特定建築物定期調査では、天井も劣化診断の対象です。
仕上げ材そのものの浮きや剥落だけでなく、一定規模を超える吊り天井には「特定天井」という専用の基準が設けられています。
東日本大震災で大規模な天井脱落被害が相次いだことを受け、平成26年に脱落防止の技術基準が導入されました。
本記事では、天井仕上げ材の劣化診断と特定天井の脱落防止基準について、調査の視点から解説します。
天井の定期調査って、見た目のひび割れとかを見るだけなんでしょうか。
うちは天井が高いホールがあるので、ちょっと心配です。
実は天井が高くて面積が大きい建物では特定天井という専用の基準が適用されることがあります。
今日はその見分け方と調査のポイントを整理していきますね。
特定天井なんて言葉、初めて聞きました。
うちの建物も当てはまるのか気になります。
高さや面積などいくつかの条件で決まっています。
この記事を読めば、ご自分の建物が対象かどうかの目安がつかめるはずです。
- 天井の調査は、仕上げ材そのものの劣化と特定天井の脱落防止基準という2つの視点で行われます。
- 特定天井とは、高さ6m超・水平投影面積200㎡超・単位面積質量2kg/㎡超で人が日常利用する場所にある吊り天井を指します。
- 東日本大震災の被害を受け、平成26年4月に脱落防止の技術基準が施行されました。
- 調査はキャットウォークや点検口から、天井材の種別ごとに確認します。
- 要是正の基準は、腐食・緩み・外れ・欠損・たわみ等の有無です。
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目次
天井の仕上げそのものの劣化はどう見分けるか

まずは目視や打診で、仕上げそのものの状態を確認するところから調査が始まります。
調査経路上の各部分を目視で確認し、必要に応じてテストハンマーによる打診でチェックします。
天井パネルのたわみやモルタル塗り天井の浮き、漆喰塗りの剥落は、いずれも経年劣化や漏水が原因で生じやすい損傷です。
天井ボードが湿気を含んで垂れ下がっている場合は、落下の危険があるため早めの対応が必要です。
天井にしみや変色を見つけたら、上階からの漏水の可能性も含めて確認しておくと安心です。
天井にうっすらとしみが出ているのを見つけたんですが、これも指摘の対象になりますか。
天井の仕上げに浮きやたわみ、剥落があれば要是正の対象になります。
しみは漏水のサインでもあるので、早めに原因を確認しておくと安心です。
特定天井とはどんな天井を指すのか

一定の条件を満たす吊り天井は「特定天井」として、専用の脱落防止基準が適用されます。
東日本大震災では体育館や大規模ホール等で天井が脱落する被害が相次ぎ、これを受けて平成26年4月に脱落防止の技術基準が施行されました。
対象になるのは、高さ6mを超える場所にある水平投影面積200㎡超、かつ単位面積質量2kg毎㎡超の吊り天井です。
はりや垂れ壁で天井が分割されていても、面積の合計で判定される場合があるため注意が必要です。
ご自分の建物のホールや体育館が該当するか気になる場合は、設計図書や過去の調査報告書で確認しておきましょう。
うちの体育館、天井が結構高いんですが、特定天井に当てはまるかどうかどう調べればいいですか。
設計図書に天井の高さや面積、重さの記載があるので確認できます。
分からない場合は調査を依頼した業者にご相談ください。
特定天井はどうやって調べるか

天井裏への入り方によって、調査の進め方がいくつかのパターンに分かれます。
天井裏にキャットウォークがあればそこから、無ければ点検口や照明設備の開口から目視やカメラで確認します。
点検口も開口も無い場合は、新たに点検口を設置することが望ましいとされています。
天井面のたわみは目視で分かりにくいこともあり、床からレーザー距離計で測定して確認する方法もあります。
高所作業になるため、足場やローリングタワーを使う際は安全管理に十分注意しましょう。
天井裏に入る点検口が無い建物なんですが、それでも調査はできるんでしょうか。
照明設備を取り外せる場合はその開口から確認できます。
難しい場合は、新しく点検口を設けることが望ましいとされています。
特定天井の腐食や緩みはどこに出やすいか

まずは金物まわりに出やすい劣化から見ていきます。
天井材に著しい錆がある、水ぬれや錆汁による変色があるといった状態は、腐食が進んでいるサインです。
クリップやハンガーが外れかかっている、ねじの頭が著しくへこんでいるといった状態も要是正の対象になります。
吊り材の吊り元でコンクリートにひび割れがあると、吊り材そのものに緩みが生じることがあります。
天井裏を確認する際は、こうした金具まわりを重点的にチェックすると見落としを防げます。
天井裏を見ても、金物が緩んでるかどうかなんて素人には分からない気がします。
クリップやハンガーの外れ、ねじ頭の著しいへこみなどが目安になります。
気になる箇所があれば、遠慮なくご相談ください。
特定天井の欠損やたわみはどう判定するか

いずれも天井の落下に直結しやすい劣化のため、判定基準が細かく示されています。
天井材に亀裂や破断している箇所、脱落や剥落した跡がある場合は欠損として要是正になります。
平面であるはずの天井面に歪な陰影が見える、天井下地材と天井板の間に隙間が生じているといった状態はたわみのサインです。
たわみは目視で分かりにくいこともあるため、床からレーザー距離計で距離を測って確認する場合もあります。
天井材の著しい曲げや潰れも見落とさず、写真に残しておくと報告書の作成がスムーズです。
たわみって言われても、天井を見上げただけでは分かりにくそうです。
目視で分かる変形もありますが、微妙なたわみは床からレーザー距離計で測ることもあります。
気になる場合は調査時にご相談ください。
よくある質問
まとめ
天井にも仕上げの劣化と特定天井の基準、両方あるとは知りませんでした!
今度の調査までに、うちのホールが対象か確認しておきます。
天井の劣化は放置すると重大事故につながります。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 建築基準法施行令第39条(e-Gov法令検索)
- 建築基準法第12条・建築基準法施行規則第5条(e-Gov法令検索)
- 建築物の定期調査報告における調査及び定期点検における点検の項目、方法及び結果の判定基準並びに調査結果表を定める件(平成20年国土交通省告示第282号)
- 特定天井の脱落防止に関する構造方法等を定める件(平成25年国土交通省告示第771号)
※本記事は公表されている法令に基づく一般的な解説です。調査の方法や判定の適用は建物や特定行政庁の運用ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄の特定行政庁または専門業者にご確認ください。





