移送取扱所には、危険物を移送する配管そのものだけでなく、移送取扱所という施設自体にも標識や掲示板を備える必要があります。
規則第28条の44第1項は、移送取扱所である旨を示す標識と、防火に関し必要な事項を示す掲示板の設置を告示に委任しています。
取り扱う危険物の性質によっては、掲示板に注意事項を書き加えた色分けの板まで必要になります。
今回は、危険物の規制に関する規則第28条の44第1項が告示に委任する標識及び掲示板の設置基準を解説します。
移送取扱所の配管には位置標識などを設けましたが、施設そのものにも標識が必要なんでしょうか。
はい、移送取扱所である旨を示す標識と防火に関する掲示板の両方が必要です。
まずは結論から確認しましょう。
掲示板には何を書けばいいんですか。
取り扱う危険物の情報に加え、危険物保安監督者の氏名まで書く必要があります。
順番に確認していきましょう。
- 移送取扱所には、規則第28条の44第1項の規定により標識及び掲示板を設けなければならない
- 標識は幅0.3メートル以上・長さ0.6メートル以上の板とし、地を白色、文字を黒色とする
- 掲示板には危険物の類・品名・取扱最大数量・指定数量の倍数に加え、危険物保安監督者の氏名又は職名を表示する
- 取り扱う危険物の性状に応じ、禁水・火気注意・火気厳禁いずれかの掲示板を追加で設けなければならない
- 追加の掲示板は、禁水は地を青色・文字を白色、火気注意又は火気厳禁は地を赤色・文字を白色とする
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目次
移送取扱所にはなぜ標識と掲示板の両方が要るのか

規則は、そのための標識と掲示板をそれぞれ独立して備えるよう定めています。
規則第28条の44第1項は、「移送取扱所である旨を表示した標識」と「防火に関し必要な事項を掲示した掲示板」という二つの掲示物の設置を告示に委任しています。
これは、配管の経路に設ける位置標識・注意標示・注意標識(規則第28条の44第2項)とは別の掲示物です。
経路の標識が配管そのものの状態を示すのに対し、ここでの標識・掲示板は施設全体の存在と取扱いの概要を示す役割を持ちます。
中身を確認するには、告示第55条を見る必要があります。
配管の経路の標識とは別に、施設にも標識が必要なんですね。
はい、施設としての標識・掲示板と配管経路の標識は別物です。
次の見出しから号ごとに見ていきましょう。
標識にはどんな仕様が求められるのか

大きさと色の両方に基準があります。
イは大きさの下限を定めており、これより小さい板は認められません。
ロは色の組み合わせを定めており、地色と文字色が逆になっていたり、他の色を使ったりすることは基準を満たしません。
標識は移送取扱所である旨だけを示すもので、掲示板のように詳しい情報までは書きません。
色あせて文字や地色の判別がつきにくくなっていないか、日常点検の中で確認しておくとよいでしょう。
標識の大きさは、だいたいで大丈夫ですか。
いいえ、幅0.3メートル以上・長さ0.6メートル以上という下限が定められています。
次は掲示板の中身を見ていきましょう。
掲示板には何を表示しなければならないのか

標識よりも表示する情報が多くなります。
イの大きさの基準は標識と同じですが、ロは危険物の内容と危険物保安監督者の氏名又は職名という、標識には無い具体的な情報を求めています。
ハの色の基準も標識と同じ地白・文字黒です。
危険物保安監督者が交代した場合、掲示板の記載を更新し忘れると、この基準を満たさなくなります。
人事異動のたびに掲示板の記載内容も見直す運用にしておくと安心です。
担当者が異動したときは、掲示板も書き換える必要があるんですね。
そのとおりです。
危険物保安監督者の氏名又は職名を最新の状態にしておき、次は危険物の種類による違いを見ていきましょう。
危険物の種類によって掲示板の色をどう変えるのか

取り扱う危険物の性状によっては、これに加えてもう一枚の掲示板が必要になります。
ニは危険物の性状ごとに表示する文言を分けており、禁水性物品には「禁水」、引火性固体を除く第二類には「火気注意」、それ以外の引火性固体や第四類・第五類には「火気厳禁」と定めています。
ホはこの追加の掲示板の色を定めており、「禁水」は地が青色・文字が白色、「火気注意」「火気厳禁」は地が赤色・文字が白色と、基本の掲示板(地白・文字黒)とは全く異なる色使いになります。
基本の掲示板だけを設置して満足していると、危険物の性状に応じた追加の掲示板を見落としがちです。
自社が取り扱う危険物がどの区分に当たるかを、まず確認することが出発点になります。
うちは第四類の危険物を扱っているので、火気厳禁の掲示板が必要ということですか。
はい。
地が赤色・文字が白色の掲示板を、基本の掲示板とは別に設ける必要があります。
明日からなにを確認すればよいのか

確認の起点は、標識・掲示板・追加の掲示板という三つの掲示物を分けて見ることです。 まず標識が幅0.3メートル以上・長さ0.6メートル以上で、地白・文字黒のまま判読できるかを確認します。
次に基本の掲示板について、危険物の類・品名・取扱最大数量・指定数量の倍数・危険物保安監督者の氏名又は職名が現状と一致しているかを確認します。
そのうえで、自社が取り扱う危険物が禁水性物品・引火性固体・第四類・第五類などに当たるかを整理し、該当する区分の追加掲示板が正しい色で設置されているかを確認します。
これらを定期点検の項目に組み込んでおくことをおすすめします。
まずは自社の掲示板が、基本と追加の両方揃っているか確認してみます。
それができれば、色の基準も確認しやすくなります。
不明な点があれば所轄消防署にも相談してみてください。
よくある質問
まとめ
標識と掲示板の色分けから確認してみます!
移送取扱所の標識・掲示板づくりは、㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 危険物の規制に関する規則第28条の44第1項
- 危険物の規制に関する技術上の基準の細目を定める告示(昭和49年自治省告示第99号)第55条
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





