移送取扱所の配管の経路には、地下に埋まっている区間と地上に出ている区間があります。
規則第28条の44第2項は、この配管の経路に位置標識・注意標示・注意標識という標識を設けるよう定めています。
どの標識をどこに設けるかは、配管が地下に埋まっているか地上に出ているかで変わります。
今回は、危険物の規制に関する規則第28条の44第2項が告示に委任する配管の経路の標識基準を解説します。
うちの移送取扱所も配管が地下と地上の両方にあるんですが、標識は同じものでいいんでしょうか。
位置標識・注意標示・注意標識という三つの標識があり、地下と地上で設けるものが変わります。
まずは結論から確認しましょう。
三つも標識があるんですね。
順番に教えてください。
はい。
三つの標識を順番に確認していきましょう。
- 配管の経路には、規則第28条の44第2項の規定により告示で定める位置標識・注意標示・注意標識を設けなければならない
- 位置標識は地下埋設の配管の経路に、約百メートルごと及び水平曲管部その他保安上必要な箇所に設ける
- 注意標示は配管の直上に設けるが、さや管等の構造物で防護された配管には設ける必要がない
- 注意標識は地上設置の配管の経路のうち、公衆が近づきやすい場所で配管の直近に設ける
- 地下埋設と地上設置とでは、備えるべき標識の組み合わせそのものが異なる
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目次
配管の経路にはなぜ標識が必要なのか

規則は、この配管の経路そのものにも標識を設けることを求めています。
規則第28条の44第2項は、「位置標識」「注意標示」「注意標識」という三つの設置をすべて告示に委任しており、規則の条文自体には具体的な間隔や色までの定めがありません。
中身を確認するには、告示第56条を見る必要があります。
告示第56条は三つの号から成り、地下埋設の配管と地上設置の配管とで設けるべき標識を分けて規定しています。
次の見出しから、号ごとに基準を確認していきます。
配管そのものだけでなく、経路にも標識が要るんですね。
はい。経路の状態が分かるようにする趣旨です。
次の見出しから号ごとに見ていきましょう。
位置標識は何を表示しなければならないのか

どこに、何を表示するのかを確認します。
イは設置間隔を定めており、約百メートルごとの箇所に加えて、水平曲管部その他保安上必要な箇所にも設ける必要があります。
ロは表示内容を定めており、配管が埋設されている旨に加えて起点からの距離・埋設位置・配管の軸方向・移送者名・埋設の年まで表示しなければなりません。
これらの情報が揃っていないと、掘削工事の際に配管の位置や向きを正確に把握できません。
表示内容が読み取れなくなっていないか、定期的に確認することが欠かせません。
位置標識には、移送者の名前まで書くんですか。
はい。移送者名や埋設の年まで表示する必要があります。
次は注意標示の基準を見ていきましょう。
注意標示にはどんな例外があるのか

すべての地下埋設配管に一律に必要なわけではありません。
本文は配管の直上への埋設、頂部との距離、材質・幅・色、表示内容までを定めていますが、ただし書きにより防護工・防護構造物・さや管その他の構造物で防護された配管はこの限りではありません。
これは、防護構造物そのものが掘削工事の作業員に注意を促す役割を既に果たしているためと考えられます。
自社の配管がただし書きの対象かどうかは、防護構造物の有無で判断することになります。
判断に迷う場合は、位置標識の記載内容とあわせて確認しておくと安全です。
さや管に入っている配管なら、注意標示は無くてもいいということですか。
そのとおりです。
ただし書きの対象であれば注意標示は不要です。
地上設置の配管にも同じ標識が必要なのか

地上設置の配管には、別の標識が定められています。
第三号が対象とするのは地上設置の配管の経路だけで、第一号の位置標識・第二号の注意標示はいずれも地下埋設の配管の経路を対象にしています。
つまり同じ移送取扱所の配管でも、地下に埋まっている区間と地上に出ている区間とでは、備えるべき標識の組み合わせそのものが違います。
「配管の経路に標識を設けた」というだけで安心すると、地下区間なら本来必要な位置標識や注意標示を、地上区間なら注意標識を、それぞれ見落としかねません。
自社の配管のどの区間が地下でどの区間が地上かを、まず現場で確認することが出発点になります。
地上に出ている区間には、位置標識は要らないということですね。
地上区間は注意標識だけが要件です。
区間ごとに条文を確認しましょう。
明日からなにを確認すればよいのか

確認の起点は、区間ごとに設けるべき標識を分けて見ることです。 まず配管の経路のうち、どこが地下埋設でどこが地上設置かを地図や図面で確認します。
地下埋設の区間では、位置標識が約百メートルごとに設置され、表示内容が読み取れる状態かを点検します。
同じ地下埋設の区間で、ただし書きの防護構造物が無い箇所には、注意標示が配管の直上にあるかもあわせて確認します。
地上設置の区間では、注意標識が配管の直近に設置され、様式が判別できる状態かを確認します。
これらを定期点検の項目に組み込んでおくことをおすすめします。
まずは自社の配管図面で、地下と地上の区間を分けてみます。
それができれば、区間ごとの標識も確認しやすくなります。
不明な点があれば所轄消防署にも相談してみてください。
よくある質問
まとめ
地下と地上の区間分けから始めてみます!
配管の経路の標識づくりは、㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 危険物の規制に関する規則第28条の44第2項
- 危険物の規制に関する技術上の基準の細目を定める告示(昭和49年自治省告示第99号)第56条
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





