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ドレンチャー等の連動機構は定期検査でどこを確認するのか|感知器の設置位置から予備電源への切替まで6つのチェックポイントを解説

ドレンチャー等の連動機構を点検する女性検査員

ドレンチャー等の水幕も、防火扉や防火シャッターと同じく感知器の合図で自動的に開閉弁が開く仕組みを持っています。
その合図を正しく伝えるのが連動機構で、感知器と連動制御器という部品から成り立っています。
定期検査ではこの連動機構についても、部品ごとに確認事項が細かく定められています。
今回はドレンチャー等の連動機構のうち感知器の設置位置から連動制御器の予備電源までを判定する6項目を解説します。

うちのドレンチャーも感知器と連動して開くらしいんですが、点検でどこを見られているのか分かっていません。

感知器と連動制御器の状態をひとつずつ確認しています。
合図を出す側と受け取る側、両方を見ないと開閉弁は開きません

合図を受け取る側というと、ポンプを動かす制御盤のことですか。

ポンプ側の制御盤は今回の対象外です。
今日は感知器から連動制御器までの6項目を順番に見ていきましょう。

この記事の結論
  • ドレンチャー等の感知には感知器と火災感知用ヘッドの2方式があります
  • 感知の状況を試験するときは現地への誤放水を防ぐ手順が欠かせません
  • 連動制御器のスイッチ類は検査後に必ず定位へ戻すことが前提です
  • 結線接続は断線・緩み・脱落・損傷の有無を触診で確認します
  • 予備電源は常用電源が遮断されたときの正常な切り替えを確認します

ドレンチャー等の連動機構の点検6項目をまとめたインフォグラフィック

感知器と火災感知用ヘッドの設置位置はどう決まるのか

ドレンチャー等の連動機構に使われる煙感知器の設置位置を検査員が確認しているイメージ
ドレンチャー等の水幕は、感知器より先に動くことはありません。
入口となる感知の仕組みが二種類あることが、他の防火設備とは違う特徴です。
問 煙感知器、熱煙複合式感知器及び熱感知器(火災感知用ヘッド等の感知装置を含む。)は、どこに設置しなければならないか。
答 感知器は水幕部分から10m以内の範囲に設置し、外観に変形、損傷、脱落、汚れ、腐食等がないことを確認する。火災感知用ヘッド(閉鎖型スプリンクラーヘッド)を用いる方式では、開閉弁の弁室に直結した感知配管にヘッドを設け、水幕の直近で火災をいち早く感知する位置に設置する。
感知の入口は「感知器」か「火災感知用ヘッド」のどちらかです
感知器を用いる方式は、消防用設備等の自動火災報知設備と同じ感知器が使われることが多く、設備図面で防火設備用の感知器の設置位置を確認したうえで検査することが必要です。
火災感知用ヘッド(閉鎖型スプリンクラーヘッド)を用いる方式は、熱によってヘッドが作動すると弁室内の圧力が下がり、開閉弁が直接開放される仕組みで、周囲に作動の障害となる物がないかを確認します。
どちらの方式が採用されているかは設備図面で必ず確認し、感知器と火災感知用ヘッドを間違えて検査しないことが実務での近道です。

うちのドレンチャーがどちらの方式か、正直分かりません。

設備図面を見ればすぐに判別できます。
点検のときに一緒に確認しましょう。

感知の状況はどう確認するのか、現地に放水させないためには何が必要か

加煙試験器を使って感知器の作動状況を検査員が確認しているイメージ
感知器は付いているだけでは意味がなく、決められた時間内に作動して初めて役目を果たします。
ただしドレンチャー等の試験には、他の防火設備には無い注意点があります。
問 感知器と火災感知用ヘッドの感知の状況は、それぞれどのように確認するか。
答 感知器は加煙試験器、加熱試験器等により作動の状況を確認する。作動により加圧送水装置(ポンプ)が起動するため、開閉弁二次側の止水弁を閉止するなど、現地に放水することが無いよう十分に注意する。火災感知用ヘッドの作動確認等の検査は実施しない。
感知器の試験はそのままポンプの起動試験でもあります
熱感知器には加熱試験器、煙感知器には加煙試験器を使い、試験開始から感知器が作動するまでの時間が種別ごとの目安の範囲内かを確かめます。
感知器が作動すると加圧送水装置が起動する仕組みのため、事前に止水弁を閉止するなど、実際に水幕が形成されて現地が濡れてしまわないよう手順を組んでから試験に入ります。
一方、火災感知用ヘッド(閉鎖型スプリンクラーヘッド)は、作動させると交換が必要になるため作動確認の検査は行わず、同じ感知配管に設ける手動起動弁の操作で代用し、開閉弁が正しく作動するかを確認します。
どちらの方式でも、他の設備への連動(非常放送や中央監視盤など)に注意し、必要に応じて制御盤で連動を遮断してから試験することは共通です。

感知器を試験したら、水が出てしまうことがあるんですか。

事前に止水弁を閉止してから試験しています。
現地を濡らさないよう手順を組んでいますのでご安心ください。

連動制御器のスイッチ類と表示灯はなぜ検査のたびに定位へ戻すのか

連動制御器のスイッチ類と表示灯を検査員が確認しているイメージ
連動制御器は、感知器からの信号を受け取って開閉弁に指示を出す司令塔です。
スイッチの位置ひとつで、その指示が届かなくなることがあります。
問 検査でスイッチ類を操作した場合、そのままにしておいてよいか。
答 通常監視状態ではスイッチ類は定位であることが前提であり、試験状態や遮断状態にあると火災発生時に感知器からの信号を処理できず、水幕等を形成させることができない。検査で操作したスイッチ類は、作業終了後に必ず定位に戻す。
スイッチの戻し忘れが一番怖い見落としです
スイッチはレバーの破損やメンブレンスイッチの表面シートの破れがあると操作できなくなり、表示灯の破損があると感知器や防火設備の作動状況そのものが確認できなくなります。
表示灯は点灯と点滅で意味が異なるため、点滅表示の内容を思い込みで判断しないことが大切です。
検査中に試験状態や遮断状態へ切り替えたスイッチは、点検終了後に必ず定位へ戻し、戻し忘れがないかを最後にもう一度確認します。
点検報告書に「スイッチ類の定位復帰を確認」の一文があるかどうかも、依頼者側で確認できるポイントです。

