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移送取扱所の配管はなぜ地下と地上で防食の方法が違うのか|電気防食と加熱保温設備の基準を解説

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移送取扱所の配管は、長い区間を地下や海底、地上、海上などさまざまな場所に設置されます。
危険物の規制に関する規則は、この設置場所ごとに異なる防食の基準を定めています。
塗覆装や電気防食、加熱・保温設備の構造まで、配管を長期間安全に使い続けるための決まりが細かく分かれています。
今回は、移送取扱所の配管に求められる防食措置の全体像を解説します。

移送取扱所の配管って、地下に埋めたらそれで終わりだと思っていました。

いいえ、設置場所ごとに異なる防食の基準があります。
まずは結論から確認しましょう。

地下と地上で、そんなに扱いが違うんですか。

はい、塗覆装電気防食など複数の措置があります。
順番に確認していきましょう。

この記事の結論
  • 移送取扱所の配管は、設置場所によって防食の方法が変わる
  • 地下や海底の配管には塗覆装が義務付けられている
  • 地上や海上の配管は塗装だけで足りる
  • 地下・海底の配管にはさらに電気防食も必要で、近くの埋設物への影響にも配慮しなければならない
  • 加熱・保温設備は火災予防上安全な構造にしなければならない

配管の防食は設置場所で方法が変わることを示す図解で地下海底は被覆地上海上は塗装電気で腐食阻止加熱保温は安全にの四つの手順を並べている

地下や海底の配管にはなぜ塗覆装が必要なのか

クレーンで吊り上げられ溝に降ろされる配管
移送取扱所の配管は、長い区間を地下や海底に埋設して設置することがあります。
このような場所に設置する配管には、腐食を防ぐための特別な基準が定められています。
危険物の規制に関する規則第二十八条の九(防食被覆)第一項
地下又は海底に設置する配管等には、告示で定めるところにより、耐久性があり、かつ、電気絶縁抵抗の大きい塗覆装材により外面腐食を防止するための措置を講じなければならない。
地下や海底の配管は、耐久性が高く電気絶縁抵抗の大きい塗覆装材で外面腐食を防止しなければなりません。
条文がこの措置を求めているのは地下又は海底に設置する配管等で、土や海水に常時触れる場所ほど腐食が進みやすいためです。
塗覆装の具体的な仕様は告示で定められており、素材や施工方法は現場で個別に選定する必要があります。
次の見出しでは、地上や海上に設置する配管の扱いとの違いを確認します。

配管って、埋めたらそのままでいいと思ってました。

いいえ、地下や海底の配管には塗覆装という防食措置が必要です。
次は地上の配管との違いを見てみましょう。

地上や海上の配管はなぜ塗装だけでよいのか

厚い塗覆装材が巻かれた配管の断面
地下や海底とは反対に、地上や海上に設置する配管もあります。
これらの配管には、塗覆装とは異なる基準が定められています。
危険物の規制に関する規則第二十八条の九(防食被覆)第二項
地上又は海上に設置する配管等には、外面腐食を防止するための塗装を施さなければならない。
地上や海上に設置する配管は、外面腐食を防止するための塗装を施せば足ります。
第一項の塗覆装のような特別な材料までは求められておらず、通常の防食塗装で対応する扱いです。
これは、常時土や海水に触れる地下・海底に比べ、地上や海上の配管は腐食の進み方や点検のしやすさが異なるためと考えられます。
自社の配管がどちらの設置区分に当たるかを確認したうえで、必要な措置を選ぶことが大切です。

うちの配管は地上に設置しているんですが、それでも防食は必要ですか。

はい、地上でも外面腐食を防止する塗装は必要です。
次は電気防食の仕組みを見ていきましょう。

電気防食はどんな仕組みで腐食を防ぐのか

地上の支柱に据え付けられ塗装される配管
地下や海底の配管には、塗覆装に加えてもう一つの防食措置が定められています。
それが電気防食です。
危険物の規制に関する規則第二十八条の十(電気防食)第一項
地下又は海底に設置する配管等には、告示で定めるところにより電気防食措置を講じなければならない。
地下や海底の配管には、塗覆装とあわせて電気防食措置も講じなければなりません。
電気防食は、配管に微弱な電流を流すなどして金属が腐食する反応そのものを抑える仕組みで、塗覆装だけでは防ぎきれない腐食への備えです。
第一項が対象とするのも地下又は海底に設置する配管等で、地上や海上の配管には義務付けられていません。
具体的な措置の方法は告示に委ねられており、配管の材質や周辺環境に応じて選ぶことになります。

