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危険物の貯蔵所はなぜ黄りんと禁水性物品を同じ場所に置けないのか|容器収納の原則と自然発火性危険物の区分間隔も解説

危険物の貯蔵所はなぜ黄りんと禁水性物品を同じ場所に置けないのかを解説する記事のアイキャッチ画像

貯蔵所の中で危険物をどう置くかにも、政令で細かい基準が定められています。
危険物以外の物を置いてはいけないのはもちろん、黄りんのように水中に貯蔵する物品と禁水性物品は同じ貯蔵所に置けず、自然発火のおそれがある危険物は数量ごとに区分して離す必要があります。
今回は危険物の規制に関する政令第二十六条を根拠に、貯蔵所での実務基準を条文に沿って整理します。
容器への収納義務からタンクの弁の扱いまで、まとめて確認しましょう。

うちの貯蔵所、黄りんを扱う棚の近くに禁水性の危険物も置いてしまっているかもしれません。
これって基準違反になりますか。

可能性があります、政令第二十六条に貯蔵の基準がまとまっています。
今日は容器への収納義務や区分間隔まで、順番に確認していきましょう。

タンクの弁を閉め忘れることもあって、正直不安です。
この機会にちゃんと整理しておきたいです。

計量口や元弁の扱いも同じ条文の中にあります。
屋内と屋外の貯蔵所の違いまで、まとめて見ていきましょう。

この記事の結論
  • 黄りん等の水中貯蔵物品と禁水性物品は同一の貯蔵所(同一の室)で貯蔵できません
  • 屋内貯蔵所は容器への収納が原則で、総務省令で定める危険物だけ例外です。
  • 自然発火のおそれがある危険物は指定数量の十倍以下ごとに区分し、〇・三メートル以上離す必要があります。
  • タンクの計量口と元弁は、出し入れするとき以外は閉鎖しておきます。
  • 屋外貯蔵所も容器収納が原則ですが、硫黄等を地盤面の囲いで貯蔵する屋外貯蔵所は除かれます。

危険物貯蔵所の実務基準として黄りん等の別置き容器収納区分間隔弁の閉鎖をまとめた図解

黄りんと禁水性物品はなぜ同じ貯蔵所に置けないのか

黄りんを水中に貯蔵する容器と禁水性物品の容器を分けて置くイメージ
黄りんのように水中に貯蔵する物品と、水に触れると危険な禁水性物品は、同じ性質の危険物を扱っていても正反対の管理が必要です。
この二つをどう分けて貯蔵すべきか、条文で確認しましょう。
危険物の規制に関する政令第二十六条第一項第一号の二 法別表第一に掲げる類を異にする危険物は、同一の貯蔵所(耐火構造の隔壁で完全に区分された室が二以上ある貯蔵所においては、同一の室。次号において同じ。)において貯蔵しないこと。第一号の三 第三類の危険物のうち黄りんその他水中に貯蔵する物品と禁水性物品とは、同一の貯蔵所において貯蔵しないこと
黄りん等の水中貯蔵物品と禁水性物品は、同一の貯蔵所では貯蔵できません。
ポイントは「同一の貯蔵所」の意味で、第一号の二のかっこ書きが第一号の三にもそのまま適用されます。
かっこ書きにより、耐火構造の隔壁で完全に区分された室が二以上ある貯蔵所では、「同一の貯蔵所」は「同一の室」を指すことになります。
つまり同じ建物の中でも、耐火構造の隔壁で分けられた別の室であれば、一方に黄りん等を、もう一方に禁水性物品を置くことは可能です。
逆に、間仕切りのない同じ室の中で距離を取っただけでは、この号の基準を満たしたことにはなりません。

