移送取扱所の配管は、長い区間を地下や道路の下、地上、海底や海上などさまざまな場所に設置されます。
危険物の規制に関する規則は、この設置場所ごとに異なる距離や空地の基準を定めています。
埋める深さや道路境界からの距離、横断部の高さまで、場所に応じた条件が細かく分かれています。
今回は、移送取扱所の配管に求められる設置場所ごとの基準の全体像を解説します。
移送取扱所の配管って、地下に埋めればどこでも同じ基準だと思っていました。
いいえ、設置場所ごとに異なる基準があります。
まずは結論から確認しましょう。
地下と地上で、そんなに扱いが違うんですか。
はい、埋める深さや確保すべき空地など複数の基準があります。
順番に確認していきましょう。
- 移送取扱所の配管は、設置場所によって基準の中身が変わる
- 地下に埋める配管は山林原野で〇・九メートル、その他は一・二メートル以上の深さが必要
- 道路や線路の下では境界からの水平距離が別に上乗せされる
- 地上設置は圧力に応じた空地の幅を、海底設置は既設配管との間隔を確保しなければならない
- 道路を横断する配管は路面まで五メートル以上の高さを確保する
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目次
移送取扱所の配管を地下に埋める場合はどんな基準があるのか

このとき、配管を埋める深さには最低限守るべき基準があります。
配管の外面と地表面との距離は、山林原野にあつては〇・九メートル以下、その他の地域にあつては一・二メートル以下としないこと。ただし、当該配管を告示で定める防護構造物の中に設置する場合は、この限りでない。
条文が定める距離は山林原野で〇・九メートル、それ以外の地域では一・二メートルを下回ってはならないという最低限の基準です。
これは地表からの荷重や地盤の凍結による損傷から配管を守るための規定で、単に土をかぶせればよいわけではありません。
防護構造物の中に設置する場合は例外として扱われますが、その構造も告示で個別に定められています。
次の見出しでは、道路や線路の下に埋める場合にどんな基準が上乗せされるかを確認します。
配管を埋めるとき、深さって現場の判断で決めていいんですか。
いいえ、山林原野か市街地かで最低限の深さが決まっています。
次は道路の下に埋める場合を見てみましょう。
道路や線路の下に配管を通す場合はなにが上乗せされるのか

場所の性質に応じた基準が別に上乗せされます。
配管は、その外面から道路の境界に対し一メートル以上の水平距離を有すること。
条文は道路の境界から一メートル以上の水平距離を求めており、市街地の路面下ではさらに配管の深さの基準も別に定められています。
線路敷の下に埋める場合も同様に、軌道中心から四メートル以上という専用の距離が加わります。
どちらも単独の基準ではなく、地下埋設の基準を土台にして場所ごとの条件を積み増す構造になっています。
次の見出しでは、地上に設置する配管に求められる空地の基準を確認します。
道路の下だと、地下に埋めるだけじゃ足りないんですか。
はい、道路の境界からの距離が別に決まっています。
次は地上に設置する場合を見てみましょう。
配管を地上に設置する場合はどんな空地を確保しなければならないか

その中心になるのが、配管の両側に確保する空地です。
配管(移送基地の構内に設置されるものを除く。)の両側には、当該配管に係る最大常用圧力に応じ、告示で定める幅の空地を保有すること。ただし、保安上必要な措置を講じた場合は、この限りでない。
配管にかかる最大常用圧力が高いほど、必要な空地の幅も広くなる仕組みで、圧力の区分ごとの具体的な幅は告示で定められています。
保安上必要な措置を講じれば例外も認められますが、原則は空地そのものを確保することが前提です。
地上設置は目視で点検しやすい一方、周囲に十分な空間を残しておく設計が欠かせません。
次の見出しでは、海底や海上に設置する場合の基準を確認します。
地上に置くだけなら、埋めるより簡単そうですね。
いいえ、圧力に応じた空地の幅を確保する必要があります。
次は海の中や海の上に設置する場合を見てみましょう。
海底や海上に配管を設置する場合に見落としやすいのはどこか

陸上とは異なる視点の基準があり、見落としやすい点があります。
配管は、原則として既設の配管に対し三十メートル以上の水平距離を有すること。
条文は原則として既設の配管に対し三十メートル以上の水平距離を求めており、単に埋設すればよいという話ではありません。
海上に設置する場合も、船舶の航行による損傷を避けるための空間の確保など、陸上とは異なる視点の基準が定められています。
自社の配管がどちらの区分に当たるかを把握していないと、この間隔の基準を見落としがちです。
次の見出しでは、道路や線路、河川を横断する場合の基準を確認します。
海の中に配管を通すなんて、うちには関係ないと思っていました。
移送取扱所によっては海底や海上への設置も基準の対象です。
次は道路や線路を横断する場合を見てみましょう。
道路や線路河川を横断して配管を設置するときはなにを確認すればよいか

そのぶん、横断先の性質に応じた基準が個別に定められています。
道路上を架空横断して配管を設置する場合は、当該配管及び当該配管に係るその他の工作物並びにこれらの附属設備の地表面と接しない部分の最下部と路面との垂直距離は、五メートル以上としなければならない。
条文は配管の最下部と路面との垂直距離を五メートル以上と定めており、車両の通行を妨げない高さが確保されているかが問われます。
線路や河川を横断する場合も、それぞれ埋設や設置の方法についての基準が準用されており、横断先の性質に応じた確認が必要です。
横断部分は他の設置場所以上に慎重な設計が求められる区間だといえます。
最後に、ここまでの基準を実務でどう確認すればよいかを整理します。
横断する場所によって、そんなに基準が変わるんですね。
はい、横断する対象ごとに個別の基準があります。
次はよくある質問を確認しましょう。
よくある質問
まとめ
うちの配管の設置場所、基準に合っているか確認してみます!
配管の設置基準について、㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 危険物の規制に関する規則第二十八条の十二(地下埋設)
- 危険物の規制に関する規則第二十八条の十三(道路下埋設)
- 危険物の規制に関する規則第二十八条の十四(線路敷下埋設)
- 危険物の規制に関する規則第二十八条の十六(地上設置)
- 危険物の規制に関する規則第二十八条の十七(海底設置)
- 危険物の規制に関する規則第二十八条の十九(道路横断設置)
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