塗覆装だけじゃ足りないんですか。

地下や海底の配管は電気防食もあわせて必要です。
次は電気防食を行うときの注意点を見てみましょう。

電気防食はなぜ近くの埋設物にも注意が必要なのか

電極とケーブルがつながる地下配管と隣の埋設管
電気防食は配管自体の腐食を防ぐ有効な方法ですが、実施する際に見落としやすい点があります。
それが、周囲にある別の埋設物への影響です。
危険物の規制に関する規則第二十八条の十(電気防食)第二項
前項の措置を講ずる場合は、近接する埋設物その他の構造物に対し悪影響を及ぼさないための必要な措置を講じなければならない。
電気防食の措置を講じるときは、近くにある埋設物や構造物へ悪影響を与えないための措置もあわせて必要です。
電気防食は配管に電流を流す仕組みのため、近接する別の埋設管や構造物にまで電流の影響が及ぶおそれがあります。
自社の配管だけを見て設計すると、この第二項の要件を見落としがちです。
周辺にガス管や水道管など他の埋設物がないかを事前に確認し、影響が及ばない設計にする必要があります。

自分の配管だけ守れれば大丈夫だと思っていました。

近くの埋設物への影響も確認する必要があります。
次は加熱や保温の設備について見てみましょう。

加熱や保温の設備を設けるときはなにに気をつければよいか

断熱材を巻く担当者と点検するもう一人の担当者
配管には、防食のほかに加熱や保温のための設備を設けることがあります。
この設備にも守るべき基準があります。
危険物の規制に関する規則第二十八条の十一(加熱及び保温のための設備)
配管等に加熱又は保温のための設備を設ける場合は、火災予防上安全で、かつ、他に悪影響を与えないような構造としなければならない。
配管に加熱や保温の設備を設ける場合は、火災予防上安全で、他に悪影響を与えない構造にしなければなりません。
条文は火災予防上安全であることと他への悪影響がないことの両方を求めており、どちらか一方では足りません。
加熱設備は熱源そのものが火災の原因になりうるため、防食措置とあわせて設置場所や構造を慎重に検討する必要があります。
最後に、ここまでの防食措置を実務でどう確認すればよいかを整理します。

保温材を巻くだけでも、なにか基準があるんですね。

はい、火災予防上安全な構造にすることが求められます。
次によくある質問を確認しましょう。

よくある質問

Q地下に配管を設置するときはなぜ塗覆装と電気防食の両方が必要なのですか?
A危険物の規制に関する規則第二十八条の九・第二十八条の十により、地下や海底に設置する配管等には塗覆装による防食電気防食措置の両方が義務付けられているためです。
Q地上に設置する配管には電気防食は不要ですか?
A条文が電気防食を義務付けているのは地下又は海底に設置する配管等だけで、地上や海上の配管は外面腐食を防止するための塗装を施せば足りるとされています。
Q電気防食の措置を講じるときに注意すべきことはありますか?
A危険物の規制に関する規則第二十八条の十第二項により、電気防食の措置を講ずる場合は近接する埋設物その他の構造物に悪影響を及ぼさないための必要な措置も講じなければならないとされています。
Q配管に加熱や保温の設備を設けるときはどんな基準がありますか?
A危険物の規制に関する規則第二十八条の十一により、配管等に加熱又は保温のための設備を設ける場合は火災予防上安全で、かつ他に悪影響を与えないような構造としなければならないとされています。

まとめ

移送取扱所の配管は、設置場所ごとに異なる防食措置で守られている
地下・海底の配管には塗覆装により外面腐食を防止する
地上・海上の配管は塗装を施すだけでよい
地下・海底の配管にはさらに電気防食の措置が求められる
電気防食を講じるときは、近くの埋設物や構造物へ悪影響を与えないための措置も必要
加熱・保温設備は火災予防上安全な構造とし、他に悪影響を与えないようにする
自社の配管がどの設置場所の基準に該当するかを確認し、必要な防食措置を整理することが実務上重要である

うちの配管の防食、設置場所ごとに見直してみます!

配管の防食措置について、㈱防災屋でもご相談を承っております。

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 危険物の規制に関する規則第二十八条の九(防食被覆)
  • 危険物の規制に関する規則第二十八条の十(電気防食)
  • 危険物の規制に関する規則第二十八条の十一(加熱及び保温のための設備)

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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