防火設備定期検査の報告書には、「光電式分離型」「スポット型」「加煙試験器」といった、煙感知器にまつわる用語が並びます。
これらは感知器の検出方式や、実際に作動するかどうかを確認する試験の仕組みを表す言葉です。
感知器の種類を知らないまま点検結果を眺めていても、何を確認しているのかは見えてきません。
この記事では煙感知器の2つの検出方式と、作動を確かめる試験・自動化の仕組みを解説します。
点検結果に「光電式分離型」とか「スポット型」とか書いてあるんですが、同じ煙感知器なのに何が違うんですか。
それぞれ煙の検知の仕方が違う、2つのタイプの感知器なんです。
感知器がちゃんと働くかどうかは、どうやって確認しているんですか。
試験器を使って人工的に煙や熱を発生させ、作動するかを確かめています。
- 煙感知器の光電式分離型は送光部と受光部を離して設置し、広範囲にわたる煙の蓄積を検知します。
- 煙感知器のスポット型は、光電式・光電アナログ式・イオン化式・熱煙複合式など複数の方式で一局所の煙を検知します。
- 加煙試験器は煙感知器の作動確認に、加熱試験器は熱感知器の作動確認に使う試験器です。
- 自動試験機能付感知器は、受信機又は中継器により機能維持を自動的に試験できる感知器です。
- 感知器の種類と試験方法を正しく理解することが、点検結果を正しく読み解く土台になります。
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目次
光電式分離型の煙感知器はなぜ広い空間で使われるのか

そこで使われているのが「光電式分離型」という感知器です。
送光部から出た光を受光部が受け取り、その間の空間に煙が蓄積して光が遮られる量の変化で火災を判断します。
建築基準法施行令第112条第19項第一号ニは、防火設備が火災による煙又は急激な温度上昇のいずれかで自動的に閉鎖又は作動することを求めており、煙感知器と熱感知器の両方が使われる法的な背景になっています。
点検では送光部と受光部の間に遮る物がないか、光軸がずれていないかを確認します。
次に確認するスポット型は、この光電式分離型とは逆に「一局所」だけを見張る仕組みです。
体育館の天井に、離れた場所に箱みたいなものが2つ付いているのを見たことがあります。
それが送光部と受光部で、間の空間をまとめて監視しているんです。
スポット型の煙感知器はなぜ複数の方式があるのか

それが「スポット型」です。
同じ「煙感知器」という名前でも検出の原理は複数あり、光電式・光電アナログ式・イオン化式・熱煙複合式といった種類に分かれます。
光電式分離型が「線」で広い空間を見張るのに対し、スポット型は「点」で狭い範囲を見張るという違いがあります。
点検では設置されている方式を型式などで確認し、その方式に合った試験器を選ぶ必要があります。
そのうち、煙感知器の作動確認に使う試験器が次に説明する加煙試験器です。
同じ煙感知器なのに、こんなに種類が分かれているとは知りませんでした。
はい、設置場所や用途に合わせて使い分けられているんです。
加煙試験器では何を確認するのか

そこで使われるのが「加煙試験器」です。
天井に取り付けられた感知器に長い棒の先の試験器を近づけ、煙を発生させて反応時間を測ります。
反応が遅い、あるいはまったく反応しないといった不具合は、この試験を行わなければ発見できません。
光電式分離型・スポット型のどちらであっても、煙感知器である以上は同じ加煙試験器で確認します。
一方、熱の変化で作動する感知器には、次に説明する別の試験器を使います。
感知器に向かって棒の先から何かかけているところを見たことがあります、あれのことですね。
そうです、規定時間内に反応するかをその場で確認しているんです。
加熱試験器では何を確認するのか

その作動確認に使うのが「加熱試験器」です。
天井の感知器に試験器を近づけて熱を加え、決められた時間の範囲内で作動するかを確認します。
煙感知器には加煙試験器、熱感知器には加熱試験器というように、感知の方式に応じて試験の道具も分かれています。
温度ヒューズ装置のように熱で直接作動する部品とは異なり、熱感知器は電気信号で受信機に火災を知らせる点も押さえておきたい違いです。
これらの試験は、検査員が現場でひとつずつ手作業で行うのが従来の方法でした。
煙用と熱用で、試験の道具まで分かれているんですね。
はい、感知の仕組みが違うので試験器も専用のものを使うんです。
自動試験機能付感知器はなぜ試験器を使わずに済むのか

その手間を減らす新しいタイプの感知器が登場しています。
感知器自身が定期的に自己診断を行い、その結果を受信機又は中継器へ伝えることで機能維持を確認します。
これまでの加煙試験器・加熱試験器による現場での個別確認と、自動試験機能付感知器による常時監視は、どちらか一方に置き換わるものではなく、設置されている感知器の仕様に応じて使い分けます。
点検では、まず設置されている感知器が自動試験機能付かどうかを設計図書や型式で確認することが出発点になります。
どちらの方式であっても、感知器が正常に作動することを定期的に確かめるという目的は変わりません。
感知器自身が試験までしてくれるなら、点検の手間もだいぶ減りそうですね。
はい、ただし感知器の仕様の確認から始まる点は変わりません。
よくある質問
まとめ
光電式分離型とスポット型の違いも、試験の仕組みも、はっきり分かりました!
防火設備の点検のことも、㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 建築基準法(昭和25年法律第201号)第12条第3項
- 建築基準法施行令(昭和25年政令第338号)第112条第19項第一号ニ
※本記事は建築基準法・同施行令の現行規定に基づき、㈱防災屋が独自に解説を作成したものです。感知器の型式や試験方法の詳細は、製品や大臣認定の内容によって異なります。実際の点検・整備については、専門の検査資格者にご相談ください。





