第12条第1項
  • 建築基準法施行令(昭和25年政令第338号)第112条第11項・第12項・第13項

※本記事は公表されている法令および国土交通省・消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄の特定行政庁または建築士にご確認ください。

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