航空機給油取扱所で航空機に給油する方法の一つに、地面に固定した給油配管とその先端に接続する給油ホース車を組み合わせる方式があります。
この方式を選ぶと、配管そのものの基準に加えて、給油ホース車という可動設備に固有の基準まで満たさなければなりません。
常置する場所から結合金具の材質、電気設備の防爆構造、静電気を逃がす導線まで、条文は細かく上乗せしています。
この記事では、給油配管と給油ホース車を組み合わせた航空機給油取扱所に求められる構造基準を順番に整理します。
うちは配管の先にホース車をつないで航空機まで給油しているんですが、配管の基準さえ満たしていれば十分ですか。
いいえ、給油ホース車には独自の基準が上乗せされます。
常置する場所や電気設備にも決まりがあるんですか。
はい、常置場所から結合金具、静電気対策まで細かく定められています。
- 給油配管及び給油ホース車を給油設備とする航空機給油取扱所には、規則第二十六条第三項第六号の基準が適用されます。
- 給油ホース車は防火上安全な場所に常置し、エンジン排気筒の火炎噴出防止装置と、ホースが格納されないと発進できない装置を備えなければなりません。
- ホース機器は給油タンク車と同じ配管・弁・結合金具の基準によりますが、手動開閉装置を備えた給油ノズルで代える例外は認められません。
- 電気設備は移動タンク貯蔵所の電気設備の基準により、可燃性の蒸気に引火しない構造としなければなりません。
- ホース機器には、航空機と電気的に接続する導線と、静電気を有効に除去する装置の両方を設ける必要があります。
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目次
給油配管と給油ホース車を組み合わせる航空機給油取扱所とはどんな設備なのか

航空機給油取扱所の給油設備には条文上いくつかの型があり、その一つがこの組み合わせです。
配管そのものの基準は、前号(給油配管等)のうち先端部の弁・製造所配管の例・地盤面下の箱の防水・緊急停止装置の4つを土台として引き継ぎます。
そのうえで、給油ホース車という可動設備に固有の基準が、次の項目からイ〜ホの5つとして上乗せされます。
配管だけの型(前号)とは異なり、常置場所や電気設備まで管理の対象が広がる点が特徴です。
次の項目から、上乗せされる基準を一つずつ確認します。
配管の基準を満たしていれば、ホース車の部分はおまけみたいなものですか。
いいえ、ホース車には5つの基準が別に定められています。
給油ホース車はどこに置き、どんな装置を備えなければならないのか

給油タンク車と同じ装置が、ここでも求められます。
あわせて、給油タンク車と同じ2つの装置を備える必要があります。
一つはエンジン排気筒の先端部に設ける火炎の噴出を防止する装置、もう一つは給油ホース等が適正に格納されないと発進できない装置です。
給油が終わってホースを格納しないまま車両を動かせない仕組みにすることで、ホースの引きずりや損傷を防ぐ狙いがあります。
配管本体には無い、可動車両ならではの上乗せ基準です。
常置場所は駐機場のどこでもいいわけではないんですね。
はい、防火上安全な場所を選ぶ必要があります。
ホース機器の基準になぜ手動ノズルの例外が無いのか

ここは給油タンク車本体の基準を引用していますが、引用のしかたに注意が必要です。
配管は金属製とし最大常用圧力の一・五倍以上の圧力による水圧試験に耐える構造とし、結合金具は真ちゅうなど火花を発しにくい材料で造らなければなりません。
ここで注目したいのは、引用されているのが「第五号本文」だけという点です。
給油タンク車本体の基準には、手動開閉装置を備えた給油ノズルを設ける場合は結合金具の材質規定を適用しないというただし書きがありますが、給油ホース車では本文だけを引用しているため、このただし書きの例外は使えません。
給油ホース車を選んだ場合は、必ず結合金具付きの構造にしなければならないということです。
手動ノズルだけを備えて済ませるわけにはいかないんですね。
はい、結合金具付きの構造が必須です。
電気設備はなぜ移動タンク貯蔵所と同じ基準によるのか

ここは移動タンク貯蔵所の基準がそのまま引用されています。
根拠となるのは危険物の規制に関する政令第十五条第一項第十三号で、可燃性の蒸気が滞留するおそれのある場所に設ける電気設備は、その蒸気に引火しない構造とすることを求めています。
給油ホース車はガソリンなどの危険物を扱う可動設備であるため、車体に搭載する電気設備そのものにも防爆上の配慮が必要になります。
配管等の型(前号)にはこの電気設備の規定が無く、車両を持つ給油ホース車ならではの上乗せ基準です。
電気設備というと、どのあたりを指すんですか。
車体に搭載された電気設備一式が対象です。
明日から何を確認すればよいのか

給油タンク車本体にも静電気除去装置の規定はありますが、航空機と電気的に接続する導線はホに固有の要件です。
給油中に機体と車両の間に電位差が生じるのを防ぐことで、静電気の帯電そのものを抑える仕組みと考えられます。
ここまでの5つの基準を、現場では次の順番で確認するとよいでしょう。
まずは常置場所と発進防止の装置、次にホース機器と結合金具、電気設備の防爆構造、そして最後に導線と静電気除去装置の順に、一つずつ確かめてください。
常置場所から導線まで、順番に見ていけばいいんですね。
はい、常置場所から導線までを一通り確認してください。
よくある質問
まとめ
配管とホース車を組み合わせると、上乗せの基準がこんなに増えるんですね。
うちのホース車も見直してみます。
ぜひ、常置場所と結合金具の両方を確認してください。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 危険物の規制に関する政令第十五条第一項第十三号(移動タンク貯蔵所の電気設備の基準)
- 危険物の規制に関する規則第二十六条第三項第六号(給油配管及び給油ホース車を給油設備とする航空機給油取扱所の基準)
- 危険物の規制に関する規則第二十四条の六第三項第三号・第五号(給油タンク車の給油設備の基準)
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