同じ建物なら、もう分けて置くことはできないんでしょうか。

耐火構造の隔壁で完全に区分された室なら、それぞれ別の貯蔵所として扱えます。
建物の図面で、壁が耐火構造かどうかを確認してください。

屋内貯蔵所ではなぜ危険物を容器に収納しなければならないのか

屋内貯蔵所で容器に収納された危険物のイメージ
黄りん等の置き方を確認したら、次は屋内貯蔵所そのものの基本原則です。
危険物をどう保管するかの入口になる規定を見ていきます。
危険物の規制に関する政令第二十六条第一項第二号 屋内貯蔵所においては、危険物は、総務省令で定めるところにより容器に収納して貯蔵すること。ただし、総務省令で定める危険物については、この限りでない
屋内貯蔵所では、危険物は容器に収納して貯蔵するのが原則です。
容器の種類や収納方法そのものは総務省令にゆだねられており、政令の条文には具体的な容器の仕様までは書かれていません。
ただし例外もあり、総務省令で定める危険物については、容器に収納しなくても貯蔵できるとされています。
塊状の硫黄やリチウムイオン蓄電池のように、性質上まとまった形のままでも安全に管理できる危険物がこの例外にあたります。
自分の貯蔵所にある危険物が原則と例外のどちらに当たるかは、品名ごとに確認しておく必要があります。

容器に入れなくてよい危険物もあるんですね。

ごく一部の例外だけです。
迷ったときは容器に収納する前提で管理しておくと安心です。

自然発火するおそれのある危険物はどう区分して貯蔵するのか

自然発火のおそれのある危険物を区分して間隔を空けて貯蔵するイメージ
同じ品名の危険物でも、大量にまとめて貯蔵すると危険性が高まる場合があります。
そのための区分ルールを確認しましょう。
危険物の規制に関する政令第二十六条第一項第三号 屋内貯蔵所において、同一品名の自然発火するおそれのある危険物又は災害が著しく増大するおそれのある危険物を多量貯蔵するときは、指定数量の十倍以下ごとに区分し、かつ、〇・三メートル以上の間隔を置いて貯蔵すること。ただし、総務省令で定める危険物については、この限りでない。
自然発火のおそれがある危険物は、指定数量の十倍以下ごとに区分し間隔を空けます。
対象になるのは、同一品名の自然発火するおそれのある危険物、または災害が著しく増大するおそれのある危険物を多量に貯蔵する場合です。
区分の単位は指定数量の十倍以下ごとで、それぞれの区分の間に〇・三メートル以上の間隔を置く必要があります。
一か所にまとめて積み上げるほど、万一の発火が周囲へ連鎖するおそれが大きくなるため、区分と間隔で被害の広がりを抑える考え方です。
在庫が増えて多量貯蔵に近づいたときは、区分と間隔を保てるレイアウトになっているか棚卸しのタイミングで確認しましょう。

十倍以下ごとに区分というのは、量が増えるほど区画も増やすということですか。

そのとおりです、区画ごとに間隔も必要です。
在庫量と区画の対応を、台帳で管理しておくとよいでしょう。

タンクの計量口と元弁はいつ閉めておく必要があるのか

貯蔵タンクの計量口と元弁を閉めて点検するイメージ
貯蔵所には容器だけでなくタンクもあります。
タンクの開口部の扱いについても、条文で明確に定められています。
危険物の規制に関する政令第二十六条第一項第四号 屋外貯蔵タンク、屋内貯蔵タンク、地下貯蔵タンク又は簡易貯蔵タンクの計量口は、計量するとき以外は閉鎖しておくこと。第五号 屋外貯蔵タンク、屋内貯蔵タンク又は地下貯蔵タンクの元弁及び注入口の弁又は蓋は、危険物を入れ、又は出すとき以外は、閉鎖しておくこと。
タンクの計量口も元弁も、使うとき以外は必ず閉鎖しておきます。
計量口は計量するとき以外、元弁と注入口の弁又は蓋は危険物を入れ、又は出すとき以外、それぞれ閉鎖が原則です。
元弁とは、液体の危険物を移送する配管に設けられた弁のうち、タンクの直近にあるものを指します。
開けっぱなしにしていると、破損や誤操作が起きたときに危険物が漏れ出す量が一気に増えてしまいます。
日常点検では、使用後に閉め忘れがないかを毎回その場で確認する習慣が有効です。

