移送取扱所の配管には、危険物をタンクローリー等と受け渡しするための「受入れ口」と「払出し口」が設けられます。
これらの口には、設置する場所やホースとの接続方法、掲示板や弁の構造まで、専用の基準が定められています。
基準のどれかが欠けると、接続作業中に危険物が漏れたり、火災につながったりするおそれがあります。
今回は、危険物の規制に関する規則第28条の50が告示に委任する受入れ口及び払出し口の基準を解説します。
うちの移送取扱所にも受入れ口と払出し口があるんですが、設置場所や設備に決まりはあるんでしょうか。
受入れ口等には設置場所・接続方法・掲示板・弁の4つの基準があります。
まずは結論から確認しましょう。
4つも基準があるんですね。
順番に教えてください。
はい。
4つの基準を順番に確認していきましょう。
- 危険物の受入れ口及び払出し口の設置に関し必要な事項は、規則第28条の50の規定により告示で定める基準に従わなければならない
- 受入れ口等は火災の予防上支障のない場所に設けなければならない
- ホース又は管と結合でき、かつ危険物が漏れないものでなければならない
- 受入れ口又は払出口である旨及び防火に関し必要な事項を掲示した掲示板を設けなければならない
- 受入れ口等には当該受入れ口等を閉鎖できる弁を設けなければならない
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目次
受入れ口・払出し口とは何を指すのか

この口も、規則の中で独立した条文によって規制されています。
規則第28条の50は、「受入れ口」と「払出し口」の設置基準をすべて告示に委任しており、規則の条文自体には具体的な場所や構造の定めがありません。
中身を確認するには、告示第65条を見る必要があります。
告示第65条は四つの号から成り、設置場所から弁の構造まで幅広く規定しています。
次の見出しから、号ごとに基準を確認していきます。
受入れ口と払出し口は、どんな場面で使う設備なんでしょうか。
危険物をタンクローリー等から受け入れたり払い出したりする際に使う口です。
次の見出しから号ごとに基準を見ていきましょう。
設置場所とホースとの接続はどう定められているのか

まずはこの二つを確認します。
第一号は、設置場所を「火災の予防上支障のない場所」と定めていますが、具体的な距離や面積までは数値で示していません。
第二号は、受入れ口等がホース又は管と結合できること、そして結合した状態で危険物が漏れないことを求めています。
接続部の緩みや劣化したパッキンをそのままにしておくと、この基準を満たさなくなります。
定期的にホースの接続部を点検することが欠かせません。
場所については、具体的に何メートル離せばいいといった数字は無いんですか。
告示は数値までは定めていません。
火の気のある設備から実質的に離れているかで判断します。
掲示板の表示は何を求められているのか

現場で誰が見ても分かるようにすることが目的です。
第三号は、掲示板に「受入れ口又は払出口である旨」を示すことを求めており、危険物を取り扱う設備であることが一目で分かるようにする趣旨です。
あわせて防火に関し必要な事項も掲示しなければならず、火気厳禁の表示などが想定されます。
掲示板が破損したり文字が読み取れなくなったりしていないか、定期的に確認する必要があります。
掲示板1枚で済ませず、内容が現状と合っているかもあわせて見ておきましょう。
掲示板の内容は、受入れ口ごとに変えなくていいんでしょうか。
受入れ口である旨と防火上の注意事項が入っていれば、書式は現場に合わせて構いません。
次の見出しで、閉鎖できる弁の基準を確認しましょう。
閉鎖できる弁はなぜ必要か

似た規定を持つ切替え弁との違いに注意が必要です。
第四号が求めているのは「閉鎖できる弁」を設けることだけで、告示第64条が切替え弁に課すような設置場所の限定や無権限者の操作禁止までは規定していません。
同じ移送取扱所の配管にある弁でも、受入れ口等の弁と切替え弁とでは求められる基準の重さが異なります。
「弁が付いていれば同じ基準を満たす」と思い込むと、切替え弁側の追加要件を見落としかねません。
自社の設備がどちらの条文の対象かを、まず条文で確認することが出発点になります。
うちの弁は切替え弁の基準まで満たしているので、受入れ口の基準も当然クリアしていますよね。
条文が別なので前提が異なります。
受入れ口等は閉鎖できることだけが要件です。
明日からなにを確認すればよいのか

確認の起点は、場所と接続、そして弁の作動です。 まず受入れ口等が火の気から離れた場所にあるかを確認します。
次に、ホースとの接続部にパッキンの劣化や緩みがなく、危険物が漏れない状態を保てているかを点検します。
掲示板については、受入れ口である旨と防火上の注意事項が読み取れる状態かを確認します。
最後に、受入れ口等の閉鎖できる弁が実際に操作できるか、固着していないかを動作確認します。
これらを定期点検の項目に組み込んでおくことをおすすめします。
まずは弁が実際に閉まるかどうかから確認してみます。
それが確認できれば、掲示板と接続部の状態もあわせて見直せます。
不明な点があれば所轄消防署にも相談してみてください。
よくある質問
まとめ
弁の動作確認から始めてみます!
受入れ口及び払出し口の基準づくりは、㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 危険物の規制に関する規則第28条の50
- 危険物の規制に関する技術上の基準の細目を定める告示(昭和49年自治省告示第99号)第65条・第64条
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