点検の後、スイッチが試験の位置のままになっていたことがありました。

それでは火災時に水幕が形成されません。
作業後の定位確認を必ず依頼してください。

連動制御器の結線接続と接地はなぜ両方を確認するのか

連動制御器内部の結線接続と接地端子を検査員が確認しているイメージ
制御器の中の配線と接地は、ふだん目にする機会がほとんどありません。
だからこそ、緩みや腐食が長期間見過ごされがちな部分です。
問 連動制御器の結線接続と接地は、それぞれ何を確認するのか。
答 結線接続の状況は配線の緩み、脱落、損傷等がないかを目視等又は触診により確認する。接地の状況は接地端子にかかわる接続を確認するもので、配線の断線、端子部の緩みや脱落等がないかを確かめる。
配線と接地は別々の理由で壊れます
連動制御器内部の配線は、接続に緩み、脱落、損傷があると火災時に信号処理ができなくなるため、目視と触診の両方で確かめます。
接地端子については、配線の断線や端子部の緩み・脱落がないかを確認します。
接地が緩んでいたり外れていたりすると、落雷時に連動制御器の内部回路が破損することや感電のおそれがあります。
制御盤の扉を開けたときは、配線の状態と接地端子の両方を続けて確認する習慣にしておくと見落としが減ります。

制御盤の中を見る機会なんてほとんどありません。

だからこそ点検のたびにプロが確認しています。
気になる音や臭いがあれば早めにご連絡ください。

予備電源への切り替えはなぜ確認が必要なのか

連動制御器の予備電源への切り替え状況を検査員が確認しているイメージ
停電はいつ起きるか分かりません。
そのときに連動制御器が止まってしまえば、ドレンチャー等は開閉弁を開く合図を受け取れなくなります。
問 連動制御器の予備電源への切り替えは、何のために確認するのか。
答 連動制御器は常用電源が遮断された際にも監視及び作動ができるよう予備電源を内蔵している。予備電源への切り替えができないと、連動機構が正常に作動しなくなる。
予備電源は「もしも」のための最後の砦です
常用電源が生きている間は目立たない部分ですが、停電や電源系統の異常が起きたときにこそ本来の役目を果たします。
検査では、常用電源を遮断した状態を作り、連動制御器が予備電源へ正しく切り替わって監視状態を保てるかを確認します。
切り替えができなければ、火災と停電が重なった最悪の場面でドレンチャー等が作動しないおそれがあります。
バッテリーの液漏れや膨張、端子の腐食といった外観の異常も、予備電源の劣化のサインとして見逃さないようにします。

停電のときに火災が起きるなんて、めったに無い気がします。

地震や台風では十分に起こり得ます。
だからこそ予備電源の点検を欠かせません。

よくある質問

Q感知器と火災感知用ヘッドは、同時に両方とも設置されているのですか?
A建物ごとにどちらか一方の方式が採用されていることが一般的です。設備図面で確認したうえで、その方式に合った検査方法を選びます。
Q感知器の試験のたびに、必ず水が出てしまうのですか?
A事前に開閉弁二次側の止水弁を閉止するなどの手順を踏むため、通常は現地に放水することなく試験できます。
Q連動制御器のスイッチ類が壊れていても、表示灯さえ点灯していれば大丈夫ですか?
A大丈夫ではありません。スイッチ類の破損と表示灯の不点灯はそれぞれ独立した確認項目であり、どちらか一方に異常があるだけで是正が必要になります。
Q予備電源の劣化は、何を見れば分かりますか?
A液漏れ、膨張、端子の腐食といった外観の異常が代表的なサインです。加えて実際に常用電源を遮断し、予備電源へ正常に切り替わるかを検査で確かめます。

まとめ

感知の入口は感知器と火災感知用ヘッドの2方式のいずれかです
感知器は水幕部分から10m以内の範囲に設置します
感知器の作動試験は止水弁を閉止して誤放水を防止してから行います
火災感知用ヘッドは作動試験をせず手動起動弁の操作で代用します
連動制御器のスイッチ類は検査後に必ず定位へ戻すことが前提です
結線接続と接地は緩み・脱落・損傷の有無を目視と触診で確認します
予備電源は常用電源が遮断されたときの正常な切り替えを確認します

感知器も連動制御器も、全部つながって初めてドレンチャー等が動きます
まずは制御盤の中から見直してみます!

感知器と火災感知用ヘッドの設置位置、感知の確認、スイッチの定位、結線と接地、予備電源。
この6項目を押さえれば連動機構の点検が一通り分かります
㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 建築基準法施行令第112条第19項第2号(防火設備の構造方法)
  • 昭和48年建設省告示第2563号(防火区画に用いる防火設備等の構造方法を定める件)
  • 消防法第21条の2第1項(検定制度)
  • 消防法施行規則第23条第4項・昭和50年消防庁告示第14号(感知器の設置基準の参考)
  • 建築基準法第12条第3項(定期検査報告制度)

※本記事は公表されている建築基準法令に基づく一般的な解説です。個別の建物における検査項目の判定は、実際の検査結果や特定行政庁の指導によって異なる場合があります。詳細は検査資格者または所轄の特定行政庁にご確認ください。

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