計量口と元弁、どちらも閉め忘れが心配です。

使い終えたその場で閉めるのが確実です。
点検チェックリストに項目として入れておきましょう。

屋外貯蔵所でも容器への収納が原則になるのか

屋外貯蔵所で容器に収納した危険物と硫黄等を地盤面の囲いで貯蔵する区画のイメージ
最後に、屋外貯蔵所の場合を確認します。
屋内貯蔵所と同じ考え方が使われる部分と、例外になる部分があります。
危険物の規制に関する政令第二十六条第一項第十一号 屋外貯蔵所(第十六条第二項及び第四項に規定する屋外貯蔵所を除く。)においては、危険物は、総務省令で定めるところにより容器に収納して貯蔵すること。
屋外貯蔵所も、容器への収納が原則である点は屋内貯蔵所と同じです。
第二号の屋内貯蔵所と並んで、屋外貯蔵所についても容器に収納して貯蔵することが基本になります。
ただし、政令第十六条第二項に規定する塊状の硫黄等を地盤面の囲いの内側で貯蔵する屋外貯蔵所と、同条第四項に規定する蓄電池により貯蔵される危険物のみを扱う屋外貯蔵所は、この号の対象から除かれています。
硫黄等を地敷きの囲いでそのまま貯蔵する形式は、容器に収納しないことを前提にした別の基準(囲いの面積や高さ、シートの固着)で管理されるためです。
自分の屋外貯蔵所がこの除外に当たるかどうかは、許可の種別を確認するとはっきりします。

硫黄をそのまま囲いに入れている屋外貯蔵所は、容器の規定とは別扱いなんですね。

そのとおりです、囲いの基準のほうで管理します。
許可書に記載された屋外貯蔵所の種別を確認してください。

よくある質問

Q黄りんと禁水性物品は、離して置けば同じ室内でもよいのですか?
Aいいえ。政令第二十六条第一項第一号の三は同一の貯蔵所(同一の室)での貯蔵そのものを禁止しており、距離を取るだけでは基準を満たしません。耐火構造の隔壁で完全に区分された室であれば、別の貯蔵所として扱えます。
Q屋内貯蔵所で容器に入れずに貯蔵できる危険物はどんなものですか?
A政令第二十六条第一項第二号ただし書により総務省令で定める危険物だけが例外です。塊状の硫黄やリチウムイオン蓄電池のように、まとまった形のままでも安全に管理できる品名が対象になります。
Q指定数量の十倍以下ごとの区分は、必ず守らなければならないのですか?
A政令第二十六条第一項第三号にもただし書があり、総務省令で定める危険物についてはこの限りではないとされています。対象になるかどうかは品名ごとに確認が必要です。
Q屋外貯蔵所ならどんな危険物でも容器なしで貯蔵できますか?
Aいいえ。容器なしで貯蔵できるのは政令第十六条第二項及び第四項に規定する屋外貯蔵所(硫黄等の地敷き貯蔵・蓄電池による貯蔵)に限られ、それ以外の屋外貯蔵所は屋内貯蔵所と同じく容器への収納が原則です。

まとめ

黄りん等の水中貯蔵物品と禁水性物品は同一の貯蔵所(同一の室)で貯蔵できません
耐火構造の隔壁で完全に区分された室であれば、別の貯蔵所として扱えます。
屋内貯蔵所は容器への収納が原則で、総務省令で定める危険物だけが例外です。
自然発火のおそれがある危険物は指定数量の十倍以下ごとに区分し、〇・三メートル以上離します。
タンクの計量口は計量するとき以外閉鎖しておきます。
元弁と注入口の弁又は蓋も出し入れするとき以外は閉鎖します。
屋外貯蔵所も容器収納が原則ですが、硫黄等の地敷き貯蔵・蓄電池による貯蔵の屋外貯蔵所は除かれます。

置き方から弁の管理まで、貯蔵所の基準がよく分かりました!
うちの貯蔵所も一つずつ見直してみます!

点検やレイアウトの見直しは、いつでもお気軽にご相談ください。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 危険物の規制に関する政令第二十六条(貯蔵の基準)
  • 危険物の規制に関する政令第十六条第二項・第四項(屋外貯蔵所の基準)

※本記事は公表されている法令に基づく一般的な解説です。総務省令で定める例外に該当するかどうかは品名ごとに異なります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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